2019年8月12日 報道ステーション

2019年8月12日 報道ステーション

8月12日の報道ステーションのレポートです。
今回検証する点は以下の点です。

・後藤氏による日韓関係に関する解説

まずは放送内容から確認していきます。

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【スタジオ】
富川悠太アナ:やられたらやり返すということなんでしょうかね。

富川アナ:韓国の文在寅大統領が、日本への具体的な対抗措置に出ることを明らかにしました。日本に何か影響が出る恐れはあるんでしょうか。

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【VTR】
ナレ:笑顔で現れた文在寅大統領から出たのは日本への厳しい批判でした。

文在寅大統領:かつて日本帝国主義から多大な苦痛を受けた私たちとしては日本の経済報復をとても重く受け止めざるを得ません。経済報復そのものが不当でありしかも歴史問題から始まっているからです。

ナレ:今日、韓国政府は日本をいわゆるホワイト国から外すと発表しました。これまで兵器などの製造につながる戦略物資でも信頼のもと、輸出手続きを優遇してきましたが今後は、その優遇がなくなり手続きなどが厳しくなります。その理由について、韓国側は…。

成允模・産業通商資源相:不適切な運用事例が続く国とは緊密な国際協力は難しく、これを勘案した輸出統制制度が必要です。

ナレ:と、あくまでも輸出管理体制の見直しだとしましたが韓国メディアはこう言い切ります。

連合ニュースTV:日本の輸出規制に対応して“ホワイト国”から外す改正案を出しました。真っ向から応じる形です。

ナレ:どのくらいの品目で影響が出るのでしょうか。

韓国産業通商資源省:韓国の戦略物資は1735品目で輸出統制の対象となります。

ナレ:措置の内容はちょっと特殊です。これまで韓国は輸出相手国をホワイト国と非ホワイト国の2つに分けていましたが新たに日本だけを対象にしたものを作ったのです。審査の期間もこれまでの3倍の15日に延びて手続きが厳しくなる見通しです。日本が先に韓国をホワイト国から外してから、韓国国内では抗議集会の規模が拡大し文大統領の支持率も今月に入って0.5ポイント増え50%を超えています。ホワイト国から外される影響について日本政府の関係者は…。

日本政府関係者①:日本に特に影響はないのではないか。損をするのは韓国側だ。

日本政府関係者②:対抗措置を取ることは筋違い。韓国内の選挙向けアピールでは?

ナレ:韓国は日本のホワイト国外しを9月中にも実施するとしています。

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【スタジオ】
富川アナ:ここでソウル支局の高橋政光支局長に聞きます。高橋さん、文大統領の会見内容を聞いてやられたらやり返すという姿勢に見えるんですけどどうなんでしょうか。

高橋政光氏:そういったところ多分にあると思います。文大統領は今回の措置で日本と徹底抗戦を続ける腹を決めて内外に行動で示しました。3日後の15日には光復節があります。これは、日本の植民地支配から解放されたことを記念する日で、大規模な反日デモも予定されています。韓国では国民の対日感情が最も高まる時期でもあるんですね。こうした中、文大統領自らが日本に対して強い姿勢を打ち出すことで国民からの支持を得る狙いがあります。

富川アナ:やっぱり経済はうまくいってない対北朝鮮もうまくいっていない、となるとやっぱり対日だということでしょうか。

高橋氏:まさに、そうなんです。経済の低迷などで落ち込んでいた支持率なんですけれども文大統領が強硬発言を繰り返すようになって上向いているんです。日本との貿易摩擦をめぐる韓国政府の対応についても支持する声が多いんです。また、先ほどVTRにもありましたが来年春の総選挙をにらんだ思惑というのもうかがえます。外交面ではアメリカや北朝鮮との関係がギクシャクする中唯一、支持を得られる反日カードを政権基盤の安定も含めて政治的にうまく活用したいというところがあります。

富川アナ:選挙に向けてということもあるんでしょうけど日本も韓国も双方が意地の張り合いみたいになってますよね。

徳永有美アナ:結局、文大統領は対立を激化して強硬な姿勢をとると支持率が上がるということで、じゃあ、その対応について日本政府は、どういうふうに対応していくんですかね。

後藤謙次氏:今のところ今日、複数の政権幹部に取材しましたけどいずれも冷静かつ強気というのが特徴ですよね。つまり、冷静というのは日本がやってきたことの後付けに過ぎないと。ですから、そこにはまさにそれに対する対抗しかないんだと。じゃあ、それによって実害が出るのかとなれば実害もないのではないかと。そういう非常に強気な姿勢も見せてるんですね。一方でVTRにもありましたが文在寅大統領来年4月の総選挙をにらみながらこの反日カードこれをフルに活用するしか道がないと判断をした可能性はあるんですね。

徳永アナ:そうなってくると結局相手を追い詰めているようで実は、でもゆくゆくは自分たちの首をお互い、絞めることになりかねないんじゃないかとすら思うんですけどいかがですか?

