2018年10月8日 報道ステーション

2018年10月8日 報道ステーション

2018年、10月8日の報道ステーションの方向です。
この日、最も多くの放送時間を割かれたのは「加計学園問題関連」の話題でした。 
では、詳しく見ていきましょう。

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【スタジオ】
富川悠太アナ:昨日ですね、加計学園の加計考太郎理事長が、6月に初めて会見を行ってから4ヶ月ぶりとなる2度目の会見を開いたんですね。ただ、地元からも疑惑は晴れていないとの声が挙がっているんですね。

徳永有美アナ:加計理事長は、安倍総理との面会を改めて否定した上で、愛媛県の文書に残る総理の発言などは、当時の勇み足だったとしました。しかし、私たちの取材に応じた学園の職員は、理事長の意向なく部下が勝手にやるわけがないと証言しました。
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【VTR】
加計理事長:まあ、会ってないと思います。勇み足をしましたと言いますか。

ナレーター:昨日、加計学園の加計孝太郎理事長は、こう答えました。しかし、学園の職員は。

加計学園職員:あの人がトップで後はみんな兵隊ですから。茶番を何べんするのっちゅう話。

(CM)

平石直之アナ:たった今、加計理事長が入ってきました。ようやく記者会見が始まります。くすぶり続ける疑惑に対して、どこまで答えるんでしょうか。

加計理事長:勇み足をしましたと言いますか。ことを前に進めるために、あのような誤解を招くようなことを申し上げたと。

ナレーター:勇み足とは、3年前、当時の渡辺良人事務局長が、愛媛県に対してした発言について。

渡辺直人氏:まあ、嘘と言いましょうか。ふと思ったことを言ったんじゃないかなと思います。

ナレーター:愛媛県の文書によれば、渡辺事務局長は、3年前の2月25日、加計理事長と安倍総理が面談したと伝えています。これは、「勇み足でした作り話だ」と言う加計理事長ですが、本当に会っていないのか尋ねられると。

加計理事長:まあ、会ってないと思います。

記者:なんでそれが言えるんですか?

加計理事長:だから記録がないからとしか言いようがないですね。

記者:理事長は当時、その2015年2月25日、どこで何をされてたんですか?

加計理事長:3年、4年も前ですか?3年前。ちょっと覚えておりませんですね。覚えてないし、記録もないわけですから・・・

ナレーター:愛媛県文書によると、加計学園から理事長と安倍総理の面談結果について報告したいという申し出があって、県との打ち合わせが行われたと言います。

記者:たまたまその場で、思い出して言ったようなお話ではないように思うんですけども。

加計理事長:これで、黙ってたら県も市も、もう手を引くというような危機感の中から渡辺事務局長はそういうふうに言った聞いております。

記者:ではなぜこういうふうに書かれているんですか?

加計理事長:それは本人に聞いてみんと分からないですね。

記者:愛媛県の文書には全く目を通されてないんですか?

加計理事長:はい。

記者:これだけの内容で?

加計理事長:はい。

記者:これをもとに渡辺元事務局長に聞き取りをするとかは、されてなかったんですか?

加計理事長:はい。

ナレーター:愛媛県の文書は、全部で27ページです。ただ、安倍総理との面談など、重要なやり取りに関する部分は、わずか6ページに過ぎません。

記者:疑惑を解明するために会見を開いてないんですか?文書を読んでないなんて理解できないです。

ナレーター:安倍総理と加計理事長は40年来の友人ですが、安倍総理が獣医学部の新設を知ったのは、加計学園が事業者に決まった去年1月20日だったとしています。

記者:総理と獣医学部の新設の話をされたのは、去年の1月20日以降っていうことだったと思うんですけれども、それはその通りなんですか?

加計理事長:いやあの、基本的にはですね、仕事の話はしないというスタンスになっておりますんで、獣医のことを知ったのは、いつ知ったのか知りませんけれども、私が進んでですね、総理にこういう話はしたことはありません。

ナレーター:仕事の話はしないという加計理事長ですが、安倍総理は国会でこう答弁しています。

安倍首相:彼は、チャレンジ精神をもった人物であり、時代のニーズに合わせて新しい学部や学科の新設に挑戦していきたいという趣旨のお話は聞いたことがございますが・・・

平石アナ:総理は去年7月、時代のニーズに合わせて新しい学部や学科の新設に挑戦していきたいという趣旨のお話は聞いたことがあると言及されています。お話されてるんじゃないでしょうか?

