2018年3月14日 報道ステーション

2018年3月14日 報道ステーション

2018年3月14日 テレビ朝日「報道ステーション」の報告です。

今回の放送で一番時間を割いた話題は「財務省文書書き換え」についての話題でした。

今回はこの話題について検証していきます。
詳しく見ていきましょう。

【放送内容①】
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富川アナ「森友学園への国有地売却に関する決裁文書が改ざんされた問題で、当時理財局長だった佐川氏が国会に呼ばれて、早ければ来週にも証人喚問を行うという可能性が出てきました。ただ一方でですね、安倍昭恵夫人の証人喚問につきましては、与党が応じない構えを見せ続けているんですね。さあこれで野党の審議拒否が続く国会が正常化するんでしょうか。 」
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富川アナが安倍昭恵首相夫人と佐川前国税庁長官の写真を背景に、証人喚問について言及。その後VTRがスタートしました。

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VTRは当日の参院予算委の模様を放映。
ナレーター「財務省が森友文書の改ざんを認めてから初めての国会審議。冒頭、太田理財局長が謝罪しました。」
太田充理財局長「書き換えられた資料を国会に提出し、国会のご審議に混乱を招いてしまったことにつきましては、国会を冒涜するものであるとの批判は免れないものと考えております。大変申し訳ありません深くお詫び申し上げます。」
ナレーター「野党6党が欠席する中、与党が政権を擁護し財務省を追求する構図に。」
自民党・西田昌司参院議員「麻生大臣が文書の書き換えを指示したことはもちろんないでしょうね。」
麻生太郎財務大臣「私の方から文書の書き換えを指示したというご指摘は当たりません。ありません。」
西田議員「総理にも同じ質問をしておきます。ないでしょうね。」
安倍晋三総理大臣「当然私から文書の書き換えを指示したことは全くございません。」
ナレーター「5箇所に出てきた昭恵夫人の名前が消されていたことについては。」
西田議員「私はそのまま公表していただいて全く問題なかったと思うし、かえって消されることによってご婦人も総理も迷惑を受けたと思うが。」
安倍総理「この書き換え前の文書を見ても、私や私の妻が関わっていないことは明らかであろうと。」
ナレーター「改ざんされる前の文章には籠池氏の発言として、昭恵夫人が『いい土地ですから前に進めてください』と話したとする記載もありますが。」
安倍総理「妻に確認をいたしました。そのようなことは申し上げていないということでございました。」
西田議員「まあそういうのは当然だと思います。総理の忖度するとかいうんだったらまさにですね、出してる方がよっぽどいいわけですよ。
麻生財務大臣「少なくとも書き換えられた文章というのを見る限りは、それまでの国会での答弁、主として佐川ですけど佐川の答弁が誤解を受けることのないようにするために行われたということぐらいしか考えられない。」
矢倉克夫参院議員「佐川氏の関与というのが全くないと断言できるのか。」
太田理財局長「当時の理財局の最高責任者は佐川局長でございますし、国会で答弁を主として行っていたのも当然佐川局長でございますので佐川局長の関与といいますか、度合いと言いますかそういうものは大きかったんではないかと。」
公明党・横山信一参院議員「同じ官僚として何でわざわざ削除する必要があったのか」
太田理財局長「やっぱり国会で答弁をさせていただくということは大変責任が重いですし、正直に申し上げてものすごぐ緊張していることは事実でございます。ただそういう中でだからといって、自分が答弁したということとそれが誤解を招かないようにということで決裁書を書き換えるということは、私としてはどう考えてもそれは結びつく話ではありません。私にとっては理解ができない。」

ナレーター「これまで与党は佐川氏を国会に呼ぶことには否定的でした。しかし今日、自民党と立憲民主党の幹事長が電話で会談。」
続いて、立憲民主党の議員の発言を立て続けに放映。
立憲民主党・福山哲郎幹事長「『証人喚問含みということでよろしいですね』と確認をさせて頂いたら、二階幹事長からは『そう取ってもらって結構だ。』という答えがありました。」ナレーター「与党は一転、佐川氏の国会招致容認にかじを切りました。偽証罪に問われる証人喚問が実現する可能性も出ています。ただ野党は。」
立憲民主党・辻元清美国対委員長「安倍昭恵さんの証人喚問がやはり必要だと思うので、引き続きですねあの納得はしておりません。
ナレーター「その昭恵夫人の姿は、今日夕方総理公邸に。スリランカの大統領を招いた晩餐会に出席していました。」

