2020年11月11日 報道ステーション

2020年11月11日 報道ステーション

11月11日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。

・政治的に公平な放送であったか
・さまざまな論点から放送がなされていたか

まずは放送内容をみていきます。
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【放送内容】
小木逸平アナウンサー(以下小木アナ):続いてはアメリカ大統領選挙です。バイデン氏は
各国の首脳と相次いで電話会談を行うなど着々と政権の移行に向けた準備を進めています。しかし、一方のトランプ大統領は共和党内からもバイデン氏の勝利を認める声が出ています。

ナレーター:”WE WILL WIN”「この不正選挙を人々が受け入れることはない」そんなツイートを繰り返しているトランプ大統領ですが、状況は変わりつつあります。1月20日の就任式に向け準備が進む首都ワシントン。この日、周辺で行われていた集会は選挙とはもう関係ないものでした。

集会参加者:医療保険が危ないぞ!徹底抗戦しよう!大きな声で!医療保険が危ないぞ!徹底抗戦しよう!

ナレーター:医療保険制度のオバマケア。その撤廃の可否を争う違憲訴訟の審理が最高裁で始まったのです。トランプ大統領が忌み嫌っていたオバマケアですが、最高裁は存続させる可能性が高いとの見方が強まっています。

集会参加者:パンデミックが続く中、医療保険に加入できなければ、この危機を乗り越えられない。

ナレーター:この日の会見でバイデン氏が強調したのはポストコロナのためのオバマケア拡充でした。

バイデン候補:新型コロナの合併症が新たな持病とされ、保険料の引き上げや加入拒否の理由とされるかもしれません。1月20日からハリス次期副大統領とともに全力をあげて医療費負担軽減に努めると約束します。オバマケアの大幅な拡大から始まります。政権移行の準備に変更はありません。トランプ政権が我々の勝利を認めなくても我々の移行準備の流れに変更はありません。

ナレーター:国内政策の見直しだけでなく各国首脳との会談など外交面も動き始めています。

フランスマクロン大統領:今回の選挙であなたとハリス氏にお祝いを申し上げます。

ナレーター:この状況にポンペオ国務長官は…。

記者:各国首脳がバンデン氏と電話会談をしていますが?

司会:次の質問を。

ポンペオ国務長官:国務長官の私には世界中から連絡が来ている。世界がアメリカの選挙に注目し、手続きに時間がかかることも理解している。トランプ政権が2期目に向けて円滑に移行されるはずだ。よろしいかな?

ナレーター:ただ、トランプ政権内では国防長官の解任に次いでアンダーソン国防次官代行ら高官3人が辞任。トランプ大統領に忠実な人物が後任に就いています。

下院軍事委員会 スミス委員長(民主党):政権移行中に国防総省の高官を入れ替えるほど危険なことはない。国防総省の骨抜きが始まったといえる。大統領就任式までの70日間はよくて不安定、最悪の場合は危険な状態になる。

ナレーター:不安定な現状に共和党内からはこのような意見も出るようになってきました。

ステープルトンモンタナ州務長官(共和党):私自身もモンタナ州としてもあなたを支持していきました。でももうおしまいです。つらい気持ちをこらえ、バイデン氏を祝福しましょう。

ナレーター:ロイター通信などの調査では共和党員のおよそ6割がバイデン氏の勝利を
認めています。4年前の今ごろはちょうど引き継ぎが始まっていました。トランプ大統領に対して今、バイデン氏が思うことは…。

記者:これを見ているであろう、トランプ大統領に一言

バイデン候補:大統領、お話をするのが楽しみです。いまの状況は率直に言って恥ずべきことだと思っています。どういう言い方が差し障りがないのか。このままだと大統領の業績に汚点を残すことになります。

【スタジオ解説】
徳永有美アナウンサー(以下徳永アナ):なかなか政権移行がスムーズに行われていないようなんですが、菅総理は明日にでもバイデン氏と電話会談を行うようですがどこに注目されますか。

梶原みずほ朝日新聞国際報道部記者:日本が最も注視すべきはバイデン氏の対中姿勢だと思うんです。トランプ政権は軍事的に派遣を進める中国に対して強硬姿勢をとってきたわけですが、今後については懸念があります。例えば、バイデン氏の考える予算配分というのは国防費よりも社会保障そしてインフラ投資など内政重視となる見込みなんです。つまり、国防費が減れば米中のパワーバランスも変化してくる可能性がある。明日はアメリカの外交姿勢についてしっかり注目していきたいと思います。

小木アナ:安全保障でいうと今の空白状態といいますか、これもやっぱり世界がどう見ているか、心配なところちょっとありますね。

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【検証部分】
まず検証したい点として放送前半のオバマケアに関する報道です。
オバマケアを望む集会参加者の声やオバマケアを推進するバイデン氏の主張のみが紹介されており、米保守派の主張は放送されませんでした。

アメリカの保守派は小さい政府を実現し、税金や規制をなるべく少なくするという理念のもと活動しています。
トランプ氏の支持団体であるキリスト教福音派などもこの保守派に属されます。
こういった保守派は社会保障費がかかるオバマケアなどの政策は当然反対です。反対派の声を放送しないことは、政治的なバランスに欠け、次の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(2)政治的に公平であること
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また米民主党は軍事費を10%削減するような法案を提出するなど、アメリカの軍事的なプレゼンスを下げようとしていることが明白です。
平和外交的な理想主義を掲げており、バイデン政権下においてアメリカの軍事費が低下することで、日本・台湾などの安全保障にも影響を及ぼす可能性があります。

また内政においてもグリーンニューディールなどという環境政策に関するバラマキを提唱しており、環境規制が増え、経済にも影響が出る可能性があります。
トランプ政権は環境規制を緩和し、経済を優先させることでアメリカの景気を回復し、オバマ政権で低下した国防費を戻しました。
経済と国防は表裏一体ですから、経済の面からも論じる必要があります。

安全保障について論じるのであれば以上のようにさまざまな論点から論じ、トランプ政権と比較していく必要があるといえます。
このような放送は次の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して監視を続けてまいります。

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