サンデーモーニング、10月21日放送回の検証報告です。
今回の報告では、
・トルコで起きた記者殺害事件で、サウジアラビアのムハンマド皇太子が関与していた件について報道された部分
・辺野古移設問題で、沖縄県の承認撤回に対し国が行政不服審査法に基づき対抗した件について報道された部分
以上2点について検証し、その問題点を探りたいと思います。
検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。
最初に検証するのは、トルコで起きた記者殺害事件で、サウジアラビのムハンマド皇太子が関与していた件について報道された部分となります。では、さっそく放送内容をみていきましょう。
【スタジオ】
関口宏氏:この1週間でございますが、サウジアラビアの問題が、世界的に大きな問題になったね。
橋谷能理子アナ:そうですね、波紋を広げています。お伝えします。18日から行方不明だったサウジアラビアのジャーナリストが、死亡していたことが判明。しかし、その死の背景が謎に覆われています。
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【VTR】
・今月2日、トルコイスタンブールにあるサウジアラビアの総領事館に入った後、ジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏が消息不明に
・サウジアラビア政府は、カショギ氏が死亡したことを初めて認めたが、死因は殺害されたのではなく、口論になり殴り合いの末、死に至ったと主張
・トルコメディアは、カショギ氏は暗殺チームに殺害されたと報道
・カショギ氏はムハンマド皇太子を批判する記事を書いていたため、皇太子の事件へ関与が取り沙汰されている
・トルコの捜査当局は、総領事館の異例の捜索に踏み切った
・トルコメディアは、現場で録音された音声が存在し、音声によれば、生きたまま解体されたと報道されている
・トランプ大統領は、サウジアラビアを庇うかのような姿勢を見せた後、2兆円の武器輸出の受注はキャンセルしたくないと述べた。
——–
【スタジオ】
関口氏: この事件の方はね、いろんな噂が流れてきますが、真実は、実は本当は分かってないというところだと思います。そしてそのサウジアラビア。これ我々、知ってるようで知らない。もうちょっと詳しくご説明いたします。
橋谷能理子アナ:そもそも、サウジアラビアとはどんな国なんでしょうか。サウジアラビアというのは、サウド家のアラビアという意味で、サウド家が全ての権力を持つ絶対王政です。報道の自由が制限されていると言われていまして、今年の報道の自由度ランキングを見ても、180か国中169位という低さなんです。それにも関わらず、何故国民の反発を買わずに長年国を維持し続けてきたのかといいますと、国家収入の約7割を占める莫大なオイルマネーで、教育や医療を無料にするなど、国民に富を還元してきたからなんですね。また、イスラム教スンニ派の盟主とも言われる厳格なイスラム教国家です。女性の行動は厳しく制限されており、飲酒をした者はムチ打ち、また窃盗犯は手首を切断。死刑は斬首で公開処刑しているといいます。国内には、預言者ムハンマドの墓があるメディナ。またカーバ神殿があるメッカがあり、2つの聖地を守って権威を高めてきました。このサウジアラビアの政治を主導しているのが、国王の実子であるムハンマド皇太子です。改革者として知られていまして、女性の社会進出や、脱石油依存などを進めてきました。一方で、独裁的な面も知られています。去年11月、汚職などの疑いで11人の王子を含む200人以上を一斉拘束しました。また、政府に批判的な活動家や報道関係者を次々と拘束しています。また、対外的には、現在泥沼化している隣国イエメンの内戦の介入や、カタールとの国交断絶も、このムハンマド皇太子が主導したと言われているんです。こうしたサウジアラビアと長年強固な同盟関係にあるのがアメリカです。アメリカにとってサウジアラビアは、価値観が相容れない国なんですが、石油を供給してくれますし、そのオイルマネーで武器を買ってくれるというありがたい国なので、人権侵害にも目をつむってきました。どちらもイランと対立しているという点でも一致しています。日本にとっては、最大の石油輸入国で、およそ34%を占めています。去年国王が来日した際には、ムハンマド皇太子の改革を後押しする姿勢も見せているんです。今回殺害されたカショギ氏は、このムハンマド皇太子のことを、まるでプーチン。国内メディアを支配下に置き、締め付けを強化していると批判していました。アメリカの諜報機関は、皇太子の関与に確信を強めているという報道もあります。一方サルマン国王は20日、サウジの諜報機関を立て直すため、皇太子をトップとする委員会の設立を支持しました。皇太子が事件に無関係だと強調する狙いがあるとみられているんですが、果たして国際社会の理解は得られるんでしょうか。
