2019年11月17日 サンデーモーニング(中編)

2019年11月17日 サンデーモーニング(中編)

サンデーモーニング、2019年11月17日分の検証報告(中編)です。

今回の報告では、
① 桜を見る会と長期政権の「驕り」について報道された部分
② 米国によるGSOMIA破棄撤回要求について報道された部分
③ 「風を読む」にて令和時代の天皇制について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

中編で検証するのは、
② 米国によるGSOMIA破棄撤回要求について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

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【VTR要約】
GSOMIAの執行機嫌が今月23日に迫っている。GSOMIAをめぐっては、米国防長官らが相次いで訪韓し、GSOMIA破棄撤回を要求した。これに対し韓国の鄭国防相は、「GSOMIAは必要としながらも日本側の歩み寄りが必要」との認識を示した。文在寅大統領も、「日本が輸出管理強化を撤回しない限りGSOMIA維持は難しい」との立場を崩さなかった。
一方、日本側も「引き続き韓国側に懸命な対応を強く求めていきたい(菅官房長官)」とこれまでの方針に変更はないとの立場を表明した。

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【コメンテーターの発言】
姜尚中氏(全文):僕は、韓国に行ったときはGSOMIAは延長した方がいいとは言ったんですね。ただ韓国側は、どうもこのGSOMIAに関するアメリカ側のプレッシャーと、それから在韓米軍の駐留経費を5倍要求してるわけです。日本円で5000億。で、日本には多分8000億まで。で、実はGSOMIAの必要だというアメリカ側の圧力と、お金を引き上げるということは実はトレードオフで、本来アメリカが一番考えてるのはお金じゃないかと。で、少なくともその国防総省と国務省はGSOMIAは大切だと言ってるかもしれないけれど、トランプさんはTwitterの中で何ひとつGSOMIAに触れてない。ということは、やっぱお金の問題で、だから韓国側はある程度お金を出して、これは解決できると。で、米韓関係は決して疎かにはされてないというメッセージを。で、アメリカ側は、韓国側がこれだけ出したんだからじゃあ日本も出せと、一挙両得なわけですよね。つまり・・・(関口氏「日韓関係は上手くいかないですよ」に対して)いかないというか、元々GSOMIAがある前は、日韓の間にまあある程度の協力はあったけれども、まあなんとか。それはアメリカを返して、日韓、日本と韓国がスポークになってるわけですから。だから、ハブとスポークの関係さえやっておけばいいと。スポークとスポークは関係ないとおいうのが韓国側の基本的な立場になるんでしょうよね。

高橋純子氏(全文):やはり、両国ともですね、日本も韓国も、GSOMIAが大事なんだという、役割を果たしているんだということでは一致しているわけですから、やはり文大統領にはぜひ破棄の決定の撤回を、私はしてほしいなというふうに言います。ただですね、そう見えるんですけれども、元々やっぱりこの問題の、もう辿って辿って起源を辿っていくとやはり、あんまりね、こういうとまたかと言われますけれどもやっぱり歴史問題があり過去の植民地支配という問題がやっぱり根っこにあるわけで、やっぱり安倍総理はすぐ未来志向という言葉をよく使われて、私これは大賛成です。未来志向で両国関係を前に進めていくということはとても大事だと思うんですが、それは植民地支配をした側が居丈高に居直る免罪符にその言葉をしちゃいけないというふうに思います。そのためにも、やはり両国はですね、これまでも、そういうギリギリの中でですね、協定とか法律とかそういうのとの外側で、いろんな協議をし、なんていうんですかね、うまく調和を取るようにやってきたわけですから、お互いが知恵を絞ってですね、この局面、打開に向けて懸命な外交をしてほしいなというふうに思います。

松原耕二氏(要約):防衛当局は維持を望んでいるが、最終的には文大統領がどう考えるかで決まると思う。心配なのは、GSOMIAを破棄すべきだという考え方が8月の世論調査よりも増えていること。最後はそこをどう見るかだと思う。

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以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。

1、姜氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、高橋氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

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1、姜氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
姜氏は今回の報道で、以下のように述べています。