VTRは続いて、森友学園への国有地売却をめぐる決裁文書自体への言及へと移ります。
ナレーター「改ざんされた文書については、今日また新たなことがわかりました。14ある決裁文書のほとんどを、近畿財務局の職員が最終的に決済していますが、ひとつだけ財務省本省が決済したものがあったのです。その一つとは貸付に関わる特例処理についての決裁書。ネット記事を引用する形で昭恵夫人が森友学園を訪問した際に感涙したなどの記述があったものです。このことが明らかになったのは国会ではなく財務省が野党に説明した場でした。」【放送内容②】
VTRは当日の野党合同ヒアリングの様子へと変わります。
希望の党・階猛衆院議員「昭恵夫人の記載が随所に出てきてるものは、決裁者が皆見たけれどもそこは問題ない。誰も異議をはさまなかった。つまり案件に関係がある話で無駄な記載じゃないと。
財務省国有財産企画課・井口裕之「かなり添付ファイルとしてついてるものについて、一つ一つを最後まで見る方ももいらっしゃれば、そうじゃない方もいると思いますので。」
ヤジ「組織の体を為してない。」

続いて、森友学園の籠池前理事長と財務省の会話を録音したテープなどを放送。
ナレーター「決裁した人を見ると、国有財産審理室長の名前も。この人物は財務省で籠池氏からの面会に応じていた田村氏(決裁当時の室長、田村嘉啓氏)です。」
森友学園・籠池前理事長 「籠池でございます。お邪魔せないかんなと前から思っておったんで。どういう内容かご存知ですか。」
田村氏「報告も受けています。もともとこの件の経緯が貸し付けするということが特例の承認で」
ナレーター「この田村氏。昭恵夫人付だった経産省職員からの問い合わせも受けていました。」
希望の党・今井雅人「安倍昭恵夫人のおつきから電話をもらって、相談を受けてるんですよ。昭恵さんが関わってたっていう風に、少なくとも田村市長は認識したと思いますよ。」
財務省理財局・富山一成次長「昭恵夫人の件については名誉校長にもなられてたということですが、ホームページ等で認識したけれども明確な時期を覚えていないといういうことです。

続いて、当日午後1時に財務省前で収録したVTRを放送。
リポーター「霞が関では今日、官僚を志望する人たちに向けた説明会が各省で行われています。こちら、財務省でもリクルートスーツに身を包んだ志望者でしょうか。続々と集まってきています。」
ナレーター「参加者によると、財務省の説明会では担当者が『私たちとしても残念に思っている』と改ざん問題に触れる場面もあったと言います。
リポーター「文書改ざんの指示が上からあったら?」
財務省を志望する大学生①「やってはいけないことなのでその辺はちゃんとルールというのを念頭において、自分のやるべきことを果たしていきたい。」
財務省を志望する大学生②「それ(改ざん問題)も含めて財務省と決めてるんで。圧力に負けずに初心を忘れずに一番は国民の意見を聞いてそれを反映する官僚になりたいです。」
ナレーター「財務省が文書の改ざんを行ったのは去年2月下旬から4月。この間に何が起きていたのでしょうか。事の始まりは2月9日朝日新聞が国有地が格安で売られた疑惑を報じたことでした。」

