2018年1月21日 サンデーモーニング

2018年1月21日 サンデーモーニング

2018年に入って随分「両論」を提示するようになった『サンデーモーニング』ですが、監視を怠るとまたすぐ“ぶり返す”かもしれないですから、監視は緩めませんよ!

さて、今週(1/21放送分)はどうでしょう?
トランプ大統領の話題。
番組内でのVTR説明要約です。

・冒頭から反トランプデモの様子とデモ参加者のインタビュー
   参加者「アメリカを分断して、子供のようにツイートしている」
・米CBSテレビによる電話調査
  大統領の仕事ぶりを支持…4割 不支持…6割
・「トランプ大統領が対立と分断をあおっている」ナレーション
・トランプ大統領「雇用220万人創出した」発言
  -ナレ「株価上昇は大型減税によるもの。税収減で財政赤字の懸念」
・突然、トランプ氏のCNNコラージュプロレス映像
  -テロップ「トランプ氏のツイッターより」
・トランプ大統領による「フェイクニュース大賞」批判
  -ナレ「自身を批判するメディアを執拗に攻撃してきたトランプ大統領」
     「フェイクニュース大賞にロシア疑惑関連があるから、追及を交わす狙いではという指摘も上がっている」
・トランプ大統領は就任早々、不法移民対策で混乱をもたらした
・全米で抗議の声(当時のデモ映像)
・TPP離脱、オバマケア撤廃、パリ協定離脱
・トランプ大統領(2017/6/1)「アメリカが経済的に不利になるから」
・エルサレム問題で世界に大きな衝撃を与えた
・1/20に移民政策の対立で予算が成立せず、政府機関が閉鎖
・共和党の民主党批判「(民主党の対応は)全くアンフェアで、冷酷」
・トランプ大統領ツイッター「(民主党は)減税と好景気への影響を打ち消そうとしている」
・就任当初の右腕のうち、ペンス副大統領1人しか残っていない。61人中21人の高官が辞職または転任

という感じでした。
VTRはじめの方の「子供のようにツイートしている」が利いていたのか、小生はトランプ大統領のツイッターが出てくる度に「子供っぽい」ような気がしました。
小生は『サンモニ』がそういう番組だと知っていたのと、民主党がどんな妨害をしたか報じず公平でない箇所があったから正気を取り戻しましたが、何となく観てしまった視聴者はトランプ大統領をただ漠然と「変な人なんだろうなぁ」と思ってしまうでしょう。
普段から「少数派の声を取り上げろ」と主張するこの番組は、トランプ大統領を支持する人々がどのような思いをしているかに触れません。
よって、偏ったVTR構成だというしかないでしょう。

では、この件に対するスタジオコメントを見ていきましょう。
各人の主だった箇所を抜粋します。

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関口宏:こういう話を聞いてるだけでも、何かアメリカ政府って節穴だらけになっちゃってるんじゃないかという気が私にはしちゃいますが
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先程のVTRを観たらそういう感想になるでしょう。

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姜尚中:トランプ政権というのはオバマの反対のことをやりたいと。何でもかんでもいいから反対のこと。(中略)世界秩序のビジョンがない、アメリカというのは常にアメリカ的な価値「これが世界の価値のフロントランナーだ」と、そういう普遍的な価値を我々に提示するからデモクラシーの帝国とも言われたし、そういうアメリカ、どこに行っちゃったのというそういう感じがします(中略)アメリカは100年の覇権国家だったわけですけど、「俺様に従え」ということでは、ますますアメリカの覇権というのは衰退していくし、そういうアメリカと果たして一蓮托生でいいんだろうかというのもちょっと考えなきゃいけないですね。

大宅映子:一番困るのは、価値観ですよね。自由とか平等とか人権というものを、アメリカが具現化していたというところがある。(中略)ファーストはいいんだけど、単純化されたナショナリズムで「自国だけ」みたいな、これじゃ本当にどうしようもないし。あともう一つは彼の人格的な問題が、自分を天才だと、安定した天才だという人が大丈夫かいっていうのがね、ものすごく不安ですよね。本当に。ひょっとしたことでひょっとしたことが起きちゃうんじゃないかという不安を世界中にまき散らしてると思います。
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話し合いで戦争はなくなる、と思っている人たちには民主党政権が良かったのでしょう。
VTRと上記二人のコメントは、「日米離反」を促しているように聞こえます。

