2018年10月25日の報道ステーションの報告です。
この日、最も多くの時間を割かれたのは当日に行われたドラフト会議についての話題でした。
今回報告するのは、「森友学園問題」に関する部分です。
さあ、詳しく見ていきましょう。
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【スタジオ】
徳永有美アナ:この後は、森友文書問題の改ざん問題で、自殺した職員の元同僚ら、財務局のOBが胸の内を明かしました。
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【VTR】
近畿財務局のOB:死んでしまうような、そこまで追い詰めたのは、何やったんやろうなって・・・
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【スタジオ】
徳永アナ:森友学園への国有地売却問題で、国会への真相解明を求める近畿財務局のOBらが、今日、野党からの聞き取りに応じました。
富川悠太アナ:その後私、皆さんにお話を伺ってきたんですね。なぜ近畿財務局の職員は自殺に追い込まれてしまったのか。そもそも改ざんは誰からの指示でどのようにして行われたのかなどなど気になる点、たくさんありますから、とことん聞いてきました。
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【VTR】
富川アナ:報道ステーションの富川と申します。本日はありがとうございます。よろしくお願いします。こちらに
ナレーター:この男性は、近畿財務局で働いていたこの男性は、自殺した職員の同僚でした。
近畿財務局のOB:現場の職員に聞いたんですけれども、やっぱり100時間を超えるような、月ね、残業を、そのための残業をずっとやらされて、そしてやってる仕事は何かというと、改ざんというまあ非常に公務員にとって、いわばですね、本当にこう、どうしようもない仕事をさせられた。ある職員の話ではね、見てる間に顔つきが変わってきた。
富川アナ:どんどんね、自殺した職員が目つき・顔つきが変わってきたとおっしゃってますけど、具体的にどのように変わってきたんですか。
近畿財務局のOB:上の方から、こうしろこうしろって言うことについてね、あの本当に自分が納得しなければ、全部それをね、抵抗するというか、はっきりものを言う。だからあいつが、本当に彼がね、本当に死んでしまうような、そこまで追い詰めたのは何やったんやろうなって。
ナレーター:改ざん前の決裁文書には、安倍昭恵夫人をはじめ、複数の政治家の名前がありました。財務省の報告書では、改ざんの動機は明らかになっていません。
関東財務局のOB:墨を塗って隠すとか、いうことは、提出を求められたときにね、ことがあったとしても、まるっきり作り変えてしまうということは、公務員として働いている者の発想としてはないですよね。きちんと上からの指示がない限りは、とてもできないというふうに思いますね。
富川アナ:上下関係の、その絶対に抗えない仕組みというのはあるんですか。
東海財務局のOB:ある程度は自分たちの意見は言ってもですね、その上にさらに本省からこうしろと、こうしてくれというふうに言われればね、それは対応せざるを得ないというのが現実ですね。
富川アナ:決裁文書に、安倍昭恵夫人の名前が入っていた、これっていうのは判断に影響したと思いますか。
近畿財務局のOB:普通ですね、貸し付けにしろ売り払いにしろ、ごく極めてあのシンプルな書類のはずなんですね。それがですね、あれだけ丁寧に事の発端からさまざま人の名前や、その行為がきちんと時系列に並べられて、誰が見てもわかるようにする。やっぱりみんな必死に現場の職員の人たちが考えて、ここはやっぱりちゃんと残さなあかんという意識があったんちゃうかと。
ナレーター:今、財務省に対して思うこと。
(CM)
ナレーター:昨日、森友問題について問われた麻生大臣は。
記者:すでに説明責任は果たしているというご認識でしょうか。
麻生大臣:はい。私どもとしてはこれまで通り、できる範囲のところできちっと答弁・対応等いろいろさせていただいたと思っています。
ナレーター:責任の取り方に、財務局OBの胸の内は。
近畿財務局のOB:麻生大臣は、今度の就任にあたって、この前の理財局長は有能な公務員だったと褒め称えたんですね。えっ。そんなことがあっていいのかと、国会を欺き、国民を欺き、犯罪行為に等しいことをしでかした人を、有能な公務員として評価をするというようなことがあったとしたら、この亡くなった職員は一体何だったんだという。
富川アナ:真相にね、全然たどり着いていない今の状況を、財務局の職員の皆さんはどんな思いでいらっしゃるんですか。
