2020年7月9日 報道ステーション

2020年7月9日 報道ステーション

7月9日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。

・事実をねじ曲げた放送ではなかったか。

まずは放送内容をみていきます。
——-
【スタジオ】
富川悠太アナウンサー(以下富川アナ):去年中国当局に拘束された香港のイギリス領事館の元職員がANNの単独インタビューに答えまして当時、受けたとする拷問について語りました。

——-
【VTR】
在香港英国領事館元職員・サイモン・チェン氏(以下チェン氏)『“虎の子”と呼ばれるものに拘束されました。おなかの前の棒に手錠が固定されて動けませんでした。こんな感じです』

富川アナ:香港のイギリス領事館に勤めていたチェン氏は去年8月に中国本土を訪問したあと買春行為をしたとして拘束されました。公安当局は、チェン氏は犯罪事実を全て認めた。彼の合法的な権利は保障しているとしています。一方、チェン氏は拘束された際に香港の反政府デモに自分とイギリスがどう関わったか問いただされ顔面を平手打ちされるなどしたと主張しています。チェン氏は2週間後に釈放され先月、イギリスに亡命が認められました。

チェン氏『(施行された国家安全維持法は)一国二制度の死刑宣告です。香港のすべてを支配できる』

富川アナ:チェン氏は海外に亡命した民主派活動家と影の議会を創設し香港市民の意見を代弁したいという考えを示しました。

——-
【コメンテーターによる解説】
森川夕貴アナウンサー(以下森川アナ):こんな現状を知るたびに香港の一国二制度がガラガラと崩れ落ちているような感じがするんですけど今後、日本は中国とどう向き合っていけばいいんでしょうか。

朝日新聞国際報道部記者・梶原みずほ氏:日本は非常に難しい複雑なかじ取りを求められていると思います。目下の課題は延期になっている中国の習近平国家主席の国賓としての来日なんですけれどもこれをどうするかということなんですね。先日、自民党の外交部会と外交調査会が中止を要請せざるを得ないという決議を出して官邸に持っていったわけなんですが自民党の中では議論が非常に紛糾して最終的には文言をよりソフトなものにして修正したということなんですが、それほど日本の立場が微妙で難しいということなんです。日本が国賓として呼んだ場合安倍総理が習近平国家主席と直接向き合って国際社会の懸念を伝えることができる一方で、これは西側諸国から日本に対する反発やリスクも招きかねないということがあるんです。このバランスを見て非常に難しい判断が必要で今こそ、スマートな外交力が求められてると思いますね。

【検証部分】

香港の国家安全維持法に施行に伴う、日中関係に関する報道です。
日本としての立場、つまり自民党の外交部会で出された文言について言及されていました。

梶原氏は文言が「よりソフト」なものになったと述べていますが、そこで出された決議は中国に対して融和的なものとはいえません。

——————————————————————————————————
 自民党の外交部会と外交調査会は3日の役員会で、中国による香港への統制強化を目的とした香港国家安全維持法(国安法)が施行されたことを受け、習近平国家主席の国賓来日を中止するよう政府に求める非難決議案をまとめた。党として来週にも正式決定し、首相官邸に提出する方針。

 決議案は、国安法を適用した逮捕者が早くも相次いでいることなどに触れた上で「懸念していた事態が現実のものとなった現在、この状況を傍観することはできない」と中国側の対応を強く非難。習氏の国賓来日に関しては、5月にまとめた決議文の「再検討」から表現を強めた。

《香港安全法 自民部会が非難決議案 習氏国賓来日中止を要請》より抜粋
2020-07-04・産経新聞
——————————————————————————————————

このように中国に対する表現は一度強められています。
その後、習近平国家主席の国賓来日についての表現が弱められました。
しかし、それは二階派の意向にあります。この点についても放送では述べられていませんでした。

——————————————————————————————————
 自民党は7日の政調審議会で、外交部会と外交調査会がまとめた香港国家安全維持法(国安法)の施行をめぐる対中非難決議を了承した。中国の習近平国家主席の国賓来日に関し「中止を要請する」とした原案を改め「中止を要請せざるを得ない」との表明にとどめた。二階俊博幹事長らの慎重意見に配慮し、表現を後退させた。

 決議は中国が国安法の施行を強行し、大量の逮捕者が出ていることについて「傍観することはできない。改めて強く非難する」と明記した。ただ、習氏の国賓来日をめぐる表現は尻すぼみになった。

 外交部会などの役員会は当初、国賓来日について「中止を要請」と明記した決議案をまとめた。決議案を協議した6日の会合に出席した高鳥修一筆頭副幹事長はブログで、18人が国賓来日中止を求めたのに対し、中止の文言の撤回、修正を求めたのは5人だったと明らかにした。別の出席者によると、5人は二階派の議員だった。

《習氏国賓中止要請 後退 自民決議 幹部に配慮 表現変更》より抜粋
2020-07-08・産経新聞
——————————————————————————————————

この記事でも明らかなように外交部会の出席者のうち18人が中止を要請し、それに反対したのは二階派の議員5人だけだったとのことです。

自民党全体が中国に弱気であるとはいえないのです。
このような事実を伝えていない報道は下記の放送法に抵触する恐れがあります。

——————————————————————————————————
放送法4条
(3)報道は事実をまげないですること
——————————————————————————————————

視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して監視を続けてまいります。

報道ステーションカテゴリの最新記事