関口氏:はい、どうもありがとう。まあ、若いムハンマドという王子が、改革に乗り出してはいるんですが、やっぱり民主国家とは言えない国なんじゃないかなと私は思います。だから我々の常識では考えられないことがこの国の中では起こっているように思いますが、皆さんはこれどういうふうに受け止めてらっしゃる?姜さんからいきましょうか。
姜尚中氏:イラン革命以来、中東の最大の問題はまあ、イランだと言われてきたわけですよね。アメリカからすると。でもサウジアラビアはある意味で中東の最大のブラックホールみたいなもので、ウサーマ・ビン・ラーディンも、実はサウジアラビア出身ですよね。だから、ある意味では中東最大の新生国家みたいな。で、そういう国の事件がなぜ起きたかっていうと、やっぱアメリカとトルコとの間の対立があったから、場所がイスタンブールだから、私は少し露見したんではないかと。だからトルコはトルコで、この問題をアメリカとの関係の大きなレバレージにしたいと。で、それが今度は、多分ロシアや中国にとっては、アメリカに大きな牽制力を加える一つのレバレージになる可能性があると思いますね。ですから、今の問題は非常に複雑で、その背景を見ながら、どうしてイスタンブールでトルコなのかという。で、おそらくこの場所でなかったらこんなにディスクロージョンできなかったと思いますね。ですから、ここにはやっぱりトルコとアメリカ。それからシリア内戦をめぐるさまざまなロシア中国。それからトルコとアメリカという、非常に複雑な力学が働いてるんで、それをしっかり見ていかないと、ただ人権問題だけでは済まされないんじゃないかと思いますね。
関口氏:目加田さんいきましょうか。
目加田説子氏:あの今、姜さんがご指摘の通りに、いろいろな政治の力学が作用してるってことはその通りだと思いますし、たったその、たったっていうか、一人だけのジャーナリストが殺害されたという人道的なね、人権問題だっていうふうには片づけられないのはその通りだと思うんですけれども、やっぱりでも、このような、まだ本当に詳細は分からないですけれども、もし伝えられているように、この暗殺というのが、暗殺以上に、なんか処刑のようなね、形で、しかも、何の尋問もないままにすぐ殺されてしまったと。もしそれが本当であるならば、こんなことは許されてはいけないですし、国際社会の中では、やっぱり築き上げてきた人権のノームって規範ってあるわけですよね。それが強まってることも事実だと思うんですよね。だからこそ、このサウジでは、今月末に党首会議を開催するっていうことを言われてるわけですけども、そこからビジネスリーダーがみんなキャンセルしたり、あるいは投資協力を解消するというようなことを相次いで皆発表してたりするんですよね。ですから、これを機に、この不幸な事件を機にですね、少しでも言論の自由であったり、人権を尊重するというような方向にね、改革が進むことを期待したいと思いますね。
関口氏:藪中さん。
藪中三十二氏:あの、まるでスパイ映画みたいな展開なんですけれどもね、役者がある意味揃いすぎてると。カショギさんってのは、実は単なるジャーナリストではなくてですね、僕らからいうと、カショギさんっていうと、おじさんなんですけれどもね。世界一の武器商人と。80年代に40億ドルと数千億円資産を持ってたと。いろんな武器の取り扱いで出てきた。あるいはですね、従兄弟は、ダイアナさんが亡くなった時に一緒にいた人。あれが従兄弟なんですね。だから中東とか世界で有名な人なんですね。で、これが、だから反体制派っていうのは王子と、非常に親しい王子もいっぱいいたわけですからね。今回、皇太子、あれはやり過ぎだと。これで出たわけですね。この皇太子はまあ、トランプさん、何でも許されるだろうと。あのトランプさんは俺のバックだというので相当にですね、睨んで柄っぽいことをやったんだと思います。これからの落ち着き先はまあ、いろんな格好はありますけれども、世界の人はこの皇太子とはまともに付き合えないなと、そんな気にはなると思いますですね。