加計理事長:それは、そういうふうに言われたのならしたかもしれませんですね。

ナレーター:また、愛媛県の文書によると、2015年4月2日、加計学園の渡辺事務局長らが、当時の柳瀬総理秘書官と面会し、その場で柳瀬氏から、「本件は首相案件」との発言があったとされています。

記者:理事長は、柳瀬さんに会いに行くというのは、当時・・・

加計理事長:いやあ、知りません。

記者:全く聞いてない?

加計理事長:細かいことについては、もう任せておりますので、細かいことは、詳細については分かりません。わかりかねます。

記者:ということはじゃあ、渡辺さんからはもう、柳瀬さんと会ったということは一切報告はしてない?

加計理事長:ございません。

記者:柳瀬さんは、国会で3回加計学園関係者と会ったという話してるんですけれども、その3回ともご存じないわけですか?

加計理事長:はい。

記者:本当ですか?

加計理事長:はい。

ナレーター:総理官邸でのこの面談は、国家戦略特区を使って獣医学部新設を目指す方針が固まった重要なターニングポイントです。本当に聞いていなかったのでしょうか?

記者:理事長、これ、今日は何のための会見なんですか、これは。

加計理事長:ですから、先程から申し上げてますように、コンプライアンスと、それをきっちり守っていくということです。

記者:終わらないですよ。このままじゃ。渡辺さんに全部押し付けているようにしか見えない。

加計理事長:いや、そんなことはないと思います。

記者:理事長、会見させていただくってことでいいんですかね。

加計理事長:ですから、検討させていただきます。検討させていただきます。

ナレーター:記者会見の後、加計学園の職員に話を聞くことができました。

平石アナ:渡辺事務局長が、その勇み足でやったんだっていう説明が繰り返されて、そういうことってあり得るんですか?

加計学園職員:そんなことあり得ません。だって、あの人がトップで後はみんな兵隊ですから。もう茶番を何べんするのっちゅう話で。そんな勝手に、あの、いちいちこういうことがありましたっていうのを黙っているわけにはいかないので。

平石アナ:加計理事長の意向なくして勝手にそういう動きを事務局長がとるというのは?

加計学園職員:考えづらいというかあり得ません。

ナレーター:そもそも、今回の会見は、愛媛県議会が説明責任を果たすよう求めて開かれたものです。

越智忍県議:疑念を持たれたわけですから、それを払拭するような会見ではなかったと。

福田剛県議:加計理事長が27枚のペーパーを読んでないというのは、本当にびっくりしました。まったく、物証を出さないまま口だけで改めて否定したっていうのは、何のための会見だったのかは本当に疑問符が残ります。

ナレーター:愛媛県の中村知事は、明日、見解を明らかにするとしています。
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【スタジオ】
富川アナ:さて、それでは、会見聞きました。これまでの加計学園のめぐる問題で、3つの大きな疑問があるんですね。こちらのパネルでご紹介していきます。まず1つ目の疑問。安倍総理との面談はあったのかどうか。愛媛県の文書にはですね、2015年の2月25日に、理事長が総理と面談をしたと。そのとき総理からは、「新しい獣医大学の考え方はいいね」とコメントがあったと書かれていたんですね。ただ、昨日の会見。加計理事長にこの質問をしますと、面談発言は、当時の渡辺事務局長の勇み足だったんだと。じゃあ、あったのかどうかと聞かれたところ、「いや、会ってないと思う」と言ったんですね。断言してないですね。思う。なんで断言してなかったのかと言いますと、覚えていない。記録もない。ということで、断言はできなかった。証拠を出すこともありませんでした。しかも、そもそも、加計理事長、愛媛県の文書を呼んですらいないと。後藤さん、言うことなんですね。