姜氏(抜粋)実はGSOMIAの必要だというアメリカ側の圧力と、お金を引き上げるということは実はトレードオフで、本来アメリカが一番考えてるのはお金じゃないかと。で、少なくともその国防総省と国務省はGSOMIAは大切だと言ってるかもしれないけれど、トランプさんはTwitterの中で何ひとつGSOMIAに触れてない。ということは、やっぱお金の問題で、だから韓国側はある程度お金を出して、これは解決できると。で、米韓関係は決して疎かにはされてないというメッセージを。で、アメリカ側は、韓国側がこれだけ出したんだからじゃあ日本も出せと、一挙両得なわけですよね。

要旨をまとめると、
・国防総省と国務省はGSOMIAは大切だと言っているが、トランプ米大統領はTwitterでGSOMIAについて触れていない。よってこれをカネの問題で、韓国はある程度お金を出せばGSOMIAを破棄しても大丈夫だと考えている。
・韓国は駐留経費を出すことでGSOMIAを破棄しても米韓関係をおろそかにしていないというメッセージを出せると考えている。アメリカも日本に対して駐留経費の負担増を要求することができるので一挙両得である。

というものです。

しかしながら、
・トランプ米大統領がTwitterで言及しないことが、米国政府がGSOMIAより駐留経費の問題を重要だと考えている根拠にはならない。米国政府は繰り返し韓国政府にGSOMIA破棄撤回を要求しており、姜氏の主張は事実に即していない。
・韓国政府がGSOMIA破棄による米国の不満を駐留経費増額で払しょくできると考えているとする主張、ならびに米国が韓国との駐留経費交渉を根拠に日本にも負担増を迫るとする主張には根拠がない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、高橋氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
高橋氏は今回の報道で、以下のように述べています。

高橋氏(抜粋):やはり、両国ともですね、日本も韓国も、GSOMIAが大事なんだという、役割を果たしているんだということでは一致しているわけですから、やはり文大統領にはぜひ破棄の決定の撤回を、私はしてほしいなというふうに言います。ただですね、そう見えるんですけれども、元々やっぱりこの問題の、もう辿って辿って起源を辿っていくとやはり、あんまりね、こういうとまたかと言われますけれどもやっぱり歴史問題があり過去の植民地支配という問題がやっぱり根っこにあるわけで、やっぱり安倍総理はすぐ未来志向という言葉をよく使われて、私これは大賛成です。未来志向で両国関係を前に進めていくということはとても大事だと思うんですが、それは植民地支配をした側が居丈高に居直る免罪符にその言葉をしちゃいけないというふうに思います。そのためにも、やはり両国はですね、これまでも、そういうギリギリの中でですね、協定とか法律とかそういうのとの外側で、いろんな協議をし、なんていうんですかね、うまく調和を取るようにやってきたわけですから、お互いが知恵を絞ってですね、この局面、打開に向けて懸命な外交をしてほしいなというふうに思います。

要旨をまとめると、
・この問題の起源は歴史問題、日本による植民地支配にある。安倍政権は未来志向と言うがこれは植民地支配をした側が居丈高にふるまっていい免罪符にはならない。
・日韓両国は協定や法律の外側で協議し、調和を図ってきたので、賢明な外交を続けるべき。

というものです。

しかしながら、
・GSOMIA破棄は日本のホワイト国認定取り消しへの報復として行われたもので、歴史問題が起源だとする主張は事実に即していない。
・日本の韓国併合については日韓基本条約によって最終的かつ完全に解決されているため、植民地支配を根拠に日本の現代の外交について改めるべきとする主張は事実に反しており政治的に公平とは言えない。
・「日本が居丈高にふるまっている」「未来志向という言葉は免罪符ではない」といった主張は高橋氏の主観的な感想で全く事実に即しておらず、政治的な公平性を明らかに欠いている。
・国際的な協定や国際法より韓国との調和を優先すべきとする主張は政治的に公平とは言えない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での高橋氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「GSOMIA破棄に韓国を追い込んだのは日本なので日本は韓国との調和を目指すべき」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「日本が輸出管理強化を撤回することはあってはならない」「ボールは韓国側にある」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の中編となります。中編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
③ 「風を読む」にて令和時代の天皇制について報道された部分
については、後編の報告をご覧ください。

① 桜を見る会と長期政権の「驕り」について報道された部分
については、前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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