2020年8月12日 報道ステーション

2020年8月12日 報道ステーション

8月12日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。

・事実を正しく伝えた放送だったか

まずは放送内容から見ていきます。

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【スタジオ】
徳永有美アナウンサー(以下徳永アナ):アメリカ大統領選です。民主党のバイデン氏は副大統領候補を選ぶに当たって3つの条件を挙げていました。それが、こちらです。業績があること。重要な問題で共通の考え方であること。女性であること。バイデン氏が選んだのはカマラ・ハリス上院議員でした。黒人女性が副大統領候補になるのは初めてです。

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【VTR】
ナレーション(以下ナレ):予備選の時は、バイデン氏に特に厳しい人物でした。

米民主党 カマラ・ハリス上院議員(以下ハリス議員)『バイデン氏は上院議員時代に人種隔離派と共にバス通学制度に反対した』

ナレ:それでも彼女は選ばれました。

民主党 バイデン候補『彼女は毎朝起きるたびにこの国をより良く再建すること。社会をより公平にすることを考えるだろう。彼女以上にふさわしいパートナーはいない』

ナレ:ジャマイカ出身の父親とインド出身の母親を持つハリス上院議員。マイノリティーであることは彼女にとって武器です。

ハリス議員のコメント(コスモポリタン誌)『私たちの国は一度も組織的な人種差別に正面から向き合おうとしたことがありません。それ正すことがあらゆるアメリカ人の義務です』

ナレ:トランプ大統領を落選させるのは自らの使命とも話しています。

ハリス議員『指導者たちが報道の自由を攻撃し、民主主義を弱体化させる。それは私たちのアメリカではない』

ナレ:トランプ大統領は今回の発表をどう思っているのでしょうか。

トランプ大統領『わたしにとって好都合な候補だ。大学アメフトに例えるならドラフト1位だろう。ただ私はペンス副大統領の方がいい。ハリスは嘘つきでデタラメばかりだ』

ナレ:即座にネガティブキャンペーンを始めるなどしていることから嫌な相手ではあるようです。今回の人選について、CNNはバイデンは自分が中心の大統領選は極力、避けたい。道理にかなっていて誰もが安心する選択でもあると解説しています。有権者の反応は悪くありません。

市民①『私は満足です。彼女は雄弁だし切れ者なので最適だと思います』 

市民②『バイデン氏は高齢なので結果としてハリス氏が大統領になるかもしれません。女性初の大統領になるかもしれませんね。副大統領から大統領に繰り上がって』

ナレ:ブラック・ライブズ・マターの参加者からの評価も…。

市民③『黒人女性が世の中を変えられることをアメリカに示すべき時なのです。彼女なら就任初日から実力を発揮してくれるでしょう。地方自治体、州政府、連邦レベルでの選挙戦に勝利してきました。マイノリティー社会とも関係が深い』

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【コメンテーターによる解説】
徳永アナ:大統領選までの構図が固まってきましたけれどもハリスさんを選ぶことによってどう影響が出てきそうですか?

朝日新聞国際報道部記者 梶原みずほ氏:民主党としてはベストの選択だったと思うんですね。というのも、ハリスさんは上院議員の実績がありますし有色人種の女性ということでこれで民主党の支持基盤というのはしっかり押さえたと思うんです。ただ、バイデン陣営にとっての今後の課題というのは民主党と共和党の支持者が拮抗する激戦州ですね。これをどういうふうに取り込むかということでアメリカ国民は今コロナ危機をどう乗り切るのか。そして自分たちの生活はどうなるのか雇用はどうなるのかということが一番の関心ですから今後の討論会などを通してどういった経済対策を描いていくのかというのが注目だと思います。

【検証部分】

今回は民主党の副大統領に指名されたカマラハリス氏について取り上げていきます。

放送ではハリス氏を絶賛する発言ばかりでした。
梶原氏は「民主党としてはベストの選択だった」とも述べています。

この日の放送でハリス氏について正しい報道をしていたのかという点を検証していきます。

まず放送では、「ジャマイカ出身の父親とインド出身の母親を持つハリス上院議員。マイノリティーであることは彼女にとって武器です。」とハリス氏の経歴について人種的マイノリティーという点のみを報じていましたが、米国政治に詳しいアナリストの渡瀬氏は次のように述べています。

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カマラ・ハリス自体は前述の通り黒人ではあるものの、父は大学の経済学者、母はがんの研究者であり、エスタブリッシュメントの家庭の生まれだ。そして、その夫もユダヤ系の裕福な弁護士である。投票履歴などは民主党リベラルに忠実な履歴は持つものの、左派系からのカリスマ的な支持を集められる人物ではない。

渡瀬裕哉《バイデンの副大統領候補者「カマラ・ハリス」選択の死角
https://www.newsweekjapan.jp/watase/2020/08/post-7.php
》より抜粋
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カマラハリス氏はエスタブリッシュメント出身であり、左派からの熱狂的な支持があるわけではないと解説しています。

またハリス氏の経歴について批判されている点があります。
ハリス氏は検察官でしたが、有罪判決を勝ち取るために次の行動をとったとされています。

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彼女の経歴のある側面は、特に左派から批判の的になっている。

司法長官として、ハリス氏は民間人を殺害した警察官を起訴することはめったになかったが、彼女が職を離れる間際には、いくつかの警察署のレビューを行っていた。 彼女はまた、死刑囚の黒人のケビン・クーパーが無罪となったかもしれない高度なDNA検査を許可することを拒否し、検察の職権乱用の疑いの申し立てに対し、有罪判決を擁護したことでも非難された。

《東洋経済online 米国初の女性副大統領候補ハリス氏とは何者か
https://toyokeizai.net/articles/-/368814
》より抜粋
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次に政治家としての評価を見ていきます。
大統領に何かあった時、副大統領が大統領になるためこの点は非常に重要です。
渡瀬氏は副大統領候補としてハリス氏の経験や実務能力などについても解説しています。

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上院議員経験はあるものの、任期1期目の途上に過ぎず、外交・安全保障に関する知見が十分にあるわけでもない。仮にバイデンが何らかの形で大統領職を退く場合になった際、その職務を代行できる能力が十分にあると証明できておらず、副大統領の職を任せるのは明らかに過剰評価だろう。その明快なキャラクターは切れ味はあるかもしれないが、見方によってはヒラリーと同じ嫌味が漂うところもある。

渡瀬裕哉《バイデンの副大統領候補者「カマラ・ハリス」選択の死角
https://www.newsweekjapan.jp/watase/2020/08/post-7.php
》より抜粋
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このように放送でカマラハリス氏の経歴について正しい情報が伝えられていたとは言えず、次の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(3)報道は事実をまげないですること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して監視を続けてまいります。

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