2020年8月9日 サンデーモーニング(前編)

2020年8月9日 サンデーモーニング(前編)

サンデーモーニング、2020年8月9日分の検証報告(前編)です。

今回の報告では、
① 新型コロナウイルスに関して帰省やリーダーシップについて報道された部分
② 敵基地攻撃能力について報道された部分
③ 徴用工問題について報道された部分

以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
① 新型コロナウイルスに関して帰省やリーダーシップについて報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
各地に感染が広がる中、お盆休みを迎える日本列島。お盆の帰省に対し懸念の声も上がる中、
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身会長が水曜日、急きょ会見を行いました。
「必ずしも感染対策が難しい場合には、帰省はできれば控えていただきたいというのがメッセージ」と3密の回避など対策が徹底できない場合は帰省を控えるよう政府に提言しました。
翌日、安倍総理は「帰省に際し3密を避けるあるいは大声で話さないといった基本的な感染防止策を徹底するようにお願いしたい。」とリスクを避けるよう呼びかけましたが、一律の帰省自粛までは求めませんでした。
一方、自治体のトップの間では判断が分かれています。金曜日、462人の感染者が確認された東京都の小池知事は「今年の夏は特別な夏ということで、旅行、帰省、夜間の会食、遠くへの外出をお控えいただきたい。」と述べましたが、兵庫県井戸知事は「帰省そのものが基本的に不要不急かというと、そうではないんじゃないかと私は受け止めている。」と話しました。
また、感染拡大の背景について感染症対策分科会のメンバーでもある鳥取県平井知事は「移動が起きるときに不用意に移動すると非常に危ない」と話し、GoToトラベルをはじめとして連休中に人が移動したことが感染拡大につながったとの認識を示しました。

例年交通機関は混雑するお盆ですが、今年の新幹線予約は去年の2割程度。日本航空、全日空ともに国内線の予約が去年の4割に届いていません。GoToトラベルキャンペーンが先月から始まりましたが、交通各社は期待していたほどの需要の増加は見られないといいます。
8日全国知事会の対策本部会議でも、宮崎県河野知事は「GoToトラベル事業も含めて立ち止まって、この感染を沈静化させる強いメッセージが必要では無いかと感じている。」
福島県内堀知事は「(GoToトラベル)事業の繰越しを含めた継続的な実施なども可能とするよう求めていく必要がある。」とGoToキャンペーンについて見直しを求める意見が相次ぎました。

スタジオでの橋谷アナの説明。
全国の新規感染者数はおとといも1601人と最多を更新し感染拡大が止まりません。そして7月22日からGo Toトラベルが始まっていますのでその影響も懸念されています。岐阜と沖縄に続きまして愛知県も独自の緊急事態宣言を出すなど警戒が高まっています。帰省について自粛を求める、求めない、自治体によって判断が分かれました。
JNNの世論調査では、安倍内閣の支持率が35.4%と第二次安倍政権発足後最低を更新しています。新型コロナへの政府の対応について、評価しないが61%、GoToトラベルについて評価しないが66%となっています。

【コメンテーター発言内容】
松本氏(要約):これから帰省が多くなって、影響が出てくるのは8月の末ぐらいになってくると思います。 帰省は地方の高齢者がいる実家に帰るので、そうするとむしろ大都会の部分よりも地方の感染者の増加が急に上がってくるような、影響が出てきて、しかも、重症者が地方で出てくることが懸念されるんじゃないかと思います。
寺島氏(全文):われわれこの問題に向き合うときにウイルスとの共生とかウィズ・コロナという問題意識でこれに向き合う方向をとったわけですね。その極限形態がだんだん今の感染者の増大を見ていると、集団免疫という言葉が世界で言われ始めた、世の中の世界で言うとスウェーデンモデルですが、経済と両立させながらコロナと向き合うというんですけどね。スウェーデンは必ずしもうまくいってないんです。だけど今の段階で日本としてやるべきことはと考えたらまず重症化を防ぐ、中等症対策、つまり死なせないという体制をつくるということが1つと。もう1つは、軽症者がここまで拡大しているとその受け入れ態勢、医療負荷を高めないためにどうすんだと。今本当にやらなきゃいけないのは国民にこの状況を的確に説明して、何が対策として今から取られるべきなのか。ワクチンなんかの問題も含めて国会を開いて、国民にしっかりと、われわれはここまでやってるんだ、だけど、ついてきてくれということをしっかり説明しきって進まないと、本当に8月というのが大きな転機になりかねないなと思いますね。

