2020年12月13日 サンデーモーニング(後編)

2020年12月13日 サンデーモーニング(後編)

12月13日のサンデーモーニングのレポート後編、日本学術会議任命拒否への杉田官房副長官の関与について報道された部分です。

今回検証するのは以下の点です。

・事実をまげない報道であったか

まずは放送内容を確認していきます。
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【VTR】
関口宏氏:12月11日金曜日。日本学術会議の会員任命問題でこの日、杉田官房副長官が6人の任命拒否に関与したことを示す資料が見つかりました。これは今回の任命をする過程で作成された内閣府の内部資料です。手書きで、外すべき者(副長官から)とあり、日付は、6人が除外された決裁文書のものと同じでした。野党によると内閣府、この資料にある副長官が杉田官房副長官であることを認めたと言っています。これもまた大きくなりそうかな?

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【コメンテーターによる解説】
松原耕二氏:もう杉田副長官が関わっているということは菅総理も認めているわけですよね。だからそれが文書で裏付けられたということで6人を任命した理由というのは、まだ説明されていない。ただ、この水曜日、自民党のチームが学術会議を独立した組織にすべきだという報告書をまとめたんです。運営費はまだ一部出しますよと言っていますが要は政府の言うことを聞かないならばご勝手にどうぞと読み取れるわけですね。今回学術会議はどうあるべきかという在り方については議論されないまま総理の任命問題で、その援護射撃をするかのように有り様を批判して問うという、こういうやり方というのは結局、日本の国力をそいでしまうのではないかと懸念されますよね。

【検証部分】
今回は日本学術会議の任命拒否問題に関する報道を取り上げました。
今回問題となるのは、松原氏の発言が事実と異なる点です。

該当するのは「ただ、この水曜日、自民党のチームが学術会議を独立した組織にすべきだという報告書をまとめたんです。運営費はまだ一部出しますよと言っていますが要は政府の言うことを聞かないならばご勝手にどうぞと読み取れるわけですね。今回学術会議はどうあるべきかという在り方については議論されないまま総理の任命問題で、その援護射撃をするかのように有り様を批判して問うという、こういうやり方というのは結局、日本の国力をそいでしまうのではないかと懸念されますよね。」という部分です。
松原氏の指摘によれば、自民党のプロジェクトチームでは学術会議のあり方についての議論は交わされておらず、政府のいうことを聞かないという理由で運営費の拠出を中止する措置が講じられた、とのことでした。

ここで実際のプロジェクトチームの提言を確認します。提言では、学術会議のあり方の原則として、独立性の重要性を挙げています。しかしその一方で、独立性とは何かということが曖昧にされており、政治と行政の連携におけるあるべき姿が明確でないと指摘をしています。
日本学術会議には、科学を向上発達させ、行政、産業、国民生活に科学を反映浸透させることが期待されています。科学技術を社会のために最適に活用するにあたって、政府や政治との連携は不可欠です。その点で、日本学術会議の本来期待されている役割が十分に果たされていないと提言では指摘されています。

このような現状を踏まえて学術会議のあり方や政府との関係を検討した結果、日本学術会議は「独立した法人格」であるべきだとされました。そして「独立した法人格」であるためには、政府からの資金による運営という形態はふさわしくないとして、自己資金による運用が提言されました。
組織のあり方として、資金援助を受ける以上は、その資金を拠出する組織から独立性を確保して活動することは難しいです。一時的にそのようにできていたとしても、今後そのようなことが起きる可能性を排除することはできません。
ですから日本学術会議が政府からの独立性を確保するためには、政府の資金で運営を行っているという現状を変えなければなりません。

今回の自民党のプロジェクトチームの提言は、このような内容となっています。しかし松原氏は、日本学術会議のあり方について議論がなされていない、政府のいうことを聞かないならばご勝手にということで資金が止められた、という事実と異なる発言をしています。

このような放送は次の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(3)報道は事実をまげないですること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して監視を続けてまいります。

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