2018年5月30日 報道ステーション

2018年5月30日 報道ステーション

報道ステーション、5月30日分の報告です。
今回の放送で最も多くの時間を割かれた話題は「日大アメフト部」についてでした。

今回の報告で取り上げるのは「党首討論」についての部分です。
順に見ていきましょう。
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小川アナ「野党4人の党首と安倍総理。森友問題や加計問題などで、それぞれ1対1の直接対決を今日行いました。一昨年の12月以来、実に1年半ぶりの党首討論会となります。」
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小川アナが当日行われた党首討論について言及し、VTRがスタートしました。
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【VTR】
枝野立憲民主党代表「総理夫人がこの問題にコミットしていて、あの異例の値引きは行われたと」
立憲民主党の枝野幸男代表が安倍晋三内閣総理大臣に質問する場面から、VTRは始まりました。
安倍首相「私や私の妻にですね、この問題を持って行こうということを考えるからですね、いわば本当の本質にするからどんどん増えていくわけでありまして…」

ナレーター「立憲民主党の枝野代表がまず取り上げたのは、森友問題。去年、総理はこう言っていました…」
安倍首相(去年)「私や妻が関係したということになれば、これはもうまさに私はもう総理大臣も国会議員もやめて…」

去年の安倍首相の発言が取り上げられたのちに、財務省が公開した文書が画面に映し出されます。
ナレーター「ところが、改ざん前の決裁文書などが公表され、昭恵夫人の名前が30箇所以上も書かれていたことが明らかになると…」
おとといの安倍首相の発言が流れます。
安倍首相「不正というのは例えばですね、金品の授受をしてですね、行政に『これはこういう風に政策を変えろ』と、こういうことであります。贈収賄として問題になってきたわけでは全くないということは申しあげておきたいと。そして、そういうですね、私は、文脈の中においてですね、一切関わっていないと…」

場面は午後3時過ぎに行われた党首討論の様子に代わります。枝野代表が引き続き質問を続けます。
枝野代表「昭恵夫人が、一定の関係をしていたことをうかがわせるような材料が出てきたら、急に金品や贈収賄のような限定をしたとすれば、それは、一般にはそう言ったことを卑怯なことと言います。まさか一国のリーダーが、国会で堂々とそんな振る舞いをすることはないと…」
安倍首相「既に私は、平成29年3月24日」「何かお金の流れ、言わば籠池さん側が政治家等に対して様々な便宜を図る中において政治家が応えたのではないかという、そういう疑惑だったはずであります。ですから、その中において私も妻も一切関わっていないと」「答えているわけでございます」「急にですね、急に私が新しい定義を定めたわけでないことは非常に明らかであろうと…」

昭恵夫人と夫人付きの谷氏の画像が映されます
ナレーター「枝野氏は、昭恵夫人付きの谷氏が財務省に対し、森友学園が優遇を受けられないか問い合わせていたことが問題だと追及…」
枝野代表「働きかけに他ならないではないでしょうか。それはいいことだと思っていらっしゃるんでしょうか」
安倍首相「森友学園の問題の本質というのは、そういうことなんでしょうか」
安倍首相「なぜあの値段で籠池氏側に引き渡されたのか、国有地が引き渡されたのか…」
野党議員の野次「昭恵案件だ!」
安倍首相「あるいは、なぜ小学校として認可されるのか、ということの本質だ」
野党議員の野次「昭恵案件だ!」
安倍首相「確かに、そういうことは事務所に、個人の事務所に回していただければ、そちらから対応させていただいた。その方が良かったかもしれないと…」

ここで、話題は加計学園問題へと移ります。まず、安倍首相と加計孝太郎理事長とが写った写真が映し出されます。
ナレーター「そして、加計問題。愛媛県文書に出てくる総理と加計理事長の面談について、加計学園は『実際にはなかった。誤った情報を与えてしまった』と弁明しています」
この問題について、枝野代表が質疑をします。
枝野代表「内閣総理大臣の名前を勝手に使われて、物事をうまく運ぼうとしていた加計学園に対してはどうなってるんだと、これしっかりと具体的なことを説明してもらわないと困る、と言わなきゃおかしいじゃないですが」
安倍首相「私は、籠池氏に対しても訴訟は起こしておりませんし、訴訟になればですね、これは時間がかかると。そういう時間を私の感情のために総理の時間を費やすべきではない」

話題はさらに、国民民主党の玉木共同代表の質問へと変わります。

ナレーター「国民民主党の玉木共同代表が問いただしたのは、アメリカのトランプ大統領が検討している、自動車の関税引き上げについて…」
玉木共同代表「もしこれが実際行われてしまえば、日本経済にとっては大打撃であります。まさか事前の通告なくこういうことやられたとしたら、同盟国とみなされていないではないかと…」
安倍首相「まさに、米国との様々な連携をしながらですね、この問題等についても打ち合わせをしているわけございますし、まだ彼らが措置をしていないわけでありますので、これを、予断をもってお答えすることは差し控えさせていただきたいと…」

