2019年10月27日 サンデーモーニング(前編)

2019年10月27日 サンデーモーニング(前編)

TBS「サンデーモーニング」、2019年10月27日放送回の検証報告(前編)です。

今回の報告では、
① 「風を読む」にて即位礼正殿の儀について報道された部分
② 菅原経産相辞任について報道された部分
③ 自衛隊のホルムズ海峡派遣について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

前編で検証するのは、
① 「風を読む」にて即位礼正殿の儀について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

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【VTR要約】
天皇陛下が国の内外に即位を宣言される即位礼正殿の儀が行われ、世界191の国と機関などの代表およそ2000人が参列した。天皇陛下は、憲法に則り日本国及び日本国民統合の象徴としての務めを果たすとの誓いを改めて述べられた。この模様を韓国のYTNは生中継で伝え、現在憲法改正を強く求めている安倍政権と対照的であると報じた。
一方、儀式に参列した皇族の方々を見ると、改めて男性皇族の数の少なさが目に付く。現在皇位継承資格者は秋篠宮さま、常陸宮さま、悠仁さまの3人のみ。英ガーディアン紙は“今回の儀式で皇位継承の危機についても注目が集まった。日本の皇室典範は女性天皇を認めていないのが現状だ”と伝えた。

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【コメンテーターの発言】
藪中三十二氏(要約):式典が始まる前は雨がすごかったが、直前になるとさーっと光が差してきたのがすごく印象的だった。あれだけたくさんの国から来ていただき祝っていただいたのは良かったと思う。そういう意味で、天皇陛下のお言葉の中で国際社会の友好と平和を切に願うと言われたのは、これからの日本にとって本当に大事なところだと思う。象徴天皇としてのお姿は、本当に国民の中に定着したという感じがした。

姜尚中氏(要約):万世一系的なものと戦後憲法の中でつくられた象徴天皇制が、時には不協和音を奏でながらも日本国民の中に定着したと思う。昭和との違いは、国事行為を法的に定めればいいという考え方から踏み出して、震災時の慰問や戦争の跡の巡礼など国事行為に定めれていない俗人的な活動を平成天皇がするようになったこと。令和の時代では、俗人的でない形で象徴天皇制を持続させようという動きと、平成で行われた俗人的な活動を継承したいという動きがせめぎ合うようなイメージがある。

大宅映子氏(要約):小泉総理の時代に女性天皇・女系天皇の動きが盛り上がったが、悠仁さまのご誕生で論議を止めてしまっていた。これはすごく問題だと思う。日本企業も良い物を作れば売れるという従来の発想を変えず、この30年でダメになった。とりあえず目の前の不都合が過ぎてしまえば、ちゃんと論議をしないという体質を止めて、早く議論して行動するようにならないと日本は元気になれない。

谷口真由美氏(全文):あの、天皇が憲法に則りっていうお話をされてたので、憲法1条を改めて読み直すと、象徴天皇制というものは、主権の存する国民の総意に基づくって書いてあるんですね。で、今回天皇制そのものっていうことも議論にやっぱりならないっていうのも、ちょっとやっぱり主権者として天皇制をどう考えるかっていうことを皆さんが忘れてるんじゃないかなと思うんですね。人が象徴として生きるってどういうことなのか。そういうことを強いているってことはどういうことなのか。天皇及び皇族に基本的人権はあるのかとかそういう観点で議論も一度やっぱりちゃんとしなきゃいけないんじゃないかなというふうに考えます。

青木理氏(全文):今回の即位の礼って、ほとんど議論もなく前例踏襲にしちゃったんですね。しかしこれ、政教分離に関して大丈夫かっていう疑問が裁判所からもあったんだけど大丈夫か。それから、男系男児だけで存続できるのか。やっぱりね、天皇制の根本的な在り様とか、議論しなくちゃいけないことがたくさんあるのに、慶事でおめでとうございますでいいのかってあたりは、僕は強く今回思いましたね。

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以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。

1、谷口氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

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1、谷口氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
谷口氏は今回の報道で、以下のように述べています。

谷口氏(抜粋):あの、天皇が憲法に則りっていうお話をされてたので、憲法1条を改めて読み直すと、象徴天皇制というものは、主権の存する国民の総意に基づくって書いてあるんですね。で、今回天皇制そのものっていうことも議論にやっぱりならないっていうのも、ちょっとやっぱり主権者として天皇制をどう考えるかっていうことを皆さんが忘れてるんじゃないかなと思うんですね。人が象徴として生きるってどういうことなのか。そういうことを強いているってことはどういうことなのか。天皇及び皇族に基本的人権はあるのかとかそういう観点で議論も一度やっぱりちゃんとしなきゃいけないんじゃないかなというふうに考えます。

要旨をまとめると、
・日本国憲法によると象徴天皇制は国民の総意に基づくものだが、今回の儀式に際して天皇制そのものについて議論がなかった。これは天皇制をどう考えるかということが忘れられているからではないか。
・人が象徴として生きることを強要し、天皇や皇族に基本的人権がない状況について議論をすべきだ。

というものです。

しかしながら、
・上皇陛下の生前退位をはじめ今回の儀式以前から天皇制についての議論は存在しており、議論がなかったとする主張は事実に反している。
・「天皇制をどう考えるかが忘れられている」という主張には一切根拠はない。また、天皇制に否定的な世論がないことを「議論が忘れられている」と主張することは事実に即しておらず、また政治的に公平とは言えない。
・天皇や皇族の人権については複数の解釈が存在しており、強要されている、基本的人権が一切ない状況があるという主張は事実に即していない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での谷口氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。

青木氏(抜粋):今回の即位の礼って、ほとんど議論もなく前例踏襲にしちゃったんですね。しかしこれ、政教分離に関して大丈夫かっていう疑問が裁判所からもあったんだけど大丈夫か。それから、男系男児だけで存続できるのか。やっぱりね、天皇制の根本的な在り様とか、議論しなくちゃいけないことがたくさんあるのに、慶事でおめでとうございますでいいのかってあたりは、僕は強く今回思いましたね。

要旨をまとめると、
・今回の即位礼正殿の儀は前例踏襲で議論がなかったが、政教分離に違反していないかどうかという疑念が提起されている。
・男系男児だけで天皇制を存続できるのかという議論もあり、天皇制の根本的な在り方を議論しなければならない。にもかかわらず世論は祝福ムードで議論がない。

というものです。

しかしながら、
・即位礼正殿の儀や天皇制そのものが政教分離に反しているという違憲判決は存在しない。したがって「一部から疑問が提起されている」ことを根拠に前例踏襲は問題だとする主張は事実に即していない。
・皇室の正当性は「男系で継承されること」であり、男系以外の継承で誕生した天皇に正当性はない。したがって、男系継承以外での継承は天皇制を存続させるものではない。
・上皇陛下の生前退位をはじめ今回の儀式以前から天皇制についての議論は存在しており、議論がなかったとする主張は事実に反している。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「天皇制は人権や憲法の観点から問題がある」「天の威勢の在り方を変えるべきだ」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「天皇制は違憲でもなければ民意に反しているわけでもない」「日本の皇室は世界でも類を見ない貴重なものなので守っていくべき」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の前編となります。前編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
② 菅原経産相辞任について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

③ 自衛隊のホルムズ海峡派遣について報道された部分
については後編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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