2020年8月2日 サンデーモーニング(後編)

2020年8月2日 サンデーモーニング(後編)

サンデーモーニング、2020年8月2日分の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
①新型コロナウイルスの家庭内感染ついて報道された部分
②「風をよむ」にて米中新冷戦について報道された部分
③韓国に設置された土下座する安倍首相について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
②「風をよむ」にて米中新冷戦について報道された部分における
検証4「元村氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている」

ならびに、
②「風をよむ」にて米中新冷戦について報道された部分
となります。

では、さっそく②の検証3をみてみましょう。

4、元村氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
元村氏は今回の報道で、以下のように述べています。

元村氏(抜粋):新たな同盟を呼びかけていましたよね、アメリカ。でも、アメリカはもともとパリ協定離脱し、イラン核合意も離脱し、WHOからも離脱しようとしている。そういった流れとは全く反対でどの口が言う?という感じを私は受けるんですね。かつての大国が、共産党という悪のレッテルを貼っていじめようとしているというふうに見えてしまう。大国なら大国なりに、きちんと大人の対応をすべきだと思うし中国は中国で、民主化とか人権問題も大変、課題が山積してると思うんですね。これから地球の持続可能性のために頑張らなきゃいけないときに何けんかしているの? それから宇宙とか科学とかいう本当は協力すべきところまでこうやって分断が進んでいることを本当に嘆かわしいと思いますし、アメリカ大統領選のあとに期待したいと私は思ってるんですけどね。

要旨をまとめると、
・アメリカは新たな同盟を呼び掛けているが、アメリカはパリ協定やWHOの離脱等で国際協調路線から外れている、どの口が言うのかという感じだ。
・かつての大国が共産党という悪のレッテルを貼って中国を虐めようとしている
というものです。

しかしながら、
・アメリカがパリ協定やWHOの離脱した背景を述べずに、アメリカが国際協調路線から外れている批判することは政治的に公平ではない。
・「トランプは共産党という悪のレッテルを貼っている」という元村氏の主張は事実無根であり、また中国優位であったパリ協定やWHOの内容を勘案すれば、トランプ氏の離脱行為を一概に批判できるもので無く、中国を擁護する発言をする元村氏の主張は政治的に公平ではない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での「」氏の発言は(政治的に公平でなく、また)事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条(第2号「政治的に公平であること」、同)第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

続いて、
③韓国に設置された土下座する安倍首相について報道された部分
となります。では、放送内容を見ていきましょう。

【VTR要約】
7月28日、韓国の植物園に設置された慰安婦問題を象徴する少女像にひざまずく男性の像のモデルが安倍総理だとされ、このことに菅官房長官は「仮に報道が事実であるとすれば日韓関係に決定的な影響を与えることになる。」と述べました。
しかし、韓国外務省の報道官は一般論として国際的な儀礼を考慮することが必要だと言及したものの、具体的な対応策は示していません。また、日本の輸出管理強化を不当だとする韓国の提訴を受け、WTOは29日紛争処理を行うための小委員会、いわゆるパネルの設置を決めました。

【コメンテーター発言内容】
青木氏(全文):下品なものを作るなと思った方は多いと思うんですけどただこれ、忘れちゃいけないのは民間の植物園なんですよ。なので、菅さんが決定的な影響と言うのもちょっとこれは言葉が過ぎるというかね。つまり日本だって例えばムン・ジェイン大統領のことをかなり辛らつに批判する書籍なんかは出てるわけじゃないですか。それを韓国政府がけしからんと言うのはおかしいわけで、民間で作ったものを、もちろん不快に思うのは日本人として当然かもしれないけど、政権として決定的な影響と言うのはどうなのかなと。WTOの話も、最近だんだん分かってきたんですけれども、どうも韓国のほうが、日本が輸出しないということになったら、やっぱり自力で作り始めちゃったんですね。結果として、中長期的に見ると、日本企業のほうがダメージがあったりすることを考えると、北朝鮮との関係、拉致問題、あるいは北東アジアの平和と安定のためにやっぱり日本と韓国というのは体制を同じくするある種兄弟みたいな国なので、ここできちんと体制を立て直してあの程度の像で決定的な影響なんて言ってないで、もうちょっと政治対話をして体制を立て直してほしいなと僕は思いますけどね。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。

青木氏(抜粋):下品なものを作るなと思った方は多いと思うんですけどただこれ、忘れちゃいけないのは民間の植物園なんですよ。なので、菅さんが決定的な影響と言うのもちょっとこれは言葉が過ぎるというかね。つまり日本だって例えばムン・ジェイン大統領のことをかなり辛らつに批判する書籍なんかは出てるわけじゃないですか。それを韓国政府がけしからんと言うのはおかしいわけで、民間で作ったものを、もちろん不快に思うのは日本人として当然かもしれないけど、政権として決定的な影響と言うのはどうなのかなと。WTOの話も、最近だんだん分かってきたんですけれども、どうも韓国のほうが、日本が輸出しないということになったら、やっぱり自力で作り始めちゃったんですね。結果として、中長期的に見ると、日本企業のほうがダメージがあったりすることを考えると、北朝鮮との関係、拉致問題、あるいは北東アジアの平和と安定のためにやっぱり日本と韓国というのは体制を同じくするある種兄弟みたいな国なので、ここできちんと体制を立て直してあの程度の像で決定的な影響なんて言ってないで、もうちょっと政治対話をして体制を立て直してほしいなと僕は思いますけどね。

要旨をまとめると、
・例えば、ムン・ジェイン大統領を批判する書籍が日本でも出版されている。民間の言論を韓国政府が批判することはおかしい。
・安倍首相の土下座の像が建てられたのは民間の植物園なので、日本の政権が「日韓関係に悪影響を及ぼす」というのはおかしい。
・北朝鮮問題の解決や北東アジアの安定のためには、ある種兄弟のような日本と韓国の間で体制を立て直して欲しい

というものです。

しかしながら、
・青木氏は「ムン・ジェインを批判する書籍が日本でも発売されているから、韓国で像が建てられても批判することができない」という論理を展開しているが、前者は言論の自由の範囲内で行われているものであり、後者は特定に個人を誹謗中傷し差別しているヘイト行為である。
・言論の自由の範囲内の批判行為と特定の人物の排斥行為、これは両者の特性がそもそも違うので、同じ土俵に並べて議論する問題ではなく、青木氏の主張は政治的に公平ではない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は政治的に公平でなく、したがって放送法第2章第4第2号「政治的に公平であること」に違反する恐れがあります。

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2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「韓国に安倍首相の土下座する像は置かれて当然だ」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「国家のリーダーが他国で土下座するような像が建てられる国と、協調していくべき行くべきではない」「仮にムンジェインの土下座する像が日本に建てられたら、韓国は日本を大々的にバッシングするのだから、日本も相応の対応をすべき」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

①新型コロナウイルスの家庭内感染ついて報道された部分
については前編の報告を、

「風をよむ」にて米中新冷戦について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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