サンデーモーニング、2020年8月23日分の検証報告(前編)です。
今回の報告では、
① 新型コロナウイルスに関して大阪の問題について報道された部分
② 新型コロナウイルスに関してコロナと経済について報道された部分
③ アメリカ大統領選挙での民主党党大会について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。
検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。
今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。
前編で検証するのは、
① 新型コロナウイルスに関して大阪の問題について報道された部分
となります。
では、さっそく放送内容をみてみましょう。
【VTR要約】
今週水曜日、大阪府の新規感染者は187人で同日東京の新規感染者を上回りました。さらに、重症者の数も72人と過去最多を更新しました。19日・大阪府吉村知事は「専門家に聞いてもわからないので、我々も重症者増の明確な答えはない。」と述べました。
大阪府立中河内救命救急センターでは、重症者用の7床を確保していますが、金曜日時点で5床が埋まっています。現場の最前線に立つ山村所長は、重症化した状態の患者が病院に担ぎ込まれ、そこで初めて感染が確認されるケースが増えていると話します。水曜日に行われた大阪府の対策本部会議では、6月中旬からの2カ月で確認された重症者の4割がこうした状態だったことが明らかになりました。
高齢者の中にはコロナへの感染対策を十分していて体調に異変があっても、まさか自分が感染しているとは思わない人が多く、さらに、高齢者が検査を受けたいと思っても検査をすぐに受けられない状況も原因との指摘もあります。
また大阪では今感染経路不明の重症者が急増しています。大阪府の6月14日からの2カ月間の重症者は107人。その多くは60代から80代の高齢者です。これまで高齢者の感染経路といえば病院や施設、それに家庭内感染がほとんどでしたが大阪府が調査したところ、およそ7割の重症者の感染経路が不明だったことが明らかになったのです。
感染症の専門家、国際医療福祉大学・松本主任教授は「もともと高齢者はそれほど行動範囲は広くありませんし、感染のリスクが高いところにしょっちゅういくことはまずない。そういう中で感染しているわけですから、やはり大阪の中ではかなり市中感染が広がっていて、通常の行動をしていても感染してしまうことが起こってくる。」と話しました。
感染経路不明の重症者の急増から浮かび上がってきた市中感染の広がり。大阪は今、水面下の感染が深刻化しているのかもしれません。
【コメンテーター発言内容】
橋谷アナ(全文):大阪の問題なんですけれども、こちら、大阪府の重症者数です。16日には72人と第1波を超えて過去最多となりました。全国でも最多となりました。水曜日に行われました大阪府の対策本部会議では気になる数字が示されました。ここ2カ月の重症者107人のうち41人が感染が確認された時点でもうすでに重症だったということなんですね。感染症の専門家からは、通常では起こりえないという声も上がっています。
関口氏(全文):けさは茂松先生とつながっておりますが、今大阪の例でご紹介しましたけど、大阪が顕著なんであって、大阪だけが特殊ということではありませんよね?
茂松氏(全文):大阪がとにかくトップを切って高齢者の方が増えたということで今東京でも徐々に高齢者の方に広がってきているということで全国的に恐らくこういう傾向が起こってくるんだろうと思います。
関口氏(全文):それは何を示しているんですか?
茂松氏(全文):これは重症化しやすい高齢者の方々が恐らく症状が出ても少し我慢をされているということで医療機関に行かれることが少し遅くなっているのではないかということが1つだと思います。やはり高齢者の方は1人で暮らされるとかなかなか行動がとれないということで少し待ってしまうということが一つだと思いますし、もし医療機関に来られてもすぐに検査がなかなか追いつかないといったところもございますのでその結果が出るまで4〜5日かかるということですから少し遅くなるのではないかということを考えております。
関口氏(全文):高齢者の方々が気を遣うというのはでも、コロナが始まったときから同じだと思うんですね。ここへ来てこの数字が出てくるということはほかにも原因がありますか?
茂松氏(全文):熱中症のこともございますので、熱中症でしんどいかなと思っているうちにコロナが感染していたということもあります。今、医療の現場では恐らく熱中症で来られたと思っても検査をしてみると、コロナ陽性ということがありますので、非常に医療の現場ではその辺が大変なことになっているというふうに思います。
涌井氏(全文):まずこの考え方というのは2つに分けて考える必要があると思うんですね。1つはご高齢の方々、私を含めて我慢しやすいと。今までの常識で言えば、自分が頑張って、自分を律しているのに何でかかるんだと、かかるわけないじゃないかというところからスタートしてしまう、これが非常に大きな問題で具合が悪くなったら疑うと、それは市中感染が広がっているんだということを前提にして、自分の行動を感染というのはもちろん密接な関係があるということはあるけれども、場合によっては関係がないということを考えていくことがまず第一だと思うんですね。もう1つ一番大事なことは、今、全体にピークを超えているというご指摘がありましたが、この時期にこそ、医療態勢の再構築なり、PCR検査のやり方のシステムの見直しなりあるいは医療現場に対する財政的な支援なり、こういうことをしっかりやることがものすごく大事じゃないかと思いますが、いかがでしょうか?
茂松氏(全文):本当におっしゃるとおりだろうと思っております。今見ておりますと50代、60代は感染経路不明が60%くらいおられるということですし70歳、80歳は高齢者施設で広がっているということですので動かれる男性の方々にどうも重症化しているということがあります。そうなると市中感染がどうも広がってるんではないかと。それの対策としては、まずPCR検査を受けてコロナの陽性があるのかないのかはっきりされることが重要です。そのためには今、医療機関も医療経営も大変苦しいところでありますので、その財源といったものもしっかりとつけていただきたいと思っております。
関口氏(全文):今週はWHOも2年以内でどうのこうのという話がありましたが茂松先生はどれくらいで収まると思っていらっしゃいますか?
茂松氏(全文):ワクチンがしっかりしたものができるかといったことが今、専門家会議でも言われておりますが、なかなか難しいということを考えますと、これは1年、2年と言わずにもう少しかかるんではないかなということを覚悟していきたいと思います。
関口氏(全文):推移位は分からない、ワクチンのでき次第にもよりますしね。
以上が放送内容となります。
では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の点です。
1、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
以下にて解説します。
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1、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して、「PCR検査体制を見直す必要がある」という立場に立った意見が多く出てきました。
こうした立場での意見は涌井氏の以下の発言に表れていました。
涌井氏(抜粋):もう1つ一番大事なことは、今、全体にピークを超えているというご指摘がありましたが、この時期にこそ、医療態勢の再構築なり、PCR検査のやり方のシステムの見直しなりあるいは医療現場に対する財政的な支援なり、こういうことをしっかりやることがものすごく大事じゃないかと思いますが、いかがでしょうか?
しかしながらこの後中編でも指摘する通り、この問題には「PCR検査の不用意な拡大は偽陰性などを生じさせ、かえって医療崩壊・感染拡大を生みかねない」などといった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見をほとんど取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。
以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。
以上が報告の前編となります。前編では、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。
この続きの
②新型コロナウイルスに関してコロナと経済について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。
③アメリカ大統領選挙での民主党党大会について報道された部分
については後編の報告をご覧ください。
公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。