後藤謙次氏:それはちょっと考えられないですね。昨日の会見なんでこんな会見をやってのかって。そもそも疑問があるわけですから。とりわけその、県の文書ですよね。これ国会にも出されて、正式な文書で、しかも理事長がですね、それを読まずしてこの学部を開設するってことはあり得ないですよね。それからその、面談は、発言は事務局長の勇み足だったと。これもですね、聞きようによっては、嘘をついたかもしれないけども騙すつもりはなかったと言ってるように聞こえるわけですね。つまり、昨日の会見そのものは何のためにやったのかってのが一向に伝わってこない。この理事長はまだまだ説明責任が果たしてないと言えると思いますね。

富川アナ:昨日のやり取りだけで昨日の会見は何だったのかと言う声も出てきていますね。さあ、そして2つ目の疑問です。柳瀬元総理秘書官との面談は、知っていたのかどうか。愛媛県の文書にはですね、柳瀬氏が面談の中で首相案件という発言をしたと書かれていました。これについて柳瀬氏は、否定はしているんですが、加計学園側との3回の面談については、柳瀬氏、国会の参考人招致で認めているわけなんですね。で、そのことを加計理事長、昨日聞かれますと、「いや、面談の報告は受けていないよ」と話したんですね。

徳永アナ:これはあの、やっぱり理事長の立場としてここまで大事な面談なのに、聞いてないってことはあり得るんですか?

富川アナ:そうですね、聞いてないっていうよりむしろ何で報告していないんだろうっていう方ですね。こういう組織なのに。これを加計学園の職員に聞きますと、やっぱりこんな答えは茶番だと言うんですね。なんでかと言いますと、「加計学園と言うのは、加計理事長がトップであとはただの兵隊なんだよ」と。「だからトップからの指示がないのに、勝手な行動なんてあり得ないんだよ」と断言していました。我々の取材で。さあ、3つ目の疑問です。安倍総理と獣医学部新設の話はしたのかということについて。安倍総理はですね、2017年1月20日に初めて知ったと話していました。一方で加計理事長は、前回の会見でも昨日の会見でも、「仕事の話は総理とはしないスタンスなんだよ」と、ゴルフにも行っていますし食事もしているけれども、「遊びだから、仕事の話はしないんだよ」と言っていました。ところが、平石アナウンサーが、当番組のですね。2017年7月、衆議院の予算委員会での総理の答弁を出して、あてました。なんていう答弁の内容だったのかと言いますと、このとき安倍総理は、「新しい学部や学科の新設に挑戦していきたいという話は、加計理事長から、この2017年1月20日以前に聞いていたよ」という答弁があったんですね。で、こういうことを安倍総理、言っていましたよと平石さんがあてたところ、「あ、総理がそういうふうに言われたんだったら、したかもしれない」というふうに答えが変わっていた。後藤さん、このことについてはどうです?

後藤氏:そうですね、加計理事長、この記者会見を臨むにあたって決めてることが多分あったんだと思うんですね。総理に迷惑をかけることは言わない。総理の過去の発言と矛盾することも言わない。それをまさに貫いてるんじゃないでしょうか。

富川アナ:それは長年の友人だからということですか?

後藤氏:友人だからだし、加計学園っていうそのものを守るためにもそういうことを言わざるを得なかったじゃないかと思いますね。

富川アナ:ただ、そもそも長年の友人だとしたら、長年の悲願だったわけですよね。加計理事長の獣医学部新設は。それを、何回もゴルフ行ったり食事している中で、どうしていいのか分からないんだよねって相談をしているんじゃないかと思いますし、そもそも、そもそもこの1月20日以前に新しい学部や学科の新設に挑戦していきたいとは聞いてるわけですから。え、何の学部?何の学科っていう話は出ていてもおかしくないんじゃないかなっていう・・・。

後藤氏:当然普通の友人としての会話は当たり前ですよね。

富川アナ:というふうに思ってしまいますよね。

徳永アナ:思ってしまいます。

後藤氏:まさに忖度ということになってしまいますよね。

徳永アナ:あとはその、理事長の会見のタイミングというのも、連休の中日。

後藤氏:はい。

徳永アナ:ですよね、そういうタイミングでしたけど、それは何が狙いはあるんですか?

