サンデーモーニング、2020年5月24日分の検証報告(後編)です。
今回の報告では、
① 緊急事態宣言の解除について報道された部分
② 検察官の定年延長問題について報道された部分
③ 新型コロナワクチンの開発について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。
検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。
今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。
後編で検証するのは、
②検察官の定年延長問題について報道された部分における
検証4「涌井氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている」
ならびに、
③ 新型コロナワクチンの開発 について報道された部分
となります。
では、さっそく②の検証3をみてみましょう。
4、涌井氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
涌井氏は今回の報道で、以下のように述べています。
涌井氏(抜粋):私は2つあると思うんですね。1つはなぜ改正案を見送ったのかというのをずっと時系列で追いかけていくと4月7日に緊急事態宣言を発出して、それで文春は5月1日と5月13日のマージャンの取材をしているわけですね。5月17日に本人にインタビューをしている。それは必ず官邸に伝わったんじゃないかという気がするんですね。だから5月18日にこの問題、大きくなるなということで国会成立の見送りを示したんじゃないかなと、そういう読みが、うがった見方かもしれませんができてしまうというのはちょっと残念だなと。もっと問題があるのは、1人、黒川さんの問題に限らないと思うんですね。なんとなれば、特別法である検察庁法と国家公務員法がなぜひもづけられているのかと考えていくと、何とそこには一方では国家公務員法の枠組みの中だ今回の懲戒処分の件もそうですけれども、そういうことを言いながら一方では特別法であるから人事院を関係なしに、要するに内閣が検事総長、次長、検事長その他について定年の延長の裁量を持つんだという話になってくると、一体どういうことなのかなと。 明らかに時の政権が検察幹部を左右できることになりますし検察官というのは犯罪を起訴する権限とそういうものを独占しているわけですね。それからさらにいえば、起訴、不起訴の裁量権も持っているという。準司法官であるという観点からいうと非常に矛盾をきたしてくるのではと見ています。
要旨をまとめると、
・国家公務員法と検察庁法を結び付けて、内閣が検事総長や検事長の定年の延長の最長を持つとなると、時の政権が検察幹部を左右できるようになってしまう。
・検察官は準司法的な位置づけだから、内閣が検察に対して介入することはあるまじき行為だ。
というものです。
しかしながら、
・そもそも検察は行政組織であり、検事総長の任命権は内閣にある。
・その為、「時の政権が準司法的な検察の人事に介入するのはあるまじき行為である」という涌井氏の主張は事実に明らかに反し政治的に公平ではない。
など、発言内容とは異なる事実が存在します。
以上のことから、今回の報道での涌井氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。
続いて、
③ 新型コロナワクチンの開発について報道された部分
となります。では、放送内容を見ていきましょう。
各国が挑む新型コロナワクチンの開発、WHOによると現在124のワクチン開発が進んでいて、そのうち10種類ではヒトへの臨床試験を開始しています。
18日、米・モデルナ社が初期の臨床試験で有効性を示す結果を確認し、7月には1000人規模の臨床試験を行い秋にも実用化を目指すとしました。
21日、英・アストラゼネカ社は臨床試験の結果はまだ出ていないものの、9月にはワクチンの供給を始める予定だと発表しました。
ワクチンとは、病原体に感染したあとに服用する治療薬とは異なり、感染前に予防接種するものです。毒性を弱めた、または毒性をなくした病原体を体に入れて抗体を作ることで、外から侵入しようとする病原体を攻撃する仕組みができます。この免疫という仕組みを利用し感染症にかかりにくくしたり、重症化を防いだりします。
ワクチンの原型は18世紀のイギリスの医学者・ジェンナーが考案しました。乳しぼりの女性たちが牛痘という病気にはなっても天然痘にはかからないことを発見し、牛痘の液体の一部を接種したのが始まりです。
感染が広がりながらも、コロナウイルスの一種であるSARSやMERSもワクチンの完成には至りませんでした。
その理由について、京都大学ウィルス再生医科学研究所・宮沢准教授は「(SARSやMERSでは)ワクチンは試作品を含めてたくさんできたが、動物実験で逆効果だったという結果も出た。ウィルスが感染しやすくなるという現象 ADE=抗体依存性感染増強が見られてしまった。」としました。本来、ウイルスから体を守るはずの抗体が十分な働きをせず、免疫細胞などへの感染を促進。体内でウイルスが増えるなどして重症化を引き起こしてしまうというのです。
宮沢氏は、こうした重い副作用が新型コロナのワクチン開発においても一部の人に起きるおそれを否定できないといいます。
日本では現在、大学、研究機関や民間企業などがワクチン開発を進めています。大阪大学とバイオベンチャー、アンジェスは現在動物実験の段階ですが、7月にもヒトへの臨床試験を始める予定で、来年春にも実用化を目指しているといいます。開発中のワクチンの特徴について大阪大学大学院・森下氏は「遺伝子を使った新しいタイプのワクチン、ウィルスそのものは使わないので副作用は少ないだろう」としました。
従来の病原体を生かしたまま毒性を弱める生ワクチンや化学物質などで毒性をなくす不活化ワクチンに対し、ウイルスのDNA、もしくはRNAの一部をワクチンとして体内に送り込みます。
森下氏は今後、海外でワクチンが開発されたとしても輸入できる保証がないことを危惧し、国内での生産体制を整えることが重要だと強調します。秋に来るとも言われる第2波、第3波に備えるためにもワクチンのいち早い実用化が待たれます。
スタジオでは水野アナが、ワクチンの臨床試験について3相に分かれていることや世界の開発状況について説明しました。
