2020年8月23日 サンデーモーニング(中編)

2020年8月23日 サンデーモーニング(中編)

TBS「サンデーモーニング」、2020年8月23日放送回の検証報告(中編)です。

今回の報告では、
① 新型コロナウイルスに関して大阪の問題について報道された部分
② 新型コロナウイルスに関してコロナと経済について報道された部分
③ アメリカ大統領選挙での民主党党大会について報道された部分

 以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

中編で検証するのは、
② 新型コロナウイルスに関してコロナと経済について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
月曜日、4月から6月までの実質GDPが年率換算でマイナス27.8%と過去最悪の落ち込みとなりました。リーマン・ショックを超える下落で、最大の要因は個人消費の落ち込みです。街の人は、洋服を買わなくなった、飲みにも行かなくなった、今年はボーナス出ないんじゃないかな
などと話しました。
こうした中、従業員の解雇が続いており、中には路上生活を余儀なくされる人もいます。反貧困ネットワークの瀬戸事務局長は路上生活の男性(27)の元へ向かいました。男性は派遣社員として工場などで働いていましたが、派遣切りに遭い勤務先の寮を出て路上生活に。所持金は300円でした。
瀬戸事務局長は「今回のコロナでみんな仕事が切られてネットカフェからも出されて寮からも出された。野宿している人では住民票がない。そういう人たちは給付金も受けられない。」と話し、本当に必要とする人たちに支援が届いていないと指摘します。

厚生労働省のまとめでは、新型コロナによる解雇や雇い止めは全国で4万7000人以上に上っています。一方、事業を営む人も苦境に立たされています。東京・品川で40年続くとんかつ店を経営する竹内さんは、自粛の影響で売り上げが半分に落ち込み、運転資金の相談に城南信用金庫を訪れました。信用金庫には地元の飲食店などから融資の申し込みが急増し、7月の申し込み金額は、前の年のおよそ9倍に上りました。城南信用金庫・川本理事長はリーマンショックの時と東日本大震災が一緒に来たような状況だと話します。また「新たに追加で債務を増やして商売を続けるかという、厳しい判断が迫られる時期が刻一刻と迫ってきている。」と中小企業にとってはこれから先が正念場だといいます。コロナ関連の倒産はこの半年で少なくとも450件。不況の出口は見えていません。

スタジオでの水野アナの説明
VTRでもありましたが、こちらは日本のGDPの推移を表したグラフです。17日に公表された今年の4月から6月の下落がマイナス27.8%と、リーマン・ショック時を超えて戦後最悪となりました。GDPが下落するとき、経済では何が起きているのか。リーマン・ショックの際は大手投資銀行の破綻をきっかけにアメリカの景気が悪化、ドル安となったことで輸出が大きく落ち込みました。一方、個人消費についてはそこまで落ち込みませんでした。倒産してしまった業種を見てみても不動産などの業種が大きく影響を受けたことから金融不況と言われました。一方、今回の新型コロナの流行では感染拡大防止のための規制で輸出は落ち込んでいますがそれに加えて自粛によって個人の消費が大きく落ち込んでいます。倒産してしまった業種も飲食などとなっていて、今回の新型コロナの流行は消費不況を招いてしまっているんです。今後の日本経済の見通しについて…第一生命経済研究所のエコノミストは「自粛解除によって次の四半期はプラス成長の見込みだが、コロナ規制が続く限り景気回復には時間がかかる。」もとどおりの生活になるまで3~4年かかると言われていてまだまだ経済危機は続きそうです。

【コメンテーター発言内容】
涌井氏(全文):まず今企業は模様見だったんですね、今まで。私が心配しているのは、今年の秋になると派遣切り、雇い止め、さらには早期希望退職を募ってくることが非常に激しくなってくると。そのときに弱者対策をどうやって政府がきちっとやるかというのが第一番。その次に、コロナ従属型の財政経済政策が今の現状なんですけれども、これをどうやってコロナをマネジメントする形の財政経済政策のほうに持っていくのかということが非常に問われているんじゃないかという気がします。

