2018年10月7日 サンデーモーニング(前編)

2018年10月7日 サンデーモーニング(前編)

サンデーモーニング、2018年10月7日放送回の検証報告(前編)です。

今回の報告では、
①第4次安倍内閣発足について報道された部分
②「風を読む」における沖縄知事選の結果と米軍基地問題について報道された部分
以上2点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを2つに分け、前後編でお送りいたします。
前編で検証するのは、
①第4次安倍内閣発足について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容を見ていきましょう。

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【VTR】
安倍首相:この内閣は、それぞれのポジションで腕を磨いてきた実務型の人材を結集しました。いわば、明日の時代を切り開くための全員野球内閣であります。

水野真裕美アナ:全体のおよそ3分の2にあたる12人が初入閣という第四次安倍改造内閣。政権の土台を担う6人の大臣が留任しました。

小池晃氏:見飽きた顔と見慣れない顔をかき集めたインパクトのない布陣だなと。

水野アナ:さらに野党側は、留任した麻生財務大臣への批判を強めています。財務省の公文書改ざんでは、上司から改ざんを指示されたとみられる近畿財務局の男性職員が今年3月に自殺。その父親が火曜日、麻生氏の留任について、こう語りました。

自殺した男性職員の父親:何事もなかったように、幕引きになってしまいましたですけどね。佐川さんの上の人ぐらいはね、責任とってほしかったですけど。

水野アナ:その麻生氏は金曜日。

麻生太郎氏:私が入閣する・留任する・再任するというのはこれ、内閣総理大臣の専権事項ですから、それはそちらに聞いていただかないとなんとも答えようがありません。

水野アナ:さらに、文書の改ざんを支持したとされる佐川宣寿前国税庁長官について。

記者:(佐川氏を)今でも国税庁長官に任命したことに間違いはなかったと。

麻生氏:そう思っていますよ。佐川という人物に関しまして、私どもとしては、行政官として極めて有能な行政官だったという評価を、私どもはきちんと持っています。

水野アナ:一方、文部科学省では、初入閣した柴山文部科学大臣の発言が波紋を広げました。柴山氏は、戦前の教育で使われた教育勅語について。

柴山昌彦氏:(教育勅語を)アレンジをした形でですね、今の、例えば道徳等に使うことができる分野というのは、私は十分にあるという意味では、普遍性を持っている部分が見て取れるのではないかというふうに思います。

水野アナ:これに対し野党は、言語道断などと批判。柴山氏はこれに対し、教育勅語を復活させようと言っているわけではないと釈明しました。また、党役員人事をめぐっては、安倍総理の盟友、甘利氏が選挙対策委員長に就任。甘利氏といえば2年前、建設会社側からの金銭授受問題を受けて、経済再生担当大臣を辞任しています。

甘利明氏:あの事案・事件につきましては、私、秘書とも刑事訴追をされておりません。監督責任をとって辞任をしたということであります。

水野アナ:次の国会で自民党の改憲案をすることに改めて意欲を示す安倍総理。課題を抱えた船出となっています。

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【スタジオ】
関口宏氏: これが新しい顔ぶれ。お一人おひとり紹介するわけにはちょっといかないんですが、ちょっとこちらを。

水野アナ:はい。内閣支持率なんですが、一般的に内閣改造や組閣があると支持率が上がるとされていて、第2次安倍政権の発足以降も、例えば共同通信の調査では、これまで6回のうち5回で5ポイントから8ポイントほど上がっているんです。ところが、今日までに出た三社の世論調査で見てみますと、共同通信では0.9ポイント下がって46.5%。読売新聞では横ばいで50%。日経新聞などの調査では、5ポイント下がって50%となっています。

