2019年10月1日 報道ステーション

2019年10月1日 報道ステーション

10月1日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。

・VTR中のデモ隊と警官隊の会話の翻訳が、実際の会話内容と異なっている可能性がある

放送内容を確認していきます。

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【スタジオ】
富川悠太アナウンサー(以下富川アナ):こんばんは。「報道ステーション」です。まずは、香港の大学生が撮影した映像からご覧ください。警察官がデモ参加者の胸に銃口を向けましてご覧のように至近距離から実弾を撃ったんですね。

徳永有美アナウンサー(以下徳永アナ):香港メディアによりますと撃たれたのは高校生だということです。
6月から続く一連のデモで参加者が警察官から実弾で撃たれたのは初めてのことです。

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【VTR】
ナレーション(以下ナレ):警察が市民に向け拳銃を発砲。左胸に弾丸を撃ち込みました。デモ隊を排除しようとした警察が手にした銃をデモ参加者に発砲。撃たれた側はその場に倒れ込みます。ほかのデモ参加者が駆け寄りますが警察に取り押さえられます。発砲の瞬間を間近で撮影したものがこちらです。

(事件当時の映像)

ナレ:これらは香港の大学生が撮影した映像です。

(撃たれたデモ参加者が倒れている映像)
撃たれたデモ参加者『胸が痛いです。病院に……』
デモ参加者『救急車を呼んでくれ!』
警察『すでに呼んでいる』
デモ参加者『お前たちを信じられるか!』

ナレ:その後救急隊が駆け付けました。香港メディアによると撃たれたのは男子高校生です。また、警察は18歳だと発表しました。左胸を撃たれ重体だといいます。17週にわたって続いている香港デモで初めて、実弾がデモ隊に向けられたのです。今日は、中国の建国記念日の国慶節。それも建国70年という節目の年で北京の天安門広場では過去最大規模の軍事パレードが行われました。演説で習近平国家主席は香港についてこう話しています。

習近平国家主席『我々は平和統一と一国二制度の方針を維持しなければならない。香港とマカオの長期的な繁栄と安定を守る。偉大な中華人民万歳』

ナレ:一方、この日香港で行われていたのは…。

(デモ行進の映像)群衆『国慶ではない。国難のみだ!』

ナレ:国慶節に合わせた大規模な抗議デモです。中国本土にノーを突き付ける香港市民からは民主的な選挙を求める声が高まっています。

デモ参観者『香港はまるごと中央政権に支配されたと香港人は思っている。中国共産党の建国70周年の日なので街に出てこの政権に抗うと表明したい』

南出拓平記者(以下南出記者):デモ隊が中国70周年建国のポスターを粉々に踏みつけていきます。

ナレ:こうした流れの中迎えた今日の国慶節。市民の反感の高まりとともにこれまで市民を強制的に抑えてきた警察への不信感もピークに達していました。

市民男性『コソコソするな! 公僕だろ』

ナレ:そして、ついに…。

(暴動の映像)

ナレ:午後、市民と警察との間で激しい衝突が起きたのです。これまでは警察が強硬姿勢に出るとデモ参加者は一斉に逃げることがほとんどでした。しかし、今回は市民側が一歩も引かず最後は警察を押し返したのです。これに対し、警察も催涙弾や放水車で対抗します。ただ、今日の大規模デモは香港市内の至るところで起きていました。後退する警察の中には銃をデモ隊に向けている光景も見られます。こうした状況の中警察が市民に発砲するというあってはならないことが起きてしまったのです。もともとデモ隊は一連の抗議活動での警察の暴力的行為に検証と謝罪を求めています。今後、市民の反発は必至です。香港政府によると31人が怪我をし、うち2人が重体だといいます。

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【記者レポート】
富川アナ:ここで現地で取材を続けています南出記者と中継です。南出さん、今日は中国にとって建国記念日という非常に大切な日絶対に失敗できない日だったわけですけどなぜこのようなことが起きてしまったのでしょうか。

南出記者:考えられることとしてこの国慶節に向けた香港警察の警備態勢の異常さということがいえると思います。この週末、土曜日のデモの際なんですがこれまでデモ隊が出発しその後、一部暴れた市民らを警官隊が排除するというようなことがこの4か月間の香港警察のやり方だったんですがこの土曜日は市民らが集まった瞬間警官隊が突入され催涙弾を撃ち強制排除に乗り出しました。今日の朝も集会準備をしていた市民らを次々と逮捕し集会の中止に追い込みこういった中国政府のメンツをつぶせないこういった緊張感の高まった日に起こってしまったことだと考えられます。

富川アナ:これは警察官のミスだったと考えていいんでしょうか?

南出記者:当然、実弾を市民に向けて撃つという命令を出すことはないので映像からも、もみ合った中で撃ってしまったと捉えるのが適切かとは思うんですがただ、その前提として市民に銃口を向けている時点でこういったことが起こってしまうので市民のとらえ方としてはこの一件の怒りを増幅させる要因としてデモが過激化することは十分に考えられると思います。

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【コメンテーターによる解説】
富川アナ:まさに今日の事態で1つまた事態が進んでしまったことになります。

徳永アナ:どのような状況であれ実際に、実弾で撃たれて重体の人も出てきてしまった。明らかに一線を越えてしまったと。

後藤謙次氏:今回初めて実弾が使われたということについて日本政府関係者は中国当局が大きな国慶節のイベントが終わってこれからは違うんだぞと。実力行使も辞さないんだ。そういう意思表示の1つの表れではないかとの見方もあるんですね。ただ、30年前の天安門事件と大きく違うのは国際社会から非常に監視の目にさらされている。香港というところが舞台ですからあのような戦車を投入するということではなくてもっと巧妙な形でこのデモ隊を抑え込んでいくと。一方、デモ隊のほうも今日は決戦日と名付けてひるんではならないこれ以上我々委縮してはならないということで真正面からぶつかり合っていくという意味では明日から違う局面に入るといっていいと思いますね。

徳永アナ:一方で日本政府なんですが日本政府ができることというのはあるんでしょうか。

後藤氏:日本の立ち位置というのは米ロと同じように香港の民主化ここを基本に置くんですけども習近平国家主席の来年の来日を控えてやはりその最前線には立たないんだと。第2列に立って、習近平政権を説得しつつそして、香港も眺めつつと非常に難しい立ち位置を模索すると。そういう立場だと政府関係者は言っていました。
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【検証部分】

検証するのは以下の部分です。

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(撃たれたデモ参加者が倒れている映像)
撃たれたデモ参加者『胸が痛いです。病院に……』
デモ参加者『救急車を呼んでくれ!』
警察『すでに呼んでいる』
デモ参加者『お前たちを信じられるか!』
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この部分ですが、香港で民主化活動をしている周庭(アグネス・チョウ)氏は本当の会話内容は以下の通りだとツイッターで主張しています。

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参加者:救助を呼んできてくれ!
警官:彼らは本物の救助隊か!
参加者:もちろん!彼らは救助資格を持ってる、お前は持ってるのか
警官:資格なら私も持ってる
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警官は「救助をすでに呼んでいる」と一切言っていないにも関わらず、今回の報道では香港警察が撃たれた高校生を救助しようとしているような描写になっています。

またテレビ朝日は字幕を訂正したバージョンを同じ日の放送後にインターネットへアップしています。
なぜテレビ朝日はこのような字幕のミスが起きたのか、どのような間違いだったのかを説明した上で、視聴者への影響を考えインターネットではなくテレビで訂正したバージョンを放送するべきです。

視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して今後も監視を続けて参ります。

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