2018年5月28日 報道ステーション

2018年5月28日 報道ステーション

報道ステーション、5月28日分の報告です。

当日の放送で最も放送時間を割かれた話題は、「加計学園関連」のニュースについてです。
今回はこの話題について取り上げます。
詳しく見ていきましょう。

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小川アナ「続いて、加計学園をめぐる問題です。愛媛県の3年前の記録には、加計学園側から聞かされた話として、安倍総理と加計理事長が面会した、と。そこで総理から『新しい獣医大学の考えはいいね』というコメントがあったと書かれていました。で、この面会があったのかなかったのか、ということがずっと焦点になってきましたが…」
小川アナが1枚の紙を持ち上げます。カメラがズームし、その文章が加計学園から来たFAXであることが分かります。
「この週末ですね、加計学園側から報道機関にこの一枚の FAX が届きました。この赤線のところ、『当時の担当者が実際にはなかった総理と理事長の面会を引き合いに出し、県と市に誤った情報を与えてしまった』、このように書かれているんですね。つまり、総理と理事長との面会があったかのように、加計学園側が嘘をついてしまった、ということなんですが、今日国会では、野党から一斉にこの件に関して質問がありました」
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小川アナが加計学園問題について新たな動きがあったことを伝えた後、VTRがスタートしました。
——–【VTR】
VTRは当日の国会の参院予算委で、立憲民主党の福山哲郎幹事長が安倍晋三総理大臣に質問をするところから始まります。
福山幹事長「総理、このコメントの発出に対して加計理事長もしくは加計学園から総理に直接の事前の連絡、官邸への連絡はありましたか」
安倍首相「全く、ございません」
安倍首相と加計学園の理事長である加計孝太郎氏の顔が映し出されます。
ナレーター「愛媛県文書に書かれていた総理と加計孝太郎理事長との面談は、あったのか、なかったのか」

画面にスタジオでも現物が放送された加計学園からのFAXが映されます。
ナレーター「一昨日の土曜日、加計学園から報道各社に対し、1枚の FAX が送られてきました」
加計学園側のコメント(ナレーター)「当時の関係者に記録の範囲で確認できたことをコメント致します。当時は獣医学部設置の動きが一時停滞していた時期であり、なんらかの打開策を探しておりました。当時の担当者が、実際にはなかった総理と理事長の面会を引き合いに出し県と市に誤った情報を与えてしまったように思う、とのことでした」

場面は参院予算委に戻ります。共産党の小池晃書記局長が質問に立ちます。
小池書記局長「実際にはなかった面談を引き合いに出して、県と市に誤った情報を与えたっていう、ちょっと想像することを言い出しているわけですね。愛媛県の知事はこれ怒ってるわけですよ、総理はなんで怒らないんですか」
安倍首相「これは怒るとか怒らないとかそういうことではなくてですね」
安倍首相「県の文書でございますからコメントする立場にはないわけでございます」
安倍首相「加計学園側のコメントについては、私はそれについて評論する立場にはないということを申し上げておきたいと思います」
小池書記局長「だって総理はこう言ってるわけです…」
ここで場面が変わり、小池書記局長の発言の趣旨とされる先月11日の発言が動画を用いて引用されます。
安倍首相(4月11日)「彼は私を利用してですね、地位を利用してどうこうしようとしたことは一度もないわけでございまして…」
場面が戻ります。
小池書記局長「まさに何かを成し遂げようとしたんじゃないですか、これね、総理がカンカンに怒らなきゃいけないはずなんですよ。利用されたんですから総理が。それなのに平然としている」
安倍首相「あの、私は常に平然としております」
安倍首相「加計理事長ではなく、当時の担当者が、実際にはなかった面会を引き合いに出し、県と市に謝った情報を与えてしまった、ということでありまして、それ以上私にはコメントのしようがないということでございます」

ナレーター「常に平然、とは言いますが、今日の総理…」
安倍首相が午後開かれた衆院予算委での様子が流されます。
安倍首相「そしてもう1点言えば…」
野党議員のヤジ「意味が分からない」
安倍首相「意味が分かりませんか?読解力の問題だと思いますよ、これ」
場面が少し飛びます。
安倍首相「いや、別席…すいません、ちょっと委員長」
委員長「静粛に、お静かに聞いてください」
ナレーター「苛立ちを隠せない部分が、たびたびありました」

場面は先ほどの参院予算委に戻り、小池書記局長が質問を続けます。
小池書記局長「首相と加計理事長の面談が架空のものだとするとですよ、説明つかないことが多すぎるんですよ」

