2020年5月24日 サンデーモーニング(前編)

2020年5月24日 サンデーモーニング(前編)

TBS「サンデーモーニング」、2020年5月24日放送回の検証報告(前編)です。

今回の報告では、
① 緊急事態宣言の解除について報道された部分
② 検察官の定年延長問題について報道された部分
③ 新型コロナワクチンの開発について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

前編で検証するのは、
①緊急事態宣言の解除について報道された部分
では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
日本国内の新型コロナ感染者増加のペースは鈍化していて1週間前から251人が増え、1万7244人となっています。緊急事態宣言が解除され初めての週末を迎えた大阪の繁華街は多くの人で賑わいました。 政府が解除の目安の一つとする、直近1週間の10万人あたりの新たな感染者数、0.5人以下を達成した関西3府県では、感染防止に注意しながら日常を取り戻そうとしています。
一方、緊急事態宣言が出されたままの東京で昨日、デパートの生活必需品の売り場が再開され、開店と同時に多くの客が詰めかけました。残された関東1都3県と北海道の緊急事態宣言の解除について安倍総理は「25日にも専門家の皆様に状況を評価していただき、今の状況が継続されれば解除も可能となるのではないかと」明日にも解除する可能性があるとの考えを示しました。
一方、東京都の小池知事も「第二波が生じてきたというときにはやはりみんな身構えなければなりません」と解除を歓迎したうえで警戒感を示しました。
海外では制限を緩和したあとに感染が増えるという事態も起きています。すべての州で経済活動を部分的に再開したアメリカでは今も連日、感染者が2万人以上増加しています。感染者数が収まっていたドイツでも緩和から僅か数日で、実効再生産数が1を超え、感染が再び拡大しました。
感染防止と経済活動をいかにして両立すべきか、緊急事態宣言の解除を進める日本ですが、足元の経済は待ったなしの状況に陥っています。
水曜日、半世紀にわたって親しまれてきた老舗の料理店、東京美々卯が関東6店舗を閉店することになりました。突然、解雇を告げられた従業員は「社員と家族のことを考えたらちゃんとした説明がほしい」とし、一部の従業員が解雇の撤回を求めました。

厚生労働省によると新型コロナの影響で、解雇や雇い止めに遭った人は21日時点で1万835人。また、倒産件数も急増していて帝国データバンクの調べでは今年1月から4月は2800件を突破しており、年末には倒産が1万件を超えるという見通しを明らかにしています。中でも観光業は深刻で、東京下町にある旅館「澤の屋」では、1年先まで予約が埋まっていましたが、3月から宿泊のキャンセルが相次ぎ、4月の宿泊客はゼロとなっています。

深刻な状況が続く日本経済。東京など首都圏の1都3県は、緊急事態宣言が25日に解除された場合、段階的に休業要請の緩和を行う方針です。また、北海道も解除された場合には休業要請を一部解除します。

【コメンテーター発言内容】
関口氏(要約):減ってきたということは岡田さん、緊急事態宣言は25日に解かれますか?

岡田氏(全文):解かれると思います。ただ、強い自粛が終わった直後で気温も上がってきましたから減るのは当たり前かなと。ただ、世界に目を向けますと1週間で65万人増えて523万人超えですか。流行の中心は南米・ブラジルですごい数が増えてますね。あちらは秋、冬でございますので、このウイルスが今度は11月以降、北半球にかえってくる可能性がある。ですから日本で流行の見えない夏こそ、検査だとか、病院だとか、 薬の備蓄だとかやらなきゃいけないと。日本の新型コロナウイルスの正念場はこの夏なのかなと思っております。一時小休止で、これからですよということだと思います。

(水野アナが、東京都休業要請解除ロードマップについて説明しました。)

横江氏(全文):自粛はまず、すごく効きましたよね。人に会わないということは効いたんだなと思います。実際、私の近所って救急車が鳴りっぱなしだったんですけど最近は一日3件まで減っています。来週になると、連休明けにちょっと外に出てきた人たちの結果が出てきますよね。その結果でこれから普通の日常をどうしていくかということにも解除すると同時に、どうやって生活をしていかなきゃいけないかということになると思うんですけれども、やっぱりせっかく自粛で築き上げたというか減らしたところをキープできるようなね、新しい日常というのが本当に必要になってくると思います。

関口氏(全文):岡田さんに伺いたいんだけど、日本で数が減ってきていますね。ということは日本の中のウイルスの力が、この時期、弱まってると考えるんですか?

