TBS「サンデーモーニング」、2020年4月26日放送回の検証報告(前編)です。
今回の報告では、
① コロナウイルスの陽性率が示す感染の広がりについて報道された部分
① 「風をよむ」にてコロナとプライバシーについて報道された部分
② 辺野古移設問題について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。
検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。
今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。
前編で検証するのは、
① コロナウイルスの陽性率が示す感染の広がりについて報道された部分
となります。
では、さっそく放送内容をみてみましょう。
【VTR要約】
自宅や路上で容態が急変して死亡するなど警察が変死として扱った事案で、死後に感染が判明したケースが全国で15件起きており波紋を広げています。北海道医療大学塚本氏は、ニューヨークでは感染拡大とともに在宅での不審死が相次いだことが報告され、その後死者数も指数関数的な増加が言われている。オーバシュートの兆候かと思うと危機感を覚える、と述べました。
発症してから急激に重症化するケースのメカニズムについて専門家は、「体内に入ったときに免疫機能が過剰に反応してしまうサイトカインストームによる重症化の可能性も指摘されている」などと話し、サイトカインストームは肺だけでなく多臓器不全などを起す恐れを伝えました。
そのような中で、PCR検査数に対する陽性者の割合を示す陽性率が注目されています。全国平均の陽性率は10%、先月の5%の2倍になっています。千葉大学大学院の研究グループ樋坂教授はこの陽性率と死者数の関係を分析。7%を下回る国は感染者数・死者数が1、2ヶ月で減少傾向にあるが、陽性率の高い国は死者数が急激に増えてきていることから感染が始まっているのに陽性率の高い国では見逃してしまっている。陽性率が低い国ではPCR検査が徹底的に行われ感染者の隔離や治療など早期対策が可能となっていると指摘し、日本はPCR検査をもっと増やすべきだと述べました。スタジオで専門家は、死者は少ないが首都圏の感染状況はニューヨークなどに匹敵している可能性があると警鐘を鳴らしました。
【コメンテーター発言内容】
水野アナ(全文):VTRにもありましたが、千葉大の研究グループが発表した欧米諸国の陽性率と死亡者数の関係です。陽性率とはPCR検査数に対する陽性者の割合です。陽性率が7%未満の低いグループの一日当たりの死者の数は推定値で150人程度。陽性率が特に低く1.4%となっているオーストラリアの死者数を見てみますと累計で79人です。一方で陽性率が7%以上の高いグループの一日の死者数は1000人程度です。陽性率が18%を超えるアメリカは死者が5万人を超えています。アジアとヨーロッパでは感染の広がり方が違いますので単純に比較はできないのですが、日本の陽性率は10%を超えていて、樋坂教授は「日本の死者は少ないが首都圏の感染状況はニューヨークに匹敵している可能性がある」として警鐘を鳴らしています。
関口氏(全文):ここまでで僕ら、理解がしにくいんですが岡田さん、これは何を意味しているんですか?
岡田氏(全文):まず陽性率というのは、PCR検査を行う分母の数でございます。そのうち例えば100検体やって、20検体が陽性だったら20%ということになりますね。陽性率が低いということは、たくさん検査をやって、そして低いうちにどんどん隔離をしたりして対策をやれるわけですけど、アメリカなんかは18.4%になっているということは検査をしたら2割ぐらいの人が患者さんだよ、感染者だよという状況になってきて、こうなってしまうと医療崩壊も起こるし患者さんも多いしということで、死者数が増えてきてしまう、健康被害が大きくなってしまうということです。
関口氏(全文):分かりやすく言えば、アメリカは後手に回ったということですか?
岡田氏(全文):まあ、そういうことでございます
関口氏(全文):日本は中途半端だということですか?
