2018年10月14日 サンデーモーニング

2018年10月14日 サンデーモーニング

サンデーモーニング、2018年10月14日放送回の検証報告です。

今回の報告では、
・豊洲市場の営業開始について報道された部分
・「風を読む」にて「ジャーナリズム受難の時代」というタイトルで報道された部分
以上2点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

最初に検証するのは、豊洲市場の営業開始について報道された部分となります。
では、さっそく放送内容をみていきましょう。

【VTR】
・豊洲市場が開場し、東京都が5700億円かけて整備し、広さは築地市場の1.7倍
・開場初日は小型運搬車・ターレの火災や接触事故が発生
・環状2号線の一部がまだ開場しておらず、大規模な渋滞も発生
・築地市場で解体工事が始まったが移転反対派の一部の仲卸業者は店を開き、これに支持する人が購入

【スタジオ】
関口 宏氏:青木さん、この日が来ましたがついに。

青木 理氏:まあ、ね。トラブルありながらもとりあえずはまあ、何とか滑り出したのかなということなんですけれども。ただ、微妙ですよね。その、安全宣言は出てるけれども、じゃあ安心かって言われると、疑問を持ってる人達も結構いて。その土壌が汚染されてるってのも変わりないし、それから多分、地下水はもうずーっと管理していかなきゃいけないって意味でいうと、これからずっと、そういう、その措置が必要になってくるわけですよね。(1)で、もっと言うと、その食の中心地なので、本来だったらそんな懸念の一切ないようなね、形で再出発したかったですよね、誰もがね。これがこういう形で出発しちゃったっていう原因っていうのはまだきちんと検証されてないような気がするんですよね。何故あの土地になったのか。それからあの、謎の地下空間ってのは、一体何でできちゃったのかっていうあたりね。(2)
だから、とりあえず無事滑り出して、豊洲がある種のブランドになることを僕も願いますけれども、なぜこういうトラブルが起きたっていう検証も、やっぱり東京都を中心にしてやってもらいたいなと思います。宿題は残ったまんまっていう感じですよね。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは次の2点です。

1、青木氏の発言(1)に、事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、青木氏の発言(2)に、事実と異なる恐れのある内容が含まれている

それぞれ順を追って説明します。

1、青木氏の発言(1)に事実と違う恐れのある事柄が含まれている
青木氏はこの問題について、以下のように発言しています。

青木氏(抜粋):その、安全宣言は出てるけれども、じゃあ安心かって言われると、疑問を持ってる人達も結構いて。その土壌が汚染されてるってのも変わりないし、それから多分、地下水はもうずーっと管理していかなきゃいけないって意味でいうと、これからずっと、そういう、その措置が必要になってくるわけですよね。(1)

要旨をまとめると
・豊洲市場は衛生面において安全だとする安全宣言が東京都から出されている
・しかし、本当に安全かどうか疑問視する声もある
・そしてそうした意見は土壌が汚染されていることや地下水の管理が今後必要なことからも正しいと言える
というものです。

しかし、こうした発言の多くは誤った認識に基づいたものです。
一部の区画で汚染物質が基準値を超えたことで問題になったのは事実ですが、その後の追加工事によって空気中、地下水中の汚染物質はほどんど基準値以下になりました。

物理的に完全な浄化が不可能な部分があったことも発表されていますが、そうした部分についても「地表に汚染を表出させない」という対策が取られています。こうした処置は、土壌汚染対策法で「汚染を摂取する経路を遮断する」という定義がされている、れっきとした汚染対策です。
土壌については地表ならびに地下空間へのコンクリート打設などの対策が、地下水については汚染水のくみ上げと浄化、きれいな水の注入による地盤沈下防止などの対策が実施されてきました。

こうした追加工事によって、有害物質が地表に表出していないことがわかりました。
工事を監督している技術者会議は「汚染が表出する可能性はほとんどない」としています。地下水や地下空気の管理はそうした評価がされた上での「万が一」に備える施策です。