柳瀬秘書官と加計理事長との面談があったとする、愛媛県が国会に提出した文書が映し出されます。
ナレーター「愛媛県の文書では、『総理との面会を受け、柳瀬秘書官から資料提出の指示あり』『総理との面会時の学園提供資料のうち』などと、総理との面会を前提に、物事が進んでいく経緯が書かれています」

小池書記局長の質問が続きます。
小池書記局長「この経過を見るとですよ、2月25日に総理が加計理事長と会ってなければ説明がつかないことがあまりにも多すぎると思うんですよ。これどう説明されますか」
安倍首相「私はあくまでも申し上げておりますように、2月の25日にはお目にかかっていないということでございます。それに対して加計学園側からも『学長は合っていない』というコメントがなされたと承知しております」これに対し、VTRでは文科省や農水省が公開した文書を引き合いに出して反論します。
ナレーター「また、文科省などがすでに公開した文書には『総理のご意向』『首相案件』『官邸の最高レベルが言っている』などと書かれていたことが分かっています」
立憲民主党の福山幹事長がこの件を質問します。
福山幹事長「これ全部残ってる文書です。総理の言ってる反論は全部『言ってません』『やってません』『関わってません』。これでは全く、反証になって、いません」
安倍首相「これは、委員が作られたストーリーなんだろうと」
野党議員が一斉に反発します。
野党議員の野次「ストーリーじゃないよ!」
野党議員の野次「ちょっと待てよ!」
安倍首相「これは私から反論しますが…皆さん、静かにしてください!」

ナレーター「結局総理は『プロセスには一点の曇りもない』という説明を繰り返しました」
福山幹事長の質問が続きます。
福山幹事長「これ加計理事長の証人喚問はもちろんですが…この件について説明するよう求めるべきだと思いますがいかがですか」

加計学園がどのような行動をとるかということについてですね、総理大臣が指示をすべきではないと…」

ここでVTRのまま、話題が森友学園に変わります。
ナレーター「さらに、8億円の値引きの根拠を巡って新たな事実もわかりました」
太田理財局長「何度も何度も、何回も何回も確認に再確認をさせていただいてですね…」
財務省の太田理財局長が答弁している場面が映された後、CMに入ります。

CMが明けると、森友学園の敷地を映した映像からVTRが再開されました。
ナレーター「森友問題をめぐり、8億円の値引きの根拠となった『新たなごみ』について。今日財務省は、近畿財務局が大阪航空局にゴミの量を増やして見積もるよう依頼していたことを認めました」

続いて、今日の衆院予算委で太田理財局長が答弁に立つ場面が映されます。
太田理財局長「金額の見積で言うと『6億円台後半』。で、対象範囲は校舎を建設しておられる、校舎建設工事が行われた範囲に限られているというのをお示しいただきました。で、財務局の方は『グラウンドの一部にも地下埋設物がある。その部分を地下埋設物がないということで計算をしていいんだろうか、と。…金額で行けば増額だと言われればそういうことになる(ここで、『増額だと~になる』のテロップが色と太さを変えて強調されています)と…」
ナレーター「8億円の値引きとなるような調整があったのでしょうか」

ナレーター「さらに、共産党は独自入手した文章について追及。去年9月7日、大田理財局長と国交省の海老名航空局長らが面会し、国会への資料提出や会計検査院の報告書などについて協議した内容が書かれていると言います」
場面は変わり、共産党が発見した文書について、同党の宮本岳志衆院議員が質問する様子が映されます。
宮本衆院議員「太田理財局長は『個人的には出せるものはできるだけ出した方がいいと思う。ただし、政権との関係でデメリットも考えながら対応する必要はある』、こういう風に述べております」
ナレーター「太田理財局長は面会したことは認めました」
太田理財局長が答えます。
太田理財局長「ただ、具体的な内容について、私の記憶を取り戻せと言われてもお答えのいたしようがございません。誠に申し訳ありませんが、ご通告、調べた上でじゃないと、申し訳ありませんけどそれは無理でございます」