関口氏:かもしれませんね。谷口さん。
谷口真由美氏:まだ分からないことはたくさんあるものの、ムハンマド皇太子が政治を主導していて、今年5月にサウジで女性の自動車の運転が解禁になったんですけれども、その際に、ムハンマド皇太子の後押しがあったみたいに報じられてる一方で、ちょっとリベラルなのかなというふうに思わせといて、ジャーナリストとかをたくさん拘束したと、さっきの手作りでもあったように、強権的なところがあるというので、目加田さんもおっしゃったように、国際社会のその人権っていう問題、そういう規範からすると、ちょっとどうなんですかっていうことを提示されてる中での出来事なのかなという気がします。だからこれが本当に20年とか30年前だったらこんな大騒ぎにも、もしかしたらならなかったのかもしれないですけど、それだけ国際社会ってのいうのが人権問題に対して、やはり一定の規範・公正とうのをしてきてるんだろうなという感じを私は受けました。
関口氏:松原さん。
松原耕二氏:まあ、この事件の後ワシントンポストがカショギ氏さんの最期のコラムを掲載したんですけれども、そこの中で、カショギさんは言論の自由がものすごく大事なんだとおっしゃってると同時にですね、ワシントンポストはカショギさんの記事を英語だけじゃなくてアラビア語で出してたんですね。これをものすごく感謝して、つまりアラブの人が母国語で読むことで、民主主義に触れて議論のきっかけになればいいんじゃないかとおっしゃってる。まさに彼が狙われたというのはそこじゃないかと思うんですね。つまり、アラビア語でも配信してたからこそ、インターネットで母国で、そのサウジアラビア人が見てしまうんじゃないかと、皇太子批判を。これが一番恐れたとしても不思議ではないと思うんですね。多分真相はもう、今後明らかになるかどうか、僕は疑わしいと思ってるんですが、いずれにしても、皇太子の関与もまだハッキリしてない。ただ、カショギ記者は、今回はペンではなくて、ある種命に代えてですね、改革、解放のイメージを振りまいてた別のもう一つの顔を、まあ世界に知らしめたと、いうような気がしますね。
以上が放送内容となります。
では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の1点です。
1、橋谷アナの発言に、事実と異なる認識を与えかねない内容が含まれている
では、順を追って解説します。
橋谷アナは今回の報道で、以下のように述べています。
橋谷アナ(抜粋):日本にとっては、最大の石油輸入国で、およそ34%を占めています。去年国王が来日した際には、ムハンマド皇太子の改革を後押しする姿勢も見せているんです。
要旨をまとめると、
・サウジアラビアは日本にとって最大の石油輸入国である
・去年国王が来日した際には、ムハンマド皇太子の改革を後押しする姿勢も見せている
というものです。
一見、ただ事実を述べただけのように思えます。では、前後の文脈と照らし合わるとどうでしょうか。
橋谷アナの発言を構造的に分析すると、以下の構造を持っていることが分かります。
①サウジアラビアは絶対王政国家。国民に富を還元することで反発を防ぐ一方、イスラム教義を厳格に守らせている
②そんなサウジアラビアでは、ムハンマド皇太子が政治を主導している。改革をする一方で独裁的な弾圧を行うことで有名である
③アメリカは、人権的な問題があることを承知しているにもかかわらず、イランとの対立関係や石油の輸入先といった面でサウジアラビアと同盟関係にある
④日本は最大の石油輸入国で、ムハンマド皇太子の改革を後押ししている
⑤今回殺害されたカショギ氏はムハンマド皇太子を「まるでプーチン」などと批判しており、アメリカなどは皇太子の関与の疑いを強めている
④と⑤が続いていること、そして②から続く人権問題の流れに④を入れるなど、無関係な事柄を並べることで、あたかも日本がこうした人権侵害を後押ししているかのように見せていることが分かります。
つまり、これは視聴者に誤った認識を与える恐れのある偏向報道の可能性が高いと言えます。
