2018年10月2日 報道ステーション

2018年10月2日 報道ステーション

2018年10月2日の報道ステーションの報告です。 
この日最も多くの時間を割かれたのは「内閣改造」についての話題でした。
では詳しく見ていきましょう。

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【スタジオ】
富川悠太アナ:今日は、こちら。第四次安倍改造内閣が発足しました。で、この顔ぶれにですね、与党内からも驚きの声が上がっているということなんですね。

徳永有美アナ:そうなんですよ。総裁選中には、適材適所と繰り返した安倍総理でしたが、20人のうち、実に12人が初入閣ということで、安倍三選を支えた各派閥から、入閣待機組がどっと入った形となりました。
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【VTR】
片山さつき氏:どうしようかなと思って。両方ともお着物なんで。

安倍首相:地方創生の担当大臣は、片山さつきさんです。フットワークも軽く、超人的なガッツの持ち主でもあります。今回、女性の入閣は一人だけですが、二人分も三人分もある・・・

ナレーター:当選回数を重ねた、いわゆる入閣待機組が次々と起用されました。在庫一掃か。はたまた、論功行賞か。安倍内閣、新たな門出です。

(CM)

ナレーター:片山さつき氏は、地方創生担当大臣に起用されました。

片山さつき氏:どうしようかなと思って。両方ともお着物なんで。お着物の生地をそのままドレスにしてます。

記者:これ、以前から用意されてるものなんですか。

片山さつき氏:こっちは園遊会用にここに入れてて、こっちはきょう家から持ってきました。

記者:何で決めますか。

片山さつき氏:いやあ、河村先生か二階先生か伊吹先生に決めていただけるといいかもしれませんね。

ナレーター:しかし、認証式は長袖が望ましいといわれ、新しい服を買うことにしました。

記者:お洋服は。

片山さつき氏:無事に調達いたしまして、あの、会館で着替えますので、はい。

記者:お洋服、無事に調達できて。

片山さつき氏:ほっとしました。はい。在庫が無かったらどうしようかと。でもあるんですね、こういうときには必ず。で、直さなくても良かったし、全然ぴったりだし。はい。

安倍首相:言わばその道のプロにも、たくさん入閣いただきました。まさに、いぶし銀の人材が自民党にはたくさんいます。いわば、明日の時代を切り開くための、全員野球内閣であります。

ナレーター:いぶし銀、全員野球。そのメンバーはこちら。

宮腰光寛氏:思った以上にたくさん、担当があります。沖縄北方。それに、少子化対策から一億総活躍、海洋政策、それから食品、食品安全。その他にも何か、いっぱい何かついてました。

記者:行改は。

宮腰光寛氏:あっ行革行革。行革。それぐらいですね。これはなかなか大変だ。

記者:奥様がとはどういうお話を。

山本順三氏:うちの家内はですね。舞い上がっておりますから、あの、それこそ。大変喜んでおりました。まあ、そういうことです。ちゃんと、ネクタイをきちっとしなさいと。で、口角を上げてしゃべりなさいと。そういうような話が届いておりました。LINEで。

ナレーター:午後1時半から、呼び込みが始まりました。

菅官房長官:文部科学大臣、教育再生担当、柴山昌彦。

ナレーター:柴山氏は、総理が信頼を置く側近の一人です。
菅官房長官:環境大臣、内閣府特命担当大臣。原子力防災、原田義昭。復興大臣、福島原発事故再生総括担当、渡辺博道。

ナレーター:今回は、当選7回以上のベテランが7人も初入閣しました。

桜田義孝氏:副大臣も2度やっておりますんで、最終的に大臣になれて良かったなというふうに思っております。

ナレーター:安倍総理と戦った石破派からは、当選3回、若手の山下貴司氏が起用されました。

山下貴司氏:総理から電話がございました。で、まあ、正直申し上げて、私でよろしいんですかと申し上げたんですが、命がけで頑張りますと。文字通り、そのつもりであります。

