2020年11月25日 報道ステーション

2020年11月25日 報道ステーション

11月25日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。

・政治的に公平な放送であったか
・事実に基づいた放送であったか

まずは放送内容を見ていきます。
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【放送内容】
小木逸平アナウンサー(以下小木アナ)::安倍前総理の桜を見る会前夜祭の問題です。今日、菅総理が問われたのは当時の政権ナンバーツー官房長官としての過去の自らの答弁とその責任でした。

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【VTR】
枝野幸男立憲民主党代表:総理に関わる様々な危機管理を官房長官が知らなかったなんていう言い訳は通用しません。菅総理自身、この問題についての責任をどう感じておられるのか

菅義偉総理大臣:私自身も安倍前総理が国会において答弁された内容について総理に確認し、答弁してきたところです。

ナレーター:当時は、安倍前総理の説明に平仄を合わせて答弁したと説明しました。前夜祭の費用を巡っては参加者から集めた会費の総額との差額が5年間で800万円以上に上っていたとみられています。その差額分を安倍前総理側が負担したことを示す領収書をホテル側が作成していました。更にその宛名が安倍前総理が代表を務める資金管理団体晋和会だったことも関係者への取材で明らかになっています。当時、安倍前総理は差額は生じておらず補填はしていない。領収書もないと繰り返し説明していました。菅総理も…。

菅官房長官(当時、今年2月):総理が答弁したことが正しいと言ってるじゃないですか。

ナレーター:5000円の会費が安すぎるのでは?という野党の指摘に対しても…。

菅官房長官(当時、11月):ホテルニューオータニで五千円ではできないと言っていますが、決めうちはやめていただきたい。柔軟な価格設定を行うことはありえると思います。

ナレーター:こうした答弁も、結果として事実と異なっていた可能性が浮上しています。

福山哲郎参院議員:国会に対して例えば虚偽答弁をして申し訳ないことをしたとか、こういったことはあってはならないといった思いはありますか?

菅総理:お尋ねについて現在、捜査機関の活動に関わるため、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。

福山哲郎参院議員:「遺憾だ」とか「それはまずい」とか何か、行政府の長として総理、何かおっしゃっていただけませんか。

菅総理:捜査機関の活動に関わるため、私から答弁することは差し控えさせていただきたいと思います。

ナレーター:捜査活動に関わると繰り返し答弁を避けました。自身の責任については…。

菅総理:事実が違った場合は当然、私にも答弁した責任がありますから、そこは対応するようになるというふうに思います。

ナレーター:ただ、野党が安倍前総理に事実関係を確認するよう求めると…。

菅総理:私自身が聞いて、ここで申し上げるべきに立場にないと思っています。

ナレーター:後藤謙次さんは…。

後藤謙次氏:菅政権、今の菅体制を維持している人にとっては「それは安倍さんの問題ですよ」「今の政権には関係ない」この場をやり過ごしていくと思いますが、やはり菅総理は安倍前総理の下で7年8ヶ月大番頭として実質的No.2の官房長官をやっていた。負の遺産を継承したのだから、その精算の責任も現職の総理大臣としてあると言って良いと思います。
安倍政権時代に崩壊状態になった国会審議を取り戻すという意味でも先頭に立つ責任があると思います。

ナレーター:当の安倍前総理は今日会合に姿を見せましたが、疑惑には触れませんでした。

後藤謙次氏:政治的にはいろんな反響を呼ぶタイミングだと言える。安倍さんを快く思っていない勢力がこういう流れの中で次の新しいベクトルを動かそうというのがあると思う。
こういう大きい報道に直面して、政治的影響力が急速に衰えていくことは間違いない。

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【スタジオ解説】
徳永有美アナウンサー:梶原さんはこの問題、どういうふうにご覧になりますか。

梶原みずほ朝日新聞国際報道部記者:どれだけこの問題について国会で時間を費やしてきたかと思うと国会軽視としかいえなくて非常に残念ですね。菅総理は、今日答えを控えるとか、答える立場にないというフレーズを20回以上使ったんですけど、一方で事実がもし違った場合には当然、私にも答弁した責任があるとこうも言っているわけです。安倍元総理の発言を根拠に菅総理も発言してきたわけですので、事実関係をまず本人に確認する責任が菅総理にも生じてきたとこういうことだと思います。

【検証部分】

まず検証したい発言は放送で取り上げていた福山哲郎議員の発言です。

福山哲郎参院議員:国会に対して例えば虚偽答弁をして申し訳ないことをしたとか、こういったことはあってはならないといった思いはありますか?

これは菅総理が安倍前総理に確認をしながら国会答弁していたことについて、それは虚偽答弁ではないか、と詰め寄っているシーンの切り抜きです。
この福山氏の発言ですが、当時真偽がわからなかった疑いについて、結果的に間違っていたのだから当時の答弁は虚偽答弁であると指摘している、つまり菅総理の発言を遡及して責任を問うている内容です。

当時、それが虚偽のものであったか分からないにもかかわらず、結果から断定して虚偽答弁であると主張するのは正しいといえませんが、福山氏の発言をそのまま放送しています。

また説明責任や問題の責任を菅総理が取るべきだという野党の主張と同様の主張を後藤氏、梶原氏もしていますが、菅総理が責任を取るべきかどうかを判断するのは、有権者にあります。
この件に関して菅総理に責任がある、重要な問題だとすれば、選挙で示されるべきなのです。
それを野党の主張を重ねる発言を放送することは政治的なバランスを欠いており、次の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(2)政治的に公平であること
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次に後藤氏は「安倍政権時代に崩壊状態になった国会審議」と述べていますが、何をもった国会審議の崩壊とさしているのか定かではありません。
むしろずっと野党は憲法審査会に応じず、最近になってようやく、国民投票法改正に動きが見られましたが、これは2年以上棚上げされてきました。

野党は審議拒否も多く、野党には反省すべきことがあります。
また強行採決もよく問題になりますが、民主党政権時代には安倍政権の倍以上のペースで強行採決があったとされています。

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 3年3カ月の民主党政権は24回だったのに対し、24年12月以降の6年4カ月におよぶ安倍政権では27回だった。第2次政権以降の安倍首相の期間は民主党政権の倍近いのに「強行採決」の数はほぼ同じ、つまり民主党政権が倍のペースで行ったことになる。

《【政治デスクノート】民主政権、強行採決のペースは安倍政権の倍だった
https://www.sankei.com/premium/news/190504/prm1905040006-n1.html

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このように後藤氏の発言は事実に基づいていない発言である可能性があり、次の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(3)報道は事実をまげないですること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して監視を続けてまいります。

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