2018年5月7日 報道ステーション

2018年5月7日 報道ステーション

報道ステーション、2018年5月7日分の報告です。

今回の放送で最も多くの時間を割かれた話題は「サウジ女性の社会進出」についてです。
現在のサウジアラビアで進む、女性の社会進出の様子をVTRなどを使って伝えていましたが、特に放送法違反に抵触するような箇所は見られませんでした。

今回は「国会関連」の話題について検証します。
詳しく見ていきましょう。

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小川アナ「さて、ずーっと空転していた国会ですが、ようやく動き出しそうです。財務省セクハラ問題、加計問題、森友問題などで野党が審議を拒否し続けること18日間ですが、与野党の協議の結果、明日から野党が審議に復帰することで決まりました。与野党の議論が復活して、これらの問題、真相に近づくんでしょうか」
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コーナーの冒頭、小川アナが空転していた国会が正常化する見通しであることを伝え、VTRの前振りを行いました。その際、スタジオには国会と、背後に複数ののぼりが立てられている画像が映し出され、のぼりにはそれぞれ「財務省公文書改ざん」「森友」「加計」「自衛隊日報」「財務省セクハラ」と書かれていました。
——–【VTR】
VTRは安倍晋三首相のスピーチから始まりました。
安倍首相「国会において、やっぱり議論をするために我々国会議員になっているわけですから。我々政府としては、しっかりと丁寧に説明をしながらですね、皆様のご期待に応えていきたいと…」

与野党の国対委員長会談の様子が映されます。
ナレーター「国会では今日、柳瀬元総理秘書官を10日に参考人として呼ぶことで与野党が合意、明日から野党は審議に復帰することになりました」
柳瀬唯夫元総理秘書官が公務に当たる様子が映されます。
ナレーター「加計問題を巡り、柳瀬氏はこれまで今治市関係者らとの面会は記憶にない、と繰り返し答弁。しかし、同席していた加計学園関係者の面会だけを認める方向です」
続いて、取材を受ける様子が映し出されます。
柳瀬元秘書官「これまでもずっと一貫して申し上げてきました通り、誠実に、しっかりと国会でお話させていただきたいと思います」
部屋に入ろうとする柳瀬元秘書官に、記者が質問を投げかけます。
記者「首相案件という言葉はお認めになりますか!」
柳瀬元秘書官「…(無言でドアを閉める)」

ナレーター「与野党は、総理も出席した集中審議を来週月曜に開くことでも合意しました」
立憲民主党の辻元清美国対委員長が記者会見をする様子が映し出されます。
辻元国対委員長「本当はね、加計孝太郎さんと安倍昭恵さんが、証人喚問に出るまでですね、これは決着つかないと思ってるんですよ」

場面が変わり、改ざん前の森友文章が運び込まれる様子が映されます。
ナレーター「野党が審議に応じる条件として求めていた、改ざん前の森友文書の提出については、来週18日を目処に財務省が出すと言います」

さらに画面には、先月16日に存在が発覚した自衛隊の日報が映されます。
ナレーター「さらに、ないとされていたものが次々と見つかるイラク派遣の日報に関しては、今月中にも調査報告を示すそうです」
ここで、自民党の森山裕国対委員長が取材に応じる様子が流れます。
「やはり審議をするということが、大事なことだと思いますので、努力をさせていただかなければいけないなと言う…」

ナレーター「動き出すものの、課題山積の国会…」
財務省の福田事務次官が映されます。
ナレーター「財務省が処分を発表し、幕引きを図った格好のセクハラ問題についても、議論を呼んでいます」
ナレーター「財務省は先月…」
という導入とともに、財務省の矢野康治官房長が会見で謝罪する様子が流れました。
矢野官房長「財務省と致しましては、セクハラ行為があったと判断をし、処分を行うことといたしました、申し訳ありません」

