2020年9月13日 サンデーモーニング(後編)

2020年9月13日 サンデーモーニング(後編)

サンデーモーニング、2020年9月13日分の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
① 野党合流について報道された部分
②総裁選について報道された部分
③原発のゴミ処理問題について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
② 総裁について報道された部分における
検証4「竹下氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている」

ならびに、
③ 原発のごみ処理問題について報道された部分
となります。

では、さっそく②の検証4をみてみましょう。

4、竹下氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
竹下氏は今回の報道で、以下のように述べています。

竹下氏(抜粋):今回、3人の候補の中に、女性の候補がいないというのは非常に絶望的になってしまいますよね。安倍政権、いろいろと批判もありますが少なくとも女性活躍においては非常に積極的にいろんな施策を打ち出そうとしていたと思います。特に国会議員というのは衆議院に至っては女性の議員というのは10%前後しかいないという非常に世界的に見ても政治が遅れをとっている分野です。次の総裁候補というのは、今、野党が非常に情けない状態ですのでこれが次の日本のリーダーなんだ、この3人が次の候補なんだということを世界に向けてメッセージを出す機会なんですが、すべて男性で、次に控えている女性の議員もなかなか見当たらないということなので自民党は今回の総裁選、あくまでも党内のことですけれども、これまでの国会議員のプロセス、あるいはリーダーの育成においてどうして女性が出なかったのか、どうして多様な候補がいなかったのかというのを菅さんが勝ったとか優勢ではなくて改めて問い直さないといけないのかなと思います。

要旨をまとめると、
・首相候補に女性候補がいないのは非常に絶望的だ。
・特に政治の分野では女性活躍に遅れがある
・次の日本のリーダー候補を世界に向けてメッセージを出す機会なのに、すべて男性でどうして女性の候補がいなかったのか問い直すべきだ。

というものです。

しかしながら、
・女性がそもそも政治家を志す人が少ないことが考えられ、政治の場面で女性が活躍しにくい状況であるかは判断出来かねる。故に、政治の分野で女性活躍に遅れがあるという竹下氏の主張は事実に反する恐れがある。
・また、女性の首相候補がいないことを根拠に、女性活躍が遅れていると主張するのは政治的に公平ではない。例えば、アメリカの大統領候補はバイデン氏とトランプ氏両方とも男性であるが、二人が男性だからと言ってアメリカの女性活躍が遅れているとは言い切れない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での竹下氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

続いて、
③ 核のごみ処理問題について報道された部分
となります。では、放送内容を見ていきましょう。

【VTR全文】
7日、いわゆる核のごみの最終処分場の選定に向けた調査への応募を検討している北海道の寿都町。この日、初めて住民説明会が行われましたが、説明会は紛糾して、途中で打ち切られました。
参加した寿都町民「(自分の意見を)伝えるも何もそういう話にならなかった。何かいきなり難しい中身のあれになってさっぱり分からん。」
また10日には報道陣に公開する形で説明会が行われたんですが…
参加した寿都町民「寿都町は原発のトイレになってしまうんですか。」
寿都町片岡町長「私は寿都町をトイレにしようなんて今、言ってるわけじゃないんです。 寿都に来るんだということを頭から除いていただきたい。」
町長は調査に応募してから処分場への議論を深めたい考えのようですが反対する町民は応募すれば処分場を受け入れざるを得なくなるとして議論は平行線をたどっています。

【コメンテーター発言内容】
元村氏(全文):全国のどこら辺がいいのかという地図が2017年に公開されたんですけれど、それから3年たって、こうやって声が上がっているというのは一つはコロナが背景にあります。コロナで雇用が冷え込み、税収が減る、そんな中で、財政難に陥っている自治体があればということで手を挙げつつあるんですね。寿都町に続いて同じ北海道の神恵内村というところも動きが出てきています。実際、原発のごみをどうするかという問題に対して最終処分場って世界にまだ1つもないんです。これ各国共通の課題であって議論をしないといけないと思いますが、こうしたほかのいろんな要素が入っている中での議論というのは本当の民主的な手続きが踏めるのかどうか、少し心配なんですけど、経緯を見守りたいと思います。

関口氏(全文):オンカロというのは最終処分場ではないんですか?

元村氏(全文):フィンランドにあるオンカロは建設中ということで実際には世界で1カ所しか具体的になっていないと言ったほうが正しいですね。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、元村氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、 元村氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
元村氏は今回の報道で、以下のように述べています。

元村氏(抜粋):全国のどこら辺がいいのかという地図が2017年に公開されたんですけれど、それから3年たって、こうやって声が上がっているというのは一つはコロナが背景にあります。コロナで雇用が冷え込み、税収が減る、そんな中で、財政難に陥っている自治体がであればということで手を挙げつつあるんですね。寿都町に続いて同じ北海道の神恵内村というところも動きが出てきています。実際、原発のごみをどうするかという問題に対して最終処分場って世界にまだ1つもないんです。これ各国共通の課題であって議論をしないといけないと思いますが、こうしたほかのいろんな要素が入っている中での議論というのは本当の民主的な手続きが踏めるのかどうか、少し心配なんですけど、経緯を見守りたいと思います。

関口氏(抜粋):オンカロというのは最終処分場ではないんですか?

元村氏(抜粋):フィンランドにあるオンカロは建設中ということで実際には世界で1カ所しか具体的になっていないと言ったほうが正しいですね。

要旨をまとめると、
・財政難に陥った自治体が核のゴミ処理施設を作る動きがコロナ禍で顕著になった。
・オンカロは建設中で、原発のごみの最終処分場は世界に1つもない。
というものです。

しかしながら、
・オンカロはすでに建設されている。その為、明らかに事実から反する。
・核ごみの処理方法は、極めて安全であることが指摘されており、たとえ建設理由が財政難であってもそれが悪いこととは一概に言えない。その為、政治的公平を欠く。
など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での元村氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「核ごみの処理施設を日本で作るべきではない」「原発は悪である。」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「原発は資源の乏しい日本ではエネルギーのベストミックスにおいて必要不可欠な発電方法である」「核ごみの処理方法は極めて安全である」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

① 総裁選について報道された部分
については前編の報告を、
②野党合流について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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