サンデーモーニング 2018年4月29日分の報告です。
最初の話題は「北朝鮮が核開発を放棄」についてです。
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【VTR】
南北首脳会談
・金正恩と文在寅が板門店境界線での握手。
・金正恩と文在寅が共に北朝鮮側へ境界線を超える。
・金正恩と文在寅が2人きりで30分以上対話。米朝首脳会談へのアドバイスを文氏が金氏に伝える。
・板門店宣言署名。朝鮮半島の完全なる非核化。休戦協定から平和協定へ努力する。
・北朝鮮の非核化に向けた転換点となるのか……。
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スタジオに戻り、コメンテーターが発言します。
姜尚中氏「まあ、そうですね、デジャブと言うか既視感がありましたね。というのは2000年に第一回の首脳会談があって、これが金大中氏だったんですけど、2007年に廬武鉉という人がいて、そういうもの総結集ですよね。一回東大にいた時に金大中氏を呼んだんです。その時彼が話したことはほぼここに活かされていて、わくわくというより、やっとここにきたかという気持ち。」
<フリップでの説明>
・板門店宣言での内容紹介
・平和協定と非核化についての解説
・「南北米、南北米中での会談を積極的に推進していく」という点を強調
「まあ、だいたい言ってきた通りになったかなという。確かにあの30、数歳の若者と言ったらいいんでしょうかね。まあすごくひどい独裁者だと思いますよ。残酷なね。でも決して馬鹿ではないし、ましてや、クレイジーでもないし、やっぱり戦略戦術に長けて行動しているとのことです。まあその宣言が抽象的だとか色々ご批判はあるけど、結局それはトランプ大統領の手柄にしないと結局米朝会談なんて何の意味はないわけで、トランプとしてはやっぱり中間選挙もあるし、そこから再選もやりたいわけなので、じゃあここで抽象的に完全非核化、それから朝鮮半島、北の非核化じゃないですね。ただその時に在韓米軍の撤収を彼が望んでるわけではないので、利用するのに核資源を朝鮮半島に持ってくるなんていうことですよね。だから僕は意外とルビコンを渡ったんじゃないかと、渡ったので後は時期と手順をどうするか、そこで交渉していかないとダメですし、一応彼が北朝鮮のチャウシェスクになるのかあるいは鄧小平になるのか、これは全部終わった後に決まってくると、ですからやっとやっぱ日本の出番が出てくんじゃないでしょうかね。」
「僕も10年間、核とミサイルと安全保障が確保されない限り、拉致問題は解決されないと。拉致だけを切り離してやろうとしても絶対解決されないと、結局、拉致が見つかって30年間解禁されなかったですから、安倍政権はそれをかなり政治的な資源として利用してきましたけども結局その目途が立たなくて、やっと今ここに来ているので、北に対して、焦らずにしっかりと日本の立場を踏まえて日朝交渉やっていけばよいのですよ。」
幸田氏「ここ一年ほど偶発的にも軍事衝突が起きるんじゃないかって、我々すぐ緊張感の中にいましたので、兎にも角にも一歩前へ進んだなって素直にも良かったなっていうのを思うんですね。ただケチをつけるわけじゃないんですけど、本当に実現するのかなっていう思いを全然道筋が出てないっていうのはこれからなんだと思うんですけど。北朝鮮がやりたいことは結局そのアメリカの脅威を退けて経済的な支援を受けて充実した、いまの体制を保つということだとしたら、そのもしかしたら私は想像ですけど、核のその保管とか管理を中国と一緒にやりますみたいなこと言い出さないかなっていうちょっと心配があってキム氏が東アジアの緊張感っていうかこの地政学的な状況の鍵を握る人になってしまうんじゃないからそういう時にね、そのアメリカ軍撤退していうか、力が弱体して中国が、ってことになったら日本はどうするかって辺りまで長いスパンで考えないといけない。日本がいろんなことを試される時になってるかなって気になりますね。」
岡本行夫氏「大変なね、平和ムードですけどね、内容的にそんなそういうことなのかなと。朝鮮半島の非核化って何も1992年の宣言からずっとやってきたことですし、六カ国協議ではもっと北朝鮮は踏み込んだ非核化を言ってきてもしてね。それからあの、平和にしましょうというのは2000年、2007年の南北首脳会談でもこう言われてることですし、今度は幸田さん言われたいにもみんながこれどうなんだ、という緊迫化した状況のもとに置いといて、どこの場面を展開してみると悪玉の金正恩委員長は突然、からくり人形のようにくるっと変わる、演出能力の凄さですね、彼は姜さんが言われたようにね、大変な戦略的な人だと思って、舌を巻くような頭の良さを持っているではないかと思うんですね。去年の11月29日の国家核完成宣言ですか、それから今度の4月20日の一方的な ICBM の凍結宣言とかね。これはあくまでも自分たちがやってることだということを北の国民に見せながらね、持ってきる。このままいったらトランプ大統領も手玉に取られたり取られちゃうんじゃないかなと思いますね。」