確かにメディア関係者などから安全かどうか疑問視する声が上がっていることは事実ですが、そうした声の多くは青木氏のように科学的に不正確な情報に基づいたものであり、ある種の風評被害であるともいえます。

以上より、この放送内容は放送法第2章第4条第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、青木氏の発言(2)に事実と違う恐れのある事柄が含まれている
①青木氏はこの問題について、以下のように発言しています。

青木氏(抜粋):本来だったらそんな懸念の一切ないようなね、形で再出発したかったですよね、誰もがね。これがこういう形で出発しちゃったっていう原因っていうのはまだきちんと検証されてないような気がするんですよね。何故あの土地になったのか。それからあの、謎の地下空間ってのは、一体何でできちゃったのかっていうあたりね。(2)

要旨をまとめると
・豊洲市場は本来なら懸念のない状態でスタートすべきだった
・なぜ新市場が豊洲になったのかはまだ検証されていない
・豊洲市場にあった地下空間は何のためのものなのかはまだ検証されていない
というものです。

しかし新市場が豊洲になったのは、築地と同等の機能・規模を持ち、かつ築地が抱えていた問題点を解決できる、都内にて現在使用可能な土地が豊洲にしかなかったからです。これは移転の候補地を決めた理由として東京都が明確に示しています。
また、地下空間についても「汚染環境をモニタリングするための作業空間」であったことがわかっています。現在はこの空間も汚染処理が行われているため、安全だとされています。検証がされていないというのは全くのフェイクニュースです。

以上より、この放送内容は放送法第2章第4条第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

確かに懸念をすることは大切ですが、間違った見識に基づいた扇動は、風評被害を招くものです。
特に今回の場合、深刻な風評被害を生む恐れのある内容です。福島第一原発の時と同じことを繰り返しているのであれば、言語道断と言わざるを得ません。

続いて、「風を読む」にて「ジャーナリズム受難の時代」というタイトルで報道された部分についての検証です。
順にみていきましょう

【スタジオ】
橋谷能理子アナ:今、世界のあちこちで苦境に立たされているジャーナリズム。その背景には、何があるんでしょうか。

【VTR】
・トルコのサウジアラビア領事館を訪れたジャーナリストのジャマル・カショギ氏が消息を絶った
・サウジアラビア側は、カショギ氏は生きて領事館を出たと主張するが、トルコ政府は領事館の中で殺害されたとの見方を示す
・これに対しワシントンポスト紙は、トルコ政府がサウジアラビア当局者による拷問・殺害の証拠となる音声・映像記録を保有していると米国側に伝達したと報じた
・ブルガリアでも、政府によるEUからの補助金の不正疑惑を取材した女性ジャーナリストが性的暴行を受けた後、殺害される事件が発生
・ミャンマーでは、地域政府に対する批判記事を書いた地元紙の記者3名が逮捕される事件が発生
・香港では、香港独立派との関連が指摘された英紙フィナンシャル・タイムズの記者が就労ビザの更新を香港政府に拒否される事件が発生
・政府などの拘束下に置かれている記者は155名(国境なき記者団発表)
・言論やジャーナリズムを研究する専門家は、表現の自由を軽視して、多様性を認めない社会になりつつあると述べた。
・国境なき記者団は、ジャーナリストに対してインターネット上で脅迫や中傷を行うサイバーハラスメントも、報道の自由に対する最悪の脅威の一つとなっていると警鐘を鳴らしている
・専門家は、為政者の声だけが通ってしまうような都合がいい状況が生まれていくと述べた。

【スタジオ】
関口氏:権力の不正をね、チェックし、監視するっていうジャーナリズムの使命ね。これがあるからまた、私たちはいろんなことを知れるんだけど。

橋谷アナ:そうですね。

関口氏:これストップかけちゃったら、本当のことが分かんなくなっていく時代になっていく。ちょっと最近、そういう危ない時代に入ってきたかなって僕なんかも感じますが、皆さんどうでしょうか。

