5月20日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。
・衆院解散と選挙に関する後藤氏の発言
まずは放送内容を確認していきます。
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【スタジオ】
富川悠太アナ:GDPの1月期から3月期の速報値が発表されまして、これは予想外と言ってよかったんじゃないですかね。年率換算+2.1%、2期連続のプラス成長となったんですね。はためいていますけれどもこれは景気への追い風となるんでしょうか。そして永田町で吹き始めています解散風にはどう影響するんでしょうか。
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【VTR】
記者:いま安倍総理が入ってきました。衆参ダブル選挙の観測が広がる中、この自民党の秘書たちが集まる会合で安倍総理は何を話すのでしょうか。
ナレーション:選挙となれば真っ先に忙しくなるのは議員の秘書たちです。
安倍晋三総理大臣:いよいよ参議院選挙。全力を尽くさなければならないわけでございまして。秘書の皆さまと共に歯を食いしばって参院選を勝ち抜き、安定した政治のもとに政策を進めていかなければならない。
ナレーション:ここではあくまで参院選に全力を尽くすよう呼びかけただけでしたが、衆参ダブル選の判断にも影響するとみられる経済指標が今朝発表されました。1~3月期の実質GDPでマイナス成長になるとの事前の予測を覆し、年率換算で2.1%、2期連続のプラス成長となりました。政府の公共投資が大幅に増えたことや、消費増税前の駆け込み需要で住宅の売れ行きなどが好調だったことが主な要員です。
茂木敏充 経済再生担当大臣:内需の増加傾向は崩れていないと考えております。
ナレーション:ただ内訳を見てみると、内需の柱である個人消費と企業の設備投資がマイナスに転じています。にもかかわらずGDPをプラスに押し上げたプラスの要因は、輸入が10年ぶりの大幅な減少になったことです。輸入が輸出を上回って減少したことで、海外に支払った金額が大きく減り、それが統計上プラスに働いたのです。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング 小林真一郎 主席研究員:「輸入」が大幅に落ちている。この裏返しは内需が弱いということになるんですね。内需の二本柱である個人消費・設備投資がいずれも今回前期比でマイナスになっていると。数字ほどは経済の実態は強くないんだということかと思います。
ナレーション:気になるのは消費増税です。
菅義偉官房長官:雇用や所得など、内需を支えるファンダメンタルズはしっかりしている。
記者:消費増税に向けて影響は。
菅義偉官房長官:それは全くない。
ナレーション:10月に予定通り消費増税するなら、増税先送りについて衆院解散などの形で「信を問う」必要はなくなるはずです。それでも永田町の解散風はおさまりそうにもありません。
自民党 二階俊博幹事長:我々は総理がそう決意したときに、いつでもその対応が取れるように、ただ解散解散と言っているだけでは何にもなりません。近頃“こんな風”が吹きかけているように思いますから、あらゆる時に備えて対応していきたい。
ナレーション:一方、野党は。
立憲民主党 逢坂誠二政調会長:衆議院の一議員としていつ何があってもおかしくない覚悟で選挙に臨まなきゃいけないと思います。
ナレーション:この週末行われた、報道ステーションの世論調査です。安倍内閣の支持率は47.0%で、先月の調査より2ポイント上昇しました。また、この夏より衆参のダブル選挙をおこなっても良いと思うと答えた人は50%に上り、良いと思わないとした人は30%でした。
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【スタジオ】
徳永有美アナ:永田町では解散風が強まっているようですね。
後藤謙次氏:まあ徐々にという感じなんですが、まだどちらに吹いているのかわからないところがあるんですね。ただ衆参同時選挙っていうのは様々な条件が揃わなきゃできないんです。その中でも一番大きかったのは、解散は何のためにやるんだ、大義があるのかないのかと。それについて先週菅官房長官が、野党は不信任案を出したと、それに対抗して解散を打つと、これは充分大義になるんだと。この発言が解散風を一気に吹かせたんですね。じゃあその内閣信任案はいつ出すんですかという次の問題について、そこでこの国会の日程が非常に重要になってくるわけですね。
徳永有美アナ:今後の政治日程ですね。
後藤謙次氏:先週、菅官房長官の発言と軌を一にして、党首討論が今年初めて行われるようになった。それがもうほぼ19日の水曜日。これは毎週やる場合は水曜日の午後3時からと決まってますけども、この国会の場合は19日に決まりだろうと見られているんですね。そして1週間後の26日には会期末がやってくると。となるとここで安倍総理と枝野代表、あるいは玉木代表が党首討論をやるというなかでですね、安倍総理がそこまで野党が言うなら解散をやりましょうよということを言えば、野党側は勘弁してくださいとは言えなくなるわけですね。じゃあ不信任案を出しましょうということになると、ちょうどこのあたりにですね。
徳永有美アナ:不信任案がこのあたりに。
後藤謙次氏:出てくると、21日から27ですけど、国会26日までですから、この間に出すとですね、参議院の場合はここ(7/4)に公示がやってくるんですね。
徳永有美アナ:内閣不信任案が出されれば、この日が公示日になるということですね。
後藤謙次氏:会期が終わればですね。一方衆議院の場合には、そのあと火曜日になりますから9日。ここで衆参同時選挙の条件が整って、21日が投票日と。
徳永有美アナ:21日の場合は、まずはこの参院選の公示日だということだけ考えれば、この日(21日)が参院選ということですよね。
後藤謙次氏:そうですね。これだけ単独でやる場合には、これなければこうなるわけですよね。ただ衆議院を合わせるとなるとこの衆議院がやってくると。