近畿財務局のOB:50年近く勤めてきた、本当に愛すべきね、この。まあすべて人生過ごしてきた仲間たちと、過ごしてきた仕事を誇りもってやってきた。その職場が、そんな疑惑を持たれて全然説明できない。麻生大臣がね、あんな態度でね。ずっと大臣である続けるって、自殺した職員知ってるの周りの人とか、近財の職員、管財部の職員にとってみたら本当に、耐えられんと思うんですね。
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【スタジオ】
富川アナ:財務局OBの皆さんがおっしゃっていたのはですね、森友問題は忘れ去られたような存在になってしまっているけれども、まだ決して真相にはたどり着いていないんだと。だから現役の職員のためにも、そして自殺してしまった職員のためにも、絶対に真相にたどり着いてほしいんだと、これを異口同音おっしゃっていました。
後藤謙次氏:そうなんですね。検察当局は不起訴というふうに言ってこの事件は一件落着。検察審査会にさらに審議がかかってますけども、そんな感じで今政権は受け止めてるんじゃないかという気がするんですね。ただ、安倍総理はこの間の総裁選でもですね、真摯にこの問題に向き合うんだと、こう言っていたんですが、昨日の所信表明でも、森友のもの字もなかったんですね。これはどうなってるんだ。もう一回問いかけたいですよね。
徳永アナ:あと後藤さん 麻生大臣も、説明責任をしっかり果たしたんだっていうふうな認識に聞こえますね。
後藤氏:誰もそんなことは思ってないですよね。しかも今回の改造、改造効果といって、改造すれば支持率が上がるんですけれども、上がってないんですね。その多くの理由にこの麻生さんの留任って問題があるに決まってるはずです。ぜひ国会も騙されてしまったんですから、臨時国会で再び徹底的に説明してもらいたいと思いますね。
徳永アナ:野党の追及ということですよね。
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【検証部分】
今回の放送の問題点は大きく分けて2点あります。
1点目は、VTRにおける財務局OBの方の発言に違和感があること。
2点目は、スタジオでの後藤謙次氏の発言が放送法違反に抵触する可能性があること。
以上の2点です。
まず1点目についてです。
近畿財務局の方はVTRの中で
近畿財務局のOB:現場の職員に聞いたんですけれども、やっぱり100時間を超えるような、月ね、残業を、そのための残業をずっとやらされて、そしてやってる仕事は何かというと、改ざんというまあ非常に公務員にとって、いわばですね、本当にこう、どうしようもない仕事をさせられた。ある職員の話ではね、見てる間に顔つきが変わってきた。
と発言していました。
確かに、財務省本省からの指示で近畿財務局が森友学園への国有地売却に関する決裁文書を改ざんしたのは事実だと認定されています。その影響を受けて、近畿財務局の現役職員が実際に改ざんをさせられ、亡くなった現役会員を追い詰めたともされています。
では、自ら命を絶った職員は100時間を超える残業のすべてをその仕事に割いていたのでしょうか。元々、激務とされている国家公務員は日常の業務が非常に多忙とされています。改ざんに関与したとされる職員の声が出ていない以上、「100時間を超える作業は改ざんのために行われたんだ」という主張は根拠に欠けているように感じました。
また、2点目についてです。
当日のスタジオではこんなやり取りがありました。
徳永アナ:あと後藤さん。麻生大臣も、説明責任をしっかり果たしたんだっていうふうな認識に聞こえますね。
後藤氏:誰もそんなことは思ってないですよね。しかも今回の改造、改造効果といって、改造すれば支持率が上がるんですけれども、上がってないんですね。その多くの理由にこの麻生さんの留任って問題があるに決まってるはずです。ぜひ国会も騙されてしまったんですから、臨時国会で再び徹底的に説明してもらいたいと思いますね。
徳永アナ:野党の追及ということですよね。
ここでは、後藤氏が「内閣改造で支持率が上がらないのは麻生大臣の責任だ」ということを主張していますが、その根拠が正しいのかは世論調査等を見なければわかりません。
実際、産経・FNNの合同世論調査で、「どの閣僚に期待するか」という質問で3番目に高い評価をされていました。
何の根拠もないままに視聴者に誤解を生むような発言をする後藤氏の資質を疑わざるを得ません。
したがって、今回の放送は放送法第4条2項「政治的に公平であること」第3項「事実は曲げないで報道すること」に抵触している可能性があります。
今後も監視を続けます。