ナレーター「ただ、麻生大臣は…」
麻生大臣がコメントをする様子が映されます。
麻生大臣「財務省なり国会の審議等々に影響を与えた、ということに関して、彼は誠に申し訳ありませんと言って退官をしたと、申しているわけですから、少なくとも福田氏の人権等々も考えなければいけませんし、福田は「やったことない」と言っているわけですから」
ナレーター「セクハラを認める発言も、謝罪の言葉もありませんでした」
ナレーター「更に、テレビ朝日が財務省に対し調査を継続するよう求めていることを問われると…」
麻生大臣「これは 一対一の会食っていうことになってたそうですから、そういったやり取りについて財務省だけで詳細把握するのは不可能ですよ」「ご存知のように『セクハラ罪』っていう罪はないんですよね。殺人とか強わい(強制わいせつ)とかと違いますから」
ナレーター「セクハラ罪という罪はない、と発言。刑事事件にならなければ問題ではない、ということなのでしょうか」

続いて、財務省の前でデモをする人々の様子が映し出されます。
集会参加者「セクシャルハラスメントは許さないぞ!」
集会参加者「麻生はやめろ!麻生はやめろ!」
ナレーター「今夜、財務省前には麻生大臣に抗議する人たちが集まりました」
参加者へのインタビューが流されます。
参加者(50代)「私たち市民との感覚が、今この政権はずれているんだなっていうのすごく実感してますね」

ナレーター「一方で…」
場面が変わり、希望の党と民進党とが合流した国民民主党の結党大会の様子が流されます。
議員ら「頑張ろう!」「頑張ろう!」
ナレーター「今日午後、希望の党と民進党が合流した、新党『国民民主党』の結党大会が開かれました」
共同代表の玉木雄一郎議員が演説をする様子が映されます。
玉木共同代表「新しい一歩を、是非皆さん一緒に、始めていこうではありませんか」
ナレーター「挨拶を終え、固い握手を交わした共同代表の二人ですが、どこか息の合わない様子です」
ナレーター「それもそのはず。希望の党54人と民進党53人が合流し107人となるはずが、離党者が相次ぎ、参加したのは62人にとどまりました」
このナレーターの発言を最後にカメラはスタジオへと戻ります。【スタジオ】
富川アナ「まずは国会からお聞きします。あの、10日に柳瀬氏を参考人招致することで与野党合意しましたけれども、9日に日中韓の首脳会談がありますよね。その翌日っていうのは何か意味あるんですか」
後藤謙次氏「やはり政権側としてはですね、最初に国会の大きなイベントが参考人招致、それも安倍総理と友人である加計孝太郎さんの加計学園問題。こっから入るのは非常に、国会対策上でも上手くないわけですね。その前に外交上の大きなイベントを出しといて、その後に国会にするつもりと。つまり主導権はあくまでも与党側にあるんだ、っていうことなんですが、やはりここに至るまでですね、20日間近くある意味放置状態だったわけですね。与野党ともに、これやっぱり国会の権威、自ら失墜させたと言われてもしょうがないと思いますね。しかも今回の与党側の提案、これ突然今日出てきたんですね」
富川アナ「つまり、柳瀬氏以外にも呼ぶと…」
後藤氏「はい、これまで柳瀬氏は証人喚問だと。しかし今一人呼ぶということによって限りなく証人喚問に近いの形式を取りたいと。こういうことだったんですが、今日自民党が突然ですね、与党側の参考人も呼びたいということで、2人参考人呼ぶと。ここでまた揉めたわけですね。さらに今日は新しい国民民主党が結党するという野党内の調整もあってですね。与野党の調整、野党間の調整、それでぐだぐだぐだぐだ行って、結局夕方まで時間かかってしまったと。まあある面で国会そのものが、ある面で機能を失ってると、機能不全になってると言っていいと思いますね」
富川アナ「与党は外交でアピールしたい、野党は国内問題の追及でアピールしたい、といったところですが、私たちから見ると『んん?』と」
後藤氏「国会の問題そのものが国民から関心が薄れてしまったような気がしますね、非常に重要な問題なんですけど」
富川アナ「なるほど…。そして麻生財務大臣が『セクハラ罪という罪はない』という発言をしました。これについてどうですか」
後藤氏「これは呆れますね。セクハラが重大な人権侵害だという認識が全くないんですね。今年のノーベル文学賞、セクハラ問題に絡んでですね、発表が延期されると。国際的な大きな潮流からすごくかけ離れた、そういう発言だと思うんですね。しかも財務省は、福田前次官がですね、認定を認めてないと。セクハラの事実はないと言ってるもかかわらず処分をしたわけですね。それは連休後にこれは引きずらない、というのが財務省の意思だったんですが。そのトップである麻生総理が、自らまた火をつけるという意味ではですね、副総理、財務省のトップという自覚がないと言われても仕方ないと思いますね」
富川アナ「果たしてセクハラ問題も含めて、真相にたどり着けるかどうかですね」
後藤氏「まさに国会の権威が問われているということですね」
この後藤氏の発言を最後にこのコーナーは終了します。