続けて、昨年2月の予算委員会での答弁や質疑を続けて放送します。
安倍総理「私や妻が関係していたということになれば、まさに私は間違いなく総理大臣も国会議員でもやめるということは、はっきりと申し上げておきたい。」
ナレーター「野党は疑惑を追及する調査チームを立ち上げ、現地を視察します。」
民進党(当時)辻元清美議員「大きいね。小学校。ちょっと掘り起こしてゴミみよか。」
ナレーター「当時、小学校の名誉校長に就任していた安倍昭恵夫人。しかしその写真がホームページから消え、潮目が変わったのが2月24日の国会でした」
民進党(当時)・今井雅人衆院議員「ホームページ見たら削除されていまして、早いなあと思いましたけどもまた隠蔽するのかという風に思いましたが。」
安倍総理「隠ぺいというのは私が指示したんですか。私がですね、私がですね、ホームページから、私が森友学園のホームページに対して、隠ぺいしようがないじゃないですか。そういうイメージ操作はやめるべきですよ。」
ナレーター「教育熱心と持ち上げていた籠池氏についても。」
安倍総理「非常にしつこい中に於いてですね、『教育者としてはいかがなものかと思う』と相手に伝えたところで。」
ナレーター「財務省は政治家の関与によって8億円値引きの交渉が行われたのではないかと追及されました。」
共産党・宮本岳志衆院議員「近畿財務局は森友学園と売買価格の交渉を行ったのでは?」
財務省・佐川理財局長(当時)「細かい会議の記録について手元にございませんので、確認できていません。」
宮本議員「確認していただけますか?」
佐川理財局長(当時)「通告もありませんし、今のようなご指摘については確認できておりません。」
宮本議員「確認しますね。」
佐川理財局長(当時)「個別の会議はたくさんあり、交渉記録は残っていないと思います。」
ナレーター「土地の売却に至るまでの交渉記録を提出するよう迫られると。」
佐川理財局長(当時)「確認をしたところ、近畿財務局と森友学園の交渉記録っていうのはございませんでした。」
宮本議員「いつ廃棄したんですか?」
佐川理財局長(当時)「速やかに事案終了で廃棄をしてるということだと思いますので記録が残ってございません。」
ナレーター「政治家の関与については。」
佐川「本件の時処分について、不当な働きかけは一切ございませんでした。」
安倍総理「(政治家の)不当な働きかけについては、メモ等々残すことは当然のことだろうと思う。それが一切ないと理財局長が答弁しているので、その通りだろうと思います。」
続いて、同日(2月24日の)菅義偉官房長官の会見の様子を放映。
ナレーター「さらに、国会の後の菅官房長官の会見では。」
菅義偉官房長官「決裁文書については、30年間保存するわけでありますからそこに(交渉経緯の)ほとんどの部分は書かれてるんじゃないでしょうか。
ナレーター「菅官房長官が決裁文書。ここにあったこれまでの経緯と題された部分は2月下旬以降ごっそり削除されました。複数の政治家や昭恵夫人の名前も改ざん後には全て消えたのです。再び去年2月下旬。この頃昭恵夫人から籠池夫人にはこんなメールが届いていました。『私が関わったということは、裏で何かがあるのではと疑われないように。細心の注意を払わなくてはならないということだったのでしょう。』」

【放送内容③】
続いて、昨年3月2日の国会の様子を放送。
民進党(当時)福山哲郎参院議員「(2015年)1月9日。近畿財務局と籠池理事長が面談をした事実をお答えください。
佐川理財局長(当時)「1月9日と言われましても、そこの記録があるわけではございませんが。」
ナレーター「2015年1月9日に学園側に貸し付け価格を伝えたのではないかと問われましたが。」
佐川理財局長(当時)「学園側にそういった価格について、予定価格について提示することはございません。
ナレーター「しかし改ざん前の文書にははっきりとこう記されています。
ナレーター「1月9日、近畿財務局が森友学園を訪問し、国の貸し付け料の概算額を伝える。」
ナレーター「この部分も2月下旬以降削除されました。財務省は学園側と事前の価格交渉はしていないと一貫して答弁を続けたのです。当時、小学校の開校を間近に控え、大阪府から認可が降りるのを待っていた森友学園でしたが、この頃から雲行きが怪しくなっていきます。」
籠池氏「これは確実に仕組まれていることです。
ナレーター「籠池氏は結局、小学校開校の認可申請後を自ら取り下げました。そして、籠池氏は証人喚問されることに。」

続いて、3月23日の証人喚問の様子を放映。
籠池氏「安倍昭恵夫人を通じて、色々なことをご相談申し上げたことはあります。」
ナレーター「この同じ時期に、決裁文書は情報公開請求されていましたが、財務省が改ざんした文書を開示したのは5月になってからのこと。それと同じものを国会にも提出したのです。
このナレーターの言葉を最後にカメラはスタジオへと戻ります。

