2020年11月15日 サンデーモーニング(前編)

2020年11月15日 サンデーモーニング(前編)

11月15日のサンデーモーニングのレポート前編、新型コロナ第3波と政府の対応方針について報道された部分です。

今回検証するのは以下の点です。

・さまざまな論点を取り上げた報道であったか

まずは放送内容を確認していきます。
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【VTR】(要約)
 新型コロナの“第3波”が到来し、各地で感染者数が過去最多を記録。医療体制がひっ迫している中、経済活動と感染対策をどう両立するかが議論されている。「GoToトラベル」事業については、菅首相は現時点での見直しについて否定的な考えを示し、また赤羽国土交通相は、現在来年1月末までを予定している利用期間の延長を検討していると明かした。

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【パネル解説】(要約)
 全国の新規感染者は12日木曜日から3日連続で過去最多を更新。またここ1週間で北海道から大阪まで12の道府県で新規感染者が過去最多を記録している。一方、菅総理は緊急事態宣言やGoToキャンペーンの見直しについて否定的な考えだ。

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【コメンテーターによる解説】(一部要約)

東京都市大学教授 涌井雅之 教授:東京では1日1000人を超す可能性があるという数値も出ていますが、自殺者が増えており経済との両立は外せません。われわれ自身の行動変容、PCRの徹底、医療崩壊の防止、この3つをしっかりシステムとしてやる以外に方法はないと思います。(要約)

国際医療福祉大学 松本哲哉 教授(以下松本教授):今のところ、社会に抑制する動きがなく、また感染者を減らす具体的な要因もありません。多くの方々が行動を変え、しっかり感染対策をやれば当然感染者数は減らせるでしょうが、今の勢いのままだと相当な数が増加することは覚悟しなければならないと思います。(要約)

ビジネスサイダージャパン編集長 浜田敬子 氏:もちろん経済との両立は必要だと思うんですけれども私は西村大臣がおっしゃったGoToを使うかどうかは皆さんの判断に委ねるという、ここにすごく今の政府の姿勢が表れてると思います。第1波も第2波も割と強力な対策を何か政府がしたというよりは私たち一人一人の行動変によって何とか抑えられた、だから今回もあなたたちが頑張ってねというふうに聞こえてしまう。それは政府が責任ある行動を回避しているのではないかと。例えば補償の問題やGoToを途中で中断することによって何らかのトラブルが起きたときに自分たちは責任を負いたくないから、みずからの判断で、行かないようにしてくださいねと。私は今の感染の拡大の状況を見るとやはり一人一人の意識の変容だけでは感染の拡大を止めるのは非常に難しいのではないかと思っています。そして、その影響が一番及ぶのが、医療機関で働いていらっしゃる方やエッセンシャルワーカーの人だと思うんですけどあるクリニックのお医者さんがおっしゃるのを聞いてびっくりしたんですが、1月に注文した医療用のマスクがまだ届いていないとおっしゃっていてこの間、医療機関への支援態勢、何をやっていたんだろうと思いました。なのでやっぱり経済対策も必要なんですけれどもやはり支援は一番最初に医療機関に対してしっかりとしたことをやっていく必要があるなと思っています。

関口宏 氏:松本先生、医療機関への何か、まだ手が届いてないところがたくさんあるんですか?

松本教授:ある程度大きな病院には優先的に回ったとしても、そうでないところはすぐには回らないことがあるかもしれません。いずれにせよ、第3波は予想より早く来ており、相当の感染者が出ていますので、感染症対策を優先して感染者を減らす方向にもっていかないと、確実に医療現場はひっ迫するし、やがて崩壊することもありえるのでそれはぜひ考えていただきたいと思います。(要約)

仁藤夢乃 氏:アルバイトで生計を立てている若い人が自宅待機や隔離を指示されると、生活が成り立たなくなります。安心して隔離生活を過ごせるよう、またそのあと生活していけるような保障や対策が必要だと思います。(要約)

【検証部分】
今回は、新型コロナウイルス関連の報道を取り上げました。この報道の中で問題となるのは、浜田氏のコメントが一面的な指摘であるという点です。

該当するのは、「もちろん経済との両立は必要だと思うんですけれども私は西村大臣がおっしゃったGoToを使うかどうかは皆さんの判断に委ねるという、ここにすごく今の政府の姿勢が表れてると思います。第1波も第2波も割と強力な対策を何か政府がしたというよりは私たち一人一人の行動変によって何とか抑えられた、だから今回もあなたたちが頑張ってねというふうに聞こえてしまう。それは政府が責任ある行動を回避しているのではないかと。」という発言です。要約すると浜田氏は政府の現在の方針を、責任を回避しようとして採っているものだと指摘しています。

実際に現在の日本政府は、感染拡大を抑えるための強力な措置は講じていないといえます。ヨーロッパ諸国などを見ると、夜間の外出禁止令などが出ており、それらと比べれば日本の措置ははるかに緩いのが現状です。

しかし、これが政府の責任回避の姿勢の表れで、嘆くべきことなのかについては検討する必要があります。政府の強力な措置は、感染拡大を抑制する効果がある一方で、国民の生活を不便にしたり、経済を停滞させたりする可能性があります。例えば海外では外出禁止令が敷かれている国もありますが、日本では要請にとどまり、そのような措置はとられていません。どちらの方が快適な生活かといえば、後者であることは明らかです。またどちらが経済を停滞させずに済むかと考えても、日本のような国の方がよいことは明らかです。強力な措置は、国民の生活や経済を犠牲にしなければなりません。可能であれば、そのような措置は控えるべきです。政府が強力な措置を講じるのは、あくまで最終手段として考えるべきことです。

しかし浜田氏は、強力な措置をとらずに国民の自由を守ろうとする政府の行動を、責任回避の表れだとしています。つまり、責任ある行動というのは、国民の自由を制限した強硬な措置を実施することだとしているのです。

また浜田氏のコメントでは、政府は国民に対して、「あなたたちが頑張ってね」と言っているとされていますが、こちらの発言に対しても同様のことがいえます。政府が国民の行動変容を強く求めるのであれば、強力な措置によってそれを強制するのが最も効果的です。強力な措置を取らないというのは、むしろ国民に過度の負担をかけず、できる範囲での対策をしてほしいという意味だと考えられます。

浜田氏の政府の方針に対しての発言は、政府の基本的な姿勢やあるべき姿、また大臣の発言の真意を無視した一面的で恣意的な内容であるといえます。

このような放送は次の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して監視を続けてまいります。

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