2020年9月7日 報道ステーション

2020年9月7日 報道ステーション

9月7日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。

・様々な論点を取り上げた放送であったか

まずは放送内容を見ていきます。

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【スタジオ解説】
小木逸平アナウンサー(以下小木アナ):ポスト安倍を決める自民党の総裁選は明日告示され正式にスタートします。一方、野党でも149人が参加します、合流新党の代表選。
こちらは今日始まりまして、2人の候補者が主張を戦わせました。

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【VTR】

菅義偉官房長官:政府としては引き続き、自治体と緊密に連携をとりながら、人命第一で全力で救命救助活動を行なってまいりたい。

ナレーター:今日も官邸で台風対応に当たった菅官房長官。公務の合間には地方票へのアピールも。都議会の自民党議員を訪れ…。

菅義偉候補:私は実は必勝コールが初めてでして、しっかり受け止めて頑張ります。

ナレ:週末に発表した政策集では、災害対策について役所の縦割りを見直す考えとともにあらゆる緊急事態・危機に迅速かつ的確に対処するとしています。岸田氏も、党の政調会長として、台風の被害状況などについて関係省庁から説明を聞きました。

岸田文雄候補:防災についての重要性は強く感じているとこであり、まずは防災・減災・国土強靭化3ヵ年計画。この計画・対策は引き続き延長しなければならない。

石破茂候補:どうぞよろしく。

ナレ:石破氏は今日も議員会館を回り、自らの政策を訴えました。昨日、災害対策を問われ…。

石破茂候補:経験も知識も蓄積伝承される。そういう意味合いを込めて「防災省」は必須です。なくていいという理由は私には理解できない。

ナレ:持論の防災省創設を改めて訴え、政府の司令塔機能を強化すべきだと主張しました。明日告示される自民党総裁選。午後からは候補者3人の演説会が行われます。
対する、野党。今日、149人が参加する、合流新党の代表選挙が始まりました。立候補したのは国民民主党の泉政調会長と立憲民主党の枝野代表です。

立憲民主党泉健太政調会長:私は思い切って消費税の減税。今回は凍結を訴えさせていただく。コロナが収束するまでの間、消費税は一時的ですが0%。与党に対する追及ありきではなく、野党として国民に届けるメッセージが何か。これを最後まで突き詰めて全国の皆様にお届けする。

立憲民主党枝野幸男代表:税体系全体の見直しが喫緊の課題であり、その中の大きな要素として消費税がある。1人1人のリアルな生活にしっかりと向き合う。そしてリアリズムを持って今の政権としたたかに戦う。そして政権をとっていく。

ナレ:選挙戦では消費税の減税や新型コロナ対応に加え、今後の野党連携の在り方や党運営を巡り論戦が交わされます。合流新党の新しい代表と党の名前は10日に決まります。

【スタジオ】

徳永有美アナウンサー:太田さん新たな合流新党ですが。どういうことが求められることになりそうですか。

共同通信社編集委員 太田昌克:やはりポスト安倍一強時代の明確な対抗軸これをしっかりと、打ち出してほしいと思うんですね。私は格差の是正。これに、ぜひ野党はこだわっていただきたい。コロナ禍で顕在化されたんですけれども、社会的に弱い立場におられる方々ですね。こういった人たちの命と健康生活をどう守るかといったらやっぱり、これ税収で集まった富の再分配を公正に行っていくしかないんです。代表選では先ほど消費税の減税が語られていましたが、これ、日本の財源を考えると本当に可能なのかという話なんですよね。場合によっては富裕層とか大企業への増税なんかも必要になってくる可能性があるんですよね。そこはぜひ庶民目線でしっかり議論してもらいたいと思いますしあと、もう1つ一強時代の負の遺産ですよ。公文書の廃棄それから説明責任の不十分さ。官僚の政治への忖度という、この政治文化をどう変えるのか。まさに、市民の政府への信頼をどう取り戻すかということを理念とともに制度設計をしっかりと語ってもらいたいと思いますね。

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【解説部分】
今回はポスト安倍を担う政権に関する太田氏の次の発言を検証していきます。

「代表選では先ほど消費税の減税が語られていましたが、これ、日本の財源を考えると本当に可能なのかという話なんですよね。場合によっては富裕層とか大企業への増税なんかも必要になってくる可能性があるんですよね。そこはぜひ庶民目線でしっかり議論してもらいたいと思います」

「もう1つ一強時代の負の遺産ですよ。公文書の廃棄それから説明責任の不十分さ。官僚の政治への忖度という、この政治文化をどう変えるのか。」

立憲民主党の代表選挙で主張されていた消費税に関する発言と、安倍内閣の負の遺産という2つの観点から解説している箇所です。

消費税についてですが、「日本の財源」から考えると減税することは難しいと解説されています。さらに富裕層、大企業への増税を視野に入れろと左派的な発言がされています。
日本の財源、特に社会保障費の財源としての消費税がよく取り沙汰されます。
菅新総裁も消費税について「社会保障費の貴重な財源」と述べています。

しかし、税金と社会保障は分けて考えるべきだという議論があります。

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年金・医療・介護は基本的に、税方式ではなく「保険方式」によって運営されるべきものです。事実、日本の基本的な制度設計もそうなっています。

(中略)

保険というのは保険料で成り立つシステムです。したがって、税金とはまったく関係がありません。この重要な点を押さえておかないと、財務省の「年金などの社会保障費が逼迫しているから消費増税が必要」というまやかしのロジックに騙されてしまうのです。

《高橋洋一 「社会保障のための消費増税」のウソ 財務省が日本人を騙す”ロジック”
https://shuchi.php.co.jp/voice/detail/6056
》より抜粋
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このように消費税に関して論点を欠いた発言であった可能性があります。

次に「公文書の廃棄それから説明責任の不十分さ。官僚の政治への忖度」を安倍政権の負の遺産として、変えなければならない政治文化と解説しています。

公文書の管理は森友学園問題で起きた財務省による公文書改竄などを念頭においた発言であると推察されますが、官僚のそうした行動は官僚による官僚のために行われたものです。
当時の佐川理財局長の答弁に合わせるために文書の改竄が行われました。

また官僚が政治に忖度することを一概に悪とは言えません。
選挙で民意という正統性を経た政治家が官僚を部下として行政を動かしていくのが民主主義のあるべき姿です。
官僚が政治家の意向を気にせず、勝手に政治・行政に手を出すようでは民主主義のあるべき姿とは言えません。
イギリスでは官僚が指揮命令関係にない、つまり大臣などではない者と接触することを忌避する文化があります。
こうした政官関係の関する論点も十分に紹介されていたとは言えません。

このような放送は次の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して監視を続けてまいります。

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