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富川アナ「渦中の財務省は今どうなっているんでしょうか。現在の財務省の外観を映しながらですね、財務省担当の朝日健一記者にお話を聞いていきます。よろしくお願いします。(中略)この時間まで明日の国会に向けて作業をしている。
朝日健一氏「今現在理財局は仕事に国会だけでなく毎日野党からもヒアリングを受けてますし、与党の説明などにも参ります。またの文書の開示請求などもひっきりなしで、担当の職員というのはもう忙しくて、前日のことは覚えてるんだけどおとといのことはもうして覚えてないぐらい忙しくしているという状況なんですね。」
富川アナ「寝る時間もないくらい忙しくしていると。そういった今財務省の職員の皆さんはどう思ってるんですか。
朝日氏「財務省の職員の方にお聞きしますと、まさかという思いがあります。そういうことを口にする人多いです。こんなことが起こるとは。改ざんなんていうことが本当に起こるのかと。20年前に大蔵省時代に接待汚職事件がありました。それと重ねる人も多くて、省内の雰囲気は非常に暗いです。」
富川アナ「改ざんがまさか起こるとはと思ってる財務省の職員がっておっしゃってましたけど、担当者としては財務省の職員が改ざんするというのはどうです。可能性はあると思いますか。」
朝日氏「その自ら単独でやるということはなかなか考えずらいと思っています。例えば、今政策をやるということになっても、官邸がOK したものしか出してないよっていう担当の方もいたりしまして、やっぱりいろんなところに配慮しながら進めているというのも感じます。」
富川アナ「ただこれで国民の信頼が地に落ちてしまったような感覚もありますけれども、財務省の職員の皆さんはその状況を今どう思っていて、今後どうなると思っていますか。」
朝日氏「調査結果がどうなるかということになると思います。調査はまだ続いていましてそのヒアリングなどは、やっぱり担当者に一人5時間ぐらい聴取をしているということがあります。まずはそこの調査がどうなるかという部分に、やっぱり焦点が絞られると思います。富川アナ「じゃあなかなかこの先は見通せない?」
朝日氏「そうですね。この先どうなるかなというのは、これから対策がどうなるかなどはまだ考えられないような状況だという風に言う幹部もいます。」
富川アナ「後藤さん、財務省の職員の皆さんもなかなか先が見えないみたいですね。
後藤謙次氏「そうですね。私今日、財務省の幹部OBに取材したんですが、今息を詰めて見守ってるとそういう状況なんですね。OBからすればですね、なんでこんなことになっちゃったんだと。あの去年の2月に問題が表面化した際に、答弁も含めて様々な対応の仕方があったはずだと。そこのところは自分たちとしても理解できないと。静かに見守るしかないと。それから政治に対している色々思うことがあるけれども、今は沈黙しかないとそういう答えをしてましたね。」
富川アナ「色々思うところはあるけど、第二の前川さんみたいなことが出てこないですか。」後藤氏「その可能性は無しとはしないと思いますけども、今はそういう条件ではないということですね。」
富川アナ「なるほど。今日の国会はどうご覧になりましたか。」
後藤氏「今日二つと特徴があったと思いますね。一つは答弁。安倍総理、麻生副総理、太田局長の答弁を見てますと、これまで財務省問題財務省問題とこう言ってたのがですね、佐川氏の問題だという、佐川氏個人の問題という風に切り替えられて行ってる。それからもう一つはこの森友問題。そもそも土地があれだけなんで大きく値引きされたんだという問題からですね、書き換え問題に移ってると。それこそ書き換えはまさに財務省に特化された問題で政治との切り離しというのが今日の答弁で行われたなと。」
「その一方で国会全体の流れでは二階幹事長がですね野党の福山哲郎立憲民主党幹事長に対して、証人喚問を含めた対応するということを言ってですね、おそらく週内に国会が正常化して来週の月曜日に集中審議が行われてですね。そこで喚問も含めて招致の問題をどうするかという意味では今日2つの意味で大きな局面が変わったと思いますね。これにいかに政治が誠実に答えるか、そこにかかってると思いますね。そうしなければ政治不信が解消できないと思いますね。
富川アナ「朝日さん、証人喚問をされるかどうかわからないですけど、国会招致されて佐川さんが、ちゃんと真実解明に続くようなことを何か答えたりはできるんですかね。」
朝日氏「退任の際に、今調査中です捜査中ですのでという風な言葉で明言をしなかったので、同じことになるのではないかなということも考えられますね。
富川アナ「そうなると問題解決は難しいですね。」
後藤氏「そうですね。これ政治でしか解決できないんですね。それから総理と副総理。その2人のツートップがきちっといかにそれを国民に分かりやすく説明するかだと思いますね。富川アナ「そのツートップで思い出されることも?」
後藤氏「これ全く対応は違うんですが、30年前に同じような組み合わせがあったんですね。竹下内閣で、竹下総理とと宮沢喜一副総理、大蔵大臣。この二人がですね全然違いますが、リクルート事件の矢面にたちまして、最初に宮沢副総理が辞任をし、そしてその4ヶ月後に竹下総理が政治不信の広がりに責任を感じて、退陣を表明する。こういう事態があったんですね。それだけツートップの責任が重いということで、この政治不信を解消できるのは安倍さんと麻生さん。この二人しかいないと思いますね。」
富川アナ「なんとか真相解明にもつながってほしいと思いますね。」
この言葉を最後にこのコーナーが終了します。