【検証部分】
今回の放送の問題点は大きく分けて2点あります。
1点目は、過剰とも思われる演出が目立ったこと。
2点目は、スタジオでの富川アナと後藤氏の発言に公平性が欠けていると感じられること。
以上の2点です。

まず1点目ですが、このコーナーの冒頭、VTRの前振りをする小川アナの背景には国会。背後には複数ののぼりが立てられている画像が映し出され、のぼりにはそれぞれ「財務省公文書改ざん」「森友」「加計」「自衛隊日報」「財務省セクハラ」と書かれていました。
また、以前のレポートでも指摘いたしましたが、今回も
部屋に入ろうとする柳瀬元秘書官に、記者が質問を投げかけます。
記者「首相案件という言葉はお認めになりますか!」
柳瀬元秘書官「…(無言でドアを閉める)」
というVTRが放映されました。この2つの映像に共通すること。それは「視聴者にわかりやすい構図である」という点です。確かに、この点は番組作りをする上では非常に重要なポイントの一つになります。いかに視聴者にわかりやすく伝えるか。このことを多くのテレビ関係者は意識していると考えられますが、行き過ぎた演出は視聴者に誤った意識を持たせかねません。特に後者の、質問を投げかける記者を無視する政治家、あるいは官僚の絵というのは一見質問を無視しているように感じられ非常に印象を悪くさせる可能性があります。しかし実際には記者が遠すぎて聞こえなかったり、そもそも回答する必要が無いからこそ答えていない場合も多いのです。
このような視聴者の誤解を招くような番組側の姿勢は問われ続けるべきではないでしょうか。

次に2点目についてですが、富川アナと後藤氏はスタジオにて
富川アナ「まずは国会からお聞きします。10日に柳瀬氏を参考人招致することで与野党合意しましたけれども、9日に日中韓の首脳会談がありますよね。その翌日っていうのは何か意味あるんですか」
後藤謙次氏「やはり政権側としてはですね、最初に国会の大きなイベントが参考人招致、それも安倍総理と友人である加計孝太郎さんの加計学園問題。こっから入るのは非常に、国会対策上でも上手くないわけですね。その前に外交上の大きなイベントを出しといて、その後に国会にするつもりと。つまり主導権はあくまでも与党側にあるんだ、っていうことなんですが、 (以下略)」
まず、富川アナは9日に日中韓首脳会談が開かれ、その翌日に柳瀬氏の参考人招致が行われる意図を後藤氏に尋ねました。それに対して後藤氏は「国会対策上」、外交上の大きなイベントを先に出し、その後柳瀬氏の参考人招致を行った方がよいと判断したようだと分析していました。
つまり、後藤氏は「外交日程を内政の火消しに使おうとした」という主張をしているようにも聞こえますが、なぜ後藤氏がこのような判断を行ったのか。理由などが後に述べられることはなく、政治家の声などを紹介することもありませんでした。もし事実に基づかずに発言をしているとすれば、今回の放送は放送法第4条第3項「報道は事実をまげないですること。
」に抵触する可能性があります。

今後も監視を続けます。

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