12/12テレビ朝日「報道ステーション」の報告です。
今回の報道ステーションは上のグラフのようなニュース配分でした。他の番組もおおむねこのような配分だったことでしょう。
さて、今回偏向報道の疑いがあったのは、防衛問題のニュースです。放送を振り返りましょう。
まず、富川アナウンサーがスタジオのフリップを使って、アメリカからの防衛装備品の輸入増加によって、来年度の防衛費が「急増する可能性がある」と伝えます。
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VTRに移り、アメリカの防衛産業が活況に沸いていることを報じます。
さらに、自衛隊の幹部の発言や自民党の国防族議員へのインタビューを放映し、防衛の現場や日本政府に価格交渉の主導権がないことを伝えます。
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その後、スタジオにカメラが戻ります。
スタジオでの発言は以下の通りです。
富川アナウンサー「日本の防衛予算が過去最大に膨らもうとしているんですね?」
後藤謙次氏「そうなんですね。防衛予算というのは、この国をどう守るか、その基本戦略がまず決まって、それにかなう防衛装備品は何かと。こういって購入するものが決まってくるんですね。」
「ところが今回はこの予算編成時期に合わせて、これまでの防衛省の方針とは全く違う兵器が次から次へと予算要求されていると。とりわけ、長距離巡航ミサイルですね、あとはイージスアショア。この種の議論が全くされていないんですね。(中略)自民党の中でも一部防衛関係の部会、あるいは調査会で議論はされていましたけれども、国会では全く議論がないんですね。そのまま予算が付けられ、事後承諾のような形で来年の通常国会が開かれるということはですね、日本の将来にとって、非常に危惧を覚えざるを得ないですね。」
富川アナ「敵基地攻撃能力を持っていて、もちろん攻撃するつもりはないと言ってもね、他の国がどうとらえるかというのは別の話ですからね。」
後藤氏「現にもうロシアなんかはすでに反応し始めていますからね。そこもきちっと考えてもらいたいと思いますね。」
いかがでしょうか?
「これまでの防衛省の方針とは全く違う兵器が次から次へと予算要求されている(原文ママ)」ことを後藤氏が問題視しているのであれば、ここまで近隣諸国情勢が緊迫する中で、その対応のために日本が防衛装備品を購入して防衛力を向上させたり、敵基地攻撃能力を保有したりすることは、いけないことなのでしょうか?
また、「議論が生まれていない」という指摘もありましたが、この部分は誤りです。11/22に敵基地攻撃能力について安倍首相は国会の代表質問で発言していましたし、時間の多少はありましたが、メディアも北朝鮮情勢を報じ、その文脈で敵基地攻撃能力について触れていました。
国会でモリカケ問題を追及する一部の野党の姿ばかりがマスコミに取り上げられたため、後藤氏も思わず勘違いをしてしまったのでしょうか?
加えて、今回の報道は「来年度の防衛費の増額」という問題を前半に扱い、その流れから現在話題に上がっている「敵基地攻撃能力の保有」について後藤氏らや富川アナが意見を述べるという構成でした。
しかし、この報じ方をそのまま受け取ると、あたかも敵基地攻撃能力の保有が決定し、来年度にもその体制が整えられるようにも思えてしまいます。あくまで敵基地攻撃能力はまだ検討段階のものであるにもかかわらず、これでは視聴者が「防衛費の増額」と「敵基地攻撃能力」を混同してしまうかもしれません
この2つの問題を並列して論じるのは、正しいあり方なのでしょうか?
今回のレポートは以上になります。
今後も監視を続けていきます。