浜田氏「今年の初めまでは本当に偶発的にも軍事的衝突が起きるかもしれないっていう間の緊張状態があった中で、いろんな会議的な部分はあるにせよ、少しその局面が変わったってことは誰にとってもあのハッピーだったのかなとは思いますが今後の事もあると思いますけど。あとやっぱり今回は日本の陰が非常に薄いというのは気になりますね。私たちのメディアは報じたんですけど、在朝の北朝鮮消息筋の人がですね、日本もなんとかそのパイプを作りたいと言うに接触してきてると、ただいまその平壌からの指示では安倍政権に一切取り合うなという指示が来ていると報じたんですけども非常にやっぱり日本がこの一連の中で蚊帳の外にあるというのが気になります。」
辺氏「個人的にはですね 、一歩引いて冷めてましたね。それはどうもこの種の宣言ですね、72年度の南北共同声明から数えてね5回、6回ですね出てるですけども、一度も守られてない36年間。その後には非核化宣言もありましたしね。結局期待しますので、それだけ失望と落胆が多いってことで今回冷めて見たみたんですけども、それでもですね、これは本物。本当に神の平和がですね訪れるんじゃないかという期待を感じるんですね。ただ、すべて南北でこんな立派な取り決めをしてもですね、肝心要の朝鮮半島にも最も影響力を持っているアメリカ、アメリカと北朝鮮との間で、話がまとまらないと全てのポシャルというのが今までの歴史なんですね。そう考えますと早ければ来月予定されている米朝首脳会談への期待がですね、一段と高まる。ここで正恩委員長の変身が本物なのかカモフラージュなのかまだわからないのかまた、裏切られるのか、今度こそ正夢になるのか、そういう意味で、今回の会談は米中首脳会談への橋渡し、 繋ぎ、そのように見ておりました。」
松原氏「考えてみると半年前、北朝鮮の兵士が亡命して、銃撃があったんだと、一種戦場と化した場所に乗り込んでいくというですね。金正恩委員長の周りに SP取り囲むシーンがいくつかありましたよね。やっぱりにこやかにやってる表舞台の裏ではかなり周辺も緊迫感があっただろうなんということを思いましたね。私は金正恩氏は話せる相手なんだと、交渉ができる相手なんだっていうところがまず大きかったなと、あとやっぱり、要はこの前の中朝も今回の南北も要は、米朝の前哨戦なわけですよね。スタートにようやく着いたんだと、本当に始まったんだということだと思うんですね。一方ではまあ信じちゃいけないっていう人もいるかもしれないただこれまで例えば6か国協議もですね、やることで遅らせてきた、つまり、やらなければもっと早かったわけですね。そういう意味では話をしてること自体がものすごくいいことで大事なことで本格的な話し合いが始まったというのは本当に素晴らしいことだと私は思います。」
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次に、「米朝首脳会談」についてのコーナーに移りました。
ここでは特に放送法違反が疑われる発言はありませんでした。
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続いて、国会正常化についての議論に移ります。
・与党がから回しという手法を実行。
・野党が審議拒否したことを世間にアピールする手法の一つと紹介。
・長尾議員、下村議員、麻生大臣の不用意発言をピックアップ。
・森山国対委員長の「解散もあり得る」との発言を驚くべき発言と紹介。
・財務相のセクハラ認定
・野党の審議拒否は続く。
浜田氏「セクハラ問題についてはあの与党議員、自民党議員の発言や麻生大臣の発言に周りの人はみんなものすごく怒ってるんですよね。でも南北首脳会談の最中にですね、もう早く幕引きしたいのは見え見えのように処分を発表してですね、結局の問題もこれで終わりというような姿も見え隠れしてるなーって感じます。一方でその働き方改革法案の審議に入りますけども、女性が働く上でこの問題は職場の問題でもあるので、こんな状況で本質的な解決に何もされてないままで、しかもその政権幹部がですね、リーダーシップを取らない状況でどうやって働き方を改革していたのか、非常にそこがちぐはぐだなと思いますし、女性が輝く社会と言っている安倍さんはこの件に関してちゃんと発言もメッセージも出してないのですね。本当にこう女性に対してどういう風にこれから働いていけるのか、これから不安と不満がみんなに募っていると思います。」
幸田氏「国際社会がこれだけ動いているときに、国内を見てるとちょっと情けなくなる状況が今じゃないかと、ただあのこのセクハラ問題っていうのが私に来ててきただけで一歩前進してる気がするんですよね。今まではそれすら言えない状況だったという記者のかたたちもそうだと思うんですけども、私も証券という業界で男社会を見ましたからね。ただ一つで財務省に関して言いたいのは来年ね、消費税の上げの問題がありますよね。で、これだけの借金を抱えた国ですよ、最終削減を各省庁に頼まなきゃいけない、それが財務省の仕事ですよね。いま、国債の問題は日銀がいるのでその問題が表面化していないということがありますけれども、これ本当に薄い一枚の氷の下には問題が噴出しかかってるところなので、それを財務省も自覚して、心を入れ替えてほしい、あまりにスキャンダルが多すぎますようね。」