後藤氏:一つは7月に県議会で、とにかくこのきちっと説明責任を果たせ。それから、総裁選が9月にありましたね。で、この10月の終わりには臨時国会がある。そういうタイミングの中で、まさに今しかないというふうに思ったんでしょうね。しかしこのことによって、逆に火をつけてですね、10月の臨時国会では、野党側は集中審議を求めるということで、再びこの加計問題が国会の大きなテーマに浮上してきて。つまり、会見がそれを招いてしまったと。加計さんが思ったのとは逆の方向に動き始めてると言っていいと思いますね。

富川アナ:これ、臨時国会でも証人喚問ってのは、必要ですか?

後藤氏:証人喚問とはいかなくても、野党側は参考人でもいいんじゃないかと。全員民間人になりましたからね。柳瀬さんも含めて。そういう運びでいきたいと。こういうふうに言ってますね。

徳永アナ:まずは明日、愛媛県の中村知事が見解を示すということで、再び加計学園側に説明を求めるのかどうか。新たな動きがあるかもしれません。

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【検証部分】
今回の放送の問題点は、スタジオでの富川アナと後藤氏のやり取りが放送法違反に抵触する可能性があることです。
詳しくお伝えしていきましょう。

実際にスタジオではこんなやり取りが行われていました。
富川アナ「そうですね、聞いてないっていうよりむしろ何で報告していないんだろうっていう方ですね。こういう組織なのに。(中略)さあ、3つ目の疑問です。安倍総理と獣医学部新設の話はしたのかということについて。(中略)で、こういうことを安倍総理、言っていましたよと平石さんがあてたところ、「あ、総理がそういうふうに言われたんだったら、したかもしれない」というふうに答えが変わっていた。後藤さん、このことについてはどうです?」
後藤氏「そうですね、加計理事長、この記者会見を臨むにあたって決めてることが多分あったんだと思うんですね。総理に迷惑をかけることは言わない。総理の過去の発言と矛盾することも言わない。それをまさに貫いてるんじゃないでしょうか。」
まず、この場面では、加計理事長が安倍総理と何度もあっている中で、獣医学部新設の話をしたのか、しなかったのかということが論点に上がっています。加計理事長は会見の中で「会って話をしたかは覚えていない。したかもしれない」という発言をしていました。これに対して後藤氏は、「総理に迷惑をかけるようなことは言わない」ように加計理事長が意識しているのではないか、という推論で話をしています。では、そこに職員らの証言などの証拠があるのか。残念ながら、このVTR中や、番組の中でそのような場面を確認することはできませんでした。

また、こんなやり取りも行われていました。
富川アナ「ただ、そもそも長年の友人だとしたら、長年の悲願だったわけですよね。加計理事長の獣医学部新設は。それを、何回もゴルフ行ったり食事している中で、どうしていいのか分からないんだよねって相談をしているんじゃないかと思いますし、そもそも、そもそもこの1月20日以前に新しい学部や学科の新設に挑戦していきたいとは聞いてるわけですから。え、何の学部?何の学科っていう話は出ていてもおかしくないんじゃないかなっていう・・・。」
後藤氏「当然普通の友人としての会話は当たり前ですよね」
富川アナ「というふうに思ってしまいますよね」
徳永アナ「思ってしまいます」
後藤氏「まさに忖度ということになってしまいますよね」
ここでは、何度もゴルフや会食に行く中で、加計理事長と安倍総理が学園の獣医学部新設を話さなかったわけがない、という論理でスタジオにいる3人が会話を行っています。ここで確認しておかなければならないのは、彼らがその物的証拠を一切持っていないということです。にもかかわらず、「当たり前」とか「おかしくない」という言葉でぼかしてしまうのは、言論機関としてはふさわしくない振る舞いだと感じます。

したがって、今回の放送は放送法第4条2項「政治的に公平であること」第3項「事実は曲げないで報道すること」に抵触している可能性があります。

今後も監視を続けます。

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