2018年6月8日 報道ステーション

2018年6月8日 報道ステーション

報道ステーション、2018年6月8日分の報告です。
今回の放送で最も多くの時間を割かれた話題は「米朝首脳会談の4日前に日米首脳会談が開催」についてでした。
では、順にみていきましょう。

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富川アナ「ではまず、こちらをご覧ください。7回目の日米首脳会談を終えて、トランプ大統領と安倍総理、二人揃って会見を行いました。トランプ大統領ですね、4日後に迫っています米朝首脳会談に自信を見せていまして、安倍総理はこちら、北朝鮮に対する態度が変わってきたようです」
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ニュースは富川アナの導入と、後ろの画面に映し出される安倍首相とトランプ大統領の様子から始まりました。
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【VTR】
ナレーター「米朝首脳会談の直前に再会した二人…」
トランプ米大統領と安倍首相がそろって記者会見で発言する様子が映し出されます。
ナレーター「今、それぞれが思うこと…」
安倍首相「私はもちろん、北朝鮮と直接向き合い、話し合いたい」
トランプ大統領「国交正常化は全てが終わればできるし、したいと思っている…」
この導入の直後にCMが入り、CM明けから本格的にニュースが始まります。

CM明け、トランプ大統領のTwitterにアップされた動画をバックにナレーターが話します。
ナレーター「滞在は25時間。ゴルフもなし、ディナーもなしの訪米でした」
安倍首相の発言が取り上げられます。
安倍首相「今日は大変天気が良くて、ドナルドとゴルフができないのは残念でありますが、是非、次回また次回を得たいと思います」

安倍首相とトランプ大統領が話し合う様子が映されます。
ナレーター「今回は会談オンリーです」
安倍首相「米朝首脳会談に向けて、大統領と、しっかりと、その基本方針についてすり合わせを行いたいと思います」
トランプ大統領「米朝会談の準備は完璧だ。そもそも準備より気構えの問題だ」

場面が変わり、安倍首相とトランプ大統領が並んで会見場まで歩く様子が映されます。
ナレーター「日本の最大のお願い事は、米朝首脳会談で拉致問題を取り上げて欲しい、ということに他なりません。すり合わせはできたのでしょうか…」
安倍首相とトランプ大統領の共同記者会見の様子が映されます。
トランプ大統領「安倍首相は拉致問題について多くを語った。話し合いのなかでも重要な部分を占めた。長い時間熱心に語っていた。私はその望みをかなえるつもりだ。間違いなく北朝鮮と協議するつもりだ。間違いない。」
ナレーター「思いは伝わったようです」
トランプ大統領の記者会見の様子を流しながら、ナレーターが話を続けます。
ナレーター「ここ最近のトランプ大統領。米朝首脳会談を目前にして、圧力路線の見直しに言及したりと、安倍総理にとってはやきもきするような状況が続いていました」

画面が変わり、CNNのニュースが映し出されます。
ナレーター「その焦燥感が出てしまったのか、CNN などでこんなことが報じられてしまいました」
トランプ大統領と安倍総理大臣のツイートが映されます。ナレーター「トランプ大統領がツイッターで『わが友、安倍総理との再会を楽しみにしている』とつぶやくと、すぐさま安倍総理も『良き友トランプ大統領』と返信。しかし、その返信先は、トランプ大統領がある上院議員を個人攻撃したつぶやきだったのです。」
続いて、攻撃された側の上院議員のツイートが映されます。
ナレーター「安倍総理のつぶやきミスに、党の上院議員は『ブルータス、お前もか』ならぬ…」
上院議員(ナレーター)「アベ、お前もか」
ナレーター「こんなエピソードがありつつも、今回の日米首脳会談について、政府関係者は『いろいろ懸念があったから、やはり直前に会談しておいて良かった』と話しています」

