2018年11月4日 サンデーモーニング(前編)

2018年11月4日 サンデーモーニング(前編)

サンデーモーニング、2018年11月4日放送回の検証報告(前編)です。

今回の報告では、
① 韓国の徴用工訴訟について報道された部分
② 「風を読む」にて、ブラジルの新首相について報道された部分

以上2点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを2つに分け、前後編でお送りいたします。
前編で検証するのは、
① 韓国の徴用工訴訟について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容を見ていきましょう。

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【スタジオ】
伊藤友里アナ:お伝えいたします。韓国の最高裁判所が出した判決が、日韓関係をぎくしゃくさせる可能性が出てきました。
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【VTR】
・韓国の最高裁は、新日鉄住金に1人当たり約1000万円の賠償を元徴用工4人に支払うようを命じる判決が確定
・安倍総理は、国際法に照らしてあり得ないと述べた
・韓国メディアは、被害者や遺族たちはようやく恨みを晴らすことができたと報道
・これまで韓国の政府は、1965年の日韓請求権協定を根拠として徴用工への賠償は「すでに解決済み」という立場を取ってきた
・また、韓国政府は2005年の歴史の再検証においても徴用工への賠償問題は「すでに解決済み」との考えを表明してきた
・2012年、韓国の最高裁が「日韓請求権協定はあくまで国と国との約束であり、個人の請求権は消えていないと判断
・これをきっかけに、日本に対し賠償を求める裁判が相次いでおり、現在14件の損害賠償訴訟で70社以上の日本企業が被告となっている
・約22万人の元徴用工たちによる新たな訴訟の可能性が浮上
・文在寅大統領は、徴用工問題については沈黙を保っている
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【スタジオ】
伊藤アナ:1965年に日韓請求権協定が結ばれ、完全かつ最終的に解決されたはじの徴用工問題。2005年、当時の廬武鉉政権でも徴用工問題は解決済みとの見解を示していました。ところが、2012年、韓国の最高裁は、請求権協定は、個人請求権は消滅していないという、一転した判断を初めて行い、改めて新日鉄住金に賠償命令を出したという経緯です。
懸念される今後の日韓関係ですが、日本としては、韓国政府の出方を見極めたうえで、請求権協定に基づく2国間協議の開催を求めています。しかしこの協議が不調に終われば、日本が第三国の設置を含む仲裁委員会の設置を提案し協議するか、国際司法裁判所に提訴することも視野に入れていると安倍総理は示しました。ただし韓国政府は、こうした協議のテーブルにつかず決着を避けた場合、問題が長期化する懸念もあります。

関口宏氏:これにつきましてはもうちょっと、藪中さんにボードを使って説明していただきます。

藪中三十二氏:あの、今の韓国の、これはまあ大法院っていうんですか。最高裁にあたるところですけれども、その判決なんですね。で、今も解説にありましたように、これは1965年の合意に反していると。そういう判決だというところがポイントだと思うんです。その1965年っていうのは基本条約ってのがまずあって、それで国交正常化をするんですが、そのときに日本は無償3億・有償2億・合計5億ドルの経済協力もしてると。同時にそのときに請求権協定ってのがあります。これ実はですね、お互いの請求権を放棄しましょうと。で、完全解決ということなんですね。で、お互いのっていうのは日本も随分実は、財産を残してきてると。だから日本側も請求しようとすればいろいろあるよと。向こうもいっぱいある。それをやりだしたらきりがないから、こういう格好でお互いに請求権を放棄し、それで日本は5億ドルの経済協力をすると。ですから、この徴用工の問題については既になんですね。日本と韓国の間では。そこでまあ、日本政府もですね、断じて受け入れられないと。これはまあ当然のことなんですけれども、我々が頭に置いといたほうがいいのはですね、国際的にどうみられるかというところがあると思うんですね。国際的な正当性っていうんですか。日本が言っていること、その立場っていうのは、国際的にみて非常に正しいんだと。またそういう意味ではですね、相手が、相手の出方によっては国際司法裁判所に提訴もしますよというのもですね、出ていけば当然、日本の主張は認められるんだと国際的にと。こういうことだと思うんです。で、今回非常にですね、まあ注目すべきは、中国がまあ、ずっと沈黙してると。例えばですね、慰安婦のときは両方で、韓国も中国も一緒になって。でアメリカが、ちょっとどうなってるんだってことがあったんですけれども、今回、そういう意味であれはまあ、日中首脳会談。日中関係が正常化に向かったというのもですね、そういう意味では影響、いい影響を及ぼすということだと思います。で、今後日韓どうしたらいいのかなんですけども、ちょうど、日韓共同宣言ってのが出て20年なんですね。1998年に、小渕総理と金大中大統領との間で。さあこれからは、日本と韓国、未来のパートナーとしてやっていきましょうよという合意をしている。文在寅大統領もこの20周年は大事なんだと言ってるんですね。だからそこのところをよほどに、韓国側もわきまえてもらわないかんと。そういう中で日本はですね、まあクールにというか、賢明にかつまあ冷静にという意味なんですけど、賢く冷静に。そしてまあぶれない対応をすると。あまりこうまあ日韓で協議をするとか、そういう話では私はないと思うんですね。きちんとした日本の立場を守って。で、それをきちんとぶれない格好で説明してと。ただあんまり感情的にならないほうがいいと思います。