寺島実郎氏:世の中にアメとムチって言葉があるんだけども、今我々がムチ、つまり抑圧とか弾圧とか受難のジャーナリズムってのを今、こう見てるわけですけど。一方ね、非常に気になるのがそのアメの方でね。つまり、権力に対するまあ、忖度だとかですね、そういうのがこの間まで忖度官僚なんて言葉もあったけども、忖度メディアみたいな状況になってきてですね。つまり、アメがですね、いつの間にか、この何て言いますか、届けられてくるっていうかですね。それによって、少しずつ微妙に本当のことをずらすような情報とか報道とかに傾斜していくメディアってものが出てくるっていうかですね。で、僕はそういう意味でね、表現の自由とか、そういうものが最も民主主義社会においては重要なわけで、やはりその分野にかかわってる人たちの覚悟っていうかね。先輩のこの分野にメディアにかかわってた人たちがある種の決意とかですね、表情を思い出すんだけども。やっぱり我々が絶対に忘れてはいけないことの一つがこれでしょうね。

関口氏:安田さんは。

安田菜津紀氏:はい。

関口氏:ねえ。やっぱりご自身で体験することもたくさんあるでしょうが。

安田氏:そうですね。この一年こういったことが相次いだので思うことはたくさんあるんですけれど、特に昨年、マルタで女性のジャーナリスト、ダフネさんという記者が、同じく汚職問題を追っていた方ですけれども殺害されたっていうことがあって。その後すぐにイタリアにベースを置いてる別のジャーナリストがそのことについて記事を書いて。その中で、ジャーナリズムコリーグ。つまり、ジャーナリズムの同僚、仲間という言葉を使ったんですね。で、つまりこういった、例えば声をなき者にしようとする動き。かき消そうとする動きに対して、会社であったりイデオロギーの枠を越えて、広くジャーナリズムとして連帯をする。その必要性を示すような言葉だったというふうに思うんですね。本来その、力をじゃあ注ぐべきところは何なのか。権力は暴走していないのか。あるいは、逆に小さな声を置き去りにしてしまっていないのか。その本来の役割を伝え手も、あるいはその、受け手もともに、見つめ直すときなのではないかなというふうに思います。

関口氏:中西さんいきましょう。

中西哲生:あの、僕はスポーツのジャーナリストではあるんですけども、やっぱりこう、ジャーナリストって、僕らは当然いろんなことをチェックしていくという機能を果たすべきところが当然あるんですけど、と同時に最近よく思うのは、SNSがこれだけ発達して、個人がちゃんとしたこう、リテラシーをもっていろんなものを見ていけば、正しい意見を発していけば世の中を変えていく可能性もあると思うんですよね。だからやはり我々ジャーナリストとしてもやるべきことは当然あるんですけど、一般の方々も、もしかしたら正しいジャーナリズムっていうことが見分けられる可能性もあるんですけど、今言ったように埋もれさせられるようなこともたくさん起きてるので、まさにいろんな方々のリテラシーが問われていく時代になってくると思いますね。

関口氏:まあ佐高さんは、このことを考え続けた人生みたいな感じを僕はしておりますが。

佐高信氏:いえいえ。まああの、はっきり言えば、権力者っていうか権力から敵視されないようなジャーナリストはジャーナリストではないっていうことですよね。

関口氏:極端に言えばね。

佐高氏:なんかその仲良くしてることが、名誉みたいに書いてる、喋ったりしてる人が多すぎますよね。それと、確かアメリカの新聞なんかは、訴訟、記事で訴訟された、裁判を起こされた場合の訴訟費用っていうか裁判費用を積み立ててるっていうんですね。つまり、訴えられることを覚悟してやってるわけですよね。そういうのが日本の新聞・テレビなんかはちょっとないんじゃないかと。訴えられないようにしろとか言うけども。訴えられる。権力はやっぱり訴えるわけですよね。そのときに、上等じゃねえかって言って、戦う姿勢がやっぱりマスコミは必要なんだと思いますね。

関口氏:なんかジャーナリストの集団みたいな一つの力をね、ジャーナリストも持たなきゃいけないなと僕は思うんだけど。

佐高氏:そうですね。それと国境なき記者団の云々で、日本の報道の自由度は72なんですよね。

関口氏:あーこれね。

佐高氏:それはまあ、だから、我々も含めてもう少し頑張らなきゃならないかなと思いますね。

(CM)

