2019年3月18日 報道ステーション

2019年3月18日 報道ステーション

3月18日の報道ステーションのレポートです。
この日の報道では、北方領土の交渉が取り上げられていました。
交渉に関して野党の主張ばかりを取り上げて、報道がなされていました。
北方領土は、8月9日にソ連が日本との中立条約を破り、満洲や南樺太・千島列島などの日本の勢力圏に攻め込みました。結果民間人に大きな被害をもたらし、北方領土は、ソ連に占拠されました。
ソ連がロシアとなっても、北方領土は返還されることはありませんでした。
このような背景がある中で、安倍政権に反対する道具としてこの話題を利用している野党の姿勢もそれを取り上げる報道も看過することはできません。

今回の検証点は2点あります。
1. 多くの論点を取り上げて放送がなされていたか。
2. 政治的に公平な放送がなされていたか。

まずは放送内容から見ていきます。

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【スタジオ】
徳永有美アナ:北方領土の交渉をめぐって、またもロシアでこんな報道がされたようです。

——–
【VTR】
自由党 山本太郎共同代表:米軍基地置かせないっていう約束されたんですか。

安倍晋三総理大臣:交渉が上手くいくかは静かに交渉できるかにかかっているわけでありまして。

—(CM)—
【スタジオ】
徳永アナ:「日本との交渉は失速した」などと、北方領土の交渉をめぐるプーチン大統領の発言が、ロシアで相次いで報じられています。実際のところはどうなのか。今日野党が、政府の見解を糺しました。

——–
【VTR】
自由党 山本太郎共同代表:ロシアが北方領土を引き渡した場合、米軍基地を置かない。
これを日米首脳で公式合意するようプーチンさんから求められた件。総理、トランプさんにお話ししたんですか。

ナレーション:野党が追及しているのはロシアの有力紙「コメルサント」に掲載されたプーチン大統領の発言です。プーチン大統領は14日に開かれたロシア経済界との会合で日本との平和条約交渉について「交渉は失速した」と述べた上で、「安倍総理は北方領土が日本に引き渡された場合、いかなる米軍基地も設置されないと保証した。だが、駐留させないことを担保する現実的な手段はない。まず日本が米国との条約から離脱する必要がある」こう発言したということです。本当なのでしょうか。

河野太郎外務大臣:日ロの平和条約は今現に交渉が行われておりますので、政府の方針あるいは交渉の中身について、公にするのはこれまでも差し控えてきているところでございます。

自由党 山本太郎共同代表:総理、プーチンさんに北方領土返ってきても米軍基地置かせないっていう約束されたんですか。

安倍晋三総理大臣:交渉が上手くいくかは静かに交渉できるかにかかっているわけでありまして。
交渉内容に関わることや我が国の交渉方針・考え方については、交渉に悪影響を与えないためにもこのような場で応えることは差し控えたい。

国民民主党 大野元裕参院議員:北方領土が返還されてもそこにおける米軍のプレゼンスの問題、交渉の前進を阻害しているものなのかどうかをお伺いを致します。

河野太郎外務大臣:我が国の交渉方針、あるいは考え方といったものを公の場で述べることは、我が国の手の内を一方的に晒すことになりますので差し控えさせていただきたい。

ナレ:ロシアの経済誌(「エルベカ」)は「クレムリンは既に島々(北方領土)を日本に引き渡さないことを決めた」とも報じています。

国民民主党 大野元裕参院議員:一方的に晒しているのはロシアの方です。言いたい放題です。だからこそ、お答えいただけないのであれば我々は大臣のお言葉ではなくてプーチン大統領やロシア側の発言を引くしかなくなってしまうんです。

河野太郎外務大臣:条約の交渉は別に公開の場でディベートをやっているわけではございません。交渉の場以外で発言されたことで何か交渉が動くということではございません。

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【スタジオ】
富川悠太アナ:ロシアはずーっとこのところかなり強気の姿勢を見せてきていますけれども。北方領土交渉は大丈夫なんでしょうか。