記者:異例の抜擢人事、3回だけだったわけですけど、それについてその、派閥の中にくさびを打つとかですね、そういった思惑があるのではと思っているんですけれども。

石破茂氏:それは邪推でしょ。それは我が派内に軋轢を及ぼしたかといえばそんなことはない。

ナレーター:今回は、初入閣が12人で、安倍内閣で最多です。総裁選で、安倍総理を支持した派閥からの起用が目立ちます。論功行賞ということなのでしょうか。

二階幹事長:適材適所っていうかね、よく良い人を選んで、それぞれの得意のところへね、おつけになったなと。よく総理は見ておられると思ってね。感心しております。

ナレーター:しかし、自民党内からは。

自民党幹部(ナレーター):びっくりしたね。超軽量級、在庫一掃セール内閣

自民党関係者(ナレーター):ある意味思い切ってるよ。各派閥の待機リストをそのまま上からあてていっただけだろう。

ナレーター:さらに、女性閣僚が片山さつき氏だけになったことについて、安倍総理は。

安倍首相:まあ、確かに、各国と比べて内閣における閣僚の女性の比率は、少ないっていうことについては、認めざるを得ないわけでありますが、まさに、日本が女性活躍の社会、スタートしたばかりでありまして、これから、どんどん入閣する人材が育ってくると、こう思います。党においてはですね、松島みどりさんに、党七役の広報本部長を務めていただくことになったわけございますし。

ナレーター:閣内を去るこの人は。

野田聖子氏:安倍内閣が6年前に再び復活したときの1丁目1番地は、女性活躍であったと。閣僚の数で言うと、3、2、1、減り続けているので私は大変心配をしています。

ナレーター:一方、自民党執行部には、総理側近が起用されました。選対委員長に就任したのは甘利氏です。甘利氏といえば、2年前。政治とカネの問題で閣僚を辞任した人物ですが。

記者:もう禊は終わったとか、どのように今、受け止めていらっしゃるんでしょうか。

甘利明氏:まずは正確な記事を書いていただきたいと思います。あの事案・事件につきましては、私、秘書とも刑事訴追されておりません。特に私については、検察審査会もその必要性を認めておりません。

ナレーター:安倍総理がこだわる憲法改正に向けた布陣も整いました。憲法改正推進本部の本部長には、側近の下村氏。筆頭副幹事長兼総裁特別補佐に稲田氏を起用します。

安倍首相:まさに、歴史の大きな転換点にあって、今こそ、日本の明日を切り開くときである。平成のその先の時代に向かって新しい国づくりの力強いスタートを切る。

ナレーター:野党からは。

福山哲郎氏:女性が一人しかいないかく(内閣)。まったくわくわくしないかく(内閣)と。これまでの発言等を拝見すると、ライトな責任とらないかく(内閣)と、いう感じかな。

玉木雄一郎氏:これまで国会などで問題になってきたさまざまな問題点が、すべてリセットされるわけではありませんので。

小池晃氏:見飽きた顔と見慣れない顔をかき集めたインパクトのない布陣だなと。在庫一掃という失礼な言い方は私はしませんが、閉店セールと、閉店セール内閣と言わせていただきます。終わりの始まりと。

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【スタジオ】
富川アナ:まあ今回の改造内閣、安倍総理は会見で、全員野球内閣と命名していましたけれども、後藤さんはこの顔ぶれ。ご覧になっていかがですか。

後藤謙次氏:そうですね、安倍総理の言葉を聞いて、こんなフレーズが浮かんできました。

徳永アナ:全員野球部OB内閣。OB。OBですか。

後藤氏:まさにですね、これまでベンチで野次を飛ばしてたというような人たちがみんな閣僚にずらっとでてきた。そんな印象ですよね。

富川アナ:確かにですね、この初入閣の顔ぶれを見てみると、入閣適齢期というのは当選5回以上と言われてはいるんですけれども、8回の方が3人。そして7回の方が4人とベテランが多いですね。

後藤氏:そうですね。これはですね、やっぱり安倍総理、今度3選を目指すためにですね、5派閥から推薦を受けると。支持を取り付けると。そのためにいろんな意味で人事の約束をした。それをカバーするためにはこれだけの人を登用しなければいけなかった。そういう意味だと思いますね。

富川アナ:その結果が初入閣12人ということになったわけなんですが、これだけ初入閣が多いと、リスクはないんですか。

後藤氏:当然リスクは大きいですね。これまでも新入閣組にさまざまな問題が起きるんですね。一番頻発するのはまず、口ですね。舌下。失言をする。それとやはり答弁能力。国会でほとんどまともな答弁ができずに追い詰められてってしまう。それからもう一つはスキャンダルというのもありますね。これまで表に出てなかったことが、いろんな形で炙り出されてくる。それによって政権そのものが窮地に陥る。あるいは閣僚が辞任に追い込まれる。そういうケースは過去に頻発しましたから、今回は非常にその意味でリスクは大きいと思いますね。

富川アナ:具体的に、どういった方がリスクがあると?