関口氏:さらにここは、田中秀征さんにボードを使ってご説明いただきたい。よろしくお願いします。

田中秀征氏:今の数字ですけどね、あの、予感をしてたですね。珍しいことだけど、ひょっとしたら支持率下がるかなというふうに思ってたんで、どうしてかちょっとご説明させてください。
新内閣に遠心力が働いてんじゃないかと。そういう、あの心配というのが出てきたんですけれども、その理由を考えると、一つはその、組閣自体にあまり感動が伴わなかった。非常に白けた印象を受けたんですね。その理由を考えると、まあ、政権の土台や柱は変えないと。ところが土台や柱を変えてもらいたいっていう国民が多かったんじゃないかなというふうに思うんですけども、それから初入閣これ、12人ですかね。この人達がどんな働きをするんか分かんない。不安な要素もあると。そういうことであれば、これに期待するわけにもいかない。あるいは論功ですね。選挙で頑張ってくれた人にご褒美をやると。あるいは派閥の均衡ってのを大事にすると。そういう形で、ある意味で国民の側を向いてないような形の組閣をしたんじゃないかと。さらにその、それを補って余りあるような目玉人事がない。例えば、小泉進次郎さん、話題になりましたけども、そういう形で国民的期待のある人が、内閣に入閣したわけじゃないと。それから大きくもう一つはその、政権への逆風ですね。これは、石破さんがちょっと予想外の善戦をして、なんか、勝った方と負けた方が、どっちが勝ったのか分からないような、そういう総裁選がそういう状況になってしまったということが、ブレーキをかけた。さらに、先ほどあった沖縄の県知事の選挙。これがまた、国政与党が敗北したということで、やっぱり新しい内閣の発足についてブレーキをかけてしまったということですね。それからさらにこれ、大事なのは長期政権だっていうものを含めて、総裁任期は、2期なのを3期にしたんですね。安倍政権時代。4期は政治的に絶対できない。そうしますと、あと3年で必ず終わると。そうすると2期目のアメリカ大統領選挙が終わると、まあレームダックになると言われてんだけど、それと同じように、非常に急速に、その求心力が失われてが遠心力が高まっていくと、そういう状況になって。これは安倍さんじゃなくてもそういう宿命があるんだと。期限付きの首相、戦後はもとより、戦前もあったかなあと。明治18年に内閣制度ができてから、そういったことがあったということは、僕はちょっと思いつかない。そのぐらい、稀有のことですね。で、そういうところを来年の陛下のご退位。それから、改元ですね。さらに翌年のオリンピックって国家的行事を乗り切っていくエネルギーをどうやってこれから出していくのかっていうことを心配になるんで。よくよく、あの安倍首相には、そこら辺のところをじっくり考えてね、政治にあたってもらいたい。対応をしてもらいたいというふうに思いますね。

関口氏:前途多難であるというような印象を受けましたが、大宅さんいかがでしょう。

大宅映子氏:確かにあの、お店で言えば閉店が決まっているところで、閉店が決まっているところでね、セールやりますって言われても、もう何も新しいの入ってこないんだろうなっていう、そういう感じで。昔はあの、内閣改造っていうと一人ひとり出てきてインタビュー受けたりとか、これから勉強しますなんていうのを、皆で突っつきながら、何か期待感があったのが、今回何にもない、なくって、あっそうっていう感じ。私昔あの、毎週大臣にインタビューする番組やってたんですけど、自民党ってのは、大体あの、選挙を4回、5回ぐらい当選した人たちが大臣に、プールみたいな感じで待ってるんですよね。大臣有資格者みたいになってて。で、改造するときは、人心真って言うんだけど。実は大臣の数を増やすために、やってたとしか思えないようなことがままありました。それと同じ感じがして。在庫一掃セールかなって。

関口氏:なるほど。岡本さんの印象聞きましょう。

岡本行夫氏:はい、国のためにはね、政治の安定性ってのはとっても大事なことだと思うんで、安倍さんに頑張ってもらいたいと思いますけども。ただ、なんていうんですかね、もう少し謙虚に真摯に、結果をね、受け止めてもらいたいという気もします。あの、安倍さんは永田町では圧倒的にね、国会議員を押さえましたけども、より国民の意識に近い一般党員選挙。これ104万人が投票したわけですね、そこでは55%しか取れなかった。石破さんが45%。しかし、それを謙虚に受け止める気は、安倍さんの周りの人は、あれは前回よりも票が少なかったとかね、あれは何でもなかったというふうな方向にばっかり、どうも評価を集めてる。それから、全員野球と安倍さんが強調してるわりにはね、石破茂さんも竹下亘さんも、完全に切っちゃってるし。それから、全員でまとまってやっていこうっていう、その、どうも意欲が伝わってこない。それからもう一度ね、本当に党を総結集して頑張ってもらいたいと思います。

