2018年6月10日 サンデーモーニング

2018年6月10日 サンデーモーニング

サンデーモーニング、2018年6月10日放送回の検証報告です。

今回の報告では、
・米朝首脳会談へ向けた日本、アメリカ、北朝鮮の動きについて報道された部分
以上1点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

では、さっそく放送内容を見ていきましょう。

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【VTR】
 史上初の米朝首脳会談に先立ち、7日、ワシントンで日米首脳会談が行われた。
 安倍総理は、米朝首脳会談で拉致問題を取り上げるよう、改めて求めた。
 トランプ大統領は、北朝鮮との間で、拉致問題を確実に議論すると発言。
 これに対し、安倍総理は、「最終的には日朝の間で解決しなければならない」と述べた。
 しかし、北朝鮮は6日の労働新聞で「安倍一味は、北朝鮮に対する国際社さの圧力維持や拉致問題について必要に騒ぎ立てている」と日本を強く非難していた。
 日米首脳会談では、北朝鮮への制裁を巡り、両国の温度差が浮き彫りになった。
 安倍総理は、最大限の圧力という言葉を繰り返し使い、北朝鮮への制裁を継続すべきと訴えてきた一方、この日の日米首脳会談で、トランプ大統領は、「“最大限の圧力”は非常に有効だが、我々(米朝)は友好的な交渉に入っているので、その言葉はもう使わない」と発言。「再び“最大限の圧力”という言葉を使うとすれば、それは交渉がうまくいかなかったときだ」と発言した。
 安倍総理も、会見では“圧力”という言葉を一切使わなかった。
 トランプ大統領は、北朝鮮との交渉は1階では終わらないとの考えを表明し、最初のステップとして、朝鮮戦争の終結に関する合意を結ぶ可能性があることを明らかにした。
 アメリカと北朝鮮との将来的な国交正常化への期待感を示し、「金正恩党委員長をホワイトハウスに招きたい」とまで述べた。
 しかし、トランプ大統領は、北朝鮮への経済支援は日中韓が行うという考えを示した。
 韓国の聯合ニュースでは、朝鮮人民軍のトップ3人が交代して穏健派に変わったと報じ、米朝首脳会談を控える中で、軍の強硬派を抑え込む狙いがあるとしている。
 米朝首脳会談に向け、北朝鮮とアメリカは歩み寄りを見せている。
【VTR終】
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水野 真裕美:米朝首脳会談の主なポイントです。まず、非核化のプロセスはどうなるのか。朝鮮戦争の終結については。北朝鮮が求める体制保証はどうなるのか。そして、拉致問題は議題にあがるのか、などが言われています。
そして、海外メディアはどう見てるのかといいますと、アメリカのワシントンポスト紙は、“金党委員長は、あまり知的でないトランプ大統領よりも優位に立っている”、イギリスのガーディアンは、“金党委員長は、トランプ大統領に会うだけで恩恵が得られる”などと、金党委員長ペースで会談が進むのではと見ています。一方、韓国の朝鮮日報は、“派手なショーは行われるだろうが、韓国に対する核の脅威がなくなったと確認できない状況で、北朝鮮支援だけを押し付けられてはならない”と、米朝両国の出方を警戒する社説を載せています。

関口:いろんな要素を含んだ会談になりますからね。なかなか推測もしにくいかもしれませんが、何を皆さんは期待なさるか。姜さんからいきましょうか。

姜 尚中:いまあいろいろあると思うんですが、会談自体は成功じゃないかと。会談すること自体が。つまり、去年のあの、一触即発を考えると、会談をやること自体が一つの成功であると。で、問題は、これ2005年の6か国協議の共同声明の中に、検証可能な非核化とちゃんとうたわれているんですね。13年前に。ですから問題は、タイムリミットをどこまでおけるかどうか。つまり非核化のですね。それから、検証可能なっていうときに、具体的にはどういう方法と手順なのか。それが非常に問われてくると。それからもう一つは、朝鮮戦争が終結するっていうことは、東アジアの安保環境が変わるっていうことですね。で、日本の場合は日米安保、憲法、それから沖縄、でもう一つ南北の分断っていうのが四里一体になって、戦後日本の平和、安全保障政策があったと思うんですね。で、南北の分断・対立が解消されるかもしれない。ということは、まあ、かつてよくアチソンラインと言われましたけれども、日本とフィリピン、そこまでは何とか防御ラインがあるとアメリカは言ってたわけですが、今度は日本が、場合によっては38度線が、対馬海峡に下ってくるって可能性もあり得るわけで、ですから日本はやっぱり大きなインパクトを受けることは間違いないですね。

関口:西崎さんいきましょう。

東京大学大学院教授 西崎 文子:あの、会談自体は、今姜さんがおっしゃったように、会談が行われるってことは、これはやはりスタートラインにはなると思うんですね。ただ、会談自体にそれほど意味があるかっていうと、私は、そうではないんではないかと。大体そのトランプさん自身も、これは準備が必要なものではなくて、姿勢が必要なんだって。本当に前のめりで。会うこと自体に価値を感じていて、そっから先がやはり、非常にあいまいであると。で、金委員長もそうですし、トランプ大統領もそうですけれども、非常にこう、気まぐれなところが。金委員長の方がまだちょっとその、あるんだと思うんですけどトランプさんの方はかなり気まぐれで、このショーが終わったら、関心をなくす可能性もあると思うんですね。で、それでそういうときに何か挑発が起こったりすると一気に友好ムードが瓦解してしまうこともあると。ですから、やはり韓国・日本はこれがポジティブな方向へいくように、今は非核化に向けて、あるいは拉致問題の解決もそうだと思うんですけども、気を抜かないことが大切だと思います。

