2020年5月10日 サンデーモーニング(後編)

2020年5月10日 サンデーモーニング(後編)

サンデーモーニング、2020年5月10日分の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
① 緊急事態宣言の延長と自治体の経済の再開ついて報道された部分
② 米国の失業率の増加と欧州の経済活動の再開について報道された部分
以上2点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを2つに分け、前後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
② 米国の失業率の増加と欧州の経済活動の再開について報道された部分
となります。

となります。では、放送内容を見ていきましょう。

新型コロナ感染拡大の原因を巡って米中が対立する中、アメリカやヨーロッパの国々では経済活動の再開を目指す動きが強まっています。
8日アメリカの4月雇用統計が発表され、失業率は戦後最悪の14.7%(先月より10.3ポイント増)を記録しました。アメリカの4月の失業者数は2050万人に及んでいるといいます。
ヨーロッパでは感染者数の減少傾向が続いていて経済活動の再開に向けた動きが進んでいます。
フランスは、11日にロックダウンを終了し段階的に経済活動を再開させます。健康な人がマスクをする習慣がないフランスですが、公共交通機関などでマスクの着用が義務づけられています。マスクの義務、商店の入店人数制限など生活のあらゆる場面で感染防止策が求められる暮らし。こうした新たな日常は世界各国で、ニューノーマルと呼ばれ始めています。
ドイツは、中小の商店で営業を認めるなど制限の緩和を行っていました。6日、メルケル首相は「感染拡大を遅らせ、医療システムを崩壊から守るという目標に達したといえる段階にある。」と述べ、営業再開が全商店に拡大され、プロサッカーリーグも今月中旬に再開すると発表されました。
イギリスでは、ジョンソン首相が11日から外出制限を一部緩和する意向を示しました。フランスやドイツなどでは新規の感染者が増加した場合は再び外出規制を行う可能性について言及しています。感染対策と経済活動の両立を模索するヨーロッパ。 ニューノーマルはどのように根づくことになるのでしょうか。

スタジオでは水野アナが欧州各国の経済活動再開の状況をフリップで説明しました。

関口氏(全文):何か日本の一歩先を行って緩めているという感じがしますが日本もいずれはこういうことになりますよね?

岡田氏(全文):今、少し緩めていこうという方向にいっていると思うんですが、ヨーロッパの場合は実行再生産数という51人の人が何人にうつすのという、それが1以下なので、1人の人が1人以下、つまり流行が縮小していく、これを目安として段階的に今やっているということだと思います。ただ、様子を見ながらということで、人数を鑑みながら緩めたり強めたりしながら、でも経済をなるべく持ち直していこうという政策だと思っております。

竹下(要約):世界では経済再開が大きな議論になっています。その考えの背景には2つの健康という考え方があります。 心の健康と体の健康の両方のバランスをとるのが今後課題になっていきますので、そのためにはしっかりとしたデータの公開とか、あるいはアメリカと中国のようにお互いを罵倒するんではなくて国同士、地域同士が連携をしていくこと、今後日本でのポイントかなと思います。

青木氏(全文):あとで出てくると思うんですけど、検査になっちゃうんですね。最近、九州大学の先生がおっしゃっているのは、陽性者は2種類いるわけです、検査で自分で陽性と分かっている人とそうではない人と。分かって隔離すればうつさないわけですよね。だから検査を上げることが経済活動再開の大切な点なんですが、この点、日本に関しては皆さんご存じのようにPCR検査はほとんど少ないと。しかも、先ほど岡田さんがおっしゃった陽性率もようやく東京都が出してくる状況で、基礎データが日本の場合余りにも少ないのでヨーロッパに比べて、かなり日本のほうが準備が整っていないという感じが僕はしますね。

関口氏(全文):岡田さん、それは正しいですか?

岡田氏(全文):そうだと思いますね。かなり検査を絞ってましたので、基礎データがないままに今、解禁というところがあります。大阪は非常にそういうところではデータを開示しての解禁というか緩和ですからいいんですけれども特に東京の場合に関しましては、陽性率やっと出てきましたけど、7.8ということで、まだまだ難しいのかなというのが東京の現在だと思います。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。

1、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、岡田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

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1、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。

青木氏(抜粋):あとで出てくると思うんですけど、検査になっちゃうんですね。最近、九州大学の先生がおっしゃっているのは、陽性者は2種類いるわけです、検査で自分で陽性と分かっている人とそうではない人と。分かって隔離すればうつさないわけですよね。だから検査を上げることが経済活動再開の大切な点なんですが、この点、日本に関しては皆さんご存じのようにPCR検査はほとんど少ないと。しかも、先ほど岡田さんがおっしゃった陽性率もようやく東京都が出してくる状況で、基礎データが日本の場合余りにも少ないのでヨーロッパに比べて、かなり日本のほうが準備が整っていないという感じが僕はしますね。

要旨をまとめると、
・日本はPCR検査が少ない。基礎データが日本の場合あまりに少ないのでヨーロッパに比べて日本はコロナに対する経済活動の再開の準備が整っていない。

というものです。

しかしながら、
・PCR検査は必ずしも陽性者をすべて検出できるとは言えない。その為、どの国でも陽性者をすべて見つけ隔離することは実現可能性が低く、「PCR検査を実施すれば感染拡大を抑制できる」という青木氏の主張は事実に反する恐れがある。
・また、欧州諸国の感染者数が日本に比べ圧倒的に多い状況を提示せずに、「欧州と比べて日本の経済再開活動の準備が他国に比べて整っていない」という青木氏の主張は政治的に公平ではない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。
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2、岡田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
岡田氏は今回の報道で、以下のように述べています。

岡田氏(抜粋):そうだと思いますね。かなり検査を絞ってましたので、基礎データがないままに今、解禁というところがあります。大阪は非常にそういうところではデータを開示しての解禁というか緩和ですからいいんですけれども特に東京の場合に関しましては、陽性率やっと出てきましたけど、7.8ということで、まだまだ難しいのかなというのが東京の現在だと思います。

要旨をまとめると、
・(前述の)青木種の主張は正しい。基礎データがないまま解禁することはよくない。大阪はデータを開示して経済活動を再開しているからいいが、東京の陽性率は7.8もあるので、経済活動の再開は困難である。

というものです。

しかしながら、
・そもそも、日本はPCR検査数を他国と比較すれば少ないため、陽性率が高くなることが考えられる。また、岡田氏の主張には、「陽性率が7.8あると経済活動の再開が困難である」医学的な根拠が示されておらず、事実に反する恐れがある。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での岡田氏の発言は事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「PCR検査を増加させるべきである」「現状、経済活動の再開は困難である」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「限りある医療リソースを有効的に活用するために、やみくもにPCR検査を増加させるべきではない」「感染拡大は限定的なのだから、経済活動を再開すべきである」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では(政治的に公平でなかったり、)事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

① 緊急事態宣言の延長と自治体の経済の再開ついて報道された部分

については前編の報告の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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