9月16日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。
・さまざまな論点を取り上げた放送であったか
まずは放送内容を確認していきます。
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【VTR】
ナレーション(以下ナレ):トランプ大統領のインタビューを基にした本には、アメリカ軍が日本に駐留する意義を疑問視した内容がつづられていました。
高羽佑輔記者:今回の著書はトランプ大統領本人へのインタビューに基づくもので非常に注目されていて予約だけでも、これだけ用意されているということです。(書店に著書が山積みされている映像)
ナレ:著名記者によるトランプ大統領へのインタビューなどをもとにした新たな本「RAGE」が出版されました。トランプ大統領が、アメリカ軍が日本に駐留する意義を疑問視し安倍前総理に尋ねたことがつづられています。
トランプ大統領『我々アメリカはなぜ日本を守っているのか。なぜ日本はその経費(駐留費)のわずかな分しか払っていないのか』
ナレ:駐留費の負担増加を求めたことが明らかになりました。
【検証部分】
今回取り上げたのは非常に短いニュースでしたが、日米同盟を考える上で重要な論点を含んだニュースといえます。
しかし、放送内容だけをみると「アメリカが日本に負担を求めている」ということしか分かりません。
この放送をどう受け取るかは様々ですが、人によっては
「既に思いやり予算という形で駐留費を払っているじゃないか」
「アメリカ(トランプ)は横暴だ」と思うかもしれません。
しかし、見方によってはアメリカが日本に真の同盟国としての期待をしているということがいえます。
それがどういうことかを論じる前に現在の日本の安全保障体制をアメリカとの同盟関係を軸にみていきます。
戦後、日本はアメリカに占領される形になりました。
占領期間が終わり、日本が独立を果たした後もアメリカは日本から離れようとはせずに各地に在日米軍基地が存在することになります。
これは日本が対中国・対北朝鮮・対ソ連、つまり東側諸国に対する前線に位置しているという地政学的な理由がありました。
実際に朝鮮戦争、ベトナム戦争では在日米軍基地が兵站として機能しました。
この体制が続き、現在の日米同盟ではアメリカが日本を守り、日本はその駐留費を「思いやり予算」として一部負担しています。
では日本だけで自国を守れる体制が整っているか、と言うと残念ながら万全の体制であるとはいえません。
日本を守る存在といえば、自衛隊ですが、2つの観点から万全の体制とはいえません。
1つ目は装備面です。
自衛隊は最新の兵器を取り揃えていることは間違いありませんが、それでも不十分です。
例えば、ミサイルから日本の国土を守るペトリオットPAC−3というミサイル防衛の装備がありますが、PAC−3は日本全土をカバーできるほど配備が進んでいません。
また自衛隊の弾薬・兵站も不十分です。日本の継戦能力については諸説ありますが、1ヶ月も戦えない、戦闘状態が数十分続けばもう戦えないとする説もあります。
(※江崎 道朗『フリーダム: 国家の命運を外国に委ねるな』 (2019年 展転社)参照)
2つ目に自衛隊の活動に関する法整備です。
通常、軍隊はネガティブリスト体系で法整備がされています。
ネガティブリストとは「やってはいけないこと」が列挙されており、それ以外のことはやっても良いという法体系です。
軍は敵と予期せずして遭遇することがあり、そういう時は反射的に行動することが求められますからこうした法整備となっているのです。
しかし、自衛隊はポジティブリスト体系です。
ポジティブリストとは「やっていいこと」が列挙され、それ以外のことは「やってはいけない」という法体系です。
状況判断をして、その状況が法的に問題ないかをその都度確認して行動しなければなりません。
これでは即座に判断して、行動することなどできません。
長々とみてきましたが、以上のように自衛隊だけでは日本を守れる体制とはいえない面があります。
結果、アメリカに守ってもらっている状況が生まれているのです。
そして、もし日本だけで米軍並みの装備を整えた場合、現在の5倍以上の防衛費が必要とされています。
このような状況に対してトランプ大統領は「日本は安全保障ただ乗りじゃないか」と言っているのです。
日本が取るべき道は2つです。
1つ目は日本だけで国土を守る体制を整えることです。それができればアメリカはその分、在日米軍の負担を軽減できます。
それができないのであれば、2つ目です。もっと駐留費を負担することです。
「日本は真の同盟国としての務めを果たす意思があるのか」、とトランプ大統領は問うているのです。
このような論点が提示せずに、なされた放送は次の放送法に抵触する恐れがあります。
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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して監視を続けてまいります。