サンデーモーニング、2018年12月30日分の検証報告(前編)です。
今回の報告では、
韓国海軍のFCレーダー照射について報道された部分
日本のIWC脱退について報道された部分
以上2点について検証し、その問題点を探りたいと思います。
検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。
今回はレポートを2つに分け、前後編でお送りいたします。
前編で検証するのは、
①韓国海軍のFCレーダー照射について報道された部分
となります。
では、さっそく放送内容をみてみましょう。
【VTR要約】
韓国・国防省の記者会見映像が流され、韓国側は改めてレーダー照射を否定したとナレーション。すぐに日本の防衛省による会見映像に切り替わり、岩屋防衛相が「照射があったことは事実」と述べる映像が流される。火器管制レーダーについては、「武器使用に先立って使用されるもので、攻撃の一歩手前の状態」とナレーションによる簡単な説明がされる。
CM前後で防衛相が公開した映像が流される。元海上自衛隊へのインタビュー映像へと切り替わり、レーダー照射があったのは確実だとナレーション。さらに、P1哨戒機が駆逐艦の真上を低空で飛んでいたとする韓国側の主張について、「国際法上違反は全くない」と元海将が指摘する映像が流される。
その後、防衛省の公開映像とともに、ナレーションで日本の哨戒機が韓国の駆逐艦へ呼びかけたが、韓国海軍艦艇からの応答はなかったと説明。防衛相が公開する映像が一部カットされていることについては、「情報保全のため」と説明する防衛省に対し、韓国国防省は会見で「客観的な証拠と見ることは難しい」と主張する映像が流された。
CM終了後、「レーダー照射をめぐって対立する日本と韓国。実はこの秋から、日本と韓国にはさまざまな火種がくすぶっていました。」とナレーション。徴用工問題での賠償判決確定と慰安婦問題での財団解散に触れ、防衛省が映像公開に踏み切った背景には、安倍総理の指示があったことを政府関係者が明かしたとの説明後、VTRは終了した。
【アナウンサーによるパネル説明】
韓国側の主張と映像の食い違いについて、以下のようなパネル説明がされた。
レーダー照射
韓国側は、哨戒機に使った事実はないと主張しているが、元海将は照射されたことを示すやりとりがあるとしている。
P1哨戒機
韓国側は、哨戒機が駆逐艦の真上を低空で通過していると主張しているが、元海将は、国際法上の距離と高度を守っていると指摘している。
無線呼びかけ
韓国側は、通信感度が悪くほとんど聞こえなかったと主張しているが、元海将は、遠くまで届く電波を受信できないのはあり得ないと指摘している。
続いて、文在寅大統領の支持率について触れ、支持率が43.8%と就任後最低を記録している中、日本に対し弱腰で出られない事情があると説明した。
【コメンテーターの発言(一部要約)】
田中秀征氏:……もう本当に、困ったことだと言う以外ないですよね。…映像を見たって、こちらに何の落ち度もないと言わざるを得ないし、それで、これ以上あの、岩屋防衛大臣が、一部の報道で、電波を収集しているということと、記録を残してるってことを言ってる。要するに、開示、まだ開示していない証拠があるんだということだと思うんですよね。そうだとしたらこれ、出方待ちです。もうこのね。それで、やっぱり気を付けなきゃいけないのは、雨降って地固まるっていう感じにもっていければ最高なんですけれども、なんでこんなに、こちらに嘘を言わなきゃいけない理由は何もないし、必要もない。だから、ここはね、韓国側にピシッとしたところを示してもらいたいですね。そういうふうに思いますよね。
谷口真由美氏:仮に、韓国も支持率のためにちゃんと、認めないものを認めないっていう姿勢であるとするならば、それは政治の愚行だと思うんですよね。で、ひとつは、だからこそなんですけれど、政治的な国家間の摩擦が、あるっていう状況に誰が見ても思うような状況であるときこそ、市民レベルではやっぱ冷静にあるべきだと思うんです。とりわけ、在日コリアンの方たちに対してのヘイトスピーチがこういうので、また例えば巻き起こるみたいなことになってくると、それは、もう全く良くないっていうか、しちゃだめなことなので、市民レベルでは冷静でありたいっていうことをお呼びかけしたいなと思います。
浜田敬子氏:徴用工の賠償判決が出てたときに、政治家が自分の人気取りや政治基盤安定のためにこうした手法に訴えるのであれば、国際ルールも無視するような国とビジネスするのは難しいといろんな企業は言っていた。日韓関係は強い済的な結びつきがあるのにもかかわらず、政治レベルで、ああいう徴発を受けたり国民感情に訴えたりすれば、文在寅政権にとっても経済的にダメージが大きいと思う。短期間的な視野でルールを無視するのは、両国にとって誰が得になるんだろうと感じた。
竹下降一郎氏:韓国の主張はかなり苦しく、言い訳に近いレベル。韓国は日本に関心を寄せる余裕がなく、米・中・北をどうするのかで頭がいっぱいだと思う。なので、日本も韓国を重視する政策ばっかりやるのではなく、韓国は必ずしも日本を最優先に考えないというイメージをもとに、今後の外交戦略を練り直すべき。
松原耕二氏:海上自衛隊の元幹部に聞いた話では、今の韓国の対応は大統領府の対応なんだろうと。なぜそうなるかというと、支持率がものすごく下がっていて、支持率は北朝鮮がうまくいったときだけ上がっている。今は北朝鮮が動いてない。経済も悪い。余裕がなくなっているので、レームダック化してるんじゃないかという懸念が背景にあると思う。
以上が放送内容となります。
では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。
1、谷口氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
それぞれ順を追って解説します。
1、谷口氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
谷口氏は今回の報道で、以下のように述べています。
谷口氏(抜粋):政治的な国家間の摩擦が、あるっていう状況に誰が見ても思うような状況であるときこそ、市民レベルではやっぱ冷静にあるべきだと思うんです。とりわけ、在日コリアンの方たちに対してのヘイトスピーチがこういうので、また例えば巻き起こるみたいなことになってくると、それは、もう全く良くないっていうか、しちゃだめなことなので、市民レベルでは冷静でありたいっていうことをお呼びかけしたいなと思います。
要旨をまとめると、
・政府レベルで緊張が高まっている時だからこそ市民は冷静でいるべき
・在日コリアンへのヘイトスピーチがこの件でまた起こることはよくないことだ
というものです。
しかしながら、
・外交問題に対して国民が意見を持ったり意思表示をすることを阻害していい道理はない
・在日コリアンへのヘイトスピーチはまったく別の問題であり、今回のレーダー照射とは何の因果関係も存在しない
以上のことから、今回の報道での谷口氏の発言は事実にそぐわないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「日本は冷静な対応をすべきだ」「今回の件は韓国側がおかしい」という立場に立った意見のみが出てきました。
ですがこの問題に関しては「日本は毅然とした対応をすべきだ」「韓国側の反論を待つべきだ」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。
以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。
以上が報告の前編となります。前編では、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。
この続きの
②日本のIWC脱退について報道された部分
については、後編の報告をご覧ください。
公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。