2019年5月26日 サンデーモーニング(前編)

2019年5月26日 サンデーモーニング(前編)

サンデーモーニング、2019年5月26日分の検証報告(前編)です。

今回の報告では、
① 議員の暴言と衆参同日選挙について報道された部分
② 「風を読む」でトランプ米大統領の来日について報道された部分
③ 徴用工問題について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

前編で検証するのは、
① 議員の暴言と衆参同日選挙について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
①問題発言をめぐる動き
 戦争発言で厳しい批判を浴びている丸山穂高議員が、滞在先の国後島で暴言以外にも問題行動を起こしていたことが明らかになったと伝えられる。宿泊施設で卑猥な言葉を繰り返し、夜間の外出を試みて政府関係者に止められたことが分かったとアナウンス説明。訪問団のメンバー高田喜博氏のインタビュー映像に切り替わり、「自分は国会議員で不逮捕特権があるから大丈夫だ」と話す映像が流される。議院運営委員会は事情を聞こうとしたが、体調不良を理由に理事会を欠席したとアナウンス。
 日本維新の会・松井代表の姿が映し出され、「全くかばう余地なしの発言」と述べる映像が流される。参議院選挙に立候補予定の長谷川豊氏が、被差別部落への差別を助長する発言を行い謝罪したと伝えられ、「維新の会は当面長谷川氏の後任を停止し、立候補させるかを判断することを決めている」とナレーション。

②衆参ダブル選挙をめぐる動き
 自民党・森山国対委員長が、来月党首討論を開催する見通しを明らかにしたと伝えられ、立憲民主党・辻元国対委員長が「何か下心があるのかしらと思いますよね」と話す映像が流される。過去には党首討論をきっかけに衆院解散に踏み切った経緯があるとナレーションでの説明後、解散の大義について記者から聞かれた二階幹事長が「大義は一日あったら作れますよ」と発言する映像が流される。その後、二階氏は小泉元総理らとの会合に出席したと伝えられる。小泉元首相が記者の質問に答える映像に切り替わり、「憲法問題を選挙の争点にしちゃいかん。それはみんな一致」と答える映像が流される。
月例経済報告が発表されたとナレーション。景気回復の判断は維持されたものの一部下方修正されたと伝えられる。
「景気の悪化も囁かれるなか、安倍総理はどのような判断を下すのか。衆参ダブル選挙の憶測は広がったままです。」という言葉を最後にVTRは終了した。

【アナウンサーによるパネル説明】
今後の国会の日程についてパネル説明
・6月19日には党首討論が予定され、その一週間後には国会の会期末を迎える
・会期が延長されなければ、参院選の投開票は7月21日になる見通し
・野党は、党首討論によって解散の機運が一気に高まると警戒している
・衆議院を解散した場合、参院選が衆参同日選になる可能性がある

——-
【コメンテーターの発言】
岡本行夫氏(要約):結果としては衆参同日選にならないと思うが、年初から布石はあった気がする。年初に総理は二十何回も「挑戦」という言葉を使っている。挑戦とは、憲法改正のことではないか。ハプニング解散があった後はずっと自民が圧勝していること等、ダブル選を行う論拠は結構ある。野党が共闘できていない現状を考えると、狙い目としてはあるかもしれないが、私はNOという方に賭けたい。

谷口真由美氏(要約):人権は教育でしか学べない。政治家は人権教育をちゃんと受けてきたのかなと思わざるを得ない。捏造した歴史や作り話の歴史に基づき、偏見や差別を煽ることによって、票を獲得しようとしていたのであれば、偏見や差別を煽ることで政治家になろうとしてる人が出てくること自体が怖い。政治家の資質を問われる候補者があまりにも多いのであれば、政党自体がそういう思想を持っているとも思える。偏見や差別を煽る人を(選挙で)通してはだめ。

寺島実郎氏(全文):なんて言いますか、政局のための選挙に付き合わされることに対する怒りを国民がしっかり持たなきゃいけないと思いますね。これ、総理の専権事項だなんて言ってるけど、要するにですね、大義なき選挙っていうやつに散々付き合わされてきてるわけですよ。いろんな意味でね。で、そこで、見るならばね、予測してる場合じゃなくて、日本の経済っていうことを考えればね、事態は極めて深刻で。IMFが昨日か一昨日発表してきたやつによるとですね、今年の世界全体のGDPがね、今、3.3%成長なんて言ってたやつを3.0前後になるんじゃないかってとこまで来てるわけですよね。で、それぐらい世界経済の減速、変調が起こってる。日本経済についてもですね。で、他人事のように、景気のことを語りがちだけど、実は、日本自身がね、ジャパンリスクっていう言葉が盛んに言われるようにですね、例えば日本の金融機関。これほどまでにマイナス金利にしてジャブジャブにしちゃってるもんだからですね、ものすごくリスクの高い債権に手を突っ込んでってる。それがね、逆に世界経済の不安を駆り立てる要素になるんじゃないかっていうことが言われ始めてるわけですよ。ですから、日本のリーダーとか政治に関わる人達が今、議論しなきゃいけないのは、日本という国と世界との関わりにおいてですね、どうしていかなきゃいけないのかってことを真剣に議論しなきゃいけないと思うんですね。目先の政局感に引っ張られてね、選挙はあるだろうかなんて議論してる場合じゃないってのが、僕の言いたいことですね。

