2020年5月17日 サンデーモーニング(後編)

2020年5月17日 サンデーモーニング(後編)

サンデーモーニング、2020年5月17日分の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
① 救急の現場における抗体検査ついて報道された部分
② 風を読む」にて新型コロナウイルスの出口戦略について報道された部分
③ コロナによる経済の影響と政府の支援について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、

③ コロナによる経済の影響と政府の支援について報道された部分
となります。では、放送内容を見ていきましょう。

新型コロナの経済への打撃が徐々に表面化する中、政府の支援策に疑問の声が上がっています。火曜日に発表されたトヨタ自動車の決算は、新型コロナによる販売の低迷により来年3月までの営業利益が8割近く減る見通しです。また、金曜日にはアパレル大手のレナウンが資金繰りに行き詰まり、民事再生法の適用を申請しました。居酒屋チェーン店でアルバイトをしていた男性は、「本社からはアルバイトを使うなと、実質的なクビ、非正規切りのような感じ」と述べるなど、新型コロナによる影響を受けた人への支援が届いていない現状が浮き彫りとなっています。
月曜日に行われた衆議院予算委員会では、企業が従業員に休業手当を支払えるよう支援する雇用調整助成金の支給状況について、加藤厚労相が6万1682件の計画届提出に対して、支給決定件数は4512件、支給金額は10億6千万円と報告しました。それに対し立憲民主党川内議員は、雇用調整助成金では8330億円の支給予定になっているが、10億円しか今支給されていない。と指摘しました。政府・与党は中小事業者への家賃補助や雇用調整助成金の一日当たりの上限額引き上げなどを盛り込んだ第2次補正予算の検討に入っています。今月8日、与党が安倍総理に提言した家賃の支援策は1つの事業者に対し国が家賃の3分の2を半年間助成するというものです。しかし、助成の上限は50万円で、複数の店舗を持つ事業者でも受け取ることができる金額は変わりません。11日、立憲民主党枝野氏は「業種によっては家賃の比率が高い業種もあります。これが今の制度で救われますか?社会状況、時代状況にあっていないと言わざるを得ない」と指摘しました。
支援策への疑問の声も上がる中、これまで医療の専門家を中心とした専門家会議に新たに経済の専門家らが加わりました。東京財団政策研究所の小林研究主幹は…「もし外出自粛と企業の休業が1年続いたとしたらGDPの経済成長率が5〜10%下がるだろう。経済危機が起きるとそのために経済困難に陥る人が累計で10万人規模で自殺してしまう。そのくらい大きな問題」と述べ、最悪のケースでは50兆円が失われる可能性もある、国民に毎月10万円を支給するなど大胆な補償を行うべきと主張しました。
直面する日本経済の危機にどのような経済対策が講じられるのでしょうか。

スタジオでは水野アナが各国の緊急経済対策の時期について比較し、各国はすでに複数回の対策を実施していることを解説しました。
また、世界全体の成長率がマイナス3%に落ち込むというIMF=国際通貨基金の予想や、損失のよって生きるために必要な食料すら手に入らない極度の貧困層が新たに3000万人以上増えるという国連の警告を伝えました。

【コメンテーター発言内容】
寺島氏(全文):IMFは世界経済が実質マイナス3.0%、今年なるだろうというんですけど、同じく日本については、マイナス5.2%に落ち込むだろうという予測なんですね。今、一連の流れを見ていると国民が窮状しているから、補助金、助成金を出せと、急げという議論のほうに傾斜しがちなんですね。だけどまっとうな政策だったら財源はどうするんですかと。ですから実はコロナなんかが来る前に世界のエコノミストの間では日本モデルという言葉なんですけど、日本は大変な財政出動をしてきて赤字国債たれ流してきて借金がGDPの2倍以上あるという異様な国になっているんです。そこへもってきてね、また赤字国債を出して 国民の窮状を救え、そこまでは分かる、その赤字国債を誰が買うの、日銀が青天井で買うと言っているんです。 だけどこれって、結局、後代負担になってきてわれわれの孫・子の世代までのしかかりますよと。今議論しなきゃいけないのは日本人がどういう産業で今後、飯を食っていくのか、どういう産業を育てるんだと、そういうことについて原点に帰って、食糧と農業の問題も含めてしっかり体制作らなきゃいけないんですよ。ただ助成金、補助金をまけという方向に与野党ともに議論がいってるということは、日本の貧困そのものですね。

関口氏(全文):アイデアがないんですね。 要するに緊急でもってお金を使うことは仕方がないと、だけど、その後の日本の経済をどうするかというところ知恵が出てきていないと?

寺島氏(全文):これは、われわれ自身も含めて本気で日本の未来を切り開いていかなきゃいけないんですよ。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、寺島氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

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1、寺島氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
寺島氏は今回の報道で、以下のように述べています。

寺島氏(抜粋):IMFは世界経済が実質マイナス3.0%、今年なるだろうというんですけど、同じく日本については、マイナス5.2%に落ち込むだろうという予測なんですね。今、一連の流れを見ていると国民が窮状しているったから、補助金、助成金を出せと、急げという議論のほうに傾斜しがちなんですね。だけどまっとうな政策だったら財源はどうするんですかと。ですから実はコロナなんかが来る前に世界のエコノミストの間では日本モデルという言葉なんですけど、日本は大変な財政出動をしてきて赤字国債たれ流してきて借金がGDPの2倍以上あるという異様な国になっているんです。そこへもってきてね、また赤字国債を出して 国民の窮状を救え、そこまでは分かる、その赤字国債を誰が買うの、日銀が青天井で買うと言っているんです。 だけどこれって、結局、後代負担になってきてわれわれの孫・子の世代までのしかかりますよと。今議論しなきゃいけないのは日本人がどういう産業で今後、飯を食っていくのか、どういう産業を育てるんだと、そういうことについて原点に帰って、食糧と農業の問題も含めてしっかり体制作らなきゃいけないんですよ。ただ助成金、補助金をまけという方向に与野党ともに議論がいってるということは、日本の貧困そのものですね。

要旨をまとめると、
・コロナ関連で拠出される補助金や助成金の財源はどうするのか。
・日本は財政出動をして赤字国債を垂れ流しているので、借金がGDPの2倍以上あり異様だ。
・この赤字国債を日銀は際限なく買い続けるが、この国債は後の世代の負担になってしまう。
というものです。
しかしながら、
・日本政府は世界的に巨額の政府資産を保持しており、金融資産額も高い。その為、「借金が多く財政状況がひっ迫している」という寺島氏の主張は事実に反する恐れはある。
・国債の保有者のうち、半分は政府の子会社である日本銀行で残りは民間銀行であり、銀行は国民が預けたお金を政府(日銀)にまた貸しする形で国債を買っている為、実質的な債権者は国民である。その為、「国債が後の世代の負担になってしまう」という寺島氏の主張は事実に反する恐れがある。
など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での寺島氏の発言は事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「日本の財政上状況は悪化の一途である」「国債をむやみに発行すべきではない」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「国の財政状況は負債と資産のバランス上で考えるべきである」「減税と積極財政によりまずは経済を立て直すべきである」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

① 救急の現場における抗体検査ついて報道された部分
については前編の報告を、

② 「風を読む」にて新型コロナウイルスの出口戦略について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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