田中氏(全文):非常に心配なのは社会の治安の崩壊であるとか不安定化なんですね、その基本にあるのが涌井さんがおっしゃったような弱者の問題と思います。1つは、新しい仕事を発見していく作り出していくということがとても大事で、例えば地方で農業であるとか林業であるとか、そういうようなもの、今まであまり多くの人たちがしなかった仕事、これから食糧自給率という問題もありますのでとても大事な仕事になるはずなんです、そうやって地方に転換して、人口も分散していくことが必要になってくると思います。それからもう1つは、ベーシックインカムを本格的に検討してみたらどうかと思うんですね。特に増税しなくても、今までの生活保護費だとか雇用保険だとかいろいろなものを寄せ集めることによってある程度のものはできると計算されています。このようにまず弱者が何とか生活できるような社会というのを支えないと、企業も立ち直れないと思っています。ですからまず、そういうところから早急に手をつけるべきではないかと考えています。

浜田氏(全文):今、厚労省が集計で出している数字というのは、実際はハローワークとか労働局に相談に来ている件数なので実態はもっとこれよりも深刻だと言われています。例えば、学生さんがアルバイトを切られる数は恐らく入っていなくて、今の学生さんは奨学金を借りて生活費を全部アルバイトで賄っているという方なんかは退学を考えざるをえないという方も結構増えていると聞いています。それから本当にコロナによる業績悪化による解雇なのか、便乗による解雇というのはないのかという問題もあると思います。例えば去年から話題になっているのは黒字リストラという言葉があったんですけども産業構造の転換による40代以上の中高年に早期退職を促していたんですね。今後、この黒字リストラの延長で、さらにコロナの業績が重なったところに中高年がリストラされるというのが秋以降、加速されると言われています。その場合、これまでの延長線上の雇用政策とか生活支援ではもう立ち行かなくなっていて、実際にベーシックインカムなどはスペインやドイツイギリスではもうすでに実験が始まっています。これまでにない対策を考えていく必要があると思っています。

関口氏(要約):ベーシックインカムというのが出てきましたが、要するにお金を配っていくということですね。

浜田氏(全文):スペインやイギリスで今やられているのは一定の所得以下の貧困家庭と言われるところに決まった額を毎月現金を渡すというのがこれは実験として始まってます。

原田氏(要約):日本というのはGDPの半分以上が個人消費ですから消費マインドを戻し、需要を作り出していかないと生活が元に戻らない。特に今回、倒産が多い飲食やホテルは非日常消費の場所なんですね。コロナ対策してますよ だけでは人戻らないんです。 そうまでして行きたいという新たなトキメキというのを作らないと、消費が戻らない領域です。コロナ以前よりももっとハードルが高い状態になっているというのは考えたほうがいいかもしれませんね。

松原氏(全文):前向きなことを考えたほうがいいと思うんですけど、つまりそのために前から議論されている経済を回すための検査というのをそろそろ本気で取り組むべきじゃないか。 例えば、Jリーグが安心してスポーツができるのは、みんな選手が定期的にPCR検査をやっているから、接触スポーツができるわけですね。あれをどうやって社会に広げていくかがとても大事だと思います。最近、厚労省がようやくですが例えば、感染拡大地域の介護職員なんていう人には、無料でPCR検査を拡大しますよということをようやくなんですけど、始めるんですね、ようやくなんです。つまり、検査数がまだまだ全然足りないということですが、検査数が足りないのは保健所とか感染研が中心になっている行政検査を外さないと恐らく増えない。 あとは保険適用のときに1万8000円と決めたPCR検査の1回の値段も相当下がるそうなんですよ。この下げる努力もしなきゃいけない。そのためにはいろんな検討も必要だし、やっぱり法律の改正も必要なんです。そうすると、やはり国会を開いて与野党で前向きな議論を少しでもしないと、このまま感染防止してくださいね、だけの対策だと、恐らく秋冬にもし感染拡大すると本当にこれ、とんでもないことになるんじゃないかと心配ですよね。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、 田中氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、 松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
それぞれ順を追って解説します。

1、田中氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
田中氏は今回の報道で、以下のように述べています。