後藤氏:例えばかつて失言をした人では桜田さんです。すぐ発言は撤回はしましたけども、慰安婦の問題を失言をしてですね、この方は五輪担当ですから、いわば五輪担当の特命全権大使的な、そういう要素もありますね。

富川アナ:世界に対して発信していく人ですよね。

後藤氏:そういう意味で、非常にある面で不安材料を抱えてるんじゃないかと。そんな気がしますね。

富川アナ:他にもいらっしゃいますか?

後藤氏:まあ、いろいろ。

富川アナ:いろいろ

後藤氏:あり過ぎてといっては語弊がありますが。

富川アナ:じゃあ、あの、次いきましょうか。注目の人事と言えば、初入閣。この石破派の山下さん。3回当選で初入閣ということで、これは大抜擢といえると思うんですけれども。

後藤氏:これは大抜擢だと思いますね。もう一つは石破派から登用したっていうことですね。石破さんさっき何も関係ないんだと。こう言ってますが、石破派幹部に取材をすると、やっぱり石破派内外に逆髪を立てると、そういう思惑が安倍さんの側にあるんじゃないかと。

富川アナ:石破派内にも待機組がいたのに、若い方を大抜擢っていうことで。

後藤氏:飛び越してですね。前回の齋藤健農水大臣になったのと非常にケースは似てますよね。

徳永アナ:あと後藤さん、女性がまあ1人。片山さん1人ということですよね。

後藤氏:これは人数、多少無理してもやらなければいけなかったと思いますね。ただ、あまりにもやっぱり、多数派工作するための、ある面で余白がなくなってしまった。それで1人になってしまった。しかし、野田大臣が先ほど言ってましたけども、まあ前大臣ですが。最初安倍さんが復活したときに持ち出したのは、女性活躍社会の実現だったんですね。そこをもう一回思い出してもらいたいと思いますね。今、ニュージーランドの首相は出産をしてもやってるわけですから。

富川アナ:そうですよね。世界の潮流はそうですよね。そして安倍総理は3選した直後に言っていたのが、しっかりとした土台の上にできるだけ多くの方にチャンスを与えたいと。まさにその通りの布陣だと思うんですけれども、その土台の部分でも懸念の声が上がっていまして。例えば麻生大臣は、森友問題も財務省の一連の対応があったり、公文書改ざん問題もありました。その責任問題を抱えたまま留任。

後藤氏:そうですね、安倍さんにとって麻生さんっていうのは第一次政権。幕を引くときの自民党幹事長だったんですね。以来ずっと盟友関係にある。ある意味、精神安定剤的な役割も果たすわけですから、麻生さんがない安倍内閣っていうのは、なかなか存在し得ない。それで残さざるを得ないんですが、やはりその森友問題・財務省の改ざん問題。それはまったく蓋をしてしまってるわけですから、その一方で加藤勝信さん。

富川アナ:責任問題という意味で。

後藤氏:厚生労働省でですね、例の働き方改革のいろんなデータの問題もありました。それもしっかり決着をつけてないのにも関わらず、総務会長。昇格ですから、こういう問題もある。それから甘利さん。自分はまあ起訴になってないから、刑事訴追されてないんだから全く問題はないとは言ってもですね、あのとき閣僚を辞めて、まだ2年ですね。その段階で復権を果たしてしまう。今回その復権っていうのも非常に多かったですね。稲田さんもそうですね。防衛大臣の責任をとってお辞めになって、今度筆頭副幹事長っていうのは、副幹事長のなかでは筆頭です。それでしかも総裁特別補佐についてるってことは、次は入閣候補ですよと。つまり安倍総理は将来育てる一人ですよっていうことを、メッセージを送ってるわけですね。その意味で非常に身内に甘い。そういう政権だと思いますね。

