2019年10月27日 サンデーモーニング(中編)

2019年10月27日 サンデーモーニング(中編)

TBS「サンデーモーニング」、2019年10月27日放送回の検証報告(中編)です。

今回の報告では、
① 「風を読む」にて即位礼正殿の儀について報道された部分
② 菅原経産相辞任について報道された部分
③ 自衛隊のホルムズ海峡派遣について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

中編で検証するのは、
② 菅原経産相辞任について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

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【VTR要約】
 内閣改造からわずか1か月半、選挙区の有権者に香典を渡していたことが分かり菅原経産相が辞任。重要閣僚のスピード辞任に安倍総理は「任命責任は私にある」と陳謝した。公職選挙法では、政治家本人が手渡す場合を除き、選挙区内で香典などを出す寄付行為は禁じられている。有権者への寄付行為禁止は、田中角栄元総理の下で行われた1974年の参議院選挙をきっかけとして、段階的に規制が強化されてきた背景がある。菅原氏の元秘書はインタビューの中で「ほぼ毎日のようにあった」と話している。安倍政権は早期の幕引きを図ろうとしたとみられるが、野党は菅原氏の疑惑をさらに厳しく追及する構えである。

【アナウンサーによるパネル説明】
・公職選挙法では、選挙の有無にかかわらず政治家が選挙区内の人に寄付を行うことを政治家本人が持参した場合を除き、名義の如何を問わず一切禁止している。
・集会などのへの差し入れやお歳暮・お年賀・病気見舞いも対象となっており、違反すると罰金や公民権が停止となり、選挙への立候補ができなくなる。
・日本大学・岩井幸信教授は「寄付を許すと選挙の票を集めるために寄付行為がエスカレートしていき、金権選挙につながる」と指摘している

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【コメンテーターの発言】
姜尚中氏:(要約):選挙区を中選挙区から小選挙区に変えていけば、金権選挙や派閥もなくなって、クリーンな政治が行われるはずだということだった。ところが小選挙区であってもこういうことが行われている。派閥には功罪があるが罪の部分があまりにも過大に言われている。結果として官邸の力が強まり、党の力が非常に弱くなってきている。今回の事態でそのバランスに変化が起きるかもしれないと感じるので、注目していきたい。

大宅映子氏(要約):秘書の重要な仕事のうちの一つが、地元で工場がオープンしていないか、新築祝い、結婚祝いはないかを調べて馳せ参じることで、重要な政治活動の一部だった。政治家にそうさせている国民もいる。小選挙区制だったら(そういう政治家は)落とせるはず。

藪中三十二氏(全文):あまりにもお粗末な話だと思うんですね。ただ今大事なことっていうのは、政治全体への信頼。これが国民の中でですね、失われている。あるいは、国民が意外と鈍感になっていると。ここ1、2年でもね、やはりあの文書管理の杜撰さなんてありましたね。やっぱり政治の基本っていうのが失われているのかなと。例えば今正倉院展。奈良時代にですね、もう見事な文書管理が行われてんですね。それが今でも見れるんですね。あるいは国会、今この問題を取り上げられてますけど、それをやる必要はありますけれどもね、本格的な国会の議論というのが行われてるのかどうかと。日本が直面する問題についてね。少子高齢化であれば少子高齢化。本格的な議論って緊張感が全然ないなっていう。その辺ももっときちんとやっていただきたいと思います。

谷口真由美氏(全文):安倍内閣、第一次から数えると、辞職された大臣の方、10人超えるんですよね。で、その度に総理が、その任命責任って言葉を自分にあるっていう言葉を使われるんですけど、ものすごく軽い言葉だなと思うんですね。で、やっぱり国のトップの人が、任命責任ということ、責任って言葉を軽く使うということは、世の中皆が責任を軽く感じるんじゃない。いみじくも経済の大臣の方っていうのは、今関電の問題とかちゃんとやっていただかなきゃいけない方だと思うんですけども、そういう責任の取り方っていうものが大人がちゃんと示される責任の取り方っていうものを、子どもたちに模範となってるかって言われると、模範になってない気がするんですね。だからやっぱり、その言葉って軽かったらダメだと思いますし、言葉に対して責任を持っていただきたい。特に政治かの方は本当にそういうふうにしていただきたいなって思いますね。