田中氏(抜粋):それからもう1つは、ベーシックインカムを本格的に検討してみたらどうかと思うんですね。特に増税しなくても、今までの生活保護費だとか雇用保険だとかいろいろなものを寄せ集めることによってある程度のものはできると計算されています。このようにまず弱者が何とか生活できるような社会というのを支えないと、企業も立ち直れないと思っています。ですからまず、そういうところから早急に手をつけるべきではないかと考えています。

要旨をまとめると、
・ベーシックインカムを本格的に検討してみたらいいのではないかと思う。
・ベーシックインカムには特に増税は必要なく、現在の生活保護費や雇用保険等を寄せ集めることである程度の物はできると計算されている。
・まず弱者が生活できる社会を支えないと企業も立ち直れないのではないか。
・そういう点から早急に手を付けるべきである。

というものです。

しかしながら、
・ベーシックインカムをとりまく問題の中で最も大きいものに財源の問題があり、一般的に大幅な増税を行わない限りベーシックインカムは導入できないとされている。
実際田中氏が主張している生活保護費と雇用保険を合算したとしてもベーシックインカム導入に必要とされている財源は到底賄うことができないのが現状である。にもかかわらずそのような状況に言及せず、また根拠を示さずに「増税の必要なくベーシックインカムの導入が可能である」と表現している同氏の発言は、事実に反する恐れがあり、政治的に公平ではない。

以上のことから、今回の報道での田中氏の発言は政治的に公平ではない恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、 松原氏の発言に政治的に公平でない恐れのある内容が含まれている。
松原氏(全文):前向きなことを考えたほうがいいと思うんですけど、つまりそのために前から議論されている経済を回すための検査というのをそろそろ本気で取り組むべきじゃないか。 例えば、Jリーグが安心してスポーツができるのは、みんな選手が定期的にPCR検査をやっているから、接触スポーツができるわけですね。あれをどうやって社会に広げていくかがとても大事だと思います。最近、厚労省がようやくですが例えば、感染拡大地域の介護職員なんていう人には、無料でPCR検査を拡大しますよということをようやくなんですけど、始めるんですね、ようやくなんです。つまり、検査数がまだまだ全然足りないということですが、検査数が足りないのは保健所とか感染研が中心になっている行政検査を外さないと恐らく増えない。 あとは保険適用のときに1万8000円と決めたPCR検査の1回の値段も相当下がるそうなんですよ。この下げる努力もしなきゃいけない。そのためにはいろんな検討も必要だし、やっぱり法律の改正も必要なんです。そうすると、やはり国会を開いて与野党で前向きな議論を少しでもしないと、このまま感染防止してくださいね、だけの対策だと、恐らく秋冬にもし感染拡大すると本当にこれ、とんでもないことになるんじゃないかと心配ですよね。

要旨をまとめると、
・経済を回すための検査を本気で取り組むべきではないか。
・例えばJリーグでは選手が定期的にPCR検査を受けているため安心して接触スポーツができており、これをどうやって社会に広げていくかが重要だ。
・最近厚労省がようやく感染拡大地域の介護職員などを対象とした無料PCR検査を拡大するらしい。
・検査数が全然足りていないが、保健所や感染研が中心になっている行政検査を外さない限り恐らく検査数は増えない
・また、保険適用後のPCR検査の1回の値段も相当下がるらしいが、これを下げる努力もしなければならない。
・そのためには様々な検討や法改正が必要であり、やはり国会を開いて与野党で前向きな議論を行う必要がある。
・このまま感染防止してくださいね、だけの対策だと、秋冬に感染拡大した場合とんでもないことになるのではないかと心配になる。

というものです。

しかしながら、
・この問題には、「PCR検査の不用意な拡大は偽陰性などを生じさせ、かえって医療崩壊・感染拡大を生みかねない」などといった意見が存在する。
にもかかわらずそのような意見があることに一切言及せず、PCR検査を拡大することによって経済活動を活発抜できるという主張を行う同氏の発言は、政治的に公平ではない。

以上のことから、今回の報道での松原氏の発言は政治的に公平ではない恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の中編となります。後編では政治的に公平でなかったり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの

③アメリカ大統領選挙での民主党党大会について報道された部分
については、後編の報告をご覧ください。

① 新型コロナウイルスに関して大阪の問題について報道された部分
については前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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