関口氏:テーマはジャーナリスト受難の時代。

青木理氏:でも佐高さんがおっしゃった通り、権力をチェックするっていうのが仕事である以上、煙たがられてある種当然なわけですよね。だから忖度とか自主規制ってのは、あえてを誤解を恐れずに言えば、する方が悪いんですよ。する必要がないんですから。で、だからまあ、権力者ってのはメディアとかジャーナリストを煙たがるのはどこでも一緒なんですけど、ただ問題は、市民がどうもジャーナリズムに対する疑念っていうものを持ち始めてるってのは僕は深刻だと思うんですね。

関口氏:最近ね。

青木氏:そうなんです。で、それはメディアの側の問題ってのもあるんだけど、やっぱりジャーナリズムとかメディアとは何かってことをあまり知られてないと。つまり、その事実。政権に都合の悪い事実でも伝えると同時に、なぜ権力のチェックをするかっていうと、民主主義国家でも多数決で運営されるわけですよね。でもそうすると、どうしてもやっぱり少数者とか弱者の声ってのは、漏れがちになっちゃうわけですよ。で、その少数者の側に、できるだけ寄り添って、耳をそばだてて、これでいいんですかっていうことを、メディアがやらないと、民主主義社会の欠陥っていうのが埋まらないってのが、メディアが権力をチェックしなくちゃいけないっていう。いろんな理由があるんですけれども、それが一つの理由なんですね。で、今のいろんなVTRに出てきた国々もそうですけれども、この機能が弱った国っていうのは、明らかに暮らしにくいんです。一人ひとり市民にとって。だからメディアとか言論の自由の大切さってのをやっぱり、ジャーナリズムの大切さを市民の人に知ってもらいたいってことを自分にも言いつつ、皆さんにも言いたいなとは思いますよ。

関口氏:ネットの関係かね。何か普通の人も偏りつつある、ちょっと不思議な時代になってるような気がします。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは次の3点です。

1、寺島氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点にのみ偏っている
4、メディアの影響力を軽視している

それぞれ順を追って解説します。

1、寺島氏の発言内容に事実と違う事柄が含まれている恐れがある
寺島氏はこの問題について、以下のように発言しています。

寺島氏(抜粋):忖度メディアみたいな状況になってきてですね。つまり、アメがですね、いつの間にか、この何て言いますか、届けられてくるっていうかですね。それによって、少しずつ微妙に本当のことをずらすような情報とか報道とかに傾斜していくメディアってものが出てくるっていうかですね。

要旨をまとめると、
・政権に忖度する形のメディアが増えてきている
・つまり、本当のことを言わない報道が増えている
というものです。

放送法にも書かれている通り、メディアには事実を伝える責務があります。ですが、「政権側に近い意見を発信するメディアは本当のことを発信していない」などと決めつけるのは論理的に整合性のない、事実と全く異なる内容です。こうした報道は政治的公平性を欠くだけでなく、視聴者に偏った認識を与える恐れがあります。

よって、この放送内容は放送法第2章第4条第2項「政治的に公平であること」、ならびに第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、青木氏の発言内容に事実と違う事柄が含まれている恐れがある
青木氏はこの問題について、以下のように発言しています。

青木氏(抜粋):ただ問題は、市民がどうもジャーナリズムに対する疑念っていうものを持ち始めてるってのは僕は深刻だと思うんですね。(略)やっぱりジャーナリズムとかメディアとは何かってことをあまり知られてないと。つまり、その事実。政権に都合の悪い事実でも伝えると同時に、なぜ権力のチェックをするかっていうと、民主主義国家でも多数決で運営されるわけですよね。でもそうすると、どうしてもやっぱり少数者とか弱者の声ってのは、漏れがちになっちゃうわけですよ。で、その少数者の側に、できるだけ寄り添って、耳をそばだてて、これでいいんですかっていうことを、メディアがやらないと、民主主義社会の欠陥っていうのが埋まらないってのが、メディアが権力をチェックしなくちゃいけないっていう。いろんな理由があるんですけれども、それが一つの理由なんですね。