富川アナ:責任問題を抱えている人が、改造内閣にも、党役員人事にも含まれていると。

後藤氏:はい。

富川アナ:そして稲田さん、筆頭副幹事長というとなんですが、前筆頭副幹事長。小泉進次郎さんは、厚生労働部会長を希望しているという話なんです。これは何でなんですか。

後藤氏:昨日の夜、二階幹事長と、二階さんが事情聴取した際に、厚生労働部会長をやりたいということを言ったそうですが、まあ、小泉さん、非常に政策の幅を広げてですね、とりわけ、この少子高齢化社会に向けて、日本はどうするのかと。その青写真を見たくて。将来、自分がトップリーダーになったときの布石なんですね。この総裁選の後のインタビューの中で、自分はネクストバッターズサークルだと、こう言ってるんですね。つまり、次は出てきますよっていうのをある面でメッセージを送ってますから、小泉さんがここで社会保障をしっかり勉強した上で次の飛躍を目指すと。そういうことだと思いますね。

徳永アナ:さあ、ということで今月の下旬には臨時国会も開かれますので、まあ新たな大臣の手腕が問われるといったところだと思います。

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【検証部分】
今回の放送の問題点は大きく分けて2点あります。
1点目は、VTRの内容に放送法違反に抵触する可能性がある箇所が見つかったこと。
2点目は、スタジオでの後藤氏の発言が放送法違反に抵触する可能性があること。
以上の2点です。
詳しく説明していきます。

まず1点目についてです。
VTRの冒頭、ナレーターはこんな言葉を言っていました。
ナレーター:当選回数を重ねた、いわゆる入閣待機組が次々と起用されました。在庫一掃か。はたまた、論功行賞か。安倍内閣、新たな門出です。
この時点で視聴者は「入閣待機組」が大勢内閣に入り、「在庫一掃」ではないのか。というイメージを持つことになります。その後のVTRも初入閣で当選回数も多い新閣僚を中心にフォーカスをしてVTRを放映していました。
放送中には堅実な仕事ぶり、などの新内閣に期待を持たせるような発言は登場しませんでした。VTRでは視聴者にネガティブなイメージを持たせる言葉が先行してしまっていたのでした。

次に2点目についてです。スタジオではこんなやり取りがありました。
富川アナ:まあ今回の改造内閣、安倍総理は会見で、全員野球内閣と命名していましたけれども、後藤さんはこの顔ぶれ。ご覧になっていかがですか。

後藤謙次氏:そうですね、安倍総理の言葉を聞いて、こんなフレーズが浮かんできました。
徳永アナ:全員野球部OB内閣。OB。OBですか。
後藤氏:まさにですね、これまでベンチで野次を飛ばしてたというような人たちがみんな閣僚にずらっとでてきた。そんな印象ですよね。
富川アナ:確かにですね、(以下略)
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後藤氏:当然リスクは大きいですね。(中略)そういうケースは過去に頻発しましたから、今回は非常にその意味でリスクは大きいと思いますね。
富川アナ:具体的に、どういった方がリスクがあると?
後藤氏:例えばかつて失言をした人では桜田さんです。すぐ発言は撤回はしましたけども、慰安婦の問題を失言をしてですね、この方は五輪担当ですから、いわば五輪担当の特命全権大使的な、そういう要素もありますね。
富川アナ:世界に対して発信していく人ですよね。
後藤氏:そういう意味で、非常にある面で不安材料を抱えてるんじゃないかと。そんな気がしますね。
富川アナ:他にもいらっしゃいますか?
後藤氏:まあ、いろいろ。
富川アナ:いろいろ
後藤氏:あり過ぎてといっては語弊がありますが。
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このように、後藤氏は今回の組閣について、入閣した各議員の資質を疑うような発言を繰り返していました。失言やスキャンダルが増えるのではないかといった意見や、答弁をしっかりと行えるのかという意見を繰り返し言っていましたが、いずれも「印象を受ける」という言及の仕方や、富川アナに桜田議員以外の失言の可能性を問われたときに「いろいろ」と答えるなど、不明瞭で根拠のない発言が多いように感じました。
様々な新閣僚について職務を全うしてほしいという意見や、失言の可能性を指摘することは必ずしも報道機関として間違った姿勢とは言い切れません。しかし、そこに根拠がなかったり、別の観点からの言及がされていないというのは、報道機関としての品位を疑わざるを得ません。

したがって、今回の放送は今回の放送は放送法第4条2項「政治的に公平であること」第3項「事実は曲げないで報道すること」第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に抵触している可能性があります。

今後も監視を続けます。

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