【コメンテーター発言内容】
岡田氏(全文):このコロナウイルスというのはちょっと厄介なウイルスでございまして、例えばコロナの患者さんでかかったあとに、なかなか抗体価が上がってこないということをWHOも言っております。それから抗体がちゃんと上がっている時期なのに、なぜかウイルスが再燃する、つまり抗体免疫がウイルスを排除できないんじゃないかということもあって、アブノーマルな免疫挙動するウイルスなんですね。ワクチンっていうものは打ちますと、さまざまな抗体が私たちの体の中にできてくるんですけれども、いい抗体だったら、感染を阻止したり、重症化を阻止したりしてくれるんですけど悪い抗体ですと、逆に抗体依存性感染といいましたけど、かえって体の中でウイルスが一挙に増殖して、サイトカインストームを起こしたりして非常に重症化してしまうという悪い抗体もできるんです。ですからワクチン株とかというのは、あまたすぐできるんですけれども、一番大事なことは、まず有効性、本当に感染防御できるの? それから安全性、本当に打って悪いこと起こさないの? ということが大事なことになるんですね。SARSの場合は動物実験の段階で、抗体免疫増強反応が起きて、打った動物が死んだんです。それで暗礁に乗り上げて、それ以上は進みませんでした。ですから今回も、1相試験、2相試験、3相試験とございます。そうすると、ワクチンが3相試験以降、日本だと世間に出てくるんですけれども、私は、ワクチンの事故って数万人、数十万人に1例とか出てくるわけなので、3相では拾えない可能性があります。ですから第4相試験を課して、広く打ったあとにも安全性の検証をしていくことが国民のためになるんじゃないかなと思っております。 ですから十分な有効性と安全性を担保する、それには時間がかかりますから、国民を救うためにはまずアビガンだとかイベルメクチンだとか、それからナハモスタットだとか、さまざまな国産のお薬がございます、それを政府はちゃんと国民のために用意をしてくれと思っております。
関口氏(全文):とりあえずは、まず治療薬を増やしたほうがいいと。
岡田氏(全文):そうです、ワクチンも頑張ってもらうんですけど、それがいいかなと思います。
以上が放送内容となります。
では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の点です。
1、岡田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
1、岡田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
岡田氏は今回の報道で、以下のように述べています。
岡田氏(抜粋):このコロナウイルスというのはちょっと厄介なウイルスでございまして、例えばコロナの患者さんでかかったあとに、なかなか抗体価が上がってこないということをWHOも言っております。それから抗体がちゃんと上がっている時期なのに、なぜかウイルスが再燃する、つまり抗体免疫がウイルスを排除できないんじゃないかということもあって、アブノーマルな免疫挙動するウイルスなんですね。ワクチンっていうものは打ちますと、さまざまな抗体が私たちの体の中にできてくるんですけれども、いい抗体だったら、感染を阻止したり、重症化を阻止したりしてくれるんですけど悪い抗体ですと、逆に抗体依存性感染といいましたけど、かえって体の中でウイルスが一挙に増殖して、サイトカインストームを起こしたりして非常に重症化してしまうという悪い抗体もできるんです。ですからワクチン株とかというのは、あまたすぐできるんですけれども、一番大事なことは、まず有効性、本当に感染防御できるの? それから安全性、本当に打って悪いこと起こさないの? ということが大事なことになるんですね。SARSの場合は動物実験の段階で、抗体免疫増強反応が起きて、打った動物が死んだんです。それで暗礁に乗り上げて、それ以上は進みませんでした。ですから今回も、1相試験、2相試験、3相試験とございます。そうすると、ワクチンが3相試験以降、日本だと世間に出てくるんですけれども、私は、ワクチンの事故って数万人、数十万人に1例とか出てくるわけなので、3相では拾えない可能性があります。ですから第4相試験を課して、広く打ったあとにも安全性の検証をしていくことが国民のためになるんじゃないかなと思っております。 ですから十分な有効性と安全性を担保する、それには時間がかかりますから、国民を救うためにはまずアビガンだとかイベルメクチンだとか、それからナハモスタットだとか、さまざまな国産のお薬がございます、それを政府はちゃんと国民のために用意をしてくれと思っております。
関口氏(全文):とりあえずは、まず治療薬を増やしたほうがいいと。
岡田氏(全文):そうです、ワクチンも頑張ってもらうんですけど、それがいいかなと思います。
要旨をまとめると、
・ワクチン開発には安全性や有効性を担保するために時間がかかってしまう。
・その為、まずはアビガンなどの国産の治療薬を増やすべきである。
というものです。
しかしながら、
・アビガンはそもそもインフルエンザ用の薬である。
・また、アビガンはいまだにコロナウイルスの治療役としては有効性や安全性が確立されていないのが現状であり、日本国内でもアビガンなどは承認されておらず、その代わりレムデシビルが治療薬として承認されている。
・その為、「アビガンを増やすべきである」という岡田氏の主張は事実に明らかに反している。
など、発言内容とは異なる事実が存在します。
以上のことから、今回の報道での岡田氏の発言は事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。
———————————————————————————————————————-
以上が報告の後編となります。後編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。
① 緊急事態宣言の解除について報道された部分
については前編の報告を、
② 検察官の定年延長問題について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。
公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。