2020年10月1日 報道ステーション(前編)

2020年10月1日 報道ステーション(前編)

10月1日の報道ステーションのレポート、前編です。
今回検証するのは次の点です。

・事実と異なる可能性のある内容が紹介されていた
・様々な論点を取り上げた放送であったか

まずは放送内容を見ていきます。
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【VTR】
ナレーション(以下ナレ):『日本学術会議』は、科学者の代表機関として国が設置した組織です。今回、会議側は新たな会員として105人の候補者を推薦しましたが、1日に任命されたのは99人でした。残る6人は、菅総理大臣が任命を拒否した形になります。推薦した候補者が任命されなかったケースは過去にありません。6人のなかには、政府が進めた安保法制や、共謀罪法に反対の立場をとってきた学者もいます。

加藤勝信 官房長官:『個々の選考過程については人事に関することなので、コメントは差し控える。ただちに学問の自由の侵害ということにはつながらない。(これまでは)推薦した方をそのまま認めていた。今回はそうではなかった。結果の違いであって、対応してきた姿勢については変わるものではない』

ナレ:そのうち3人は1日、学術会議の会長宛に文書を出しました。総理大臣から理由など一切の説明がなく、憲法が保障する学問の自由の重大な侵害として強く抗議するとともに、任命拒否の撤回を求めるよう訴えています。

【検証部分】

今、メディアが盛んに取り上げている学術会議に関する報道を取り上げていきます。
事実と異なる可能性のある発言というのは「学問の自由の侵害」という発言です。

菅内閣は今回学術会議が推薦した105人のうち6名を推薦しなかったわけですが、それで学問の自由が侵害されたという発言・主張のみを放送しています。

では具体的にどのように学問の自由が侵害されたのでしょうか。
日本学術会議という国の機関に所属しないと学問の自由は保証されないのでしょうか。
日本には在野に様々な学問を研究する人がたくさんいますが、その人たちは学問の自由がないのでしょうか。

むしろ国・政府・政治と関係がないところで学問ができることこそ学問の自由と言えるはずです。
このように根拠もなく学問の自由が侵害されたという発言のみを放送することは次の放送法に抵触するおそれがあります。

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放送法4条
(3)報道は事実をまげないですること
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さらに学問の自由を侵害しているのは学術会議である可能性もあります。

学術会議は大学で軍事に関する研究はしてはならないとし、自衛官の学問の自由も奪ってきました。

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学術会議は戦争が常在する現実を無視し、願望でしかない「平和」を与件としてスタートした。
「戦争目的の科学研究」(1950年声明)、「軍事目的の科学研究」(1967年声明)、そして「軍事的安全保障研究」(2017年声明)と用語は変わるが、一般に「軍事研究」と言われるものを大学から排除し、また自衛官が国立大学の大学院で学ぶ機会も奪ってきた。

《森 清勇 日本人から「学問の自由」を奪ってきた日本学術会議 国家の存在を脅かす数々の提言、もはや存在意義失う
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62490
》より抜粋
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このような論点には一切触れずに任命拒否による学問の自由の侵害ばかりを取り上げるということは次の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して監視を続けてまいります。

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