サンデーモーニング、2018年9月16日放送回の検証報告です。
今回の報告では、
・自民党総裁選と沖縄県知事選について報道された部分
以上1点について検証し、その問題点を探りたいと思います。
検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。
では、さっそく放送内容をみていきましょう。
【スタジオ】
関口 宏(以下、関口氏):続きましては、2つの選挙が進行中です。
水野 真裕美アナウンサー(以下、水野アナ):はい。お伝えします。自民党総裁選と沖縄県知事選。日本の将来にも影響する2つの選挙選が本格的にスタートしました。
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【VTR】
・アベノミクスの成果を誇示する安倍総理に対し、石破元幹事長は、地方には恩恵がないと主張
・安倍首相は「お父さん、憲法違反なの」と言われた自衛官がいると主張する中、石破氏はそんなこと今言われる子どもはいないと反論
・安倍総理の優勢が伝えられている
・石破元幹事長を支持する現役の閣僚が、安倍陣営から圧力を受けたと訴えた
・名護市議選では、辺野古移設反対派と事実上容認する市長派が、13議席ずつ分け合う結果に
・専門家は、若い世代は本土に反抗・抵抗することを重要視せず、沖縄に誇りと自信をもっていると分析
・沖縄県知事選は、30日に投開票が行われる予定
【VTR終】
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【スタジオ】
水野アナ:まずは自民党総裁選です。4日後に迫った総裁選ですが、十分な討論となるんでしょうか。日程を見てみますと、7日に告示がされたんですが、地震の影響を考慮して3日間活動は自粛。共同記者会見などが10日に延期され、その後安倍総理はロシア外遊。ようやく、14日に初めての討論会が開かれ慌ただしい日程となりました。19日には党員票が締め切られますが、石破氏は、討論の時間を確保するため、延期すべきと訴えました。
関口氏:今んとこ、ここ(20日)が投開票日なんだね。
水野アナ:しかし、安倍総理は、23日から国連総会や日米首脳会談などがあるとして、応じられないと言っています。
そして、沖縄県知事選です。今回4人が立候補してるんですが、こちらの2人の事実上の一騎打ちとなりました。前回の選挙では、オール沖縄を掲げた翁長さんが、36万票を獲得。翁長さんの後継とされる玉城氏が、その票をどれだけまとめ切れるかが焦点となっています。他方、佐喜眞氏には、仲井間氏を支持した自民党の26万票。そして、下地氏を支持した日本維新の会の7万票が支持層とみられます。さらに前回は自主投票とした公明党が佐喜眞氏の支持を決めていて、そのおよそ11万ともいわれる票とともに、無党派層の動向が鍵となっています。
関口氏:うーん。これを足すとね。なんか、そういうことなのかなと思えちゃいますが。まあどちらでも結構です。どちらの選挙の話でも結構です。
姜 尚中(以下、姜氏):総裁選で。やっぱり、自民党ってのはあの、権力闘争が政策論争になって、それで多くの国民を引き付けてきたと思うんですが、まあ今回、少なくとも石破さんが出たっていうのは良いことだとは僕は思うんですけども、どうもね、やっぱり違いがよく分からないんですよ。経済を再生します、これは地方創生です。そりゃあは地方創生大臣だったわけで。じゃあそうすると、アベノミクスに代わるものは何かっていうことを、まああえて言えばイシバノミクスと言いましょうかね。それが、なかなかこう、見えてこない。で、憲法論争も今時期尚早っていうふうに、石破さんは言ってるわけだから、そうするとやっぱり、アベノミクスを総括して、でして、今度は地方がもっとこう豊かになる、具体的にあるんですかってことを明確に示さないと、結局同じ土俵に乗りたくないっていう安倍さんに、結局寄り切られちゃうっていうか。だからどうもこう、有権者からみてると、よく分からない。だから低調なんだと思うんですね。
関口氏:かもしれませんね。真音さんどうでしょう。
幸田 真音(以下、幸田氏):もうなんかもう、全くおっしゃってしまったのでって思うんですけど、先程、一番最初のとこ、あの総裁選ですけどね、アベさんが株価がすごく上がった話をされましたけど、実は海外がずっと買ってた。海外投資家はここんとこ、4兆円近く売り越してるんですよね。これあの、ブラックマンデー、87年の、あれ以来の売りだって言われてるんですけど。だから本当にあの、姜さんもおっしゃったように、アベノミクスの次の経済政策を打たないと、もう、それを皆さん期待してるっていうか。で、私、石破さん出られたのは勇気あるなと思いますし、それはそれで、とても評価されていいと思うんですが、地方創生、中小企業の力を活用しなきゃいけないっていうのは、その通りなんですけど、全く具体策が出てきてないので。で、第一、この方、地方創生大臣のとき何やっていらしゃったのかしらって思いがありますでしょ。で、安倍さんで注目するのはやっぱりこの、ここまで景気を上げてきた、その金融政策、まあほとんど依存型だったけれども、この出口を、ちゃんとやるんだって、この自分の任期の間やりますって。でもそんな簡単なことじゃないので、どういう形でそれをされるか。24兆円の株を、日銀が買ってますからね。その買い支えてたって言ってもいいと思うんです。もちろんこの株が上がってきたのは、日本の企業の、ものすごい努力もありましたし、ガバナンスを上げてきたりとか、あとその株の、1株の価値を上げてきたっていう企業努力はあるんですけれども、これをどういうふうに出口、するかものすごく難しいので。で、防衛費だとかね、社会保障費だとかってこの予算が始まってますから。この辺りをぜひ注目したいですね。
関口氏:亀石さん。