ナレーター「財務省は先週、960ページに及ぶ交渉記録を公開したばかりですが…」
麻生太郎財務大臣の発言が取りざたされます。
麻生財務大臣「また出てくるかもしれませんが、正直に申し上げて。今回もこれだけやらせていただいたので、出てくるかもしれません。出てくるかもしれません、ということを申し上げております」
この麻生財務大臣の発言を最後に、カメラがスタジオに戻ります。
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【VTR終了】
VTRが終わると、富川アナが話を始めました。
富川アナ「まだ出て来るかもしれない、ですか」
後藤謙二氏「これはちょっと呆れた答弁でしたね。それは今日、総理自身も森友学園の問題にどう関わってたって時に、解釈を狭めてやろうという、そういうことでもありましたね。つまり事実を確定してないがために、ずるずるずるずるこの問題が突き進んでるとかそういうことなんですよね」
富川アナ「ですね。そして驚いたと言えば、週末の加計学園のコメント。加計理事長と安倍総理の面会について、これも驚きましたね」
後藤氏「これもびっくりしましたね。突然報道各社にある文書が流れてきて。最初、宛先差出にもよく分からないんで怪文書だと思ったんですね。皆、自分のとこでそんな意味で捉えたんですけれども。結局市にも、今治市にも愛媛県にも何も説明してない、っていうことなんですね。結局、総理の答弁に合わせてあの面会がなかったと言いたいのか。あるいはそもそも面会がなくて総理の意向というものを整理しながら交渉を有利に進めようとした、そういうことなのか。いずれにしても今治市と県を欺いたことは間違いないんですね。そして忘れてはならないのは、この愛媛県の文書は参議院の予算委員会の国政調査権に基づいて国会に出されてるわけですから、参議院予算委員会はこの事実を徹底的に究明しないとですね。それと、安倍総理は膿を出し切ると、こう言ってるんですけども、なんら行動を起こしてないんですね。特別委員会をつくる、あるいは証人喚問を実現する、あるいは麻生さんの進退問題に決着をつける。そういう形で表すっていうことが本当の意味での責任ですよね。それをやってないためにこの問題をずるずるずるずる引っ張るということも自覚してもらいたいですね」
富川アナ「そして学園のトップである加計理事長にも説明責任は、あるんじゃないでしょうかね」
この富川アナの発言を最後にこのコーナーが終了します。

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【検証部分】
今回の放送の問題点は大きく分け3点あります。
1点目は、特定の政党の質問者のみに発言時間が割かれていたこと。
2点目は、VTRの編集の仕方がやや公平性に欠いていると感じられること。
3点目は、スタジオでの富川アナの発言に疑問が残ったこと。
以上の3点です。詳しく説明いたします。

まず、1点目についてですが、5月28日(当日)は参議院予算委員会で集中審議が開かれ、各政党、各会派の議員が質問に立ちました。具体的には、自民、国民民主、立憲民主、公明、共産、日本維新の会、希望の会、無所属クラブの議員が質問に立ち、安倍総理や閣僚がそれに答えていました。にもかかわらず、この日の質問者では立憲民主党の福山哲郎参院議員と共産党の小池晃参院議員の質問しか放映されることがありませんでした。たしかに、番組の放映内容や編集の仕方によって放映時間に偏りがあることはやむを得ないことなのかもしれません。しかし、与党ばかりでなく、野党の中でも質問時間の偏りがあるというのは、健全な番組の作り方と言えるのでしょうか。

次に、2点目についてです。番組のVTRの中盤でこのような場面がありました。
小池書記局長「まさに何かを成し遂げようとしたんじゃないですか、これね、総理がカンカンに怒らなきゃいけないはずなんですよ。利用されたんですから総理が。それなのに平然としている」
安倍首相「あの、私は常に平然としております」
(中略)
ナレーター「常に平然、とは言いますが、今日の総理…」
安倍首相が午後開かれた衆院予算委での様子が流されます。
安倍首相「そしてもう1点言えば…」
野党議員のヤジ「意味が分からない」
安倍首相「意味が分かりませんか?読解力の問題だと思いますよ、これ」
安倍首相「いや、別席…すいません、ちょっと委員長」
委員長「静粛に、お静かに聞いてください」
ナレーター「苛立ちを隠せない部分が、たびたびありました」
このように、VTRでは安倍総理がいら立ちを隠せていないことを取り上げていました。これらの映像は様々な箇所を切り取る形で編集されており、安倍総理がいら立ちを隠せない状態で答弁に立っていたことを強調するものでした。この内容では、視聴者が安倍総理に対して良くない印象を持つことも考えられ、公平性を担保しきれているとは言えないように思いました。

最後に3点目ですが、富川アナはスタジオにて
富川アナ「そして学園のトップである加計理事長にも説明責任は、あるんじゃないでしょうかね」
ここで注目してもらいたいのは、愛媛県に対して安倍総理と加計理事長の面会の記録を出したのは当時の事務局長であり、この時点ではその事務局長は説明を行っていませんでした。なぜ、当事者の説明もなしに、加計理事長が説明責任を果たさなければならないのか。富川アナがその理由を説明することはありませんでした。

以上のことから、今回の放送は放送法第4条2項「政治的に公平であること」、第3項「事実は曲げないで報道すること」に抵触している可能性があります。

今後も監視を続けます。

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