よって、今回の橋谷アナの発言は放送法第2章第4条第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。
続いて、辺野古移設問題で、沖縄県の承認撤回へ国が行政不服審査法に基づき対抗した件について報道された部分となります。
それでは、放送された内容を見ていきましょう。
【スタジオ】
関口宏氏: 10月17日水曜日です。沖縄のアメリカ軍普天間基地の辺野古移設問題。沿岸部の埋め立て承認を撤回した沖縄県への対抗措置として、政府はこの日、行政不服審査法に基づき、国土交通大臣に対し審査を請求。承認撤回の効力停止を申し立てました。辺野古移設反対を訴え初当選した沖縄県の玉城知事は。
【VTR】
・玉城知事は、国の姿勢は、民意を踏みにじるものだと語った。
・辺野古の埋め立て工事は現在中断されているが、国交大臣の判断の後政府は早期再開を目指す意向である
【スタジオ】
関口氏:松原さん沖縄に詳しいので、ボードでもうちょっと説明してください。
松原耕二氏:政府の取った対抗措置と、今後のですね、見通しをいくつか話してみたいんですが、普天間基地の辺野古移設と、それから日米地位協定について話してみたいと思います。今回ですね、政府が取った対抗措置というのは、県の、沖縄県が出した埋め立て承認の撤回をしたわけですね。これを、この効力を停止してくれという申し立てなんですが、これ見てもわかる通り、防衛省が国交大臣に申し立ててる。これ身内じゃないかという批判があるわけですね。それでも恐らく2、3週間で効力は恐らく停止され、いつでも土砂が投入できる、つまり工事が再開できる状況になるんだと思います。そしてもう一つはですね、工事がもしもう一回始まったとしてもですね、実は設計変更というのが必要になってくるんじゃないかと。これは、埋め立て予定地の海底がですね、かなり軟弱地盤と言われてて、ものすごく柔らかいらしいんですね。一部がですね。そこを専門家と見に行ったんですが、まあ専門家に言わせると、マヨネーズ状だというぐらいずぶずぶだから、設計変更絶対必要になるだろう。そうするとこれの権限を持ってるのは、県知事なわけですね。これ玉城知事にインタビューしたときに、必要なら拒否するとおっしゃってますんで、拒否したらさらにこれ、訴訟で長引くと。政府としても、実は本当にできるんだって見通せない状況になるんだと思うんですね。で、もう一つ大事なのはですね、日米地位協定なんですが、これは忘れてはいけないのはですね、今回の県知事選挙で、玉城デニーさんだけじゃなくて、政府が押してた佐喜眞候補も、実はこの見直しをですね、訴えてたんですね。両候補が訴えてたって、これはものすごく重いと思います。私、防衛大臣の経験者に聞いたことがあるんですね。なぜこの日米地位協定、アメリカに訂正してくれと言えないのかと言ったらですね、うーんと考えて、「ものすごく大変なんだよ」と。つまり、「交渉自体もアメリカを説得するのもものすごく大変だし、その手続きもはっきり言うと面倒なんだ」という言い方をその人、少なくともその人は本音を語ってらっしゃいました。ただですね、民意というのがさっきデニーさんも言ってましたけども、これが示されたわけですから、対決より対話。あるいはアメリカとこそ向き合うということが必要になってくるんだろうと思います。ちなみにまあ、玉城デニーさんはご存知の通り、海兵隊員の息子ですから、お父さんが海兵隊員ですから。日本政府がやれないなら自分が乗り込むと。欧米を、はい予定されています。
関口氏:特に相手はトランプさんだから、トランプさんであるうちにやればなんか起こるかもしれない。
松原氏:それはあるかもしれないですね。
関口氏:ひょうたんから駒が出るかもしれない。僕もそう思ってます。谷口さんどうでしょう。