亀石 倫子(以下、亀石氏):はい、私は沖縄県の知事選の方なんですけれども、沖縄の方々の間に、基地はまあ、ない方がいいんだけれども、でもその県外移設を望んでも叶わないっていうなんかその半分諦めみたいな気持ちもあるのかなと思って。で、そうであれば、もっとその、県民の身近な所得を引き上げるっていうような、その経済の問題を考えていった方がいいというような、信条になるのも、すごくこう理解できるような気持ちはあるんです。だけれども、そうだと、やっぱりその、基地問題が沖縄に押し付けられてるって現状が少しも変わらないっていうのはあって。で、私たちはやっぱりこれは日本の安全保障にかかわる問題だから、この基地というのを、もしかしたら自分の住んでいる街に、受け入れないといけないかもしれないって可能性も考えて、この日本における基地の在り方っていうのを、私たちも考えていかないと、ずっとこう変わらないのかなっていうふうに思ってます。
関口氏:本当大きな問題だなあ、それ。太田さんいきますか。
太田 昌克(以下、太田氏):私、両方メンションしたいんですが、合わせて通底する問題だと思うんですけど。石破さんの政策、私、決して安保政策とか、核の政策。まあ、賛同しないところが多いんですけど、彼が言った一言。「真心と勇気をもって真実を語れ。」これが政治家の使命だっていうことですよね。あの、佐喜眞さんもそこハッキリおっしゃらなきゃいけない。辺野古の問題をどうされるのか。で、結果が30日出たら、本土の政治家たち。そして我々国民はそれをどう受け止めて、その真実を、で真心と勇気をもって、この辺野古の問題。米軍基地問題なんですよね。これ、国民全体がね、もう一回しっかり総括して、新しい政策を模索すべきときに来てると思いますね。
関口氏:青木さん。
青木 理(以下、青木氏):あの、菅さんがね、石破さんと安倍さん、あまり変わらないとおっしゃって、その通りだと思いますよ。安保にしても憲法にしても、ただ、違うところも明らかになって、今、太田さんがいったところに近いんですけれども、やっぱりその、沖縄の問題もそうなんですけれども、異論とか反論とか少数者の考えってのを、ある種その、強権で押し付けてね、で、ねじ伏せて、そういう意見、異論反論を封じてしまって聞こうとしないっていう、この政権の体質ですよね。それをまあ、石破さん、正直公正って言い方をしたんだけれども、それが結果として、公文書の改ざんとかですね、国会での虚偽答弁とかですね、あるいは果ては、その職員の自殺なんてことまで起こしてしまったわけですね。つまり、政策とか、それ以前の問題としての政権とか権力者の在り様ってものが、今回の総裁選で問われてるって考えると、ものすごく重要な総裁選。僕ら投票できないんですけれどどもね、だから行方をきちんと見極めなくちゃいけない総裁選だなと思いますよね。
以上が放送内容となります。
では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。
1、太田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
それでは、順を追って解説します。
1、太田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
太田氏は今回の報道で、以下のように述べています。
太田氏(抜粋)佐喜眞さんもそこハッキリおっしゃらなきゃいけない。辺野古の問題をどうされるのか。
要旨をまとめると、
・「勇気と責任を持って真実を語る」のが政治家の使命である
・だが、沖縄県知事選に出馬している佐喜眞氏は米軍基地問題について意見をはっきり表明していない
というものです。
ですが、佐喜眞氏は普天間問題においては一貫して返還を主張しており、また辺野古移設問題については「基地や安全保障の問題は国が決める。自治体には外交権限がなく、努力の限界がある」と、国政の問題だという認識をはっきりと示しています。太田氏の発言はこうした事実と異なる、佐喜眞氏がまだ辺野古問題への認識を示していないのではないかという誤った認識を視聴者に与えてしまう恐れがあります。
よって、今回の太田氏の発言は事実と異なる恐れのある認識を視聴者に与えかねないものであり、したがって放送法第2章第4条第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。
2、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。
青木氏(抜粋):沖縄の問題もそうなんですけれども、異論とか反論とか少数者の考えってのを、ある種その、強権で押し付けてね、で、ねじ伏せて、そういう意見、異論反論を封じてしまって聞こうとしないっていう、この政権の体質ですよね。
要旨をまとめると、
・安倍政権は異論や反論、少数者の考えを強権を持ってねじ伏せている
・それが安倍政権の体質である
というものです。
しかし、安倍首相がこれまでマスコミに異論や反論、少数者の考えを報じないように要請したなどという事実はありません。こうした発言は全く根拠がないだけでなく、安倍政権に対する事実と異なる認識を視聴者に与えてしまう可能性があります。
よって、今回の青木氏の発言は事実と異なる恐れのある認識を視聴者に与えかねないものであり、したがって放送法第2章第4条第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。
以上が今回の報告となります。今回の放送では、事実と異なる内容を放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。
公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。