6月12日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。
・後藤氏による国会論戦の解説
早速放送内容から見ていきます。
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【スタジオ】
富川悠太アナ:昨日、麻生大臣は、年金だけでは老後2000万円不足してしまうというこの金融庁の報告書を受け取らないとしましたよね。政府与党からは今度は、「受け取らないんだから、もうこんなものは存在しないんだ」という声まで出てきてしまいました。ところが、私たちにとって老後2000万円不足してしまうんじゃないかという不安は残ったままですよね。本当になかったことにしていいんでしょうか。
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【VTR】
菅義偉官房長官:議論の過程の段階のものを政府として正式な報告書としてはとらない、受けないということを財務大臣は言いました。その通りです。
ナレーション:老後に2000万円が不足するとした金融庁の報告書をめぐり、野党側は予算委員会の開催を求めていましたが。
自民党 森山裕国対委員長:予算委員会は今のところ難しいという話を申し上げてきました。報告書はありませんので。
記者:審議する必要はない?
自民党 森山裕国対委員長:審議する必要がないということではなく、審議の対象にならないと思います。ないわけですから。
ナレーション:報告書を受け取らないから、報告書はない。だから審議する必要もない、ということなのでしょうか。
記者:森山裕国対委員長が「報告書はないわけだから予算委員会にはなじまないんじゃないか」とおっしゃっていましたが。
立憲民主党 辻元清美国対委員長:それはちょっと無理があると思いますよ。へりくつです。
国民民主党 玉木雄一郎代表:自分たちにとって都合が悪い、とりわけ選挙に都合が悪いからといって受け取らないというのも前代未聞。
共産党 穀田恵二国対委員長:漫画じゃないんだからさ、自分たちの都合が悪いものについて消し去ることはできない。
ナレーション:結局、総理出席の予算委員会は開かれないものの、与野党は来週19日に党首討論を行うことで合意しました。また、衆議院の財務金融委員会を明後日にも開いて、麻生大臣らに対する審議を行います。参院選を目前に控え、与党側は火消しに躍起です。
自民党 二階俊博幹事長:2000万円の話が一人歩きしている状況で、我々は選挙を控えてるわけですからね。そうした方々に迷惑を及ぼすことのないように。
ナレーション:今回改選を迎える参議院議員は。
記者:参院選を迎える議員の皆さんの心境を一言で表すとどうでしょうか。
自民党 武見敬三参院議員:大迷惑ということでありましょうね。選挙の前は特に国民に誤解を与えやすいですから。だけど選挙の前だからというわけではない。普段でもだめ、これは。
ナレーション:自民党内からは。
自民党幹部:2000万円必要っていう文字が躍る。そりゃ批判の対象になるだろう。
自民党ベテラン参院議員:なんでこの時期に。役所の人って政治音痴だと思うよ。
ナレーション:今回の報告書は、65歳以上の夫と、60歳以上の妻の無職の夫婦の場合、30年間生きるとおよそ2000万円不足すると試算しています。与党側は、この試算自体を。
自民党 森山裕国対委員長:まず基礎としている数字にも非常に大きな疑問を持つということです。
ナレーション:その言い分とは。
—-【CM】—
【VTR】
ナレーション:与党側は、報告書の前提条件にも批判の矛先を向けます。
公明党 高木陽介国対委員長:90歳の夫と85歳の妻が2人暮らしで、月6万円の食費を使うのかと。65歳になったら全く仕事もしない、何もしない、年金だけで暮らす。そういう人がどれだけいるのか。
自民党 森山裕国対委員長:60歳と65歳の人が90歳になったという前提ですけれども、60歳と65歳の夫婦が90まで生きられるのは14%くらいですから。
ナレーション:この批判に対して、専門家は。
ニッセイ基礎研究所 高岡和佳子主任研究員:女性に関して言いますと、60歳の女性が30年後90歳までおよそ半数の方が生きますので、そこまで極端な例ではないと思います。こういう試算はあくまでも一定の前提条件のもとで計算したものであって、その前提条件のもとでは間違った試算ではないので、そこまで批判される理由が正直分からないというのが正直な感想です。
ナレーション:ちなみにニッセイ基礎研究所は、サラリーマンと専業主婦の二人世帯で、65歳で退職して年金だけで暮らす場合、現役時代と同じ生活水準を保つには年収300万円未満の世帯でも1800万円が必要だと試算しています。受け取られなかった金融庁の報告書については。
ニッセイ基礎研究所 高岡和佳子主任研究員:各人が今どれくらい使っているか、もしくは老後どれくらい使いたいか、どういう生活を送りたいのかを基準に考えていくべきなので、必ずしも「2000万円」ではなくて、非常に有用なことも書いてあるので残念には思います。
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【スタジオ】
徳永有美アナ:後藤さん、私たち報告書っていうのは一旦目にしてしまっているわけですよね。それをなかったことにって言われてもちょっと無理な気がするんですけど。
