2020年10月1日 報道ステーション(後編)

2020年10月1日 報道ステーション(後編)

10月1日の報道ステーションのレポート、後編です。
今回検証するのは次の点です。

・さまざまな論点をとりあげた放送だったか

まずは放送内容を確認します。
——-
【VTR】
ナレーション(以下ナレ):アメリカ大統領選のテレビ討論会から一夜明けましたが非難の応酬は続いています。

バイデン 前副大統領『トランプ大統領はいつものようにふるまった。国の恥としか思えない』

ナレ:こう批判した民主党のバイデン候補。トランプ大統領は討論会の90分、話をそらすことしかしなかったとも指摘しました。一方のトランプ大統領は…。

トランプ大統領『昨夜の討論会はすばらしかった。良い評価の声が寄せられている』

ナレ:こう自画自賛したうえで、「昨夜のバイデンは弱く見えた。どの角度から見ても私の勝利だったと強気の姿勢を崩していません。

——-
【コメンテーターによる解説】
富川悠太アナウンサー(以下富川アナ):前日の討論会であれほど批判されたのに。

森川夕貴アナウンサー:思いました。国民から、メディアからいろんなフィードバックがあっただろうにまだ一夜明けてもああいうことをやり続けていると思うと。

富川アナ:変わらずの批判合戦でしたね。

朝日新聞国際報道部記者 梶原みずほ氏(以下梶原氏):あと2回今月、討論会がありますからどこかで軌道修正するかと思ったんですがもしかしたらこのままで同じやり方でいく可能性もありますよね。

富川アナ:何かしらのルールを設けるという話も出てきていますね。

梶原氏:史上最悪、カオスというひどい評価でしたので。ちょっと世界のリーダーを選ぶ選挙がこんな感じだとちょっと驚いてしまいますね。

富川アナ:私たちが国民だったら政策をちゃんと聞きたいですね。

【検証部分】

大統領選のテレビ討論会についての放送です。

討論会の様子は確かに質の良いものではありませんでしたが、その要因として司会者がバイデンに寄った立場であったことを見逃してはなりません。
司会のクリスウォレスはFOXニュースのキャスターです。
FOXニュースは保守的ですが、ウォレス氏はややバイデンに寄っているようです。

バイデン氏に関する疑惑の話題になると司会が話題を変えるということが目立っていたのです。
米国政治、特に保守派の動向に詳しいアナリストの渡瀬氏の論稿を取り上げてみます。
——————————————————————————————————
バイデン元副大統領は次男であるハンター・バイデンの疑惑について明確に答えることができていなかった。トランプ大統領が指摘したハンターのロシアや中国との不明瞭な資金の流れに関する疑惑は、連邦上院議員によって正式に報告書として提出されて指摘されているものだ。たしかに、同報告書だけで正確な裏付けがあるスキャンダルだと断定できないが、バイデン元副大統領はそれが「事実ではない」と否定するだけでは根拠として弱い。トランプ大統領であればリベラル系の大手メディアからの100%袋叩きにされる事案である。

今回の討論会中、司会のクリス・ウォレスがハンター問題に話題が及びそうになると、巧みに論点のすり替えを行ったために、バイデン元副大統領はレフリーストップで事なきを得ている。しかし、今後連邦議会において同スキャンダルの検証が進んだ場合、それが大スキャンダルに発展する可能性もゼロではない。また、その他のスキャンダルの火種としては、ダーラム検事が調査中の2016年大統領選挙におけるオバマ政権によるトランプ陣営のスパイ疑惑についても火種が燻り続けている状態となっている。

《渡瀬裕哉 トランプとバイデンの限界を露呈した第1回大統領候補者討論会
https://www.newsweekjapan.jp/watase/2020/10/1.php
》より抜粋
——————————————————————————————————

また森川アナ「国民から、メディアからいろんなフィードバックがあっただろうにまだ一夜明けてもああいうことをやり続けていると思うと。」などとトランプ大統領を評価する声を無視した発言がありました。
しかし、トランプ大統領の支持者からの支持はかなり強固で、トランプ大統領を評価する人は多いといえます。ここがバイデン候補と異なる特徴です。

トランプ大統領は熱狂的な支持者を抱えており、討論会でもトランプ大統領を評価する声は多くありました。
一方バイデン候補が支持を集めている理由は「反トランプ」という点が大きく、絶対的にバイデン候補を支持する支持者は多くないと見られています。
そのため討論会でもトランプが良くなかった・良かったという意見は多くても、バイデン候補が良かったという見解は案外多くないのです。

こういった論点を取り上げずに放送を行うことは次の放送法に抵触する恐れがあります。

——————————————————————————————————
放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
——————————————————————————————————

視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して監視を続けてまいります。

報道ステーションカテゴリの最新記事