関口宏氏: それがね、一番心配されるとこだけど。松原さんとこでもね、番組、取り扱ったでしょ。

松原耕二氏:そうですね。やりましたけど、やっぱりやればやるほど難しい問題だなとこれは思いますよね。で、文在寅大統領がやっぱり沈黙してるのも、やっぱり困ってるのは、韓国というか、理屈としては日本側にやっぱり理があるということだと思うんですね。2005年も、5年にもですね、韓国側も日本と同じ立場を示してるんですね。なんですが一つだけ我々が頭に入れておいた方がいいことが一つあるとしたらですね、冷戦が終わった後に、1990年代、2000年を超えてから、国と国というよりは、個人をどう守るかと。いうふうに流れはひとつあるんだと思うんですね。つまり、国という支配者の目線というよりは、個人の人権を尊重する立場でどうやって歴史を問い直すかという流れが一方であるんですね。だからもしかしたら、これもそういう流れの一つと見ることもできるかもしれない。正当性を主張しながらも、そこはひとつ、国際的な正当性を得るためにですね、頭に入れておいた方がいいことだとも私は思いますね。

関口氏:秀征さんにもうかがっておきましょう。

田中秀征氏:65年と、それから40年たって5年のやつですね。結局結んだのはその、まあ右派政権ですよ。でその05年で確認したのが左派政権ですよ。これで最終的に本当に決着してよかったと思ったものですね。同じ問題に対して。ですから、今回のことはどうしてこうなっちゃったんだっていう思いが強くするんですけど、あのまあ、先ほどから話があるように、政府の態度が決まるまでね、なんか国民もね、韓国民も困惑してるって状況を感じますね。僕なんか。ですから、いずれにしても、先ほど藪中さんが、話にありましたように、クールにやるということで、今まで通り、総理・外務大臣・閣僚。発言したり行動するときは礼を尽くしてね、やってもらいたいというふうに思いますね。

関口氏:なんか、大法院っていうんですか。日本の最高裁判所がね。これが、どうしてあの結論を出したのか、僕にはよく分かりません。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、薮中氏の発言内容に、事実と違う事柄が含まれている恐れがある
2、松原氏の発言内容に、事実と違う事柄が含まれている恐れがある

それぞれ順を追って解説します。

1、薮中氏の発言内容に、事実と違う事柄が含まれている恐れがある
薮中氏はこの問題について、以下のように発言しています。

薮中氏(抜粋):中国がまあ、ずっと沈黙してると。例えばですね、慰安婦のときは両方で、韓国も中国も一緒になって。でアメリカが、ちょっとどうなってるんだってことがあったんですけれども(以下略)

要旨をまとめると、
・慰安婦問題の時は韓国と中国が一緒になって日本を批判した
・が、アメリカの行動は日本をかばうもので疑問視された

というものです。

具体的に何を指して「ちょっとどうなってるんだ」と発言したのかを断定することはできませんが、文脈から考えると2015年末の慰安婦問題日韓合意へ向けたアメリカの動きについての発言ととらえることができます。このときのアメリカは日韓双方を合意させるべく一定の役割を果たしています。

その場合、こうした批判的論調は一定の政治的立場に偏ったものである可能性があります。
なぜなら、この「最終的かつ不可逆的」とされた合意に現在も疑問を呈しているのは韓国と中国だからです。つまり、韓国側の立場にのみ立った表現であると捉えられてもおかしくはないのです。

以上を踏まえると、薮中氏の抜粋発言は政治的に偏ったものである可能性が高いといえます。

従って、この放送内容は放送法第2章第4条第2項「政治的に公平であること」、ならびに同第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

2、松原氏の発言内容に、事実と違う事柄が含まれている恐れがある
松原氏はこの問題について、以下のように発言しています。

松原氏(抜粋):冷戦が終わった後に、1990年代、2000年を超えてから、国と国、というよりは、個人をどう守るかと。いうふうに流れはひとつあるんだと思うんですね。つまり、国という支配者の目線というよりは、個人の人権を尊重する立場でどうやって歴史を問い直すかという流れが一方であるんですね。だからもしかしたら、これもそういう流れの一つと見ることもできるかもしれない。

要旨をまとめると
・1990年代以降から歴史を国という単位ではなく個人という単位で見直す動きがある。
・よって、今回の徴用工問題もそういう流れの一つとしてみることができる。
というものです。

しかし、
・上述の動きには当然ながら歴史修正主義との批判がある。
・今回の徴用工問題における「原告」は、公的な募集に自主的に応募した労働者であり、強制労働などといった批判は当たらないといえる

以上2点を踏まえると、松原氏の抜粋発言は誤りを含み、事実と異なる認識を視聴者に与える恐れがあると言えます。

従って、この放送内容は放送法第2章第4条第3項「報道は事実を曲げないですること」、ならびに同第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の前編となります。前編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
②「風を読む」にて、ブラジルの新首相について報道された部分
については、後編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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