後藤謙次氏:できるわけがありませんよね。この話聞いたときに思い出したのは森友問題なんですね。この時の財務省、文書改ざんしましたよね。不都合な真実はなかったものにする。今回は文書全体をなかったものにするということなんですが、これは通るはずがないわけですね。そして今回の報告書なんですが、一定の対象者がいるわけです。つまり投資ができる人を相手に持ち出しているわけです。つまり、そこから漏れた。投資する資金がない人も当然大勢いるわけですね、無年金の人、あるいは低年金の人、その人たちがどうしたらそういう老後を送れるのかを同時に出すのが政治なんですね。つまり片一方だけ出して、これは都合が悪い、なかったことにしようということ自体でますます不安を煽ってしまったのが今回の動きだと思いますね。
徳永有美アナ:また将来そういう厳しい状況が待っているということが明るみになったのであれば、やはり開かれた場で議論をしてもらわないと国民としても不安だけが残るという結果になりますよね。
後藤謙次氏:そうですね。金融審議会の委員の方も、これは一つの材料を出したんだから、これで検討して欲しいと言ってるわけですね。つまりそこには真実があるわけですから、これを全部テーブルに載せて、国民的な議論にしましょうというのが政治なんですね。それが予算委員会をやらない、何もやらない、これで通るはずがない。強く言いたいと思いますね。
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【検証部分】
今回検証する発言は以下の部分です。
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徳永有美アナ:後藤さん、私たち報告書っていうのは一旦目にしてしまっているわけですよね。それをなかったことにって言われてもちょっと無理な気がするんですけど。
後藤謙次氏:できるわけがありませんよね。この話聞いたときに思い出したのは森友問題なんですね。この時の財務省、文書改ざんしましたよね。不都合な真実はなかったものにする。今回は文書全体をなかったものにするということなんですが、これは通るはずがないわけですね。そして今回の報告書なんですが、一定の対象者がいるわけです。つまり投資ができる人を相手に持ち出しているわけです。つまり、そこから漏れた。投資する資金がない人も当然大勢いるわけですね、無年金の人、あるいは低年金の人、その人たちがどうしたらそういう老後を送れるのかを同時に出すのが政治なんですね。つまり片一方だけ出して、これは都合が悪い、なかったことにしようということ自体でますます不安を煽ってしまったのが今回の動きだと思いますね。
徳永有美アナ:また将来そういう厳しい状況が待っているということが明るみになったのであれば、やはり開かれた場で議論をしてもらわないと国民としても不安だけが残るという結果になりますよね。
後藤謙次氏:そうですね。金融審議会の委員の方も、これは一つの材料を出したんだから、これで検討して欲しいと言ってるわけですね。つまりそこには真実があるわけですから、これを全部テーブルに載せて、国民的な議論にしましょうというのが政治なんですね。それが予算委員会をやらない、何もやらない、これで通るはずがない。強く言いたいと思いますね。
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今回の検証する箇所の問題点は2点あります。
・事実と異なる発言があった可能性がある
・印象操作と思われる発言があった可能性がある
1点目から見ていきます。
解説冒頭では今回取り上げられていた年金問題についての解説ではなく、森友問題を想起するという解説がなされています。
そしてその際、財務省が文書を改ざんしたことが問題であるとも述べています。
森友問題と今回の年金問題は別問題であり、同列に解説することはできません。
なぜなら森友問題は国有地払下げの問題であり、年金問題とは全く関係がないからです。
また財務省の改ざんについては、役人・官僚の体質問題であり、政治家の問題であるとは必ずしもいえません。
それを同列に語り、与党を批判することは事実を曲げた発言である可能性があり、以下の放送法に抵触する恐れがあります。
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(3)報道は事実をまげないですること
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次に2点目の問題点について見ていきます。
後藤氏は今回問題となっている報告書について、
「今回の報告書なんですが、一定の対象者がいるわけです。つまり投資ができる人を相手に持ち出しているわけです。つまり、そこから漏れた。投資する資金がない人も当然大勢いるわけですね、無年金の人、あるいは低年金の人、その人たちがどうしたらそういう老後を送れるのかを同時に出すのが政治なんですね。」
と述べており、低年金、無年金の方々のことについて触れないことは「都合が悪いことを隠すこと」だと、述べています。
この解説は後藤氏の主観によるものであり、視聴者に誤った印象を与えかねません。
与党は今、審議に値することではない、つまり報告書の妥当性について検証したうえで、検証するという
立ち位置です。
この点を含めると、報告書という「事実」を審議しろ、という後半の解説は与党が事実を隠蔽しているという印象を与えかねません。
このような主観に基づく解説は視聴者に誤った印象を与える解説であり、問題であると我々はとらえます。
視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して監視を続けてまいります。