後藤謙次氏:暗雲垂れ込めたという状況だと思いますよね。去年のシンガポールの会談、これ安倍総理は56年の日ソ共同宣言を基礎に加速させると。その時はプーチン大統領と自分と自分の時代に解決するんだと。こう言って、その後ですね、ラブロフ外務大臣がハードルをどんどん上げてきた。ここに来て一番大きな特徴は、その安倍さんのパートナーであるプーチン大統領自身がですね、ハードルを上げてきたことなんですね。しかもテンポが失われたとか、日米安全保障条約がある意味妨害をしている、邪魔だというところまで突っ込まれてですね、安倍総理はそれが交渉に関わることだから公にできないといってるんですが、一連のこういう国会答弁見てますと、実は言えないんじゃなくてですね、言うべき言葉がないというのが一番正確なところじゃないかと思うんですね。ですから今後さらにロシア側はハードルを上げていってですね、結局安倍総理は去年「二島+α」を非常に色濃く出しましたよね。となると今度は四島は本当にどうなるんだと。そういう歴史認識の原点についてもですね、足下を見透かされて失いかねないという意味で、どっかでギアチェンジをしないとですね、どんどんどんどん押し込まれていって、二島+αどころか、二島-α、さらに二島-二なんてことも、十分考えられる。そういう意味でも日本側の立ち位置をきちっと国民にも国際社会にも伝えると、そういう責任があるんだと思いますね。

富川アナ:6月のG20までに結果を出すというようなことを言っていたような記憶があるんですけれども。

後藤氏:もうそれはほぼ絶望的だと思いますね。

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今回の放送をまとめると、
1. 野党の「米軍基地」が北方領土に交渉しているという主張を取り上げる
2. ロシアの強気な姿勢から北方領土交渉の難しさを解説

そもそも前提として北方領土は日本の領土でありました。
ソ連が中立条約を一方的に破棄し、日本に攻め込んできたのです。

この話すら報道では抜け落ちています。
この歴史認識を日本とロシア(ソ連)の認識で整理してみます。

中立条約の破棄というところで、ソ連側は日本軍が1941年6月に行われた関東軍特種演習がなされた時点でこの中立条約は破棄されたという認識に立っています。
しかし、これで中立条約が破棄されたというのであれば、関特演が戦争行為ということになります。
演習が戦争行為になるのか、これも議論が必要でしょう。なぜなら当時と今では国際法が異なってくるからです。

プーチン大統領が主張しているような、米軍と日本の関係について見て行く必要もあります。

アメリカとしては日本があることで、沖縄・横須賀など基地を使え世界的に軍の展開ができるのです。
つまりアメリカとしては日本があることで世界戦略を立てて行くことができるのです。
日本はアメリカという世界で最も強い国と争うこともなく、国防体制を築くことができているのです。

このような多くの論点がある中で、北方領土が返ってこないのはアメリカ軍の存在があるからだという主張に終始しているのは以下の放送法に抵触する可能性があります。

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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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続いて2つ目の論点である政治的に公平な報道であったかという点についてみていきます。
今回の報道は野党の主張が主として取り上げられており、いわゆる左派的な論調で放送されていました。
北方領土をめぐるいわゆる保守派の主張と左派の主張を整理してみます。
左派系は国際社会との協調が第一ですので、放送内容であったような、「ロシアさんはこういう風に言ってますが、大丈夫ですか?」というようなロシアの主張を受け入れて交渉するような主張が多く見受けられます。

一方保守派の主張は北方領土の背景を鑑みて、4島返還を目指す主張が多く見受けれらます。
現在政権が進めているような2島返還も北方領土問題をなんとか前進させるような方針も保守派には受けいれられているように思われます。
あるいは戦争で失った領土を戦争なしで取り返すのは不可能であるというような主張もあります。つまりソ連が崩壊した時に取り返すべきだったという主張です。
このようなそれぞれの主張がある中で、放送では左派系野党の主張をメインで放送するのは以下の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(2)政治的に公平であること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して今後とも監視を続けてまいります。

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