岡田氏(全文):いえ、日本全体は10.3%でございますが7%を超えると流行がなかなか収まらない、拡大していく、健康被害があるということを先ほど研究者の方がおっしゃっておられましたが私が心配しているのは、東京なんです。
水野アナ(全文):昨日は東京の感染者は103人、その中で感染経路が不明な方はその半数を超える61人でした。
関口氏(全文):これを全体的に見るとこうちょっと安心しちゃう感じが出ていますが。
岡田氏(全文):早計でございまして、失礼ですけど、東京都の場合は検査数を絞り込んでいますから少ないんですよ。ですから例えば500件しかやらないで100人なのか、1万件やって100人なのかというのが全然違うわけでして東京都の陽性率は今39.4%なんです。これは民間のものも入れてなので本当はもうちょっと低くなると思うんですけれども、三十半ばぐらいだと思うんですけれども圧倒的に高いんです。ですから検査数が少ないのでこの数をそのまま東京都は、先週100人だったのでとか、昨日で100人だったのでと、落ち込んできているねと見るのはいけないということです。
関口氏(全文):これを丸ごと信じるわけにはいかないということですね。
岡田氏(全文):ですから、もう一つの指標としまして、死者数というのを見ていただいて先ほどもVTRにありましたけど亡くなってから分かるという人もおられましたがざっくり、きちっと報告してある数を10日ごとに見てみたんですけれども、先週よりも今週はグッと上がっているわけですね。2月、3月から比べると明らかに上がってきている。7 これが1つの間接的ですけれども、重要な指標となるだろうと思っています。例えば岡江さんの場合も、60歳以上で致死率2%のハイリスクの世代でございます。 放射線治療もやっておられました、免疫も落ちていたんでしょう、それで病院に行ったときに速やかにPCR検査をやれる状態であればもっと早くに診断がついてアビガンだとかのお薬を使うなり、治療が始まれば、ちょっと違ったんではないかとは思っています。
以上が放送内容となります。
では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。
1、水野アナウンサーの発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、岡田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
それぞれ順を追って解説します。
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1、水野アナの発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
水野アナは今回の報道で、以下のように述べています。
水野アナ(抜粋):VTRにもありましたが、千葉大の研究グループが発表した欧米諸国の陽性率と死亡者数の関係です。陽性率とはPCR検査数に対する陽性者の割合です。陽性率が7%未満の低いグループの一日当たりの死者の数は推定値で150人程度。陽性率が特に低く1.4%となっているオーストラリアの死者数を見てみますと累計で79人です。一方で陽性率が7%以上の高いグループの一日の死者数は1000人程度です。陽性率が18%を超えるアメリカは死者が5万人を超えています。アジアとヨーロッパでは感染の広がり方が違いますので単純に比較はできないのですが、日本の陽性率は10%を超えていて、樋坂教授は「日本の死者は少ないが首都圏の感染状況はニューヨークに匹敵している可能性がある」として警鐘を鳴らしています。
要旨をまとめると、
・陽性率が高い国であれば、死者数は多い傾向がある。陽性率が7%以下のグループであれば、一日当たりの死者数は150人程度、7パーセントを超える国だと死者は1000人程度である。
・日本の陽性率は非常に高く10%を超えているので、首都圏の感染状況はニューヨークに匹敵する可能性がある。
というものです。
しかしながら、
・日本のコロナが原因による死者数は、4月25日時点で累計334名。確かに日本は7パーセント以下の国よりも日本はコロナの陽性率は高いが、日本の死者数は7パーセント以下の国と比較すると少ない。また、ニューヨーク州は、死者数が5万人を超えており、日本とは明らかに状況が違い、単純に比較することはできない。その為、「首都圏の感染状況がニューヨークに匹敵する」という水野氏の主張は明らかに事実に反する。
など、発言内容とは異なる事実が存在します。
以上のことから、今回の報道での水野アナの発言は事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。
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2、岡田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
岡田氏は今回の報道で、以下のように述べています。
岡田氏(抜粋):ですから、もう一つの指標としまして、死者数というのを見ていただいて先ほどもVTRにありましたけど亡くなってから分かるという人もおられましたがざっくり、きちっと報告してある数を10日ごとに見てみたんですけれども、先週よりも今週はグッと上がっているわけですね。2月、3月から比べると明らかに上がってきている。これが1つの間接的ですけれども、重要な指標となるだろうと思っています。例えば岡江さんの場合も、60歳以上で致死率2%のハイリスクの世代でございます。 放射線治療もやっておられました、免疫も落ちていたんでしょう、それで病院に行ったときに速やかにPCR検査をやれる状態であればもっと早くに診断がついてアビガンだとかのお薬を使うなり、治療が始まれば、ちょっと違ったんではないかとは思っています。
要旨をまとめると、
・東京都で10日ごとに観測すると、先週よりもコロナウイルスの死者数は2月、3月に比べるとぐっと上がっている。これは重要な指標である。
というものです。
しかしながら、
・そもそもコロナに感染してから、死亡するまでに一定の時間を要するものである、また死者数は日によって変わるものであるから、10日間で区切って比較するものでない、そのため「感染収束できていない」という岡田氏の主張は事実に反する恐れがある。
など、発言内容とは異なる事実が存在します。
以上のことから、今回の道での岡田氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「PCR検査を増やすべきである」「このままではコロナの感染拡大はやむなし」という立場に立った意見のみが出てきました。
ですがこの問題に関しては「PCR検査は医療リソースを守る観点からも、また必ずしも陽性者を確認できないことからも、やみくもに検査数を増やすべきではない」「感染者は長期スパンでみれば、コロナは収束に向かいつつある」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。
以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。
以上が報告の前編となります。前編では、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。
この続きの
② 「風をよむ」にてコロナとプライバシーについて報道された部分
については中編の報告をご覧ください。
③ 辺野古移設問題について報道された部分
については後編の報告をご覧ください。
公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。