去年までのサンモニでしたら、この後のゲストも似たような一方的「トランプが悪い」コメントを言ってたでしょう。
しかし、最近のサンモニはコメントが一方に偏らない様にしています。

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岡本行夫:トランプ大統領という人は排外主義的であり、白人至上主義であり、独善的であり、乱暴的であり、予測不可能で勉強嫌い、そして国内の分断を広げているわけですね。(中略)ただ、日本にとってみればしょせんは人の国の大統領なんですよね。日本にどういう影響が政策的に及んでくるかということが一番大事なんで。それは安全保障と経済ですよね。安全保障はトランプさんは日本との関係ではよくやってるわけですね。北朝鮮にも、オバマさんが何もやらなかったことに対してきちっと対応しているし、テロ対策にも取り組んでるし、それから日米同盟は強化されたし。それから経済の方は大型減税、それから投資をドンドン呼び込んで、株価は大統領に就任してからもう4割上昇しているし、そのおかげで日本経済もよくなってるしね。ですから、ヒラリー・クリントン大統領になったときよりは日本にとってはいい面が多く出ている、非常に皮肉ってもそういう状況にあるんです。ただ、長期的には大宅さんたちが言っておられたようなこと、これから非常に問題が顕在化してくるってことでしょうね。
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トランプ大統領を人格的にディスりましたが、オバマ氏より良くやっているという評価。
ヒラリー・クリントン氏がなるより良かったと。

「両論あげろ」と当会が主張しているので、サンモニが対策的にこういうコメントを言わせている可能性は否めませんが、公平な番組制作としてはいい傾向です。

岡本氏のコメントは前二人を否定することになるので最後にフォローを欠かしません、議論を嫌うサンモニらしいです。

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西崎文子:トランプ大統領にとって分断して統治するというのは、1つの政治的なマニュアルだと思うんですね。ですから敵をつくることで、自分の三十何パーセントの支持を確保していくと。(中略)ただ、分断して統治するときの方法が、やはり人種主義だったり、メディア叩きだったり、あるいは外交でも一部の国を徹底的に叩くようなそういった姿勢で。先ほどのVTRにもありましたけど、国内の抵抗というのがなければいけないし、やっぱりあって当然だと思うんです。ただ、でも1年経って考えなければいけないのは、それでもなぜトランプが当選したのか。やはりトランプに力を与えている何かがあるってことですよね。それはちょっと忘れがちですけど、改めて問わなきゃいけないと思います。
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西崎氏の最後の「トランプに力を与えている何かがある」という部分は何を示しているか。
明確ではないので、これを聞いた人個々の知識・思想によって受け取り方が違ってきます。
中には「闇の勢力」だと思う人もいるでしょう。(笑
小生の場合は、「少数派が幅を利かす変な風潮に疑問を抱く人々」が思い浮かびました。
皆さんは、何が思い浮びましたか?

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松原耕二:この1年を見ると民主主義のせめぎ合いだったような気がするんですね。民主主義というのはトランプさんを生んでしまうんだ。選んだ人は民主的とはとても言えないような人物が、ある種、民主的なものを壊そうとしているかに見える。でも一方で民主主義が仕掛けた装置によって、三権分立を含めて、裁判所が特にそうでした、止めようとして、トランプさん1人では壊せないことがいろいろわかってきている。そういう意味ではある種、民主主義が持っている根源的な脆弱さと復元力というか、強さみたいなものを個人的には信じたいと思いますね。