谷口真由美氏:はい、政府が今回また使おうとしてる行政不服審査法というのは、本来は、松原さんにもあったみたいに行政から行政に使うってことは想定されていないくって、いわゆる私人というか個人の権利を守るための法律というのが、行政の権利侵害から守るというのが法律の目的なんですね。目的外適用を政府をしているということで、実際は2015年の、取り消しという行為が、承認の取り消しというのが翁長さんがされたときも、同じものを使ったんですけれども、政府は。そのときもう多くの学者からものすごく批判があったんです。だから今回もまた無理筋の法律の使い方をしているということで、これがそのまま通されてしまうと、もはや法の支配とか、法治国家とかっていうものに対して、法の目的趣旨っていうものを逸脱していくということにも、なりかねないということがあるので、これもすごく大変な事態です。これもう全国民にもちろん関わることでもありますし、沖縄、日本国憲法が保障する人権というのは、沖縄の人に適用されないってことはないわけで、であるならば、他の46都道府県に住んでいる我々の方が、今回はもう本当に真剣に取り組まなきゃいけないっていうのを試されてるんだと思います。
以上が放送内容となります。
では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。
1、谷口氏の発言に視聴者に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体が一つの立場・観点に偏っている
それぞれ順を追って解説します。
谷口氏の発言に、事実と異なる恐れのある内容が含まれている
谷口氏は今回の報道で、以下のように述べています。
谷口氏(抜粋):政府が今回また使おうとしてる行政不服審査法というのは、本来は、松原さんにもあったみたいに行政から行政に使うってことは想定されていないくって、いわゆる私人というか個人の権利を守るための法律というのが、行政の権利侵害から守るというのが法律の目的なんですね(中略)承認の取り消しというのが翁長さんがされたときも、同じものを使ったんですけれども、政府は。そのときもう多くの学者からものすごく批判があったんです。だから今回もまた無理筋の法律の使い方をしているということで、これがそのまま通されてしまうと、もはや法の支配とか、法治国家とかっていうものに対して、法の目的趣旨っていうものを逸脱していくということにも、なりかねないということがあるので、これもすごく大変な事態です。(中略)沖縄、日本国憲法が保障する人権というのは、沖縄の人に適用されないってことはないわけで
要旨をまとめると、
・行政不服審査法は行政から行政に使うことは想定されていない、個人の権利を行政から守るための法律だ。前回この法律を尾長知事に対して使ったときも無理筋だとして学者から批判された
・こうしたことが横行すると法の目的趣旨を逸脱し、法の支配や法治国家ではなくなってしまう
・日本国憲法が沖縄の人に適応されない事態になってしまう
というものです。
しかしながら、行政不服審査法に行為主体を個人に制限する条文は一切含まれていません。確かに、第1条で目的を国民の権利権益の保護としているが、不服申し立てにおける処分の対象とならない場合において、行政機関や政府も一般人と同じ立場と考えられているので、国がこの法律を根拠に不服申し立てを行うことには何ら違法性はないのです。
こうしたことから、政府が不服申し立てを行ったからと言って法の支配や法治国家が崩れることはありませんし、日本国憲法が沖縄の人々に適応されないなどという無理筋な主張も通りません。
よって、今回の谷口氏の発言は放送法第2章第4条第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。
この報道全体が一つの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「辺野古移設はするべきではない」「民意に反している」「法律違反だ」という立場に立った意見のみが出てきました。
ですがこの問題に関しては「普天間に基地が残る方が危険だ」「経済に寄与している側面もある」「違法性はない」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げられませんでした。
以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。
以上が今回の報告となります。今回の放送では事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。
公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。