2019年6月10日 報道ステーション

2019年6月10日 報道ステーション

6月10日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。

・後藤氏による国会論戦の解説

早速放送内容を確認していきます。

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【スタジオ】
徳永有美アナ:安倍総理や前閣僚が出席しての論戦が、実に2ヶ月ぶりのこととなります。老後に2000万円の貯蓄は必要なのか、年金制度は100年安心なのではなかったのか、そして衆参ダブル選挙は本当にあるのか、安倍総理に答えていただきたいことがたくさんあります。

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【VTR】
安倍晋三総理大臣:不正確であり誤解を与えるものであったと。不適切な表現であったと。

麻生太郎財務大臣:国民の皆さまに誤解や不安を広げる不適切な表現であった。

ナレーション:不適切な表現だったと繰り返したのは、金融審議会の報告書について。“95歳まで生きるには夫婦で2000万円の貯蓄が必要”との試算を示したものです。

立憲民主党 蓮舫副代表:この報告書読みました?

麻生太郎財務大臣:冒頭の部分、一部目を通させていただきました。全体を読んでいるわけではない。

立憲民主党 蓮舫副代表:これだけ国民の間で怒りが蔓延して大問題になっている。読んだら5分で終わる報告書を読んでいない。赤字との表現が不適切、それで国民は納得すると思いますか?

麻生太郎財務大臣:不適切だというご意見に関してはそうではないんだということで、丁寧にご説明させていただき、ご理解いただいた方も多くいらっしゃいます。

立憲民主党 蓮舫副代表:この報告書で国民が怒っているのは100年安心が嘘だったと。“自分で2000万円貯める”とはどういうことかという憤りですよ。公助から自助に、総理、いつ転換したんですか。

安倍晋三総理大臣:「老後に月5万円、30年で2000万円の赤字」であるかのように表現した点については国民の皆さまに誤解や不安を広げる不適切な表現であったと。

ナレーション:そのうえで。

安倍晋三総理大臣:年金100年安心が嘘であったというご指摘がございますが、そうではないということを今申し上げておきたいと。アベノミクスの進展によってもはやデフレではないという状況ができたことを反映して、今年度の年金は0.1%の増額改定となりました。これは未調整だったぶんも含めて……。

委員長:発言者以外はご静粛にお願いします。

安倍晋三総理大臣:マクロ経済スライド調整を行った上で現在の受給額がプラスの改定になったものであり、これはですね……。皆さんにとって都合の悪い説明になると遮るんですか。

ナレーション:安倍総理が強調したのは、年金の今年度の受取額が4年ぶりのプラス改定となったことです。ただ、第二次安倍政権を通してみると、受取額は決して増えていません。二人の応酬は続きます。

安倍晋三総理大臣:積立金におきましても6年間で44兆円運用益は出ています。これは申し上げたくないのですが、民主党政権時代の3年間の10倍増えている。これは事実でありますから、皆さんも向き合った方が良いと思います。これを踏まえれば、公的年金の信憑性はより強固なものとなったと考えております。

立憲民主党 蓮舫副代表:株式に投資する割合を5割まで増やして、直近では15兆円の赤字が出ています。「安定運用しろ」と私たちはずっと言ってきたが、安倍さんは全く聞く耳を持たない。

ナレーション:金融庁の報告書が出たことで、老後の暮らしを年金だけではまかなえないのではないかと不安が高まっています。

立憲民主党 蓮舫副代表:70代以上だと29%の無貯金の方がいる。この方たちはこの報告書を見ると、自己責任でなんとかしろということなんですか。金融担当大臣。

金融庁 企画市場局 三井秀範局長:じぶん自身、あるいはその専門家、周りの方々の助力を得て行うということを強調しているということでございます。

共産党 小池晃書記局長:100年安心だと言っていたのが、いつの間にか人生100年の時代だから、年金あてにするなと、自己責任で貯金せよと。国家的詐欺に等しいやり方ですよこれは。

安倍晋三総理大臣:これはやっぱり保険料が安くてですね、年金を増やせれば、それはそれに越したことはないわけでありますが、残念ながらそういう状況にない中において、給付と負担のバランスをとっていくということにしたわけでございます。

ナレーション:そして。

安倍晋三総理大臣:ちなみにですね、民主党政権下の3年間は1度もプラスにはなっていないということであります。

共産党 小池晃書記局長:民主党じゃないですけど、私ね。そういう無意味な反論しないでくださいよ。

ナレーション:政府が“100年安心”と謳う年金制度ですが、今年は5年に一度の財政検証が行われる年に当たります。将来の年金額が、少子化で先細りする可能性が指摘されています。

立憲民主党 蓮舫副代表:5年前は6月3日に公表されました。今年はなぜまだ未公表なんですか。

根本匠厚生労働大臣:「財政検証」は現在作業中であり、必要な検証作業が終わり次第公表することを予定しております。

立憲民主党 蓮舫副代表:早く出さないと国会で審議できない。まさか参議院選挙後に出すということはないですよね。総理、出していただけると約束してください。

安倍晋三総理大臣:政治的に出すか出さないかと言うことではなくて、現在根本大臣の監督のもとに、厚生労働省においてしっかりと作業が進められているものと認識をしております。

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【スタジオ】
徳永有美アナ:後藤さん、久しぶりの論戦だったわけですが、安倍総理のイライラが伝わってくるようでしたね。