関口:僕なんかは、メディアを敵に回すっていうね、これはちょっとやり過ぎてないですかという気持ちは強いね。

松原:でも一方で私、メディアによって、日本もそうかもしれないですけど明らかにメディアに対する信頼も失われているわけですね。そこに対してつけ込んでる部分がある。アメリカのメディアは僕はきちんと戦っていると思います。ただ、メディア自身も、なぜ自分たちの言葉が届かないのか、そこは考えたほうがいい、と自分自身にも自戒を込めて思いますね。
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民主主義の恐ろしさは日本人のほうが先に経験してますよ。民主党政権のときに。それを言わないのもサンモニらしい所です。
松原氏はマスコミが信頼を失っているのを知っているんですね。
そして、「アメリカのメディアは戦っていると思う」というコメント。それはアメリカでは「公平報道」という縛りがなく、テレビ局がそれぞれ「共和党寄り」「民主党寄り」と立場を明確にできるから、当然、トランプ大統領はCNNと戦っているのです。
日本も放送法を改正すれば、『サンデーモーニング』は当会から「偏向報道」と言われなくてすみますよ。「公正報道」「報道番組の放送比率」「電波オークション」など、放送法は改正すべき箇所がありますので、是非サンモニ番組内で扱ってください。
サンモニ関係者の方もご覧になっているかもしれないので言ってみました。

トランプ大統領のいい面と悪い面の両方を示して、しかもマスコミは信用されていないことも暴露してしまい、この話題では総合的に見れば公平に報道していたようです。

では、公平でなかった話題は…
ICANのベアトリス・フィン事務局長が来日した際、安倍首相との面会を断られたことについて、

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大宅:ICANの代表に安倍総理が会わない?外務省が断ったの?そんなことありなんですか?というのはね、ずっと唯一の被ばく国といって日本は世界に訴えてきているわけですよね。それの声が1つのまとまりにならないっていうことに関して、ものすごく私はいら立ちを感じるんですけど。外務省が断ったのは、あれはもっともなんですか?元外務省の岡本さんとしては?

岡本:日程が本当に合わなかったんでしょう。

大宅:嘘でしょ、そんなだって、ミス・ユニバースに会う時間があるのに。

関口:西崎さんどう思います?

西崎:ICANとか被ばく者が唱える核禁止条約と米国や核保有国が唱える核抑止論って、やっぱり根源的な違いがあると思うんですね。
ICANとして、価値としてないというかネガティブと。
抑止論は核に抑止する価値があると認めるわけです。
だからそこの溝はかなり深いと思うんですけれども。ただ、核抑止論を認めてしまうと今度は核拡散の危険は出てくくるわけです。ほかにも価値を認める国がたくさん出てくるわけですから。そこは本当に究極のジレンマなわけですが、日本政府としては、橋渡しをするというのが今までの方針ですから、やはり会うことで損は全くなかったと思います。むしろ会った方が国際的にもよかったと思います。

(言い足りなかったのか、突然大宅氏が話し出す)
大宅:サーロー節子さんね、ずっと語り部として被ばく者の。13歳で被ばくして、4歳の甥っ子が肉の塊となったという、ものすごい説得力のあるスピーチをいつもなさる。85歳だから、日本にいらしてないけど。そういうことも考えるといたたまれない気が私はしましたけれどもね。
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何ヶ月も前から首相面会のアポイントを取ろうとしたわけでもないのに、他の人の面会時間に割り込ませてでも面会させろというんでしょうか。
自分たちが良しとするものにはルール度外視の方です。
首相が外遊でいない時に来なくても、安倍首相が日本にいる時に来日すれば良さそうなものを…。これでは安倍首相と会えそうにない時を狙って来日したと言われても仕方ありません。
…という意見はサンモニ出演者から出ませんでした。
日本政府が逃げた、と思い込んでいるし、そう印象づけたいのが見えます。
それに対する反論は誰からもあがりませんでした。
西崎氏のコメントは核抑止論者の意見も考慮しつつやや中立の体でしたが、「なんで北朝鮮に行って説得しないんだろう」という対立意見も出なかったので、これに関しては一方的な報道と判断します。

今回のレポートは取り上げた話題が少ないですが、実は今回著しく偏っていたのは「ICAN事務局長」の話題だけでした。
番組制作者が報道内容が偏らないように努力しているのはわかります。
なぜネットで馬鹿にされるのか、彼らも学習中なのでしょう。

監視を続けます。

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