青木理氏(全文):今になって驚いたような感じで報じてんですけど、この問題実は、特にあのメロンとかあれはね、10年くらい前に一部の週刊誌が既に報じてるんですよ。で、どうもやっぱり、これだけ当選回数を重ねてるのにこれまで要職についてないっていうのは、なんかそういう問題があったからなんだけど、今回一つなんか、在庫一掃みたいな感じでね、論功行賞で大臣を選んだっていう、こう無茶な人の中のうちの一人なんじゃないですかっていうのが政界での分析なんですよね。だから、ある種の政権の驕りっていうことがあるのが一つ。だから任命責任の問題でもそうなんだけど。もう一つあえて言いたいのは、一つ今回、この問題、先ほどVTRにもありましたけど、週刊文春のスクープなんですよ。で、しばらくの間見てみると、メディア界でこういういわゆる調査報道。論ではなくファクトで権力をチェックするんだっていうのをやってるのは、文春砲なんていわれる週刊文春だけなんですよね。で、新聞とか、まあこのテレビもそうですけど、特に新聞ですよ。何してるのかと。その論はもちろん大事なんだけれども、こうやって取材、現場のファクトで政権の問題点を追及していくってことを新聞がやらなくなってきてんじゃないかってことが一つと、もう一つ。何してんのかというと、検察ですよ検察。小野寺さんは書類送検されてるんですよ。今回の件どうなんでしょうか。だから、これまで発覚してる数々の口利き疑惑も、検察何もしてないでしょ。関電だって、億単位の金品授受で何の刑事責任も問われないんですかっていうあたりを、僕らかなりこう、庶民的に言うと感じる人多いと思うんですよね。だからメディア、特に新聞と、それから検察と。一体何してるんですかと。ちゃんと政治をチェックしてくださいっていう思いは、僕もメディアの片隅にいますんで、他人事じゃないんですけれども、少し感じますよね。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の4点です。

1、藪中氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、谷口氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
4、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている

それぞれ順を追って解説します。

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1、藪中氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
藪中氏は今回の報道で、以下のように述べています。

藪中氏(抜粋):あまりにもお粗末な話だと思うんですね。ただ今大事なことっていうのは、政治全体への信頼。これが国民の中でですね、失われている。あるいは、国民が意外と鈍感になっていると。ここ1、2年でもね、やはりあの文書管理の杜撰さなんてありましたね。やっぱり政治の基本っていうのが失われているのかなと。例えば今正倉院展。奈良時代にですね、もう見事な文書管理が行われてんですね。それが今でも見れるんですね。

要旨をまとめると、
・この辞任劇などによって政治全体への信頼が国民のなかで失われており、国民が政治に対して鈍感になっている。
・奈良時代には正倉院展をはじめ見事な文書管理が行われていたのに、今の政治は文書管理のずさんさが目に余る。

というものです。

しかしながら、
・菅原氏の辞任劇という事例ひとつを根拠に政治全体への信頼が失われていると主張するのは事実に即していない。
・国民が政治に対して鈍感になっているという主張に何ら根拠はなく、国民が政権運営を問題視しないことを鈍感と称することは政治的に公平とは言えない。
・正倉院展の存在ひとつを根拠に奈良時代の文書管理が現代より優れていると主張するのは明らかに事実に即していない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での藪中氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、谷口氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
谷口氏は今回の報道で、以下のように述べています。

谷口氏(抜粋):安倍内閣、第一次から数えると、辞職された大臣の方、10人超えるんですよね。で、その度に総理が、その任命責任って言葉を自分にあるっていう言葉を使われるんですけど、ものすごく軽い言葉だなと思うんですね。で、やっぱり国のトップの人が、任命責任ということ、責任って言葉を軽く使うということは、世の中皆が責任を軽く感じるんじゃない。(中略)そういう責任の取り方っていうものが大人がちゃんと示される責任の取り方っていうものを、子どもたちに模範となってるかって言われると、模範になってない気がするんですね。だからやっぱり、その言葉って軽かったらダメだと思いますし、言葉に対して責任を持っていただきたい。特に政治かの方は本当にそういうふうにしていただきたいなって思いますね。

要旨をまとめると、
・安倍内閣は第一次から数えると10人を超える大臣が辞任しているが、首相はそのたびに任命責任という言葉を軽く使う。
・国のトップが責任という言葉を軽く使うので、国民も責任を軽く感じている。また、このような責任の取り方は大人としてふさわしいものではなく、子どもたちの規範になっていない。
・言葉は軽くてはいけないので、首相をはじめ政治家は言葉に対して責任を持つべきだ。

というものです。

しかしながら、
・安倍内閣は第一次から8年もの長きにわたって政権を担っているため、辞任する大臣の人数が相対的に多くなる側面がある。また、任命責任という言葉を軽く用いているという主張は谷口氏の主観であり、事実に即しているとは言えない。
・総理大臣の責任という言葉の使い方が、国民の責任に対する考え方に影響を与えるわけではない。また大人としてふさわしいか、子どもたちの規範になるかどうかという主張は全て谷口氏の主観であり、事実とは何ら関係ない。
・菅原氏の辞任に対し、安倍首相が責任を取るべきだという立場に一方的に立つ主張は政治的に公平とは言えない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での谷口氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「菅原氏の辞任は安倍首相の任命責任なので、責任を取って辞めるべきだ」「安倍政権の慢心がまた明らかになった」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「安倍首相の進退が菅原氏の公職選挙法違反を解決するものではない」「この問題は菅原氏個人の問題であって政権にその原因はない」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の中編となります。中編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
② 菅原経産相辞任について報道された部分における
 検証3「青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている」

ならびに
③ 自衛隊のホルムズ海峡派遣について報道された部分
については、後編の報告をご覧ください。

① 「風を読む」にて即位礼正殿の儀について報道された部分
については前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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