関口:でしょうねえ。岡本さん。

外交評論家 岡本 行夫:僕はね、いまだに金正恩党委員長はそんなに簡単に核兵器を放棄するのかと疑ってるんですけどね、だからもうこれね、30年、国の安全保障の基本政策として、核開発を進めてきて、それで今こうやって、トランプ大統領と五分に渡り合って世界中に注目を浴びてるのは、核兵器持ってるからですよね。北朝鮮は、1100倍のGDPを持ってるアメリカと対等にこうやっている。核兵器がなくなったら、アフリカのガボンとかね、アラビア半島のイエメンとか、そういう小さな国と同じぐらい経済的に小さくなってしまうようになるのかな。それよりも大事なのは、日本にとっての影響ですけどね、まず拉致は、トランプ大統領が、これ、安倍さんからの伝言だよという形で伝えるのか、それともこれはアメリカとしての強い要求だと伝えてくれるのか、それで随分違ってくると思うんですね。それはもう何とか後者でやってもらいたい。それから、最後にね、核ミサイルというのは、これ結局アメリカが北朝鮮を押し込むところでしか進まないと思うんですね。で、日本にとって、今度の会談で一番大事なことは、トランプ大統領に要求すべきは、朝鮮半島の米軍を縮小しないということだと思うんですね。姜さんの話とかもちょっと関連ありますけども、在韓米軍と在日米軍は、一体となって今東アジア全体の安全保障を守ってるんで、在韓米軍が引くようなことになれば、これはもう日本は裸で防衛ラインに立たされるということになるんで、これこそが私は日本にとって一番大事なことだと思ってます。

関口:でしょ

フォトジャーナリスト 安田 菜津紀:でこうして会談が直前になってくるんですけど、いまだにその、日本の軸というのがどこにあるんだろうかってことを考えてしまうんですね。例えば一度中止が表明されたときに、真っ先に日本はそれを支持しましたし、ただやはり開催するとなった時に、じゃ期待をすると表明をしてみたり、そういった意志の曖昧さから言ってみれば、そもそも、世界の中で核兵器の廃絶に決して積極的とは言い切れない日本が、どこまで北朝鮮の非核化に説得力を持てるのかということも、疑問が残ってしまうと思いますし、他国と100%共にある、そういった委ねるしかない状況とはまた別の軸が必要なんではないかというふうに思います。

関口:どうしても何かね、アメリカの顔色を見ながら日本のリアクションを決めてるみたいなところをちょっと感じちゃうところがありますね。涌井さんはどうでしょう。

造園家・東京都市大学教授 涌井 雅之(以下、涌井):どこの会談をですね、意義と意味に分けて考えると、意義はですね、まさに終わりの始まりというところから、始まりの始まりというとこに意義があると思うんです。

関口:どういうことでしょう。

涌井:要するに、際どい戦争状態というのがですね、もうそういうことを避けることが出来た。で、まさにこれから交渉が始まると。で、その始まりの始まりが、このセントーサで行われる会談だと思うんですね。ここには意義があると。しかし意味はですね、さほど、なんていうんですか今、いろいろ類推することはできない。ましてや北朝鮮の引き延ばし作戦の流れの中に多分、飛び込んでいくだろうという気がしますね。で、同時におまけがついたわけですね。おまけがついたっていうのは一体何かっていうと、北朝鮮に、中国とロシアがですね、スクランブル組み始めた。これは大変、実は日本にとってはですね、大きな対応を余儀なくされることかなあというふうな気がします。

関口:今後その問題が出てくるでしょうね。

涌井:出てくると思います。で、センターサ島という場所を選んだのも非常に偶然でですね、実は昔はこの島はですね、セントーサって名前じゃなかったんです。死者の島と言われてた島なんです。

関口:そうなんですか?

涌井:ええ。それはマラリアの、要するに患者がですね、この島に蔓延しましてね、そのマレー語が実は昔の島の名前だったんです。でそのセントーサっていうのはですね、「静けさ」と、「平和な」って意味なんです。マレー語で。で、こういう、その、両方考えちゃいますとね、非常にこの会談と重ね合わせて、見るに面白いなあという気がします。

関口:その土地の因縁みたいなものがあるんですか。なんか、ゾゾっと今きました。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは次の点です。

・安田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている

では、どのように問題なのかを解説していきます。
安田氏は今回の報道で以下のように発言しています。

安田氏:そもそも、世界の中で核兵器の廃絶に決して積極的とは言い切れない日本が、どこまで北朝鮮の非核化に説得力を持てるのかということも、疑問が残ってしまうと思います

この「世界の中で核兵器の廃絶に決して積極的とは言い切れない」という発言が何を指しているのかは断言できませんが、仮に国連総会に提出された「核兵器禁止条約」に日本が反対票を投じたことを示すものであるとすれば、事実とは異なる発言の恐れがあります。同条約が先進諸国のほとんどが不参加という結果に終わっていることや、一律に核の廃棄を迫る内容のため、様々な理由で核を保有するに至った国々にとってはあまりに現実味がないばかりでなく、保有国と非保有国の間での溝を深める恐れがあるということを考えると、反対票を投じたという事実だけで日本だけが核兵器廃絶に積極的でないとは言い切れないからです。さらに、今回の北朝鮮の核廃棄に関係する国々も一様に同条約へ反対票を投じているので、立場としては同じです。
日本は1994年から、核兵器の廃絶を目標とする「核兵器廃絶決議」を国連総会で毎年提案し、採択されています。また、非核三原則を国是として堅持し、民間のNPOがICANにも参画している現状などを考えれば、日本が核兵器廃絶に積極的ではないという発言は視聴者に誤解を与えかねません。

よって、今回の安田氏の発言は放送法第2章第4条第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

以上が今回の報告となります。今回の放送では、事実と異なる内容を放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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