2020年8月11日 報道ステーション

2020年8月11日 報道ステーション

8月11日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。

・様々な論点を取り上げた放送であったか

まずは放送内容を見ていきます。
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【スタジオ】
富川悠太アナウンサー:昨日、香港の民主活動家シュウ・テイさんが逮捕されたというニュースを速報でお伝えしましたけどもそのシュウ・テイさんとともに活動してきた仲間は香港が最も切迫した状況を迎えていると危機感を募らせています。

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【VTR】
ナレーション(以下ナレ):普段の8倍の部数が刷られました。売店には、午前2時から買い求める人たちが並びます。

購入者『警察の行動は明らかに報道の自由を侵害しています。良心のある香港人なら「リンゴ日報」を買うべきです』

ナレ:55万部が完売しました。昨日の香港。午前中は中国共産党を批判してきたメディア界の大物が逮捕され…。

「リンゴ日報」創業者・黎智英氏『報道の自由への侵害は言うまでもない』

ナレ:夜には民主活動家のシュウ・テイさんが逮捕されました。2人とも香港国家安全維持法いわゆる国安法に違反した容疑です。

中国共産党の機関紙「人民日報」『周庭は日本にひざを屈した反中政治屋だ。外国勢力という黒い手を借りて香港の将来をコントロールしようと企んでいる』

ナレ:シュウ・テイさんはこれまで日本語も駆使しながら香港の惨状を訴えてきました。

民主活動家・周庭氏(以下周氏)『これからの香港をもっと公平な、もっと民主主義のある街にしたいから一生懸命デモに参加しました』

ナレ:ただ、国安法の施行後は活動や発言には慎重でした。デモ参加者の逮捕などが相次いでいたからです。

周氏『これからどういう結果が出るのかは分からないですが、もちろん収監という可能性もあります。そういう恐怖感に負けずに自分の信念、信じている自由と民主主義のために戦っていくことがとても大事なことだと思っています』

ナレ:昨日の一斉検挙により国安法による弾圧は今後、活動家やメディア関係者に更に強まっていくことが予想されます。シュウ・テイさんとともに民主化運動をしてきた仲間は…。

民主活動家・黄之鋒氏『保釈される見込みは極めて低いです。中国の秘密の裁判所や収容所に送られる可能性は高いです。いま香港は最も切迫した状況です。これが逮捕前の最後の動画にならないことを祈ります』

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【コメンテーターによる解説】
徳永有美アナウンサー:自由を求める若者それから人々の芽、萌芽みたいなものが根絶やしになっているように見えるんですけど太田さん、中国の思惑というのはどのようなところにありますか?

共同通信社編集委員・太田昌克氏:もちろん民主派に対する威嚇ですよね。それと同時に今回の逮捕劇は一歩も引かないんだという中国共産党のアメリカと国際社会へのシグナルと考えていいと思うんですね。私は米中対立の鍵は2つあると思うんです。香港と台湾だと思うんです。台湾では昨日アメリカの閣僚が訪問したということがございましたよね。同じタイミングで香港で民主派の本丸が逮捕されているという事実があるわけですよね。外交筋によりますと台湾のアメリカ閣僚の訪問は先月の段階で決まっていたというんです。今月に入って習近平指導部は非公式の最重要会議を開いているという報道もあるんです。台湾という中国が絶対に譲れない核心的利益ここに閣僚を送ってアメリカが手を突っ込んできた。そういうふうに習近平指導体制はみていると思うんですよ。それに対して香港での逮捕劇で我々は一歩も引かないんだと絶対に屈しないというメッセージを出しているんだと思うんです。日本の動き方は抗議すべき時は抗議する。ただ、一方で静かな外交を展開しながらこれ以上一国二制度を骨抜きにするな。中国の行動変容を静かに求めていくというそういう外交努力を続けて欲しいと思います。

【検証部分】

今回は香港や台湾を巡る中国の動向に関する放送を取り上げます。
香港国家安全維持法(国安法)の施行後、香港では中国共産党による民主派への弾圧がより一層強力なものになっています。

検証する点は太田氏の発言に関してです。
コメンテーターの太田氏はこれまでの放送でも日本が取るべき外交について「静かな外交」という表現をよく使います。
曰く、アメリカや中国とは一線を画した日本独自のメッセージを発信し続けることが重要であるとのことです。

この日のコメントでも中国の行動変容を求めながら「静かな外交」を継続せよ、と述べています。

この日を含めてこれまでも、太田氏は日本から中国へのメッセージを送ることにどれほどの効果があるのか、言及したことは一度もありません。

日本は中国の度重なる尖閣諸島周辺での挑発行為に対して何度も抗議を伝えていますが、中国にその抗議を聞き入れる様子は全くありません。
今年も日常的に中国船が尖閣諸島周辺に出没しています。

日本独自で外交をしていくのであれば、日本は軍事的な力を持つ必要があるといえますが、太田氏はそれについて言及することはありません。

軍事力を持たない日本はどのような外交をしているかといえば同盟国との強固な連携です。
安倍首相が進めている「セキュリティダイヤモンド構想」では中国の膨張を防ぐという目的のもと、日本はアメリカ、インド、オーストラリアと連携を強めています。

この構想が中国に対してどれほどの効果をもたらしているのか、断定的なことはいえませんが、この構想が現在進行形で進展しているといえます。

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米国とオーストラリアは2日間にわたる外務・防衛閣僚会合(2プラス2)で、中国への強硬姿勢で足並みをそろえた。米国は対中包囲網の形成を目指し、日本やインドにも同調を求める見通しだ。

 包囲網形成へ向け、米国が期待を寄せるのは、米豪と日本とインドの4か国の枠組みだ。昨年9月には4か国の初の外相会談も開かれた。米豪は今回の共同声明で、2回目の4か国閣僚会合の早期開催に期待感を示した。

 「自由で開かれたインド太平洋」を掲げる日本も、米豪協力を歓迎する。菅官房長官は29日の記者会見で、米豪の共同声明について「地域の平和と安定に向けた両国の揺るぎないコミットメント(関与)を歓迎し、支持している」と述べた。

《読売新聞2020年7月30日 対中包囲網 米豪主導 2プラス2…日印と4か国連携狙う》より抜粋
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太田氏はこのような日本が進めている外交努力についても言及することはありません。

日本の外交についてこういった論点を提示しない放送は下記の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して監視を続けてまいります。

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