松原氏「いろんな疑惑が出てきても、もやもやもやもや、結局どこに収まったか分からなくて、僕らもそうですし、国民もものすごくもやもやしていると思うんですよね。でも国会のありようを見てると姜さんが南北でデジャブだとおっしゃいましたけど、まさにこう審議拒否を野党がして与党は野党が悪いといい、野党は与党が悪いといい、審議が進まなくなるってデジャブどころかしょっちゅう繰り返されているんですね日本では。例えば議員内閣制のイギリスではどうかというと、政権交代がくりかえされていますからお互いの気持ちがわかるわけですね。だから何か起きたら実際に大事な法案と別の場を設けて疑惑は疑惑でやろうじゃないかという、長年かけてきた知恵というか暗黙のルールが出来てるわけですよね。でも日本はというと自民党と政権が長かったから大体、多数派の匙加減で決まるから野党としてはちょっとかわいそうなのは審議拒否するぐらいしか手はないわけですね。ここは与野党が大人になってちゃんと、国民のために必要な法案はやったほうがいいから、ルールを作るべきではないかとおもうんですね。一方でここはなんやかんや言って、政府がちゃんと説明をしていないことが発端ですから。まずはやっぱりこのモヤモヤ感を立たせるのはそっちですから、そちらについて説明をして頂きたいですよね。」
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【検証部分】
今回の放送の問題点は大きく分けて3つあります。
1点目は、南北首脳会談に関してのコーナーで、コメンテーターの浜田氏が根拠のないまま「蚊帳の外」という表現を使い、日本政府の外交方針を非難していること。
2点目は、南北首脳会談に関しての姜氏の発言に放送法違反の疑いがあること。
3点目は、国会正常化についての各コメンテーターの発言に放送法違反の疑いがあること。
以上の3点です。
まず、1点目についてですが、
浜田氏「(中略)あとやっぱり今回は日本の陰が非常に薄いというのは気になりますね。私たちのメディアは報じたんですけど、在朝の北朝鮮消息筋の人がですね、日本もなんとかそのパイプを作りたいと言うに接触してきてると、ただいまその平壌からの指示では安倍政権に一切取り合うなという指示が来ていると報じたんですけども、非常にやっぱり日本がこの一連の中で蚊帳の外にあるというのが気になります。」
浜田氏はこのように発言していました。これまで、日本政府が様々なルートで北朝鮮との対話を模索していることを浜田氏自身が発言しているにもかかわらず、それとは相いれない「蚊帳の外」という発言には疑問符を付けざるを得ません。また、今回の南北首脳会談や予定される米朝首脳会談についても、アメリカや日本が国際社会と協力して北朝鮮に対して制裁を加え続けた結果だという見方も出ています。根拠のないまま、日本が今回の相次ぐ会談に対して無策であることを主張するのは、事実とは反するといえるのではないでしょうか。
次に2点目についてですが、
コメンテーターの姜尚中氏は南北首脳会談についてのコーナーにて、
姜氏「僕も10年間、核とミサイルと安全保障が確保されない限り、拉致問題は解決されないと。拉致だけを切り離してやろうとしても絶対解決されないと。結局、拉致が見つかって30年間解禁されなかったですから、安倍政権はそれをかなり政治的な資源として利用してきましたけども、結局その目途が立たなくて、やっと今ここに来ているので、北に対して、焦らずにしっかりと日本の立場を踏まえて日朝交渉やっていけばよいのですよ。」
と発言しました。姜氏は安倍政権が拉致問題に対して積極的に取り組んでいることは認めつつ、それを「政治的な資源として利用してきた」と主張しています。この政治的な資源、という言葉にどのような意味が込められているのかは不明ですが、利用という言葉には疑問符が付きます。この発言を聞いた時に、視聴者がどのようなイメージを持つのかはわかりませんが、「拉致問題を政治的に利用している」という言葉を聞いて、安倍政権に対して良いイメージを持つ視聴者は多くは無いはずです。したがって、この発言は放送法違反に抵触している可能性があります。
次に3点目ですが、
浜田氏「セクハラ問題についてはあの与党議員、自民党議員の発言や麻生大臣の発言に周りの人はみんなものすごく怒ってるんですよね。でも南北首脳会談の最中にですね、もう早く幕引きしたいのは見え見えのように処分を発表してですね、結局の問題もこれで終わりというような姿も見え隠れしてるなーって感じます。(以下略)」
と発言。幕引きのタイミングを批判していますが、その発言の根拠を番組中に出すこともありませんでした。
また、松原氏は
松原氏「いろんな疑惑が出てきても、もやもやもやもや、結局どこに収まったか分からなくて、僕らもそうですし、国民もものすごくもやもやしていると思うんですよね。(中略)一方でここはなんやかんや言って、政府がちゃんと説明をしていないことが発端ですから。まずはやっぱりこのモヤモヤ感を立たせるのはそっちですから、そちらについて説明をして頂きたいですよね。」
と発言。途中で与野党が共にお互いに責任を押し付け合っていると主張しつつも、最終的には政府が説明責任を果すべきだと主張していました。
コメンテーターによるこれらの発言は、放送法第4条2項「政治的に公平であること」、第3項「事実は曲げないで報道すること」に抵触している可能性があります。
今後も監視を続けます。