関口氏:目加田さん。

目加田説子氏:私もあの、先程大宅さんもおっしゃった通り、期待がわかない内閣だなあという感じが。なんかこうワクワクするような感じがなくて。閣僚のこの平均年齢調べてみたら63.4歳なんですよね。しかも女性が1人しかいないと。この21世紀にですよ。っていうことで、なんていうんでしょう。安倍さんはずっと適材適所っていうことをおっしゃってたじゃないですか。だけど、その前の日から誰々の入閣が決定というような速報が流れてきて、なのでまず入閣する人が決まって、それから空いてるポストに振り分けてるというしか、ちょっと思えないというような。本当に、この人が適任者なのかなと。もっと、もっと優れた優秀な人がいるのではないかなっていう感じがしましたし、その年功序列っていうんですかね、さっき論功とか派閥って言葉が出てきましたけども、だけどもうちょっと、若い人であったり、それから女性であったり。あるいは民間登用でもいいので、もっと適材な人をね、登用してほしいなっていうことをすごく思いました。

関口氏:松原さんいきましょう。

松原耕二氏:先ほどの支持率が、終わっても上がらなかったっていうのがありますが。やっぱりこう、国民の見たい風景と安倍さんがやっぱり見てる風景が、大分やっぱりズレがあるんだろうなと思いますね。その理由は何かというと、さっき秀征さんがおっしゃったように、どの政権でも長くなるとどれも劣化する。それをいかに防ぐかっていうことを腐心してるのがものすごく透けて見えるというか。だから内閣の方はまあ、応援してくれた派閥にそれなりに割り振ると。義理を立てると。で、党の方は何とか、改憲シフトで。改憲で求心力をとにかく高めようということで、そこに気脈が通じた人を置いているという構図なんだと思うんですね。で、そこに党人事、特に安倍さん強い思いが見えると思うんですが。そこにやっぱり国民との風景のズレをもう一つ感じるのは、先程甘利さんの、昔問題がいろいろあったけれども、かつて問題があったけど説明ちゃんとしてないって言ってましたけど。例えば先程憲法のまとめ役である下村博文さん。党の。その方もやっぱりいろんな問題があった。いくつかあの、この前のパーティー券の問題があったりしたんですが、その問題に対してきちんと説明をせずにですね、そのままになっちゃってるわけですね。だから安倍さん、森加計問題で丁寧な説明をすると言いながら国民に対して納得できるものをしてないと。まあ同じ風景というか。政治家の説明責任が大事にされてないなというのは感じますね。しかも問題発言をしそうな方が内閣の中にもたくさんまあ、いらっしゃいますんで。もしかしたら安倍さん、この人事で自分の足を引っ張られるんじゃないかなという気もすごくする。ただ、3年間とにかく、鎌かけるだけじゃなくて、何もしないっていうんじゃ困りますんで、とにかく、長期的な課題に取り組んで、そこはきちんとやっていただきたいというふうに思いますね。
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以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の5点です。

1、VTRに視聴者に誤った認識を与える恐れのある編集があった
2、田中氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、目加田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
4、松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
5、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、VTRに視聴者に誤った認識を与える恐れのある編集があった
今回のVTRで、柴山昌彦氏の発言は以下のように取り上げられています。

柴山氏(VTR抜粋):(教育勅語を)アレンジをした形でですね、今の、例えば道徳等に使うことができる分野というのは、私は十分にあるという意味では、普遍性を持っている部分が見て取れるのではないかというふうに思います。

しかし、柴山氏は実際の会見で以下のように発言しています。
柴山氏(会見抜粋):現代風にですね、解釈されたり、あるいはアレンジをした形でですね、今の、例えば道徳等に使うことができる分野というのは、私は十分にあるという意味では、普遍性を持っている部分が見て取れるのではないかというふうに思います。それは、同胞を大切にしましょうとか、国際的な協調を大切にしましょうとか。そういった形で現代風にアレンジして教育しようという動きがあることは承知しているが、私はこうしたことも検討に値すると考えている