青木理氏(全文):先ほど谷口さんがおっしゃってた、長谷川豊さんの件もそうなんですけれど、丸山穂高さんの件もそうなんですね。それから、振り返ってみると、LGBTに生産性がないんだって言った、女性の今の自民党の議員なんですけど、もともとこれ、維新から出て政治家へデビューしてるんですね。やっぱりこれ、どうも、政党そのものにやっぱりこう、何か問題があるのではないかと。松井さんは弁解の余地がないとおっしゃってましたけれども、これだけ次々に。長谷川氏の発言については、ネット上でね、出てるんですよ。動画が。僕も拝見したんですけれど、ひどいですよ。もう。事実も全然違うし、完全な差別発言なんだけど、最初開き直ってたんですよ。しかしさすがに、謝って撤回をしたんですけれども、やっぱりそういうものを生み出してしまう党としての土壌っていものについて、やっぱり僕らは目を凝らして見なくちゃいけないんじゃないかと思いますよね。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。

1、寺島氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、寺島氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
寺島氏は今回の報道で、以下のように述べています。

寺島氏(抜粋):なんて言いますか、政局のための選挙に付き合わされることに対する怒りを国民がしっかり持たなきゃいけないと思いますね。これ、総理の専権事項だなんて言ってるけど、要するにですね、大義なき選挙っていうやつに散々付き合わされてきてるわけですよ。いろんな意味でね。で、そこで、見るならばね、予測してる場合じゃなくて、日本の経済っていうことを考えればね、事態は極めて深刻で。IMFが昨日か一昨日発表してきたやつによるとですね、今年の世界全体のGDPがね、今、3.3%成長なんて言ってたやつを3.0前後になるんじゃないかってとこまで来てるわけですよね。で、それぐらい世界経済の減速、変調が起こってる。日本経済についてもですね。で、他人事のように、景気のことを語りがちだけど、実は、日本自身がね、ジャパンリスクっていう言葉が盛んに言われるようにですね、例えば日本の金融機関。これほどまでにマイナス金利にしてジャブジャブにしちゃってるもんだからですね、ものすごくリスクの高い債権に手を突っ込んでってる。それがね、逆に世界経済の不安を駆り立てる要素になるんじゃないかっていうことが言われ始めてるわけですよ。ですから、日本のリーダーとか政治に関わる人達が今、議論しなきゃいけないのは、日本という国と世界との関わりにおいてですね、どうしていかなきゃいけないのかってことを真剣に議論しなきゃいけないと思うんですね。目先の政局感に引っ張られてね、選挙はあるだろうかなんて議論してる場合じゃないってのが、僕の言いたいことですね。

要旨をまとめると、
・衆議院の解散権は総理の専権事項だというが、政局のための選挙・大義なき選挙に付き合わされている
・日本経済は深刻な状況にある。なぜなら世界全体のGDPが0.3%下がっているし、マイナス金利政策によって日本の金融機関が危険な債権に手を出すジャパンリスクが世界で騒がれている

というものです。

しかしながら、
・衆議院の解散は憲法で決められた内閣の権利であり、選挙によって国民の信を問う行為に大義がないとする主張は政治的に偏った主張である
・世界全体のGDPの低下は日本経済が危機的状況だという主張の根拠にはならない。また、マイナス金利政策は世界中の先進各国で採用されており、日本だけがことさらジャパン・リスクを叫ばれているという指摘は事実に基づかない

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での寺島氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。

青木氏(抜粋):先ほど谷口さんがおっしゃってた、長谷川豊さんの件もそうなんですけれど、丸山穂高さんの件もそうなんですね。それから、振り返ってみると、LGBTに生産性がないんだって言った、女性の今の自民党の議員なんですけど、もともとこれ、維新から出て政治家へデビューしてるんですね。やっぱりこれ、どうも、政党そのものにやっぱりこう、何か問題があるのではないかと。松井さんは弁解の余地がないとおっしゃってましたけれども、これだけ次々に。長谷川氏の発言については、ネット上でね、出てるんですよ。動画が。僕も拝見したんですけれど、ひどいですよ。もう。事実も全然違うし、完全な差別発言なんだけど、最初開き直ってたんですよ。しかしさすがに、謝って撤回をしたんですけれども、やっぱりそういうものを生み出してしまう党としての土壌っていものについて、やっぱり僕らは目を凝らして見なくちゃいけないんじゃないかと思いますよね。

要旨をまとめると、
・長谷川豊氏や丸山穂高氏を見ると、やはり政党に問題があると思われる
・こうした発言の土壌となっている政党について目を凝らしてみるべきだ

というものです。

しかしながら、
・丸山氏や長谷川氏の発言は極端な例であり、極端な例を根拠に政党そのものが問題だとする主張をすることは明らかな詭弁である
・自民や維新の失言にのみこのような主張を行い、同様に所属議員が不祥事を起こしている立憲民主党などの野党について同様の主張を行わないことは明らかに政治的公平性を欠く

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「衆参ダブル選挙は自民党の党利党略によるものだ」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「衆議院の解散について内閣に決定権があるのは当然だ」「国民に信を問うのであれば問題ないのでは」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の前編となります。前編では、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
② 「風を読む」でトランプ米大統領の来日について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

③ 徴用工問題について報道された部分
については後編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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