トランプ大統領の記者会見の様子が再び映されます。
ナレーター「来週火曜日に迫った米朝首脳会談。トランプ大統領は『その場の直感で交渉する』と話していたそうですが、今考えていることは…」
トランプ大統領「最大限の圧力は今でも実施されているが、この言葉はもう使っていない。友好的な交渉が控えているからだ。この交渉の後再び使う可能性はあるが、それは交渉の結果次第だ。私が再び「最大限の圧力」と言い出せば、交渉はうまくいかなかったということだ。」
記者「北朝鮮と国交正常化まで行くつもりか、12日に戦争終結の合意に署名する考えはあるか」
トランプ大統領「ありえる。最初のステップとして合意に署名するかもしれない。大切なのは合意後だが、署名する可能性は十分にある。彼らと協議中だ」
トランプ大統領「北朝鮮は様々な可能性を秘めた国だ。すばらしい国民が要る。国交正常化は確かに期待するところだ」
ナレーター「12日の会談で朝鮮戦争を終結させ、国交正常化もしたいと名言。その時は日本も協力することに…」
トランプ大統領「安倍首相と文在寅大統領は大きな経済支援をすると言ってくれた。日本は深くかかわっているから大きな出資をする。我々は遠い国だからね、とても遠い。だから日本が支援をしてくれる」
続いて、安倍首相の発言が取り上げられます。
ナレーター「日本はこれまで『拉致問題の解決なくして、経済支援はありえない』という立場でしたが、今回の記者会見では『圧力』という言葉すら封印しました」
記者「トランプ大統領は北朝鮮の非核化を巡って『最大限の圧力』という言葉は使っておりませんが、圧力路線という考え方は弱まったんでしょうか」
安倍首相「トランプ大統領はですね、我々は制裁を実施しており、それは非常に強力な制裁である、そして北朝鮮が行動するまで制裁は解除しない、と述べておられます。日本の立場も全く同じであり、日米はまさに完全に一致してると思います。日米は常に共にある…」
安倍首相「北朝鮮には豊富な資源があり、勤勉な労働力があります。北朝鮮が正しい道を歩むのであれば、明るい未来を描くこともできる。我が国も、日朝平壌宣言に基づいて、不幸な過去を清算し、国交を正常化し、経済協力を行う用意があります」
安倍首相「拉致問題については、最終的には私と金正恩委員長、日朝の間で解決をしなければならないと、このように決意をしております」
この安倍首相の発言を最後にVTRが終了します
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【スタジオ】
スタジオに戻ると、富川アナが話を始めました。
富川アナ「今回の日米首脳会談では、安倍総理がどれだけ日本の立場をトランプ大統領に刷り込めるか、というところが注目のテーマだったんですが、拉致問題に関しては伝わったような印象がありましたね」
小川アナ「まあ安倍首相は『伝わった』という風におっしゃっていましたね」
富川アナ「あとは本番でどこまでちゃんと取り上げてくれるか、というところに注目点は移っていくわけなんですが、トランプ大統領会見で、朝鮮半島ですね1953年…朝鮮戦争、1953年から停戦状態になりますが、その朝鮮戦争の終結宣言に調印する、という姿勢も明かしました…可能性について明かしました。ただ非核化については、なかなかまだまだ先は見えないかな、という印象を持ちますね」
今回のゲストコメンテーターで、「万引き家族」でカンヌ国際映画祭の最高賞を受賞された映画監督の是枝裕和氏がこれに答えます。
是枝氏「そうですね。あの、戦争終結はもちろん凄く喜ばしいことですけど、その後に非核化があって、さらに本来的であれば世界全体が非核化へ向かう、遠い夢だと思いますが、その時にはアメリカも含んで非核化を勧めるべきで、その場合は日本政府は完全な一体化をするのではなくて、アメリカにも被爆国としてのキチンとした立場を表明して、今度こと主導して欲しいと思いますね」
富川アナ「あの、オバマ大統領が広島に来た時に、私たちも取材に行きましたけれども、あの時に非核化に向けて動くんじゃないか、と思っていましたけれども。あのオバマ大統領の政策について、トランプ大統領は否定をし続けているわけですね」
是枝氏「そうですね。このままオバマさんの演説は本当に感動的だったので、あの、これが広がるといいなと僕は思ってますけど」
富川アナ「日本の姿勢はどうですか、非核化については…」
是枝氏「あのやはり、その、アメリカと一体化と言ってしまうとですね、なかなかあの日本が世界的な非核化に対して主導権を握って、きちんと立場を説明してくって形にはならないと思うんですよね。そこで、どのくらいの立場の違いというのきちんと表明できるかっていうのは、まあ、あの何年先なのかが分かりませんけども、あの、期待はしてます」
富川アナ「今のところ、あの核兵器禁止条約に反対すると…棄権するという形ですね」
小川アナ「そうですね、核廃止に向けたアプローチが日本とは違うということで、交渉にも参加しませんでした」
富川アナ「その時には『あれ、日本ちょっと違うんじゃないの』と見られてることは間違いないでしょうね」
是枝氏「そうでしょうね」
富川アナ「…ちなみに、トランプ大統領を観て映画化しようって気は」
是枝氏「全く起きないですね」
富川アナ「そうでしょうね」
小川アナ「全く起きないですか…」
是枝氏「全く起きないですね…つまらなさそう」
富川アナ「トランプ大統領と金正恩委員長の会談は4日後、直接対面した後にどんな化学反応が出るんでしょうか」
この富川アナの発言を最後にこのコーナーが終了します。

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【検証部分】
今回の放送の問題点は、大きく分けて2点あります。
1点目は、富川アナの発言に事実と少し異なると思われる発言が見られたこと。
2点目は、富川アナと是枝氏のやり取りが少々放送法違反ともとられかねない内容になっていることです。

まず、1点目についてですが、富川アナはスタジオでの小川アナとのやり取りの中で
富川アナ「今のところ、あの核兵器禁止条約に反対すると…棄権するという形ですね」
小川アナ「そうですね、核廃止に向けたアプローチが日本とは違うということで、交渉にも参加しませんでした」
富川アナ「その時には『あれ、日本ちょっと違うんじゃないの』と見られてることは間違いないでしょうね」
と発言しています。富川アナは「日本ちょっと違う」という表現を使ってこれまでの日本の核抑止政策への疑問を呈していますが、昨年7月に国連総会にて採択された「核兵器禁止条約」において、賛成の意思を表明したのは122か国です。また、この条約にはアメリカのほか、すべての核保有国は参加の意思を示していません。
確かに世界の多くの国が参加を表明しているのは確かですが、そのような疑問を呈している国だけではないということには触れるべきだったのではないかとも思われます。

続いて2点目についてですが、是枝監督は富川アナとのやり取りの中で
富川アナ「…ちなみに、トランプ大統領を観て映画化しようって気は」
是枝氏「全く起きないですね」
富川アナ「そうでしょうね」
小川アナ「全く起きないですか…」
是枝氏「全く起きないですね…つまらなさそう」
このやり取り自体は是枝監督の一つの感想であり、否定することは難しいかもしれません。
しかし、富川アナは是枝氏がただ単にトランプ大統領に対しての中傷ともとられかねない発言をしたにもかかわらず、富川アナはその発言に笑い返しただけ。
これでは視聴者に肯定したと思われても仕方ないようにも見えます。視聴率が高く、大きな発信力を持つテレビ局の放送として正しい放送内容と言えるのでしょうか。

以上のことから、今回の放送は放送法第4条2項「政治的に公平であること」、第3項「事実は曲げないで報道すること」に抵触している可能性があります。

今後も監視を続けます。

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