つまり、VTRには「(同胞意識や国際協調といった)現代的な再解釈をしたうえで」という柴山氏の条件付けが抜けているのです。こうした編集は視聴者に「柴山氏は太平洋戦争当時の日本の価値観を教育しようとしている」という誤った認識を視聴者に与える恐れがあります。

以上のことから、この放送内容は放送法第2章第4条3「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、田中氏の発言に、事実と異なる恐れのある内容が含まれている
田中秀征氏は今回の報道で、以下のように述べています。

田中氏(抜粋):一つはその、組閣自体にあまり感動が伴わなかった。非常に白けた印象を受けたんですね。その理由を考えると、まあ、政権の土台や柱は変えないと。ところが土台や柱を変えてもらいたいっていう国民が多かったんじゃないかなというふうに思うんですけども、(中略)それから大きくもう一つはその、政権への逆風ですね。これは、石破さんがちょっと予想外の善戦をして、なんか、勝った方と負けた方が、どっちが勝ったのか分からないような、そういう総裁選がそういう状況になってしまったということが(以下略)

要旨をまとめると、
・今回の組閣には感動が伴わない。なぜなら国民が求める土台や柱の変更がなかったからである。
・直近の総裁選において石破氏の善戦があり、それによって買ったのか負けたのかがわからないような結果になったので、今回政権への逆風として現れた
というものです。

しかし、
・今回の組閣に感動が伴わない、というのは根拠のない主観的な感想である。また、そうした感覚が国民の間で共有されているという証拠も存在しない。
・「政権の土台や柱を変えてほしい」という意見を持つ国民が多いというのは根拠のない一方の立場に偏った主観的な憶測である。
・石破氏がある程度の善戦をしたことは事実だが、7割の得票で安倍氏が勝利したことは事実であり、買ったのか負けたのかわからない、どちらが勝ったのかわからないというのは事実に基づかない発言である
ということが言えます。

以上より、今回の田中氏の発言は放送法第2章第4条第2項「政治的に公平であること」、並びに同第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

3、目加田氏の発言に、事実と異なる恐れのある内容が含まれている
目加田説子氏は今回の報道で、以下のように述べています。

目加田氏(抜粋):だけど、その前の日から誰々の入閣が決定というような速報が流れてきて、なのでまず入閣する人が決まって、それから空いてるポストに振り分けてるというしか、ちょっと思えないというような。

要旨をまとめると、
・前の日から入閣決定の情報が流れている
・これは入閣する人をあらかじめ決めているからだ

というものです。

しかし、前の日に入閣情報が流れたことは、次の日までポストが決まっていなかったということにはなりません。よって、先に入閣する人を決めてからポストに振ったという判断をするのは根拠のない憶測にすぎません。

以上より、今回の目加田氏の発言は放送法第2章第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

4、松原氏の発言に、事実と異なる恐れのある内容が含まれている
松原氏は今回の報道で、以下のように述べています。

松原氏(抜粋): やっぱりこう、国民の見たい風景と安倍さんがやっぱり見てる風景が、大分やっぱりズレがあるんだろうなと思いますね。

要旨をまとめると、
・国民の見たい風景(国民の安倍政権への評価や支持など)と安倍首相の見ている風景(安倍政権の自己評価)がズレている
というものです。

ですが、国民のおよそ半数が安倍首相への支持を表明している現状において、このように片方だけの主張を取り上げることは、政治的に公平性を欠くだけでなく、ひとつの立場に偏った発言である恐れがあります。

以上より、今回の松原氏の発言は放送法第2章第2項「政治的に公平であること」、ならびに同第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

5、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「第4次安倍内閣には期待できない」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「第4次安倍内閣に期待したい」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片側の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の前編となります。前編では事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
②「風を読む」における沖縄知事選の結果と米軍基地問題について報道された部分
については、後編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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