後藤謙次氏:やっぱり安倍さんにとっては年金問題、二つのトラウマがあると思うんですよね。2004年の自民党の幹事長時代、それから2007年の一度目の総理の時代。いずれもですね、参議院選に年金問題が絡んで敗北をしているんですね。幹事長では負けて幹事長代理に降格になった。2007年の総理の時には総理退陣にまで行ってしまった。健康を害したっていうこともあるんですけどね。つまり年金と参議院選。何でまたこの時期にこれを出してくるんだと、それが安倍さんのイライラの発端だと思いますね。ただこの報告書自身は、非常に金融庁の役人さんたちが非常に正直に、職務に一生懸命取り組んだ結果思わず年金問題に触れてしまったと。なんで全体を見ないんだという苛立ちだと思いますね。

徳永有美アナ:そこを野党に突かれて、やっぱり厳しくなってしまったというところがあるんですかね。

富川悠太アナ:先週ね、再び解散風が吹き始めたとお伝えしましたけれども、もう止んでしまったとみて良いんですか。

後藤謙次氏:事実上止んだと言っていいと思いますね。先週から徐々に沈んできたんですけども、この2000万円問題がとどめを刺したと思います。今日も非常に選挙に関わる自民党幹部に取材したんですが、結局この問題によって、2000万ないとあなたの老後は保障できませんと、そういう印象だけが残ってしまった。これをひっくり返す説明というのはなかなか厳しいと。それから元々この解散については、まず大義がない。それからすでに衆議院でたっぷり3分の2、公明党と合わせてある。みすみすやって議席を失ったらどうするのかと、責任問題に発展してしまうんじゃないかと。ここはいったん解散権を留保しておこうという判断が安倍総理の方で働いたと思うんですが、ご本人はまだ発してないんですね。今日新聞でずっと出てるのは、安倍総理以外の主語で書かれたものですから、最後の段はここ数日中に安倍さん自身がされるということだと思いますが、とりあえず風は止まったと言って良いと思いますね。

富川悠太アナ:とりあえずは安倍総理がどう判断するのか、その同日選への判断の材料の一つになるかもしれないですね。

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【検証部分】

今回検証する発言は以下の部分です。

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徳永有美アナ:後藤さん、久しぶりの論戦だったわけですが、安倍総理のイライラが伝わってくるようでしたね。

後藤謙次氏:やっぱり安倍さんにとっては年金問題、二つのトラウマがあると思うんですよね。2004年の自民党の幹事長時代、それから2007年の一度目の総理の時代。いずれもですね、参議院選に年金問題が絡んで敗北をしているんですね。幹事長では負けて幹事長代理に降格になった。2007年の総理の時には総理退陣にまで行ってしまった。健康を害したっていうこともあるんですけどね。つまり年金と参議院選。何でまたこの時期にこれを出してくるんだと、それが安倍さんのイライラの発端だと思いますね。ただこの報告書自身は、非常に金融庁の役人さんたちが非常に正直に、職務に一生懸命取り組んだ結果思わず年金問題に触れてしまったと。なんで全体を見ないんだという苛立ちだと思いますね。

徳永有美アナ:そこを野党に突かれて、やっぱり厳しくなってしまったというところがあるんですかね。

富川悠太アナ:先週ね、再び解散風が吹き始めたとお伝えしましたけれども、もう止んでしまったとみて良いんですか。

後藤謙次氏:事実上止んだと言っていいと思いますね。先週から徐々に沈んできたんですけども、この2000万円問題がとどめを刺したと思います。今日も非常に選挙に関わる自民党幹部に取材したんですが、結局この問題によって、2000万ないとあなたの老後は保障できませんと、そういう印象だけが残ってしまった。これをひっくり返す説明というのはなかなか厳しいと。それから元々この解散については、まず大義がない。それからすでに衆議院でたっぷり3分の2、公明党と合わせてある。みすみすやって議席を失ったらどうするのかと、責任問題に発展してしまうんじゃないかと。ここはいったん解散権を留保しておこうという判断が安倍総理の方で働いたと思うんですが、ご本人はまだ発してないんですね。今日新聞でずっと出てるのは、安倍総理以外の主語で書かれたものですから、最後の段はここ数日中に安倍さん自身がされるということだと思いますが、とりあえず風は止まったと言って良いと思いますね。

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これらの発言の問題点は以下の点です。
・印象操作と思われる発言があった
・事実と異なる発言があった可能性がある

1点目から見ていきます。

解説の冒頭で、徳永アナが「安倍総理のイライラが伝わってくるようだ」と後藤氏に解説を求めています。

この導入からして視聴者に悪印象をあたえるものです。
イライラという個人の感情を推して測っての解説にはあまり意味がありません。VTR中に登場した安倍総理も特段激高していたわけではなく、淡々と説明を重ねていただけです。

さらに後藤氏は「安倍総理のイライラ」について、年金問題と参院選が安倍総理個人にとってトラウマであるから、などと解説しています。

そして今回の報道の主題である、年金問題についての解説がなされることはありませんでした。
このような安倍総理個人についての批判を重ねるだけの報道は視聴者に誤った印象を与えかねない放送であると、我々は問題視します。

続いて2点目の問題点について見ていきます。

1点目の問題点で取り上げた、「安倍総理のイライラ」「安倍総理のイライラの原因は自身のトラウマが原因」といった解説に根拠は一切なく、後藤氏の主観によるものです。

また解散の見送りについても、「解散の大儀がないという理由で安倍総理が判断したと思う」と、後藤氏の主観による解説に終始していました。

このような主観による解説が事実であるかどうか検証が困難であり、事実に基づかない可能性があります。
これは以下の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(3)報道は事実をまげないですること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して、監視を続けてまいります。

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