2018年11月1日 報道ステーション

2018年11月1日 報道ステーション

2018年11月1日の報道ステーションの報告です。
この日、最も多くの時間を割かれたのは、直前まで行われていた野球の日本シリーズ第5戦、ソフトバンク対広島の中継です。
これが番組のほぼ7割ほどを占めていました。
今回取り上げるのは当日の国会での論戦に関する部分です。
早速見ていきましょう。

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【スタジオ】
徳永有美アナ:続いて、今日、こちら。今日の国会の様子なんですけれども、大きな焦点でもある外国人労働者の受け入れ拡大をめぐって、ご覧のように、非常に紛糾しました。

平石直之アナ:はい。この法案、与党は明日にも閣議決定する予定なんですけれども、答弁に立ちました山下法務大臣に対しまして、野党が詰め寄る場面も見られました。

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【VTR】
長妻昭議員:戦後最大の受け入れの拡大になるのは、これはもう間違いないことでございます。これあの安倍総理にですね、外国人労働者拡大の哲学をまずお尋ねしたいんですが。

安倍首相:いわば、永住ということでですね、いわゆる移民として受け入れるという政策を、今度とるわけではないということでございます。大変人手不足が過熱する中においてですね、そうした業種に限ってですね、この一定の期限を設けて。

長妻議員:こういう政策をいい加減にやるとなし崩し的にやるとですね、あと大変なことになるという教訓がこれ、あるわけでございまして、これ結局この法案でですね、何人外国人労働者が増える見込みになるんですか。総理。

安倍首相:しっかりと制度設計をしつつ、あるいは出入国管理庁を今度はつくりですね・・・

字幕:何人だ?

安倍首相:しっかりと管理をしていきたい。

長妻議員:じゃあ、何人ぐらい増えるのか、おっしゃってください。

山下法務大臣:まずあの移民ということについてございますけれど・・・

字幕:聞いてない

山下大臣:いえ、まず紛れがあります。というのは・・・

長妻議員:だめまた時間がない

山下大臣:あの、国連の・・・

長妻議員:時間がないですから

山下大臣:あの移民と今おっしゃてるのが、正式な法的定義はありませんと国連は言っています。

長妻議員:聞いていない。聞いてない。

ナレーター:外国人労働者が何人増える見込みかと聞かれたのにもかかわらず、山下法務大臣は、移民の定義について読み上げ始めます。

山下大臣:今回の新たな受け入れ制度は・・・

長妻議員:人数を聞いてるんです。何人ですか。人数は。

山下大臣:深刻な人手不足に対応するため、現状の専門的・技術的分野における・・・

野次:聞いてないこと答えるんじゃない!

山下大臣:外国人の受け入れ制度を拡充し、受け入れに当たっては・・・

長妻議員:止めてください委員長!

山下大臣:生産性向上や、女性・高齢者の就業促進で人手不足をふまえた処遇の改善等の国内人材確保の取り組みを行ってもなお、

長妻議員:時計止めてください。時計。

野田委員長:簡潔に答えてください。

山下大臣:はい?

野田委員長:簡潔に、お答えください。

野次:ふざけるな!

長妻議員:これですね、全然生煮えなんですよ。人数の規模も分からないということでありまして、これ当然あの、上限はつけるんでしょうね。上限。人数、受け入れ人数の。

山下大臣:まず上限というのは数値ということか、ということでございますけれども・・・

長妻議員:人数。人数。

山下大臣:今回ですね、数値として上限を設けるということは、考えておりません。受け入れの一時停止。これも考えております。したがって、今回の受け入れ制度というのは、形式的な数値基準を設けるのではなくて、実質的な判断において上限をするということで、受け入れる外国人材の人数としての、いわば数値目標としての上限規制は設けている事案ではないということでございます。
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【スタジオ】
徳永アナ:後藤さん、もう担当大臣も具体的なことは答えられない。今回のことは自民党内でも納得してない人がいるわけですよね。

後藤謙次氏:本当に生煮え状態という質問がありましたけども、本当に初めに導入ありきという、まあスタートなんですね。まあ早くも、本当にこれで4月からやるんですかという感じがしますよね。あの、今年の通常国会を思い出してもらいたいんですが、この裁量労働制。働き方改革がありましたけども、このとき非常にデータがずさんでですね、結局安倍総理は自分の答弁を撤回して、その裁量労働制の対象拡大の分野で、一回削除したことがあるんですね。その反省が全くないわけですね。今回やっぱり急げば回れでですね。もう一度とことん党内議論を経て、そのうえで法案を提出する。これが筋だと思いますね。とりわけ今度の外国人労働者の受け入れ拡大っていうのは、日本の国の形にかかわる問題ですね。さらに実習生問題では、すでに失踪者が7000人もいると、今日国会で答弁がありました。さらに今年の前半でもすでに四千数百人が、失踪していると。こういう現状のまず、弱点。マイナスの部分を、是正したうえで次に行くというのが筋なんですが、ここは一回急げば回れでですね、出し直しというのが筋じゃないかと思いますね。

徳永アナ:納得のいく議論を重ねてもらいたいと思います。

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【検証部分】
今回の放送の問題点は大きく分けて二つあります。
1点目は、取り上げている質問に偏りがあること。
2点目は、スタジオでの後藤氏の発言が放送法違反に抵触する可能性があること。
以上の2点です。

まず1点目についてです。
この日、衆議院で予算委員会が行われ、各党の議員が総理に質問を行いました。
人数としては自民党が4人、公明党が2人、立憲民主党が4人質問に立ち、安倍首相、そして各大臣に質問を行いました。しかし、VTR中に取り上げられたのは長妻議員の質問のみでした。たしかに、長妻議員は昨今話題になっている入国管理法の改正案を取り上げていることから、マスメディアとして間違ったことをしているとは思いません。
しかし、この日質問に立った自民党の岸田文雄政調会長もこの問題に触れ、「長期的な視野でこの問題を考えていかなければならない」という趣旨の発言をしています。もし、この問題を多くの観点から検証していくのならば、このような質疑も取り上げるべきだったのではないでしょうか。
スタジオにて徳永アナが
「後藤さん、もう担当大臣も具体的なことは答えられない。今回のことは自民党内でも納得してない人がいるわけですよね」
と発言するのなら、なおさらです。

次に2点目についてです。
後藤氏はスタジオにて
後藤謙次氏:本当に生煮え状態という質問がありましたけども、本当に初めに導入ありきという、まあスタートなんですね。(中略)今年の通常国会を思い出してもらいたいんですが、この裁量労働制。働き方改革がありましたけども、このとき非常にデータがずさんでですね、結局安倍総理は自分の答弁を撤回して、その裁量労働制の対象拡大の分野で、一回削除したことがあるんですね。その反省が全くないわけですね。 (中略)マイナスの部分を、是正したうえで次に行くというのが筋なんですが、ここは一回急げば回れでですね、出し直しというのが筋じゃないかと思いますね。
と発言していました。
後藤氏はこの法案が生煮えである、と言及したのち、今年の通常国会で最終的には撤回に至った働き方改革法案の裁量労働制の拡大の問題を取り上げ、今回の法案も同様に出し直しをするべきだ、と発言しています。
裁量労働制の拡大の時は、所管官庁の厚労省のデータの不備等が指摘されましたが、今回はデータの不備等も今のところ発見されていないことから、同列に見ることは困難です。なぜそれを同列に扱うのか。法案の撤回ありき、と視聴者に印象を与えてもおかしくはありません。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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