最後に共産党の志位和夫委員長と、日本維新の会の片山虎之助共同代表の質問が取り上げられます。
ナレーター「志位氏は森友加計問題を取り上げ、内閣総辞職を要求。片山氏は人事制度による官僚の萎縮を取り上げました」

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【スタジオ】
富川アナ「後藤さんは今日、直接国会に聞きに行かれましたが、どんな感想持たれましたか」
後藤氏「そうですね、私の印象ですね…私は第1回目から党首討論ずっと取材してるんですけれども、過去最低の党首討論だと言っていいと思いますね。もちろん中身も冗長ですが、の委員会室全体が最初から緩み切ってたと。普通は与野党のですね、傍聴議員の数がかなりいるんですけども、今回ほとんど立ち見が、ほとんどいないような、もうほとんど関心が薄れてしまったんじゃないのか、そんな感じがしますよね」
富川アナ「党首同士の討論なのに…」
後藤氏「なのに、ですよね。その最大の要因はやっぱり、安倍総理の答弁にあったと思うんですね。だらだらだらだら説明をするためにですね焦点をずらしたり、あるいは追及の論点をずらすということで、時間稼ぎに非常に終始したって印象なんですね。それからもう一つは、野党第一党が小さくなってしまったことですね。与野党の配分時間が45分に細分化されてしまったんですね。あの枝野代表についても、たった3問しかやり取りがないと。その一方で野党側にももちろん責任があるんです。これは、安倍総理の不誠実さを際立たせようということで、同じような質問を繰り返した感じがあるんですね。それはもちろん安倍総理がきちんと答えるって事が大前提なんですが、その、双方のある種の出来レース的な、そんな党首討論の印象を受けましたね」
富川アナ「一年半ぶりの党首討論でしたから期待度が高かったんですけどね」
後藤氏「我々非常に期待をしてたんですけど。党首討論そのものは、野党と与党の党首同士がですね、この国の基本方針をどうするんだ、ということを討論しあう場なんですけども、どんどんどんどんその中心的な問題から外れてってしまった、そんな印象ですね」
富川アナ「このまま膿は出し切ることはできるんでしょうか」
後藤氏「今安倍総理の説明に対して、いろんな世論調査でですね、約7割の人がその説明責任を果たしてないと答えてるわけですね。今日の党首討論を経て、それが減ったかというと逆に増えたんじゃないか、そんな印象を受ける党首討論でしたね」
この後藤氏の発言を最後に、次の話題に移りました。

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【検証部分】
今回の放送の問題点は大きく分けて2つあります。
1点目は、各党の党首の質疑を放送する時間に偏りがあること。
2点目は、スタジオでの後藤氏の発言に疑問があること。以上の2点です。
詳しく説明いたします。

まず、1点目についてです。
当日の放送で、立憲民主党の党首、枝野幸男氏の質疑には多くの時間を割いていました。
実際、枝野代表が行った質疑を放映した時間は合計で237秒、一方、国民民主党の玉木代表が行った質疑を放映した時間は合計で41秒。
日本共産党の志位委員長と日本維新の会の片山共同代表が行った質疑については、取り上げたテーマを紹介するにとどまりました。
なお、実際に安倍総理と討論した時間は枝野代表が19分、玉木代表が15分、志位委員長が6分、片山共同代表が5分30秒でした。
このように野党第一党とはいえ、立憲民主党への異例の配分時間の多さが浮き彫りになりました。

次に、2点目についてです。
後藤氏は富川アナとのスタジオでのやり取りで
富川アナ「後藤さんは今日、直接国会に聞きに行かれましたが、どんな感想持たれましたか」
後藤氏「そうですね、私の印象ですね…私は第1回目から党首討論ずっと取材してるんですけれども、過去最低の党首討論だと言っていいと思いますね。(以下略)」
富川アナ「党首同士の討論なのに…」
後藤氏「なのに、ですよね。その最大の要因はやっぱり、安倍総理の答弁にあったと思うんですね。だらだらだらだら説明をするためにですね焦点をずらしたり、あるいは追及の論点をずらすということで、時間稼ぎに非常に終始したって印象なんですね。(以下略)」
後藤氏は、コメントの中で「過去最低の党首討論」という言葉を使っていましたが、それを討論を傍聴した議員が極端に少なかったことと合わせ、その最大の原因を「安倍総理の答弁」としていました。
しかし、VTRやその後の後藤氏の発言を確認しても、時間稼ぎを具体的に列挙したり、その部分を指摘することはありませんでした。今回、後藤氏は発言をする上での証拠や根拠に欠けているように感じました。

以上のことから、今回の放送は放送法第4条2項「政治的に公平であること」、第3項「事実は曲げないで報道すること」に抵触している可能性があります。

今後も監視を続けます。

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