要旨をまとめると
・市民がジャーナリズムに疑念を持っていることは問題である。
・なぜなら、政権に都合の悪い事実を伝えたり、民主主義において力の弱い少数意見が反故にされてしまったりするからだ。
・こうした事態では、権力が暴走したり、民主主義が機能しなくなってしまう。

というものです。
しかし、こうした主張はメディアの現状と合致しているのでしょうか。一つずつ見ていきましょう。

・政権に都合の悪い事実を伝えることで、権力の暴走を止める
確かにメディアやジャーナリストにそうした機能があることは事実です。ですが、その機能は自社の利益や目的のために乱用されることが非常に多くあります。
その最たるものが、我々が取り上げているような偏向報道です。「報道しない自由」の名のもとに自社やスポンサーに不都合な事実を隠したり、「椿事件」に代表されるように政治的な目的意識を持って報道内容をねじ曲げたりと、これまで様々な偏向報道を行ってきたことはご承知の通りです。政権の監視という大義名分を掲げてはいますが、彼ら自身に都合よく行われているというのが実情と言えるでしょう。

・少数意見に寄り添う力がなければ、民主主義において力の弱い少数意見が反故にされてしまう
これも、額面通りに受け取れば正しいかもしれません。ですが、果たしてマスメディアは少数意見に寄り添っているのでしょうか。その実態は大きくかけ離れたものとなってしまっています。

選挙報道を見てみましょう。2017年の衆議院選挙では自民公明の与党側が圧勝しましたが、このとき各テレビ局は「消極的に自民党に入れた人が多い」(報道ステーション 中丸徹氏)、「勝てば勝ちではない」(羽嶋真一モーニングショー)などと、選挙での多数派を否定しました。
ですが、2009年に民主党へ政権交代したときはどうだったでしょうか。当時の報道の過熱度合は異常さを感じるほどすさまじさでしたが、そのほどんどは民主党を支持する内容でした。そんななかで「少数派である自民党とその支持者の意見も尊重すべきだ」という報道は果たしてどれだけあったのでしょうか。

自分たちの立場に沿わない相手が勝てば「少数意見を尊重すべきだ」と報じ、一方で自分たちの立場に沿う相手が勝てば「民意が達成された」などと報道する。このような姿勢は「少数意見を選別している」と取られてもおかしくありません。こうした時点で、この主張は説得力を失っている、詭弁であるといってよいでしょう。

・ジャーナリズムに市民が疑念を持ち始めたことは問題である
この主張については、「市民はジャーナリズムに一切の疑いを持たず信じているべきだ」という極めて危険な主張であると言えます。なぜなら「自分たちは絶対的に正しい」ということを前提としているからです。上記2つの検証を見ても、マスメディアやジャーナリストが必ずしも正しくないどころか、往々にして間違いをはらんでいる可能性があることがわかります。今回挙げたもののほかにも、慰安婦問題についての報道や森友加計問題についての報道、あるいは特定秘密保護法についての報道など、様々な分野で偏向報道は繰り返されています。このような現状がある以上、こうした主張は誤っていると言わざるを得ません。

以上より、この放送内容はメディアに対する誤った認識を与える恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2項「政治的に公平であること」、第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

3、全体を通して片方の立場の意見しか出てこない
今回の放送では、この問題について全体を通して「真実を報道するメディアが権力の圧力にさらされている」「市民はこうした事態に無関心である」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですが実際は、「メディアはしばしばフェイクニュースを報じるので圧力がかかるのは当然なのではないか」「盲目的にマスメディアを信じず、メディアリテラシーを高めることが重要だ」「海外におけるジャーナリズムへの圧力と日本の偏向報道への批判は別物である」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が今回の報告となります。今回の放送では事実と異なる内容、政治的に公平でない内容、ならびに一定の立場に偏った内容だけを報道した恐れがあります。これは、視聴者への印象を誘導する恐れのある偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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