岡田氏(全文):高温多湿と紫外線が嫌いなウイルスなので感染力は弱まっていると思うんですね。ただ、室内では皆さんが密集した部屋でエアコンかけていたら、やはりクラスターが出やすいと思うんです。ですから東京都がステップアップをしながら1個1個解除していくと。明日、解除されても、皆さんがワーっと外へ出て密集してしまうとクラスターが出てしまいますので一歩一歩なのかなと。あと、注意したいのは、夏場であっても南半球ではやってますから、飛行機に乗って検疫通って輸入で入ってくるとまたそこで出てくる可能性もありますし。ただ、一番の正念場は秋冬なので国民の命を守るっていったら、政府は薬や医療を秋、冬に向けて今こそやっていただきたいと思っております。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。

1、岡田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、横江氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

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1、岡田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
岡田氏は今回の報道で、以下のように述べています。

関口氏(要約):減ってきたということは岡田さん、緊急事態宣言は25日に解かれますか?

岡田氏(全文):解かれると思います。ただ、強い自粛が終わった直後で気温も上がってきましたから減るのは当たり前かなと。ただ、世界に目を向けますと1週間で65万人増えて523万人超えですか。流行の中心は南米・ブラジルですごい数が増えてますね。あちらは秋、冬でございますので、このウイルスが今度は11月以降、北半球にかえってくる可能性がある。ですから日本で流行の見えない夏こそ、検査だとか、病院だとか、 薬の備蓄だとかやらなきゃいけないと。日本の新型コロナウイルスの正念場はこの夏なのかなと思っております。一時小休止で、これからですよということだと思います。

要旨をまとめると、
・緊急事態宣言は解かれると思う。
・南半球は今冬場で、感染者数がものすごく増えている。南半球で流行したウイルスが北半球に冬になると日本に持ち込まれコロナは再び流行する。
というものです。

しかしながら、
・南半球に位置するオーストリアでは、コロナウイルスの感染は減少傾向にあり、一概に現在冬である南半球では感染者数が増えるとは言い難い。その為、「南半球で感染者数が増える」という岡田氏の主張は明らかに事実に反している。
・また、比較的乾燥している2~3月にコロナウイルスが日本では感染を抑え込んでいる。その為、冬場であるから感染者数が増えるとは言い難い。
・その為、「南半球で流行したウイルスが北半球に冬になると持ち込まれ再び拡大する」という岡田氏の主張は根拠の妥当性が低く、事実に反するおそれがある。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での岡田氏の発言は事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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2、横江氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
横江氏は今回の報道で、以下のように述べています。

横江氏(抜粋):自粛はまず、すごく効きましたよね。人に会わないということは効いたんだなと思います。実際、私の近所って救急車が鳴りっぱなしだったんですけど最近は一日3件まで減っています。来週になると、連休明けにちょっと外に出てきた人たちの結果が出てきますよね。その結果でこれから普通の日常をどうしていくかということにも解除すると同時に、どうやって生活をしていかなきゃいけないかということになると思うんですけれども、やっぱりせっかく自粛で築き上げたというか減らしたところをキープできるようなね、新しい日常というのが本当に必要になってくると思います。

要旨をまとめると、
・自粛はすごく効いた。実際私の近所は救急車が鳴りっぱなしだったが、最近は1日3件まで減っている。
・コロナの感染者が少ない状態を維持する新しい日常を送らなければならない。

というものです。

しかしながら、
・「近所の救急のサイレンが減った」という横田自身の主観的な経験をもとに「自粛要請がコロナの感染拡大に効いた」と主張することは、根拠の妥当性に乏しく事実に反する恐れがある。
・また、「感染のピークが緊急事態宣言を出された時期と重なり、コロナの一連の対応において緊急事態宣言や自粛要請には意味がなかったのではないか」というも指摘も存在するのに関わらず、それらの論点を提示しないことは政治的公平に反する恐れがある。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での横江氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「感染防止の為に自粛はまだ続けるべきである」「コロナの感染は完全に抑え続けなければならない」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「感染拡大を完全に防止することは不可能なことなのだから、医療崩壊が発生しない程度の感染は容認し、経済活動を再開すべきである」「休業要請の緩和条件を引き下げるべきである」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の前編となります。前編では、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
②検察官の定年延長問題について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

③ 新型コロナワクチンの開発について報道された部分
については後編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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