高橋氏(全文):今、寺島さんからも国会に開いて国民に説明すべきだというお話がありましたけど、まさにそのとおりだと思います。内閣支持率が下がっているという話ですが、それは下がるよねという感じですね。初期のころは、後手後手に対策が回ったとしてもやはり安倍総理の顔が見えた、声が聞こえたという局面があったと思うんですが、今はほとんど顔も見えない声も聞かれない、もはややる気を失っているんじゃないかという気すらする。事実かどうかは別にしてもそういうふうに一国のリーダーがやる気を失っているんじゃないかと国民に思わせていること自体が政治リーダーとしてのあるべき姿としては大きくかけ離れているんじゃないかというふうに思います。リーダーシップをあまり強調し過ぎるのもいかがと思いますけれどもこのコロナという局面において、政治のリーダーの顔が見えない、そして国民に何を要請しどうして欲しいとういうことすら自分の言葉で的確に語れないというのは非常に残念な政治の姿だと思います。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。

1、高橋氏の発言に政治的に公平でない恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、高橋氏の発言に政治的に公平でない恐れのある内容が含まれている
高橋氏は今回の報道で、以下のように述べています。

高橋氏(要約):初期のころは、後手後手に対策が回ったとしてもやはり安倍総理の顔が見えた、声が聞こえたという局面があったと思うんですが、今はほとんど顔も見えない声も聞かれない、もはややる気を失っているんじゃないかという気すらする。事実かどうかは別にしてもそういうふうに一国のリーダーがやる気を失っているんじゃないかと国民に思わせていること自体が政治リーダーとしてのあるべき姿としては大きくかけ離れているんじゃないかというふうに思います。リーダーシップをあまり強調し過ぎるのもいかがと思いますけれどもこのコロナという局面において、政治のリーダーの顔が見えない、そして国民に何を要請しどうして欲しいとういうことすら自分の言葉で的確に語れないというのは非常に残念な政治の姿だと思います。

要旨をまとめると、
・初期のころはまだ対策が後手に回っていても安倍総理の顔が見え、声が聞こえていた場面はあった。
・しかし今はほとんど顔も声も見えず、もはややる気を失ってしまっているように見える。
・事実かどうかは別にしても、一国のリーダーがやる気を失っているように国民に思わせていること自体が政治リーダーとしてのあるべき姿としては大きくかけ離れているように思う。
・リーダーシップをあまり強調しすぎるのもよくないが、コロナの局面において政治のリーダーの顔が見えず、国民に対する要請等も自分の言葉で的確に語れないのは非常に残念な政治の姿だと思う。

というものです。

しかしながら、
総理の顔が見えないという点に関しては、「新型コロナウイルス禍という前代未聞の事態において、総理のするべき職務に追われ記者会見を開くどころではない」や「安倍首相は147連勤を行っていると報道されている通り、膨大な職務を抱えているため記者会見などは関係閣僚に任せているのではないか」などといった反対意見がある。
にもかかわらず、その点を考慮せず首相が前面に出ないことをリーダーシップ不足と断じ、「非常に残念な政治の姿」とまで批判する同氏の発言は、政治的に公平でない。

以上のことから、今回の報道での同氏の発言は政治的に公平でない恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

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2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して、「GoToトラベルキャンペーンは地方に新型コロナウイルスを巻きかねない」や「GoToトラベルキャンペーンを今行ったのは失策であった」という立場に立った意見のみが出てきました。

「Go Toトラベルキャンペーンは瀕死状態の観光産業やその周辺産業を復活させるために必要不可欠である」や「GoToトラベルキャンペーンによって現に旅行客数などはキャンペーン以前と比べ大幅に増えている」などといった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見をほとんど取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の前編となります。前編では、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
② 敵基地攻撃能力について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

③ 徴用工問題について報道された部分
については後編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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