徳永有美アナ:そうなるとこの21日は衆参のダブル選挙になる。
後藤謙次氏:可能性があるんですけども、まだまだいろんな条件があってですね、特に与党の公明党が大反対。ここで衆参両方負けたら安倍さん退陣になりますよという警告をしている。一方で自民党の中でも、参議院のためになんで衆議院もやんなきゃいけないんだと。ここでちょぼちょぼ勝っただけだったら、選挙が終われば安倍さん責任が問われますよと。
徳永有美アナ:ちょぼちょぼ勝っただけっていうのは。
後藤謙次氏:つまり今の現有議席よりもちょっと上になるくらい。その程度だったらやる意味ないでしょうと。となると、今は安倍総理周辺からはまだそういう声が出てきてないんですね。つまり与党の中にも反対論がある。一方で安倍さんから確たるものがない。ただ一方でまだやるべきだと。今やらないと来年のパラリンピック以降しか選挙やるタイミングがなくなるという二つの論が今ぐるぐる回ってるというような状況ですね。
徳永有美アナ:例えばじゃあ今自民党が勝てるのかということを考えた場合、世論調査の結果があるんですけれども、参院選の比例の投票先(報道ステーション世論調査)では、自民党が35.9%、立憲民主党が9.9%ということで以下このようになってるんですけども、この数字を見てみるとどうなんですかね。
後藤謙次氏:やっぱりそれでもまだ無理だと思いますね。五分五分の域は出ないと思います。これからジグソーパズルのピースが一つ一つどう埋まっていくのか、それを見ないと分からないと思いますね。
徳永有美アナ:安倍総理はどのように考えているんでしょうか。
後藤謙次氏:まだ迷っておられると思います。
徳永有美アナ:そうですか。
後藤謙次氏:一向に声が聞こえてきません。
徳永有美アナ:来週あたり動きは活発になっていきそうですか。
後藤謙次氏:来週以降、とにかくトランプ大統領が離日したあと、いよいよ内政の季節になりますから、そこを見てみないと分からないと思いますね。
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【検証部分】
今回検証する発言は以下の部分です。
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後藤謙次氏:(衆院解散の)可能性があるんですけども、まだまだいろんな条件があってですね、特に与党の公明党が大反対。ここで衆参両方負けたら安倍さん退陣になりますよという警告をしている。一方で自民党の中でも、参議院のためになんで衆議院もやんなきゃいけないんだと。ここでちょぼちょぼ勝っただけだったら、選挙が終われば安倍さん責任が問われますよと。
徳永有美アナ:ちょぼちょぼ勝っただけっていうのは。
後藤謙次氏:つまり今の現有議席よりもちょっと上になるくらい。その程度だったらやる意味ないでしょうと。となると、今は安倍総理周辺からはまだそういう声が出てきてないんですね。つまり与党の中にも反対論がある。一方で安倍さんから確たるものがない。ただ一方でまだやるべきだと。今やらないと来年のパラリンピック以降しか選挙やるタイミングがなくなるという二つの論が今ぐるぐる回ってるというような状況ですね。
徳永有美アナ:例えばじゃあ今自民党が勝てるのかということを考えた場合、世論調査の結果があるんですけれども、参院選の比例の投票先(報道ステーション世論調査)では、自民党が35.9%、立憲民主党が9.9%ということで以下このようになってるんですけども、この数字を見てみるとどうなんですかね。
後藤謙次氏:やっぱりそれでもまだ無理だと思いますね。五分五分の域は出ないと思います。これからジグソーパズルのピースが一つ一つどう埋まっていくのか、それを見ないと分からないと思いますね。
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この発言の問題点は以下の2点です。
1.解散の有無について多くの論点を述べていたか
2.印象操作と思われる発言があった
1点目から見ていきます。
後藤氏は解散の有無について、連立与党を組んでいる公明党や自民党内から反対の声がある一方、タイミング的には今解散するしかない、と一見解散の有無について公平に解説しているように思われます。
しかし、解説を読み解くと、解説に根拠がないことが分かります。
公明党からの解散反対については、政権を失うリスクがある、という理由を述べていますが、それ以外の部分については理由・根拠がない解説となっています。
特に、自民党内からの解散反対の理由について何もわかりません。
後藤氏の解説では、衆院を解散して、今の議席より少し上回るぐらいの結果であれば安倍総理の責任が問われるとのことですが、今の議席より伸ばしてなぜ責任を問われるのでしょうか。
解説として不十分なものであると言わざるを得ません。
なぜ議席を少し伸ばしたという結果では問題があるのか、という論点について客観的に解説を行い、論点を明らかにする必要があると思われます。
このような発言は以下の放送法に、抵触する恐れがあります。
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放送法第4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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続いて2点目の問題点について見ていきます。
報道ステーションの参院選の比例の投票先に関する調査では、野党第1党の立憲民主党と比べ、自民党の支持率は約4倍、という調査結果が出ています。
この調査について、後藤氏は「それでも(勝つのは)まだ無理だと思いますね。五分五分の域は出ないと思います。」と述べています。
しかし、この主張には根拠がなく、後藤氏の主観によるものです。
このような根拠のない、主観による解説は視聴者に誤った印象を与えかねず、我々は問題であるととらえます。
視聴者の会は、公正なテレビ放送を目指して監視を続けてまいります。