後藤氏:特に今週は非常にデリケートな週なんですね。8月15日の光復節。文在寅大統領、今の流れでいくと相当強い反日の演説をせざるを得ない状況に、自ら追い込んでしまいましたね。それに対して日本政府はどう反応するか。ここで感情的になると更に感情の悪化の輪が広がると。リーダーの大きな役割は国民感情をなだめるのが役割なんですが、逆にあおってるという状況ですから、ここは日本政府、1つ冷静に対応してもらいたいと思います。
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【検証部分】

今回検証する発言部分は以下の点です。

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富川アナ:選挙に向けてということもあるんでしょうけど、日本も韓国も双方が意地の張り合いみたいになってますよね。

徳永有美アナ:結局、文大統領は対立を激化して強硬な姿勢をとると支持率が上がるということで、じゃあ、その対応について日本政府は、どういうふうに対応していくんですかね。

後藤謙次氏:今のところ今日、複数の政権幹部に取材しましたけどいずれも冷静かつ強気というのが特徴ですよね。つまり、冷静というのは日本がやってきたことの後付けに過ぎないと。ですから、そこにはまさにそれに対する対抗しかないんだと。じゃあ、それによって実害が出るのかとなれば実害もないのではないかと。そういう非常に強気な姿勢も見せてるんですね。一方でVTRにもありましたが文在寅大統領来年4月の総選挙をにらみながらこの反日カードこれをフルに活用するしか道がないと判断をした可能性はあるんですね。

徳永アナ:そうなってくると結局相手を追い詰めているようで実は、でもゆくゆくは自分たちの首をお互い、絞めることになりかねないんじゃないかとすら思うんですけどいかがですか?

後藤氏:特に今週は非常にデリケートな週なんですね。8月15日の光復節。文在寅大統領、今の流れでいくと相当強い反日の演説をせざるを得ない状況に、自ら追い込んでしまいましたね。それに対して日本政府はどう反応するか。ここで感情的になると更に感情の悪化の輪が広がると。リーダーの大きな役割は国民感情をなだめるのが役割なんですが、逆にあおってるという状況ですから、ここは日本政府、1つ冷静に対応してもらいたいと思います。
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後藤氏の解説を簡単にまとめます。

・悪化する日韓関係について、日本側・韓国側ともに強気な姿勢である。
・そして日本が感情的になり韓国側を煽っているため、日本は冷静な対応をとる必要がある。

今回の発言の問題点は以下の2点です。

・印象操作と思われる発言があった可能性がある
・事実と異なる発言があった可能性がある

1点目の検証点から見ていきます。

後藤氏は日本が感情的になっていると解説をしていますが、どういった点が感情的なのか根拠を持って述べていません。
今回の貿易問題の発端となったのは韓国の輸出管理が不徹底だった可能性があったからです。
日本が韓国をホワイト国から除外したことは感情的になったというわけではないのです。

韓国側は今回のホワイト国除外について徴用工問題に対する日本の反発だととらえていますが、輸出管理の話について触れられていません。
それらに触れずに日本が感情的になっていると報道するのは、視聴者に誤った印象を与えかねず、我々は問題であるととらえます。

次に2点目の検証点について見ていきます。
後藤氏は国民感情をなだめるのがリーダーの役割であるにも関わらず、むしろ反発を煽っているなどといった解説をしています。
これらは事実に基づいた解説とは言えない可能性があります。
先ほども述べた通り、今回の貿易に関する問題の発端は韓国の輸出管理にあります。

また国民感情をリーダー、つまり安倍総理が煽っているという事実もありません。
韓国側が徴用工に関する請求権協定を順守しないことや、輸出管理への説明をしなかったため、対話でない手段に出たに過ぎません。
つまり外交の手段としてホワイト国から除外したにすぎません。
このように事実と異なる恐れがある発言は以下の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(3)報道は事実をまげないですること
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視聴者の会は今後も公正なテレビ放送を目指して今後も監視を続けて参ります。

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