【検証部分】
今回の放送の問題点は、大きく分けて2点ありました。
1点目は、画像などを使った印象操作の可能性があること。
2点目は、富川アナ、後藤謙次氏の両氏が印象操作的な発言を行っていること
以上の2点です。詳しく説明していきます。

まず、1点目についてですが、番組の冒頭、富川アナの背景には安倍昭恵夫人と佐川前国税庁長官の大きな写真が置かれていました。つまり、公文書の取り扱いや国会対応に不備があったとして辞任した佐川氏と、未だに森友学園への国有地の売却への関与が証明されていない昭恵夫人を並べたということになります。この場面から番組がスタートすることを考えれば、視聴者は終始「佐川氏と同様に、昭恵夫人もこの問題に大きく関与している」という強い印象を受けたまま番組を見続けるということになります。
また、番組は安倍総理の「私や妻が関係していたということになれば、まさに私は間違いなく総理大臣も国会議員でもやめるということは、はっきりと申し上げておきたい。」という発言を放送したり、昭恵氏が関わっている可能性が疑われるような取り上げ方を繰り返したりしていました。
つまり、①昭恵夫人が国有地売却に関わったという印象を画像や放送内容で視聴者に与え、②「昭恵夫人が関与していた=総理は国会議員すらも辞めなければならない」という考えに視聴者を誘導していました。
国有地売却問題については、改ざん前の文書でも、昭恵夫人が関与した明確な証拠がなく、いまだ事実関係に争いがある状態です。それにも関わらず、上記の2ステップを踏むことによって、あたかも安倍夫妻が問題を引き起こしたかのような印象を与えていたのです。
このような番組構成は、放送法第4条第2項「政治的に公平であること。」に抵触している可能性があります。

2点目についてですが、富川アナは繰り返し、財務省の職員が今回の改ざんをしたことについて同席した朝日氏に尋ねています。
例えば、富川アナは「「「改ざんがまさか起こるとは」と(財務省の職員が)思ってる」っておっしゃってましたけど、担当者としては財務省の職員が改ざんするというのはどうです。可能性はあると思いますか。」と発言しましたが、それに対して朝日氏は「その自ら単独でやるということはなかなか考えずらいと思っています。例えば、今政策をやるということになっても、官邸がOK したものしか出してないよっていう担当の方もいたりしまして、やっぱりいろんなところに配慮しながら進めているというのも感じます。」と発言。
これは「財務所の職員が単独で書き換えることはなかなか考えずらく、官邸、あるいは政府の指示がなければこのような書き換えはしない」という意見にも聞こえます。その発言以前の流れからは、「財務省の職員がいかに苦労しているか」ということを視聴者に伝えたいような意図も透けて見えます。これは、現在明らかになっている事実と明らかに異なるというわけではありませんが、番組や出演者の想像も盛り込まれており、完全に事実のみを伝えているということにはなりません。したがって、放送法第4条3項「事実は曲げないで報道すること」に違反している可能性があります。
また、後藤氏もリクルート事件を例にとり、当時の竹下登総理と宮沢大蔵大臣がそろって辞任したことを紹介していました。これは、暗に安倍総理と麻生財務大臣に辞任を求めているとも捉えかねられないような発言であり、印象操作が疑われます。後藤氏は「違う例だが」という補足を付けてはいましたが、公平性には欠けるように思えました。

今後も監視を続けます。

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